五億円のじんせい

劇場公開日:2019年7月20日

五億円のじんせい

解説・あらすじ

善意の募金5億円で心臓手術に成功した17歳の少年のお金と人生に向き合う旅を、映画「ソロモンの偽証」やテレビドラマ「3年A組 今から皆さんは、人質です」などに出演した若手俳優・望月歩の映画初主演で描いたオリジナル作品。GYAOとアミューズによるオリジナル映画製作プロジェクト「NEW CINEMA PROJECT」第1回グランプリを受賞した企画の映画化で、脚本を蛭田直美、監督を文晟豪(ムン・ソンホ)が担当した。高月望来は幼少期に難病を患っていたが、5億円もの善意の募金により手術は成功し、健康に成長していった。17歳の高校生になった望来を待っていたのは、「5億円にふさわしい人間」という周囲からの期待や、マスコミの好奇の目だった。窮屈な日々から逃げるかのようにSNSで自殺を宣言した望来のもとに見知らぬアカウントから「死ぬなら5億円返してから死ね」とのメッセージが届く。望来は家を飛び出し、5億円の「借金」を返して自由になるための旅に出るが……。

2019年製作/112分/G/日本
配給:NEW CINEMA PROJECT
劇場公開日:2019年7月20日

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(C)2019 「五億円のじんせい」NEW CINEMA PROJECT

映画レビュー

4.0望月歩と山田杏奈、ともに将来性十分

2019年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

楽しい

主人公が底辺や裏の仕事を体験して回る、いわば「現代日本の地獄巡り」という点では、「東京難民」との共通項が多いと感じた。どちらもホームレスの男が重要な役割を担うし。

主役の望月歩は、「ソロモンの偽証」で校舎屋上から転落死した中学生を演じて注目されたが、同作から約4年でずいぶん成長し、手足の長さと顔の小ささが目立つ今風の若者になっていた。純粋であるがゆえに思い詰め、世間知らずだったが旅での出会いと経験によって大人になっていく主人公を、まさに伸び伸びと演じていた。

山田杏奈は独特の暗さが持ち味。薄幸、病弱、いじめられっ子といったキャラクターに起用されることが多い。今回も主人公が幼い頃の年上の入院患者仲間で、いつもと同じような設定かと思いきや、意外な展開があって嬉しかった。スプラッタホラーの「ミスミソウ」で初主演する根性もあるし、演技幅は広いので、これからもっといろんな役に挑戦してほしい。

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高森 郁哉

4.0【”人生賛歌。そして人生はそんなに悪くない。”今作は幼き時に5億円の募金で心臓手術に成功した青年が、その5億円を返すために様々な職業を経験する中で成長する物語である。】

2025年7月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

ー 今作は、或るオーディションで一位になった作品だそうである。当然、脚本はオリジナルで監督も今作が初監督だそうである。
  そして、この作品レベルの高さに驚いた作品でもある。-

■幼い頃、善意の募金で集まった5億円で心臓手術を受けたみらい(望月歩)。健康に育った彼は5億円にふさわしい自分であろうとし、周囲からの過剰な期待やマスコミの報道により、”医者になります。”などと無理に作った笑顔で答えてしまうが、実は窮屈な日々を送っていた。そんなある日、身近な自殺願望のある女子高生の影響を受け、SNSで自殺を宣言するのだが、見知らぬ”キヨ丸”というモノから”5億円稼いでから死ねよ!”と投稿され、ほぼ無一文で金を稼ぐ旅に出るのであった。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・作品設定が秀逸である。周囲からの過剰な期待により自殺した人と言えば、マラソンランナーの円谷幸吉を思い出すが、彼は東京オリンピックで銅メダルに輝いた後に、成績が振るわずに自殺している。
 だが、今作のみらいは何も成し遂げていないのに、安易に自殺しようとするので、脳内で”甘えてんじゃねーぞ!”と突っ込んだら、”キヨ丸”というモノから”5億円稼いでから死ねよ!”というラインが入るのである。

・その後、みらいは無一文のまま、ホームレスのオジサン(平田満)に一宿一飯の恵みを与えられるが、彼の貯金50万円を騙し取られた(と、みらいが誤解する)ため、彼はその後、女性に身体を売る風俗店や、たった200万円の借金で無理心中した家族の特殊清掃、オレオレ詐欺などを経験し、少しづつお金を貯めて行くのである。
 みらいは、その仕事を経験する中で、騙されそうになったお婆さんを助けた事で、殺されそうになるが、彼に仕事を斡旋する謎の男(森岡龍)に助けられ、又、ホームレスのオジサンが彼を騙した訳ではない事などを知って行くのである。

■”キヨ丸”の正体が、みらいが小さい時の入院仲間の女の子(山田杏奈)の妹(山田杏奈:2役)である事が分かるシーンは、途中で何となく予測がついてはいたモノの、少し沁みるし、何よりもみらいに関わる殆どの大人が、一見怪しい風体ではあるが、実は善性を少し残した人物が多いという点も良いのである。
 きっと、謎の男たちは、無垢なみらいの姿を見たが故に、心の奥底にあった人間の善性が表面化したのだろうと思ったのである。
 ここで、そういった人たちの姿を嗤う人こそが、”善性を失った哀しい大人”だと私は思うのである。

<今作は、幼き時に5億円の募金で心臓手術に成功した青年が、その5億円を返すために様々な職業を経験する中で成長する物語なのである。>

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NOBU

3.5重い内容かと思ったら、後味爽らか

2024年11月24日
PCから投稿
鑑賞方法:その他、VOD

主人公を演じてるのは、量産型リコの高木くんじゃないか。
こういう映画に出ていたのか
後味は爽らかだった。

さて映画は、「高木君」同様 とても変わった主人公
生い立ちもそうだが、考え方がとても変わっている。
死のうと考えるが、題名にもなっている「五億円」を稼いでからと「目標」を持つ。
それからは稼ぐという事を始めるが、そこは未成年、次第にヤバい事に巻き込まれていくが、そこは軽~いタッチの映画っぽく、都合よく救出される。
さらに御都合展開で目標を達成するが、そこだけはさすがにヒドイ。
制作自ら思っていたのか、登場人物にわざわざ言わせている通り「反則」。
どこかの金持ちが遺産を残したとか、御都合でも他に方法はあったと思うのに さすがにコレは…。
もう一捻りあればと、惜しい作品
嫌いではないが。

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ビン棒

4.0明確なテーマ性と若者たちへのメッセージ

2024年6月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

冒頭に登場する女子中学生が自殺しようかという場面で、主人公の声でナレーションが入る。その瞬間、この作品の方向性が示される。
それは、生きる意味 自分の価値についてもう一度考えてみようとこの作品は提案している。
女子中学生のセリフ「死ぬって、最強じゃないですか」「生きていれば嫌われるけど、死ねば愛される」は、多くの若者が共感する言葉なのかもしれない。
主人公のそもそも愛される人間性がこの作品のプロットを作っているが、一般的にはトオルのような人物や自殺願望のある少女のような性格の人物が主人公の中にないと、どうしても絵に描いた餅のように見えてしまう。
主人公は、
なりたくてなった病気じゃないし、何だかんだで5億円が集まって、アメリカで心臓移植手術が成功し、そうして11年が経ってもなお毎年のようにTVで特集が組まれ、「望来」という人間像が「作られて」いく。「僕の人生は偽物 凡人 クズ…」
「嘘つき」
SNSで「キヨ丸」という謎の人物から届いたメッセージ。
望来の本心を次々に言い当てられる。彼は「全部ボクが望んだことじゃない。どうしろっていうんだ」と反論するが、そもそも嘘の自分像を世間に言い続けてきた苦しさから逃れるため、自殺を決意し家を出た。
しかしキヨ丸からの追及は止まらない。
そして5億円稼いでから死ぬことにした。
このプロットも、主人公の性格に依存しなければ成り立たず、すぐ乗せられてしまうことが特殊詐欺のメンバーに加担させられるという人生の落とし穴にもはまってしまう。
路上生活者の話と、彼への信頼、嘘をつく隣の路上生活者。
彼の言葉はその通りだ。人生で出会うきついお灸だ。それは確かに人生勉強だった。
キヨ丸も登場人物に関係しているはずだと思っていたが、まさかアスカの妹アキラだったとは思わなかった。
しかしアスカがアキラに託したという話からは、ピンポイントで病院の屋上に望来が来ることは予想できないと思うが、アキラ(キヨ丸)の思いは、まったく望来には伝わってなかったことは理解できた。そのためにそこに来た。ただそれが年下の女の子があたかも望来を操るようにしていたという設定は微妙だった。
「もういいだろ。俺は5億稼いだ。だからもういいだろ」このような望来の考えをおそらくアキラは読み切ったのだ。合図になったのが彼女に渡されたコインロッカーの暗証番号だ。
このシーンのアキラのセリフに作品が若者に伝えたかったメッセージがあった。
「自分で考えろ。自分で探せ」
望来は「探してから死ぬよ」と答える。
路上生活者の嘘がこの後出てくるが、この「騙された悔しさ」こそ、人生で必ず起きる物語だろう。
そのようなエッセンスを散りばめたのは若者にとってもいい情報だろう。
教訓のような教育のような作品で、面白さと現実の厳しさも教えているのに嘘はないと思う。
ただ同時に若者は、「優しくしたくなるヤツ」と、「優しくしたくならないヤツ」を分類したくなる。ここにこの作品の見落としがあるような気がしてならない。

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