アド・アストラ

劇場公開日:

アド・アストラ

解説

ブラッド・ピット主演で、太陽系の遥か彼方で消息不明となった父親を捜しに旅立つ宇宙飛行士の姿を描いたSF大作。地球外生命体の探求に人生をささげ、宇宙で活躍する父の姿を見て育ったロイは、自身も宇宙で働く仕事を選ぶ。しかし、その父は地球外生命体の探索に旅立ってから16年後、地球から43億キロ離れた海王星付近で消息を絶ってしまう。時が流れ、エリート宇宙飛行士として活躍するロイに、軍上層部から「君の父親は生きている」という驚くべき事実がもたらされる。さらに、父が進めていた「リマ計画」が、太陽系を滅ぼしかねない危険なものであることがわかり、ロイは軍の依頼を受けて父を捜しに宇宙へと旅立つが……。主人公ロイをピット、父親であるクリフォードをトミー・リー・ジョーンズが演じた。リブ・タイラー、ルース・ネッガ、ドナルド・サザーランドが共演。監督は「エヴァの告白」のジェームズ・グレイ。

2019年製作/123分/G/アメリカ
原題または英題:Ad Astra
配給:20世紀フォックス映画
劇場公開日:2019年9月20日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第92回 アカデミー賞(2020年)

ノミネート

録音賞  

第76回 ベネチア国際映画祭(2019年)

出品

コンペティション部門 出品作品 ジェームズ・グレイ
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(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

映画レビュー

4.0Dark SciFi Adventure

2020年9月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

興奮

Brad plays a brooding character on a deep solar system rescue mission. The film stands out for its pessimistic forecast of American-dominated human society based on the present era. It's a little more glum and believable than what we got in Blade Runner 2049. As a big budget space epic, it has a cartoon side with action and intensity--but there's enough Kubrick isolation to elevate your headspace.

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Dan Knighton

3.5広大で、同時にちっぽけな自分探しの旅

2019年9月27日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

宇宙の彼方で消息を絶った父親を探すため、遙か彼方の海王星まで飛んでいく。それは、父の失踪以来、人間らしい感情が麻痺してしまった主人公の宇宙飛行士にとって、"自分探しの旅"と言えるもの。何と広大で、同時に、ちっぽけな話であることか!?だが、本作は描き尽くされ、開発し尽くされた宇宙映像に新たなアップデートを試みている。それは、映画の冒頭に訪れる。また、地球から月を経由し、さらに火星から海王星へと向かう宇宙旅行の楽しさは格別だ。まるで、旅客機での旅と見紛う笑える演出が途中に用意されているし、何よりも、俳優ブラッド・ピットが披露する、彼としては珍しい熱量のグラデーションが明確な演技が新鮮だ。昨今、俳優引退が囁かれるブラピだが、それを見ると、「今後も魅力的な企画があれば出演するつもり」という本人のコメントに嘘はないと思う。だが、勿論、それは「今後は必然的に俳優の仕事は減していく」(ニューヨーク・タイムズのインタビューで)というのと同義語。それでも、前作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」ほどではないが"サービスショット"も少し用意されている。ここしばらくは、スター、ブラッド・ピットを堪能しようではないか。

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清藤秀人

4.0壮大な映像、シンプルな物語。科学的には微妙

2019年9月22日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

興奮

監督が古代ギリシア叙事詩「オデュッセイア」やコンラッドの「闇の奥」(「地獄の黙示録」の原作)の影響を公言しているが、こうした情報がある種ミスリードとして機能することぐらいは触れてもいいだろう。月、火星を中継して太陽系の果ての海王星まで旅する映像は壮大でクオリティも見事だが、宇宙の真理や地球外生命の存在等、知的探求心が刺激される内容かどうかは観る人次第かも。

ハードSFを標榜するが、科学的正確さより娯楽性が重視された描写も。冒頭の宇宙アンテナは静止衛星と同様に衛星軌道上にあると思われるが、事故後にアンテナから離れたブラピや破片がすごい勢いで垂直に落下するのは変。また、大気のない宇宙空間で核爆発による“爆風”を航行の推進力に利用するというトンデモな場面もある。さらに、長期の宇宙飛行から地球に帰還した宇宙船と飛行士に、救助者が防護服なしに接近、素手で接触するのも雑だ(放射線等にさらされる)。

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高森 郁哉

4.0青い鳥とグランブルー

2024年10月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

アメリカ人らしい発想が随所に散らばっていた。
いい悪いではなく、彼らが考える世界観がこの作品だと感じた。
SF 近未来世界
ロイは宇宙軍に所属し絶対的命令のもとで、自分自身が何者なのかを明確な意図のないままに手繰っていくのがこの物語なのだろう。
誰も知らない宇宙のはるか彼方の先を見続けた父
「目の前のものを見なかった」
この言葉に従来のアメリカという国そのものが象徴されているように思った。
そこに、アメリカが突き進んできた戦争という政策の先には、答えなどなかったのだ。そう解釈した。
リマ計画の失敗は、宇宙軍のメンツにかかわる。
だから父を処分する。
宇宙でも起こる資源の奪い合いは、「西部劇時代と同じ構図」で、アメリカ人が認識している人類だ。
「犠牲」を、宇宙でもロイの目的に向けても普通のことのように描いている。
さて、
物語の中で頻繁に出てくる「感情チェック・心理検査」
物語上の設定は、任務達成に関する成功率を導き出しているものと推測するが、このSF世界での最もコントロールが難しいのが「人の感情」だということがわかる。
任務に対する感情の変化 動揺…
ロイは常に平常時を崩さない人物として設定されているが、実は彼の思考にあるのは父であり、別れた妻だ。
一緒にいても遠くにいるロイに、妻は耐えきれなくなった。
ロイにとってこのミッションは自分の尊厳にかかわることで、 自分こそが父の真実を知るべき立場にあることを強く認識し、エレンの助けもあってケフェウスに乗り込む。
このロイの一大決心は、彼の人生を大きく左右する。
それと対比しているのが命令に対する絶対服従だ。
ここは特にアメリカ人らしい描き方だと感じた。
彼はついにリマに行って父を発見するが、父は「遥か彼方先ばかりを見続けて、目の前のものを見れない」人だった。
父は従来のアメリカの象徴なのかもしれない。
ロイは父の意思に従いハーネスを切る。
父の信じるグランブルーの世界に彼をリリースしたのだ。
父との決別はまぎれもなくロイが下した判断で、ロイの新し生き方を示唆するものだった。
タイトルの意味は、ラテン語からきているようで「困難を乗り越えて星々へ」という格言を意味しているようだ。
この困難とは、父という存在と過去、軍という絶対服従世界において「自分で考え答えを出す」ことを意味していると思った。
どんな状況でも命令に従うのではなく、自分で考えて答えを出すということだろう。
「知的生命体を発見する」
この大きな目標はまさに「青い鳥」と同じ構造で、探し求めていたものは、「自分たちだった」ことになるのだろう。
ホモサピエンス = 知恵のある人 賢い人
我々は本当に賢いのだろうか?
この「消えゆく種族」の未来は、「私たち」にかかっているのだろう。
宇宙人が我々の未来を何とかしてくれるはずはないのだ。
最後にロイは軍の心理検査で話す。
「重要なことだけに集中して、他は顧みない」
この言葉は一見、軍の意思に従うように思う。
しかし、
「将来のことはわからない。でも心配はしていない。身近な人と苦しみを分かち合ってゆく。私は生きて、愛する」
この言葉は、今回の出来事で彼が導き出した答えだろう。
この「生きて、愛する」ことこそ、知的生命体の根本的思想だとこの作品は言いたいのだろう。
さて、
宇宙の果てと目の前のものという対比
宇宙に答えを求め続けた父と、いまこの目の前の幸せを感じたかった妻
その両方に挟まれたまま宇宙へと行ったロイは、人類の答えは「目の前」にあることに気づいた。
この作品は、
このことを言葉ではなく、日本的な表現を用いて描いたのではないかと思った。
ロイの心境は、心理検査の中に隠されている。
このあたりが当時の新しさだったのだろう。
ただ、
設定のわかりにくさと問題の根本のわかりにくさがあって、多少間延びする感じになってしまったことが惜しかった。

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R41

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