劇場公開日 2019年10月11日

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「ビートルズと人間愛賛歌」イエスタデイ andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ビートルズと人間愛賛歌

2019年10月16日
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鑑賞方法:映画館

ビートルズ最高ですよね。私はクイーンもエルトン・ジョンも詳しくないけどビートルズは好きなんですよ。中学校の音楽の教科書に載ってませんでした?”HEY JUDE”(エド・シーランがとんでもない改変を作中でかます)。
いやしかし、ビートルズが好きでなくてもこれだけビートルズを浴びせかけられればビートルズを愛さずにいられないでしょう。飛びっきりのビートルズ愛と人間愛の物語でした。
世界が12秒間停電している間に自転車で事故に遭ったジャックが、この世界にビートルズが存在しないと気付く件の検索のかけ方が面白い。ビートルズの居ない世界にはOASISも居なかった。実は他にも存在しないキャラクターや製品が存在するのだが、そことビートルズの結びつきは残念ながら私にも分からない(しかし物語に笑いを与えてくれる。常に登場する検索画面!)。
で、まあ誰でも思いつくとおり、ジャックは存在しない「ビートルズ」の歌をパクって自分のものとして歌い、エド・シーランに見初められる。ビートルズが好きでもそこまで歌詞を完璧に覚えていないジャックが描く歌詞の情景がおかしい。というかエド・シーラン、がっつり出てるし。
成功街道を進みつつも、やはり他人の歌を使っている罪悪感やら歌詞は思い出せないやら幼なじみと上手くいかないやら、商売っ気満載のマネージャー(あまりにも典型的なので笑う)に追い立てられるわ、ジャックの気苦労は尽きない。
「仲間」との邂逅とそれによってとある重要人物に出会うジャックが選んだ幕引きは正直かなり強引というか、後始末大変そうね、と思うのだが、まあおとぎ話の類と思えば...。
「ビートルズのない世界は退屈」。ビートルズ賛歌を全面に押し出したこの映画の極致はこの台詞。ビートルズが居ない世界でミュージシャンがそれを覚えていた奇跡。歌は残り続け、ビートルズが解散し、ジョン・レノンが亡くなった後に生まれた私もビートルズが歌えるのである。音楽万歳。
そしてこの物語は王道過ぎるラブ・ストーリーでもある。もどかしいふたりにやきもきさせられつつも、絶対うまくいくだろうという安心感。まるで往年の少女マンガ...は言い過ぎだが、昨今はあまり見かけなくなったド直球ストレートラブ・ストーリーである。
まあ物語展開的にはご都合主義が過ぎるというか、SFにしては設定が甘いとか、意味深に登場したキャラクターの出番が少ない(しかも大体何言うか予想つくわ!)とか、皆物分かり良すぎ!とか色々あるんですけどね。これはビートルズ万歳のファンタジー・ラブ・コメディなのです。難しい事は忘れて、ビートルズを歌ってハッピーな気分に浸りましょう。

andhyphen