「昭和型男子」宮本から君へ asa89さんの映画レビュー(感想・評価)
昭和型男子
昭和時代の漫画原作の本作。地上波のドラマでも見ていてとてもおもしろかったです。本作はその続きではあるのですが、とにかく宮本を取り巻くキャストが魅力的。完全に昭和を再現しているわけではなく、今と昭和型人間がクロスオーバーしている感じです。
実際は中小企業や町工場ではあんな感じの人も多いのですが、とても人間らしく、冷めた人間になってしまった自分にはとても刺激的に映りました。自分だったらこんな「リスク」のあることはしないし、全てが「リスク」「フラグ」に映ってしまいましたが、そのフラグをガシッと掴んで「俺は離さない!!!!」と言い切るルフィばりの主人公感に惹かれた人は多いでしょう。そしてこんなぶっ飛んでる人は実際にはいないのですが、どこか惹かれてしまう。
靖子もまた肝が座りまくっており、肝っ玉を演じきりました。それが演出としてもスカッとしており、異次元の不思議さを感じ取りました。悪役の金玉もげ漢も個人的にはいい配役だったのでは?と思いました。少し血が多すぎる印象は否めませんでしたが、概ね良かったと思う。個人的にはもっと脇役のストーリーも絡めたより安心して見れる、日常系だと良かったかなと
邦画はやっぱりこっち系のほうがあってるなと思いました。この感情と言葉がぶつかり合う感じが邦画の将来性を感じます。CGがしょぼい、演出がしょぼいとは言われますが、何を伝えたいのかが明確になっていれば、まだ邦画は行けるんじゃないのかと思わせてくれました。
「俺がお前も子供も全部幸せにしてやる、この俺が任せとけ。大盤振る舞いだ!!!!」というセリフが印象に残った。こういったセリフは現代ではくさく映り、いや共働きで助け合って行くのが今の時代なの。という雰囲気に反しており、低賃金と競争に疲れ果てた男子諸君にはそう言い切れる自信も根拠も砕け散っており、世帯を持つこと、子供を持つこと、それがまるっと「コスト・負担」と認識されてしまった現代では、それでも「何もなさすぎる宮本」が言い切るのがかっこよかった。