「名曲の再発見」イエスタデイ 旧型ブレランファンさんの映画レビュー(感想・評価)
名曲の再発見
ビートルズの魅力は歌詞とメロディーだけではない。四人の個性的な演奏に加え、インド音楽の導入やジョージ・マーティンの貢献があって、歌詞とメロディーが最高の形で引き立てられている。だから、どんな一流ミュージシャンによるビートルズのカバー曲を聞いても「いいんだけど、何か物足りないなぁ」と感じてしまうのである。そう考えると、売れないミュージシャンが一人でビートルズの曲を再現してヒットを飛ばすという映画の設定には、何か無理があるような気がしていた。ところが実際に映画を見ると、この考えが間違いであることに気づかされた。映画の主人公ジャックの心境とビートルズの歌詞が見事に重なり合うとき、その素晴らしい歌詞とメロディーに独特の命が吹き込まれているのを感じたからである。もちろん、ビートルズ本人の演奏が最高であることに変わりはない。しかし、歌詞とメロディーだけでも十分に聞く者の心を捉える何かがあるのは確かなのである。その発見をさせてくれた映画イエスタデイに心から感謝の意を表したい。鑑賞後、私はビートルズの歌詞を貪るように読んでいる。
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