町田くんの世界のレビュー・感想・評価
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大オーディションで主演2人を抜擢した心意気たるや、あっぱれ
“あの”石井裕也が真面目に少女漫画原作を映画化することにも驚きを禁じ得なかったが、主演となる男女2人を選ぶための大オーディションを敢行し、無名の才能を見つけ出したことに大きな価値がある企画。これをきっかけに細田佳央太と関水渚はブレイクのきっかけを掴んだことを考えれば、石井監督とプロデューサーの北島直明の賭けは成功したと言っても良いだろう。
同級生たちに、いわゆる人気者がずらり。「おいおい、高校生やっちゃダメでしょう」とツッコミを入れたくなる人材もちらほら(笑)。ただ、今作では前田敦子の存在感に改めて着目した。興行的にどうとかではなく、これから5年後、10年後に改めて本作の価値が浮き彫りになってくるのではないだろうか。
新人俳優と彼を取り囲む脇役たちの絶妙な配置
自分の中に芽生える"わからない"を徹底的に追求していく町田くん。それが、真実を意図的にスルーし、わかったような顔をして日々を過ごす周囲の高校生、または普通の人間たちに、自分は何者かという問いかけを促すことに。文字で書くのは容易いが、映画にしようとするとこれがけっこう難しい。町田くんの純粋過ぎるキャラが不自然に見えてしまうからだ。そこで、石井裕也監督は新人の細田佳央太を主役に迎えることで、手垢に塗れてない直球演技による、やはり不自然だが、しかしそれを凌駕して余りある一所懸命さを以てしてこの物語にリアルを持ち込んでいる。細田=町田くんに影響され、クラスメイトを演じる先輩俳優たち各々のキャラクターも立ちまくり。結果、本作は異色の青春学園コメディとして近年にない成功作となった。石井監督は絶妙の配役によって不思議な笑いと痛烈な皮肉を描ける若き達人としての評価を改めて示したと思う。
川の底から空の果てまで、石井裕也映画はいつでも最高にブッ飛んでる
安藤ゆきの原作漫画のファンも、広い心で終盤の改変を楽しんでほしい。そもそも、恋する感情がわからない主人公という少女漫画の常識を覆すキャラ造形で高評価された傑作なのだ。石井監督も原作の常識にとらわれない革新性、自由さに共鳴してあの展開を考えたはず。もし原作により忠実なアニメやドラマが今後作られたら、ぜひ観たいとも思うが。
新人の細田佳央太と関水渚は、巧みな演出、達者な共演陣のおかげもあり、佇まいや会話に作為を感じさせない。映画世界の中で自然に生きていると言ってもいい。特に関水渚は近年の『渇き。』の小松菜奈や『ソロモンの偽証』の藤野涼子に匹敵する鮮烈なデビューだと思う。
善意の人を主人公にした話として『ペイ・フォワード 可能の王国』や『横道世之介』を想起させる。偶然だろうが今年4月の『幸福なラザロ』と共通する要素も。観た人の数だけ世界が少しずつよくなる、そう思わせてくれる映画だ。
原作と違いすぎて悲しい、、、
類稀なる最後の人類
漫画の実写化のようだ。
見始めれば止まらなくなってしまう魅力ある作品
「世界は悪意に満ちあふれている」
記者のヨシタカはこの世の中にまん延する悪の正体を探し続けている。
それを暴くことが正義だと思っていた。
デスクの指示もあってその方向はゴシップへと向かう。
「ゴシップというくだらない仕事 でもそれを皆待っている 人はみな他人の悪事や不幸が大好きだ それを見れば安心する 自分はマシだと」
結果的に俺たちは、人を喜ばせている。そうデスクは言いたかったのだろう。
ヨシタカは町田くんのうわさを聞く。
彼の生き方に一縷の望みを感じた。
「町田くんにはこの世界がどんな風に見えているのだろう?」
さて、
ハチャメチャな物語だが魅力にあふれている。
「人が好き」
「いまの時代、『人が好き』って言ってる時点でヤベーぞ」
サカエのもっともなセリフ
誰も見て見ぬふり 自分だけよければいい
なるべく他人と関わらないように生きている この時代
そこに登場する最後の「人類」が町田くん
彼にとって、困っている人に手を貸すのが最優先事項
この時点で人が好きという概念を実行している。
しかし彼は恋愛と好きの区別がつかないことに悩む。
一般的に一目惚れというのはあるだろうが、確かに特定の誰かを好きになっていく過程の中でそれにいつ気づくのかはあまり考えたことがない。
ただ、恋という意味において「好き」という気持ちは明確になっている。
おそらく町田くんは、そもそも人が好きの好き度が恋に近いところまであるのだろう。
西野が間違えて町田くんのシューズボックスにラブレターを入れたのにもかかわらず、西野の想いに対する誠実さに「うれしいと思う」という言葉はなかなか出ないだろう。
恋を言葉にする。
そんなことは誰も思わないし不必要だと思うが、恋が何かを言葉にしようとすればこのような作品になるのだろう。
町田くんは好きと恋の違いについてイノハラに尋ねる。
「好きって、どういうこと?」
「もう一回井戸に落ちろ!」
誰もが持つこの感覚がなぜ町田くんにはわからないのだろうと誰もが思う。
最後に父が言う。
「わからないから知りたい 何もかもがわからない だからこの世界は楽しいし素晴らしい わからないからと言って目をそらしたらダメだ 向き合わなければならない」
そしてそれが恋かどうかは「自分の胸に聞け」
しかし、
誰にもある感覚がない人物を作り上げるだけでこのように面白い作品になるとは恐れ入る。
町田くんはヒムロに対し「想像する」ことを伝える。
プレゼントひとつに込められた気持ち
この世界を違った見方で見てみよう。
些細なことでいいから、思いやりの気持ちを持ってみよう。
この作品は「恋」という言葉にできないから「わからない感覚」をモチーフに、人を思いやる気持ちを人々に伝えているように思った。
ハチャメチャが面白く、素晴らしい作品だった。
"町田くんの世界"か?
原作既読。
正直、私が好きだった漫画とは別物かも。
特に後半は…なんだコレ?
キャストはかなり豪華な作品だけど…
本当によく分からないまま終わってしまった。
原作はこんな、伝わる人にだけ伝われって感じの作品じゃないと思うんだけどなぁ…。
楽しみにしていただけに…残念。
評価しづらい映画やなぁ
町田くんがいる世界
今となっては大活躍中の細田佳央太と関水渚。
そんな2人の出世作となった本作は、結構楽しみに公開を待ち望んでいたのにも関わらず、時間が合わなくて劇場公開を逃してしまいました。ようやく、今になって、鑑賞することが出来ました。結果、最高すぎる青春映画でした!!!!
町田くん(細田佳央太)と色んな人物が関わりを持つことで世界が広ーくなっていくこの物語。群青劇としてかなりの傑作。世の中に不満を抱え、不満を抱えた人物にまた不満を抱えていた人物全員が、町田くんのおかげで変化していく。そしてまた、町田くんもそんな人たちのおかげで変化していく。町田くんのような人間になれたら、町田くんのような人間に出会えたら。運動も勉強もできず、全人類を家族のように思っている彼の行動は、これまでにない愛おしさで超勇気づけられた。
超豪華キャストに囲まれながらも、最高の演技を見せてくれた細田佳央太。町田くんを演じれる人は彼しかいない。身振り素振りも話し方もさりげなさも、ドジで不器用なところも、全部ハマっている。何だこの俳優。最初にして頂点じゃないか。そんな彼のそばにいる関水渚もたまらなく良かった。演技も素晴らしいんだけど、とにかく可愛すぎる。こんな奇跡みたいな2人が共演している映画なんだ。神作に決まってる。
町田くんと関わることで魅力的に見えてくる登場人物たち。ヤンキーみたいな前田敦子との軽快な会話、逆に週刊誌ライターの池松壮亮とのくちゃくちゃな会話にはめちゃくちゃ笑えた笑笑 見た目は怖そうなのに、超暗かったのに、町田くんとだとこんなにも愛おしく見えるんだもの。他にも、中学の頃は虐められていた元気いっぱいの太賀、か弱いぶりっ子の高畑充希、売れないメンズモデルの岩田剛典、動物の観察をする町田父の北村有起哉などの会話は笑えたり、グッときたり、ホッコリしたりするものばかり。
パッケージとかタイトルとかがあまり見る気になれないけど、中身はめちゃくちゃいい映画です。少々ツッコミどころはあるが、「子供はわかってあげない」以上の大傑作。新人天才俳優をぜひ、ご覧下さい。
大型新人大抜擢!細田佳央太さんブレイク前の初主演作
細田佳央太さんといえば今や「ドラゴン桜」や「恋です!」に出演でその演技力の高さに一気にブレイクされましたよね!
私も本当に新人?というほど彼のお芝居には感動しました。
この作品、一見町田くんだけが変わった人としてフォーカスされていますが、よくよく考えると周りの人達も変わり者なんですよね笑
関水渚さん演じる猪原さんも、前田敦子さん演じる栄さんも仲野太賀さん演じる西野くんも、みんなみんな変わってて楽しいです!
世界は残酷 町田くんの世界は
キャストが豪華。前田敦子がすごくいい。 設定が奇想天外だけど、...
この世は悪意に満ちているが、愛に溢れている
誰かを好きになるということは、相手に順位や優劣をつけること。
誰かに優しくするということは、誰かを傷つけるということ。優しさは時に残酷だ。
それが戦争がなくならない理由でもあるが、それより相手を想うことが平和につながると信じたい。
性悪説の方が楽だとしても性善説でいたいもの。まずは信じてしっかり向き合ってみることが大切。
そして人のことを分かるためには、自分を知らなければいけない。
でも分からないことがあるからこの世は楽しいし素晴らしい。
そんなことを考えさせてくれる映画。
純粋で恋を知らないいい人が、ひとりの女性と出会い、周りの人と関わり合いながら、世界を見つめていく作品。
オーディションで選ばれた新人のふたりを主演に抜擢し、新しい可能性を生み出している石井裕也監督は素敵。
演技はまだまだ青くさいが、その後確実に演技力を伸ばし活躍している。周りをしっかり実力派が固め、全体的に締まった仕上がりになっている。
素直に心が温まる映画
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