沈没家族 劇場版
劇場公開日 2019年4月6日
解説
1990年代半ばに共同保育で幼少期を送った加納土監督が、自身の生まれ育った場所での生活を振り返るドキュメンタリー。加納土の母親はシングルマザーのため、自分が家にいない間、幼い息子を代わりに保育してくれる人を募集し、彼女が撒いたビラを見て集まった大人たちによって共同保育がスタートする。子どもたちの面倒を見ながら共同生活を送る保育人たち。この取り組みは「沈没家族」と名づけられた。大学生になった加納土は、自身が育った「沈没家族」、そして家族とは何なのかとの思いから、かつて一緒に生活した人たちをたどる。母の思い、そして不在だった父の姿を追いかける中で、家族の形を見つめなおしていく。加納監督が武蔵大学在学中の卒業制作として発表したドキュメンタリー映画を劇場版として再編集等を施して公開。
2018年製作/93分/日本
配給:ノンデライコ
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2019年7月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
共同保育という試みによって育てられた監督自身が、その育った環境を振り返るセルフドキュメンタリーなのだが、家族というもののあり方について、非常に考えさせられる作品だった。シングルマザーとなり、生活のために共同保育という形を思いついたのは、監督の母親なのだが、この母親が破天荒で非常に面白い人物だった。特異な環境で、特異な人たちに育てられた、当の監督本人はわりと常識人なのも面白い。
映画は、母親をはじめ、監督が小さい頃にお世話になった人々に会いに行き、沈没家族と名付けられた共同保育の試みを紐解き、自身の人格形成のルーツを探る旅のように描かれる。そして、離婚した父との再開によって、血の繋がりと家族とはどのように関係があるのか自問してゆく。この父とのエピソードは因縁の相手の邂逅という赴きではなく、昔の知り合いに会いに行くみたいな感じの微妙な気まずい距離感が漂っているのだが、沈没家族のメンバーとの親しい距離感とは対照的で面白い。変わった生育環境だが、すくすくと健全に育った監督の人柄がよく出ている素敵な作品だ。
2020年5月25日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
シングルマザーの母は、息子を育てるときボランティアを募り、子育てチームを結成、これを沈没家族といった。
息子が22歳、カメラを抱え、母、父、子育てチームの面々を訪ねる。
子供は社会の財産だから。
こういう家族の形にトライしてみる人もいるのかと、感心して観ていた。そしてその5年間強にもすくすく育つ子供に、人間の、子供のか、順応力の高さを感じた。
うまくいかなかった父親の、もっていきようのない思いもリアルに感じるし、いろいろなことを感じる映画であった。
最初に書いたように、彼がすくすく育ち、この映画を自分で撮ろうと思ったことが、母親ばかりか、彼に関わったみんなが思うことではなかっただろうか。
同じ時期をいっしょに過ごした彼女との、姉弟のような、友人のような関係も、いい感じに思えた。
大掛かりな実験といえるが、すでに誰の中でも、忘れられない思い出ではあるが「そういう時期もあったな」という普通の思い出になっているところを見ると、実の父親にとってだけ、非常に過酷な実験だったのだろうか。
妻と仲良くして、ちゃんと父親をやろうね、ということだろうか?
2019年6月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
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ちょうどその時期、オレも東京でフリーペーパーを作っていて職場は中野で、近い存在としてなんとなく知っていた。めぐさんがギターケースを背負っていて、何か弾き語りするのかと思ったら何もしなかった。
お父さんがけっこうなクズのままに表現されていて気の毒だ。
漫画家の藤枝奈己絵さんがご主人と娘さんと出ていらした。『赤子よ日記』のお子さんがでかくなっている。。
あの生活で子どもがどのように育つのか、二人ともとても立派に育っていらして、本当によかった。
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