映画レビュー
ロードムービー風復讐劇
コロンビアの片田舎。観光客相手に偽物腕時計を売りつけるなどして小銭を稼いでいる少女レナ。ある時、白人の神父に売りつけようとしたが、軽くあしらわれてしまう。その神父は元軍人の偽物だったのだが、彼を元連邦保安官の男と地元警官が追っていて、情報提供してくれた者には5千ドルの報奨金も出るというビラを配っていた。詐欺師、スリ、どう見てもコソ泥程度で、それほどまで悪党ではなさそうな神父。レナは偽神父を信じ、自分の復讐のために協力してもらおうと彼につきまとうのだった。
神父(padre)がティム・ロス、元連邦保安官がニック・ノルティ、地元警官がルイス・ガスマンという布陣で少女レナ(バレリア・エンリケス)が中心。観光客は多いが、貧困層がほとんどの田舎町。レナの両親は早くに亡くなり、幼い妹がいたのだが、暮らしていた教会がネットでミネソタ州の夫婦に売ったという。土地も教会に騙されて没収されていて、レナは教会に復讐を誓っていたのだ。純金の聖杯を奪い、それを売ってミネソタ州に住む妹に会いに行くのが夢なのです。
警官たちをなんとか躱し、教会にたどり着くまでのロードムービーになっていて、レナは生きていくために神父のスリ技術を教えてもらいたくてしょうがないという設定。元保安官は唯一の家族だった娘を偽神父の酒癖の悪さのために亡くしてしまい、復讐を誓っているという、復讐二本立て。ただし、ルイス・ガスマン演ずる警官は単に金で雇われただけという気軽さにより、第三者的立ち位置なのだ。
「私、雪を見たことがない」と言うレナの言葉にも無関心な神父であったが、決戦の場所がスノー採石場だったりして、雪という伏線も効いていた。また、サブタイトルにもあるように西部劇風な対決も面白い。テレホンカード詐欺なんてのもあったし、携帯も普及していないのだろうか、対決シーンでは無線機が多用されているため、どことなくアナログ的なのもそれを盛り上げてくれていた。教わるのはスリだったりしたけど、キャラ的には『レオン』の匂いがするのもいい。