劇場公開日 2019年9月20日

アド・アストラ : 特集

2019年9月13日更新

何故そんなにも高評価なのか、映画.comが“本編”を確かめてきた!
“傑作”“ブラピ史上最高演技” 世界中の辛口批評家が激賞する理由は?
宇宙で消息を絶った父が、実は生きていた 謎と情動渦巻く“衝撃の物語”

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ブラッド・ピットが製作・主演し、トミー・リー・ジョーンズと初共演を果たしたスペース・アクション大作「アド・アストラ」が、9月20日に公開を迎える。この作品、とにもかくにも批評家たちによる前評判がすさまじい。酷評は皆無で、「そこそこだった」という声も上がらない。「傑作」「ブラッド・ピット史上、最高の演技」。そうした称賛の言葉か、あるいは絶賛評しか聞こえてこないのだ。

宇宙で消息をたったはずの父が、実は生きていた――。エリート宇宙飛行士のロイ(ピット)は、再会をあきらめていた父を探すため、遥かな旅路へ出発する。長編監督デビュー作「リトル・オデッサ」(1995)で第51回ベネチア国際映画祭の銀獅子賞に輝いた、ジェームズ・グレイ監督が紡いだ本作。その圧巻の“作品力”に、世界中の辛口批評家たちも最大級の喝さいを送っている。

本特集では、先に行われた第76回ベネチア国際映画祭での“評価”を紹介したうえで、映画.comによるレビューを掲載する。謎と情動が渦巻き、観客を地球から43億キロ離れた太陽系の彼方へ誘う“衝撃の物語”を、心ゆくまで堪能するための助力となれば幸いだ。

まずは【予告編】をご覧あれ 衝撃の“救出”描く壮大なスペース・アクション


【世界三大映画祭の評価は】ベネチア国際映画祭で、批評家が見たものとは?
ブラピの熱演、エモーショナルな物語に“驚くべき高評価”が集中!

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宇宙で活躍する父(ジョーンズ)にあこがれたロイは、自身も宇宙で働く仕事を選んだ。しかし、その父は“地球外生命体の探索”に旅立ってから16年後、太陽系の彼方で行方不明となってしまう。生存は絶望的だった。

時は流れ、エリート宇宙飛行士になったロイに、軍上層部から「君の父親は生きている」という驚くべき事実がもたらされる。しかも父は、太陽系を滅ぼしかねない危険な実験「リマ計画」にかかわっているという。ロイは父と再会するべく、宇宙へと旅立っていく。

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“世界三大映画祭”のひとつとして知られる、第76回ベネチア国際映画祭(現地時間8月28日~9月7日開催)でお披露目された本作。そこでは世界中から集った批評家たちが鋭い視線を注いだが、本作関係者が「過去に見たことも聞いたこともないくらい」と驚く高評価が集まっている。

イギリスの大手新聞「ザ・ガーディアン」は、「最高傑作! 驚異的な映像で見る者を圧倒する」と、5つ星(満点)という最大の評価を送った。アメリカの「ザ・ラップ」は、「ブラッド・ピット史上最高の演技!」と高らかに宣言。イギリスの「ゲームズ・レーダー/トータル・フィルム」にいたっては、「ピットはセンセーショナルで、アカデミー賞最有力候補だ!」と激賞の言葉を重ねた。

ほかにも、絶賛評は枚挙に暇がない。

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・「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」で見せた演技と同じように、ピットはものやわらかなヒーローであると同時に、自分にとっても他人にとっても危険な存在だ ――ザ・ラップ ・ピットの演技は、タランティーノ作品で軽妙で開放的だったように、人をひきつけるように内的であり、抑えたものだ。これが本当の映画スターの地位であり、それが恒星系サイズのカンバスをいっぱいに満たしている ――ザ・テレグラフ ・しばしばスリルを味わい、時には信じがたく、また、時に困惑させられる。「アド・アストラ」は“普通の引力”に拘束されることは決してない。シートベルトを締めて! ――タイム・アウト

さらに、現地で取材を行った映画ジャーナリストの佐藤久理子氏は、「もっとも衝撃的なシーンの演出が印象的だ。いわば『2001年宇宙の旅』と『地獄の黙示録』と『ゼロ・グラビティ』を足して割った作品と言える」と語っている。評論を聞けば聞くほど、その期待は沸騰するように高まっていく。


【本編総力レビュー】映画.comが“絶賛の理由”を確かめてきた
海を越えて届いた称賛は“本物”だった── 高まる期待を力強く超える1作

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海外から聞こえてくるのは、ほとんど絶賛評だけだ……。疑っているわけではないが、実際のところ、どうなのか? 映画.com編集部が一足先に鑑賞し、その理由を確かめてきた。

結論から言えば、批評家たちの称賛は“本物”だった。本作は私たちの期待を力強く、そして確実に超え、胸に迫るドラマと息をのむ映像を私たちに届けてくれた。

◇本当だった“ブラピ史上最高の演技” “眉”だけでテーマさえも語る

なるほど、これまでのどんなピットよりも奥深く、豊かで、抑圧的で、そして感情的だった。全体的にくたびれたようにも見え、顔に表出するやや深いしわが哀愁を感じさせる。それがなんとも味わい深い。

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演じるロイはよく訓練された宇宙飛行士だ。過ちに動じることがなく、信望も厚い。喜怒哀楽は表情に出るが、その実、彼は決して本心を表に出さなかった。ロイは父の足跡をたどる旅で、自身の内面と向き合い、やがて……。

ピットは移ろいゆく心情のグラデーションを、寸分の狂いなく感情的に体現してみせた。とりわけ、火星の地下施設から父へメッセージを送る場面が心に残る。押し殺していた思いが口をついて出て、そのことが信じられないように息を震わせる。端が下がりがちな眉の動きだけで、物語のテーマさえも表現しているようだった。「アカデミー賞最有力候補」。そんな評価も納得だった。

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◇宇宙空間の描写も迫真 映画的記憶を刺激する撮影・音響・美術

撮影監督は「インターステラー」「ダンケルク」などのホイテ・バン・ホイテマなだけに、宇宙・無重力空間の描写は折り紙付き。宇宙が舞台の作品は「インターステラー」に続いて2度目だが、CGに頼らない独特の手触りを、また新たな形で感じることができた。

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音響効果も印象的だった。ヘルメット内に聞こえる息づかいとノイズ混じりの通信、くぐもった爆発音。耳を通じて、観客が宇宙にいることを体験させてくれる。また、空中に「フォンッ」と仮想パネルが浮き出てくるような未来的ガジェットは登場しない。どれもこれもアナログ機器ばかりで、ノスタルジーの温もりすら感じさせる。

そうして織り上げられた宇宙は、見る者の“映画的記憶”を縦横無尽に刺激しながら、物語の情動をいっそう際立たせる。賞レースでは、技術部門でも無類の強さを発揮するに違いない。

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◇高評価の正体は… ラストにロイが見せた表情に、その答えがある

ピットの感情と実感がこもった演技、壮大な宇宙の映像、父をめぐる謎、明かされる真実。すべてがスリリングで、すべてがエモーショナルで、重力に吸い寄せられるようにスクリーンから目を離すことができなかった。

「アド・アストラ」。ラテン語で「星の彼方へ」を意味する。43億キロの旅の果てに、ロイは何を見たのか。始まりと終わり、彼が浮かべる表情の違いに、批評家たちが絶賛した“理由”が隠されているような気がした。

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