ホテル・ムンバイのレビュー・感想・評価
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史実ほど恐ろしいものはない
誰もが生きたかった
最後のテロップが全てを語っている!
感情移入とは微妙に違う【主客合一】とは?
感情移入ではない【主客合一】とは?
事実は小説より奇なり、
を超えて、
ファクトよりもクリエイト。
フィクションで事実を、
観客の胸の奥深くに差し込む。
その深さは報道やニュース、ドキュメンタリー作品(「ジェノサイド・ホテル」もフィクションだけど)よりも深い。
傑作・・って言えない。
感動・・って思えない。
良かった・・って喜べない。
演出の技術はかなり高い。
シナリオ→撮影→編集。
多くの登場人物の気持ちの動きが観たくなるようなサブプロットの編集の繋ぎ方も上手い。
アーミー・ハマーの行かないといけないから行く正義。
地元警察の行かなくてもいいのに行く正義。
ホテルスタッフの行く正義と行かない正義。
訓練された特殊部隊の将校もただの人、
ジョン・マクレーンは夢物語の正義。
(地元警察は行かなくていいというよりも、あの時点でテロリストの正体、人数、火力、訓練度等多くが未知数のまま、突入するのは無謀・・・でも行く!(この地元警察でメインプロットを引く事も可能だったはず、、))
それぞれの登場人物の行動と観客はシンクロしながら事件を見る。
そして、解釈は微妙に違うはず。
観客の主観と客観が、
シンクロする【主客合一】という行為。
その行為は感情移入とは微妙に異なるという事と、
感情移入は物語を追うのに必ずしも必要ではない、
シンクロしたくない登場人物とも主客合一は成立するのがわかりやすい作品でもある。
そして何よりもメインプロット。
この凄惨な実話を先に映画化した「ジェノサイド・ホテル」(フィクション作品)でも書いた。
エンタテインメントでハラハラドキドキの展開で魅せるには、時期尚早ではないか。
テロ発生→状況終了までをメインプロットにしてもいいのか⁈
事件に遭遇した人々を描くだけでも充分にドラマは成立するのではないか。
企画段階での周囲からの批判、製作サイドの内側での葛藤、なんとなく想像できる。
でもあえてフィクション、エンターテインメント。
その大きな理由のひとつは、
未だ逮捕されていない首謀者への怒りではないだろうか。
首謀者への怒り、
何故こんな被害を受けないといけないのか?
と、
何故こんな子供たちが加害者に?
テロリストの少年たちのエピソード。
水洗トイレに驚き、食べ残しのピザを貪る、
タトゥーも見た事ない、そして家族への電話。
◯◯にも三分の理と捉えるかどうかは観客次第。
ここは創作だろう。
ここでも【主客合一】は発生する。
決して少年たちの気持ちには賛同できない、
ただ、どこかで止められなかったのか等考える観客もいるかもしれない。
フィクションの効果を最大限に駆使して、
ドキュメンタリーよりも、
リアルな描写で観客の心を捉え、
エンターテイメントで世界中津々浦々まで作品を届けたいという製作サイドの狙いは一定の効果をあげているのではないだろうか。
テロとはこういうもの
社会的メッセージや正義や非難やサブストーリーとしてプライベートな物語があるわけではなく、ひたすら現実を映し出す恐ろしいとしか言いようのない映画だった。いたずらに怖がらせているわけでもないし、処刑のような惨たらしいシーンがある訳でもない。運の悪いことにその場に居合わせてしまったらという、限りなく有り得る状況がこの恐怖を産むのだと思う。
こんな経験はしたくもないが、テロにあうというのはこういうことなんだろう。危機意識くらいもつのは今のご時世、決して無駄では無いはずだ。
パニックにならない
諦めない
こんなことを漠然と思っただけだが、この実際にあった事件が、見終わったあとも、じわじわと胸を締め付けてくる。
平和な世の中を願わずにいられない
悲しさが溢れる
事件のことは全く覚えておらず、
当時の日本ではどんな風に報道されていたのだろうか…
テロリストの少年が
家族に電話をするシーン、涙が止まらなかった。
信仰心の強さだけではなく
貧困から家族を救うためのテロ。
悲しくやるせない気持ちでいっぱいになった。
首謀者は捕まっていないとのこと
卑劣なテロが無くなることを願います
サスペンスだけではない人間讃歌
ジョン・マクレーンの出てこない『ダイ・ハード』みたいなバイオレント極まりないアクションスリラー
2008年11月、ムンバイの海岸に小型ボートから降り立った10人の少年達。イスラム原理主義者のテロリストである彼らは市街各所で銃を乱射、街中がパニックに陥る。様々なVIPをもてなすための準備が進められていたムンバイの一流ホテル、タージマハル・パレス・ホテルに銃撃から逃れた民衆が押し寄せ、非常事態を察したスタッフは中に招き入れるが、その中にテロリストも混じっていた。
実話ということは知っていましたし、主演がデヴ・パテルでポスタービジュアルも地味なドラマっぽいので完全に油断してましたが、これは超リアルでグロテスクなサバイバルアクション。言い換えればジョン・マクレーンの出てこない『ダイ・ハード』。どこのシネコンでも一日一回くらいしか上映がしないのが不思議だったんですがそれも当然でレイティングがR15+とかなりハード。ということでテロ描写に忖度が一切ないので善良な人やそうでもない人が容赦なく命乞いも虚しくあっさり殺されまくります。この辺りは正直エゲツないにも程があるので鑑賞前に余裕を持って食事を済ませておく必要があります。ジョン・マクレーンがいない一方でデリーから派遣された特殊部隊が到着するまで待てずにホテルに突入する勇敢な警官達がいるのですが、ジョン・マクレーンではないのでマガジンが空っぽになるまで撃ってもテロリストを一人辛うじて負傷させるだけという劣勢ぶりに観客のストレスは一切解消されません。ジョン・マクレーンがいないのでドラマが濃厚、まさしくグランドホテル方式で幾重にもドラマが重ねられます。うっかり靴を自宅に忘れたことから運命が大きく変わってしまった主人公のシーク教徒のウェイターのアルジュン、突然の事態にもかかわらずあくまで冷静にお客様は神様という三波春夫イズムを発揮する総料理長オペロイ、何やら怪しいパーティを主催する謎のロシア人ワシリー他様々な登場人物を立体的に描写、実話と言いつつかなり大胆な脚色を施していると思われ、至る所に含蓄のあるセリフが吐き捨てられていて、世界中で起こっているテロ行為の背景にあるもの、テロ行為の後に遺るものが何かを流血とともにスクリーンに投げつけてくるバイオレント極まりない作品でした。
重苦しくショッキングな作品
容赦ない
克明
12年前の出来事らしい。
作中で語られるエピソードの真偽は定かではない。ほぼ創作なのかもしれないし、入念に取材した賜物なのかもしれない。
ただ…テロという未曾有の暴力に蹂躙されていく様には背筋が凍りつく。
あまりに理不尽な銃口から逃れる術がない。
たったの4人。
もしくは6人。
思想を刷り込まれ、銃という殺戮兵器をもたされた駒たちに、いとも容易く平和は破壊されていく…指先一つ、数秒引くだけで。
どれほどの恐怖に耐えたのだろうか?
物語は一切緩む事なく、猛獣と対峙する檻の中を描き続けているようだった。
硬直、緊張、どの言葉を使っても足りないように思う。制作サイドの断固たる決意の上にこの作品は成り立ってるように思う。
残さねばならない。
過去にしてはいけない。
ムンバイに降りかかった狂気は、今も尚、その火種はあちこちにあるのだと。
そんな事を思う。
インドでは絶大なる支持を受けた作品なのではなかろうかと思う。
直面してるからこそ、組織の構造にまで言及するのだろう…。実行犯は皆若く、等しく貧困で極端な思想に管理されてる。
親に愛され、自身も家族をあいしているようだ。とある地域では思想による統制でもなされているかのようで、親の世代にも「聖戦」としての正義が植え付けられているようだった。この作品では、その実行犯を被害者とも描いている。
もっと根深い。彼らの世界を狂わされた狂人がいるのだと。この事件の主犯は不明のままだそうだ。
作品としては若干長い。
途切れぬ緊張感故の演出もあるのだろうが、俺はそう感じた。
ただ、その執拗な、地を這うような重い空気感が、作品におけるリアリズムの要と言えなくもない。
印象的だったのは、エンディングだ。
再建し式典までやってるそうだ。
日本だと壊して数年空き地とかになりそうだと思うのだが、恐れ入る。
何人も人が死に、夥しい量の血が流れた場所だ。曰く付きの事故物件だ。誰がそんなとこに泊まろうと思うのだろうか?
ところがどっこい今もホテルとして営業を続けてる。いつの映像か誰かも分からないんだが、風船と紙吹雪の中で、満面の笑顔で万歳するおじさんがいる。
日本では不謹慎とか、叩かれまくりそうだが、それを甘んじて受けてでもやらねばならぬ事がある。
俺には強さに見えた。
テロには屈しない。
俺たちはこのホテルで戦った。
このホテルこそが、その象徴である、と。
強い。
なんと強靭な民族であろうか…。
そして、映画館を出た時の平和が…なんの疑念も躊躇いもなく満喫している平和が…その違和感が猛烈で…垂れ流される安寧な時間が哀れで…若干、行き場を失う。
日本はマヌケなぐらい平和だな。
それを国家として維持してくのは、きっと想像を絶するのだろうし、奇跡の産物なのかもしれない。
テロの背景にあるもの
目を覆いたくなる展開
実際に起きたインドのテロを生々しく描いた力強い作品。劇中で描かれてる犠牲者の数を考えても、主人公や赤ちゃんが無事助かったからといって決して感動話ではない。運良く助かった人はいても、見終わったあと後味が悪かった。
現場描写はリアルなのだが、終始敵から見つからないよう逃げるサバイバルゲームのような展開で、苦しかった。誰も正解はわからず、とりあえずできることが何かを必死に考え、命がけで実行に移す。実にリアルだった
新婚夫婦がハンバーガーを注文するシーンだったり、敵が近くにいるかもしれないのに音声通話をしたり、家族家族といって他人の命をも巻き込む無茶な行動をしたり、銃口押し付けられて最後の最後にコーランを口にしたり、ちょっと納得いかないところもあった。
一番驚いたのはこのような痛ましすぎる惨劇があったにもかかわらず、まだホテルが営業されてることかもしれない…。
酷い現実
本作主演のデブ・パテルは「ライオン 25年目のただいま」「チャッピー」を見ているが、優しい感じでいながら、真っ直ぐな眼差しが印象的ですね。あまり目立つ特徴はないので、どこにでもいそうな気もするのに、結構独特の雰囲気を持ってて、他であまり見ないタイプなのかと。
4人の少年テロリストに占拠されたホテルで、献身的に宿泊客を守ろうとする話。「お客様は神様です」というホテルの精神を守って、必死に行動する"仕事の流儀"的な側面も。
それにしても、人が簡単に撃たれて殺されていく。戦争ものやアクション映画で、敵を撃つのではなく、丸腰の一般人だ。見ていてあまり気持ち良いものではない。撃ってるのは、洗脳されてテロを仕掛ける若者だ。R15+だけある。実際にあった話とのことで、監督は誠実に客を守った従業員という単なる美談で終わらせるのではなく、そのひどい現実を出来る限り伝えたかったのだろう。映画としての完成度は別として、目論見は成功していると思う。
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