ベン・イズ・バック

劇場公開日:

ベン・イズ・バック

解説

薬物依存症の息子を全力で守ろうとする母の愛と家族の絆をジュリア・ロバーツ主演で描いたヒューマンドラマ。クリスマスイブの朝、薬物依存症の治療施設で暮らす19歳のベンが突然自宅に帰り、家族を驚かせる。母ホリーが久々の再会に喜ぶ一方、妹アイビーと継父ニールは、ベンが何か問題を起こすのではないかと不安を抱く。両親はベンに1日だけ家で過ごすことを認めるが、その晩、一家が教会から帰宅すると、家の中が荒らされ愛犬が消えていた。昔の仲間の仕業だと確信したベンは愛犬を取り戻しに向かい、後を追ったホリーは息子の人生を食い荒らす恐ろしい事実を知る。息子を全力で守ることを決意するホリーだったが、ベンはホリーの前から姿を消してしまい……。息子ベン役に「マンチェスター・バイ・ザ・シー」でアカデミー賞にノミネートされたルーカス・ヘッジズ。ルーカスの実父で、「ギルバート・グレイプ」「アバウト・ア・ボーイ」の脚本家として知られるピーター・ヘッジズが監督・脚本を手がけた。

2018年製作/103分/G/アメリカ
原題または英題:Ben Is Back
配給:東和ピクチャーズ
劇場公開日:2019年5月24日

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映画レビュー

4.0"Ben Is Back"。シンプルだが深いタイトル

2019年5月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

怖い

興奮

アンドレイ・ズビャギンツェフ監督のロシア映画「父、帰る」は12年ぶりに突然帰宅した父が幼い兄弟らの家族の暮らしに不穏な波紋を徐々に広げていく話だった。一方「ベン・イズ・バック」は、オピオイド鎮痛剤で薬物依存症になり施設療養中のベンが、やはり前触れなく帰宅して家族を驚かせる。ただしこちらは丸一日という限られた時間の中で、ベンの周囲に暴風が吹き、荒波が巻き起こる。ベン本人は台風の目のように平静(を保とうと努める)だが、過去の人間関係や犯した過ちが家族と地域の人々の心をざわつかせ、大きなトラブルへと発展してしまうのだ。

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」でケイシー・アフレックと対峙して才能を世に知らしめたルーカス・ヘッジズが、今回は母役ジュリア・ロバーツと見応えある演技を繰り広げる。ロバーツの強い母の愛が物語の推進力であり、確かな希望にも。題名の二重の意味を明かすエンディングの潔さも見事だ。

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高森 郁哉

3.0観客をやや振り回し過ぎだが、脚本としてはよく書けている

2019年5月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

『ビューティフル・ボーイ』が光を失わずに深刻な題材を描ききったのに対し、本作は同様のテーマをなかなか先の見えないミステリー仕立てで描き切る。目の前に突如姿を現した青年。本来ならば薬物リハビリ施設に入所しているはずの彼が、なぜ————。彼が口を開けば言い訳や虚言ばかり。どこに真実があるのか一向に分からない。そんな中で家族は混乱の只中に陥っていく。

果たしてこの主人公に興味が持てるかどうか。そこから本作への没入度が変わってくるはずだ(『マンチェスター・バイ・ザ・シー』で彼を見知っているのとそうでないのとでは、受け止め方に大差が出るかも)。と同時に、母親として息子を信じきるジュリア・ロバーツに関しても、主演俳優の演技の「受け」なので、結局は彼次第で真価が決まる。正直なところ全体的に観客をやや振り回しすぎといった印象だが、脚本としては各キャラクターがよく描きこまれていて優れた部類に入るだろう。

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牛津厚信

相変わらずのモラトリアム青年ばかりの自由と民主主義のお国の話

2024年10月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

4.0母と息子の熱演

2022年4月11日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

総合:80点 ( ストーリー:80点|キャスト:90点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:60点 )

 あまり予備知識もないままに鑑賞した。だが母親の強さと演技の良さに加えて、単純そうで実は次々に明かされる隠された事実が展開する物語には、家族愛・麻薬の怖さ・麻薬に関わる人々の悲惨さと怖さ・医療ミスと、数々の主題が含まれていて質の高い作品だった。

 最初はどういう状況かあまりわからないまま、ベンという若者がいきなりやってくる。彼に対する反応が家族により大きく異なる中で、母親のベンに対する愛情と事態を何とか上手くまとめようとする姿勢が目を引く。しかし母親はただベンを擁護するのはではない。彼女はベンを疑いほんのちょっとした隙すら見逃さないように監視もして、何かあれば激しく問い詰める。ただ信用することは出来ないのだなあという現実を見せられる。
 そしてベンと家族のことだけかと思いきや、支援者の存在と正体・ベンがやってきた知られていない過去の事・社会に浸透している麻薬の怖さが、時にクリスマスの飾りや犬といった伏線と共に現れていく。これが事実であると思わせておいて実はそれが全くの嘘であるといった展開には油断していて騙されたし、麻薬は人を嘘つきにするということを見せつけられた。1日の出来事としては色々と詰め込みすぎな印象はあるものの、その脚本の巧みさには感心した。
 そしてやはり息子と母親の2人の存在感と演技力は良かった。特に母親の賢さ・強さ・優しさと苦悩とを演じたジュリア・ロバーツは、『エリン・ブロコビッチ』にならぶはまり役だった。彼女は間違いもするし決して完璧な母親ではないが、ベンには絶対に必要な存在だった。息子のやることなすこと全てに反応して物語を作っていた。

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Cape God

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