新聞記者のレビュー・感想・評価
全571件中、221~240件目を表示
リアルとフィクション、信念と葛藤、賛と否の間で
日本でもこれほど論争を起こすダークで衝撃の社会派サスペンスを作った事にまず感心。
もしも、日本の裏で、本当にこんな事があったら…。
日本人の父と韓国人の母の娘である吉岡は、記者だった亡き父と同じ世界に入り、記者として信念を貫いていた。
ある日、匿名の情報が。それは、大学新設に関する極秘文書。
そこに政府の不審な思惑を感じた吉岡は調査を始めるが…。
情報をリークしたと思われる内閣府の官僚が自殺。
かつての部下・杉原は死の直前に会っており、激しく動揺。今自分が在籍している組織と何かしら関与があるのでは、と。
と言うのも、杉原が在籍しているのが…、
内閣情報調査室、通称“内調”。杉原はそこの若きエリート官僚。
内閣情報調査室とは、内閣の重要政策に関する情報を収集・分析し、内閣に報告する、官邸直属の情報機関。
知ってるようで知らなかった、日本にもこんな極秘機関がある事に驚きだが、さらに驚きなのは、その実態。先の概要はあくまで表向き。実際は…、
政府の障害になるような情報を歪曲し、時には捏造・改ざん。
劇中でも、レイプ被害を受け、現政権を訴える女性の立場が不利になるような証拠をでっち上げようとする。
本作はあくまでフィクション。
が、ほとんど知られていない内調という極秘機関。
ひょっとしたら…と、何度も思ってしまう。
杉原は国民を騙すような今の職務に激しい疑問を抱えていた。
自殺した官僚の身辺を洗う内、吉岡は杉原と接触。協力を乞う。
吉岡は記者として真実を明らかに。
杉原は正義と職務の間で揺れ動き…。妻と生まれたばかりの娘をこの国に託していいのか…?
各々の信念と、葛藤…。
疑惑の大学新設と官僚の自殺。しかしそれは、氷山の一角に過ぎなかった。
やがて二人は、衝撃どころではない政府の闇に辿り着く事になる…!
小難しい用語などあるものの、作品的にはスリリングで話に面白味あり、最後まで飽きさせない。
明らかに○○学園問題を下敷きにした劇中の大学新設問題、女性軽視など、よくぞここまで近年国内のニュースを賑わせた政府絡みの問題に斬り込んだものだ。
それらは評価されるべき点だが…、話が進むにつれ、とんでもない展開に。
主人公二人が辿り着いた政府のある闇。大学新設の本当の目的。それは…。
敢えて伏せるが、それは本当に衝撃的ではあるが、余りにも衝撃的過ぎて、突飛し過ぎ…。
幾ら何でも、現在の日本でそんな事は…。(本当は本当は分からないが…)
リアルなような、フィクションのような…。
例えばこれが、『相棒』などの題材だったら、単にフィクションのサスペンス・エンターテイメントだろう。
しかし何故か引っ掛かるのは、実際に記者である望月衣塑子の原案。
よく女史を知らぬので調べてみたら、現政権問題をとことん追及する敏腕記者。
彼女のジャーナリスト魂は称賛モノだが、彼女の現政権への憎々しさ、トゲトゲしいメッセージの政治色が良くも悪くも反映された感が。
主演二人は熱演。
が、吉岡の役を日本人と韓国人のハーフにし、韓国女優のシム・ウンギョンが演じる必要性はあったのだろうか…?
松坂桃李はもはや安定の仕事ぶりだが、内調の職務に疑問を感じ、正義に目覚めるという設定が、ちょっと作られた感が。
その他キャストはシリアスなアンサンブルを魅せるが、松坂クンの妻役の本田翼だけ何かファンタジー…。
こういうジャーナリズム映画は、主人公たちが圧力に屈せず、最後は追い掛けた真相が晴れて世に公表され、正義が果たされる。
本作も一応そうではあるが、後味悪い終幕。
この国で、正義が貫かれ、権力に阻まれずに立ち向かえる事は、不可能なのか…?
本作のレビューは賛否両論。中には、作品と関係ない私的な政治意見や悪質極まりないレビューも。(今年本サイトでは、そんなレビューの作品が異常に多かった気がする)
そんなのは例外として、見た人それぞれ作品への感想や意見を闘わせる賛否両論レビューは寧ろ歓迎!
甘っちょろい作品や低レベルの作品氾濫する昨今の日本映画界に於いて、色んな意味で問い掛ける社会派映画を見た!…と思わせてくれる。
リアルとフィクション、信念と葛藤、賛と否の間で。
これはフィクションです
無力にあがく
残念でした
タイトルなし(ネタバレ)
面白かった。
最後の松坂桃李の言う「ごめん」に、スクリーンと同じように私の目の前も真っ暗になってしまった。
実体がない魔物「国家」って何?全てがクリーンでオープンであれとは言わないけど、握りつぶしたい事実を誰かが背負って自殺に追い込むようなそんな社会は狂っている。
松坂桃李が、汚れない新生児を腕に抱いて「ごめん」と泣くシーンに、胸打たれた。あれは、自分の中の自分にも言っている。いつも疑問を感じて思いつめた表情で、自分の子供の誕生を心から笑って祝うことが出来ない彼は、自分の意思ではない力によって汚されてしまった。でも、「ごめん」って感じたんだから、人としてのバランスをまだ保っている。魔物に一人で立ち向かうのは怖いだろう。でも、捨てることができないものにしがみついて、息苦しい人生を送らないで欲しい。
何よりも、新聞記者シム ウンギョンがすごくいい。普通ぽいのに骨太な感じ。押しが強いわけではないのに、芯がある感じ。引き込まれる。日本語が完璧ではないからこそ、一番言いたいことを強く伝える意思が伝わってくる。この新聞記者はシム ウンギョンで良かった。彼女のブレない視点がこの映画には必要で、今の日本社会にも彼女のような新聞記者は絶対必要だ。
新聞記者吉岡と杉原、この記事を新聞に載せることを決めたチーフ、そして、藤井道人監督とこの映画を製作した全ての人たちの「覚悟」と「本気」を感じた。
終わり方からいってこれは続編アリだと思った。というか、これで終わりじゃ消化不良過ぎる。松坂桃李に心から笑顔で家族にありがとうと言って欲しいから、続編作ってください。
社会派作品は心情描写を疎かのしがち
うーん。
観た時の自分のコンディションもあると思うが、僕はイマイチでした。現実に寄せた部分とフィクションとの境界線がはっきりとしており、双方が足を引っ張り合っているというか、ノイズに感じてしまったかな。
各方面でこの作品は、現実に寄せた部分に関して「よくぞこれを作った」という点で評価を受けているようだが、そこに異論は全くないものの「政治的圧力で捻じ曲げられる事実」という事象を映画なり音楽なり何なりで表現するためには並大抵でない相当な覚悟が要るのが今の日本なんだなあという思いが先行してしまう。
誤解を恐れずに言うと「この程度」でも、作り手は相当な覚悟を持ち、それを賞賛する我々というこの現状に若干の憂いを感じてしまいました。
桃李くんは良いよやはり。口を動かさないで話す感じとか。
松坂桃李素晴らしい!
このレビューでも情報操作が、と見てしまう。
新聞記者の父親が誤報から自殺してしまうという経験を持つ、同じ新聞記者になった吉岡エリカ。
その彼女が追うのは内閣情報室の大学新設の裏情報。理系の大学を設置しようとするが、それは生物兵器にも転用できる軍事目的ではないか。それを記事にしようと外務省からの出向で情報室にいる杉原に近づき証拠をつかもうとする。
情報室ではツイッターなどのSNSで情報操作ともいえる、政権を安定させようと内閣を擁護するコメントを様々なアカウントで出し、批判を埋もれさせようとしている。その情報室の映像は暗く、モノトーンにしてる演出は他の映像との区別で逆に浮かび上がらせている。
これが今の政権を連想させる部分が多いが、政権擁護派からすると否定的なものを出したくなるだろう。
社会派の作品って説明的になりがちで飽きてしまうことがあるが、これは見入ってしまいあっという間に駆け抜けるように見終えた。
平均作
酔った(^^;)
この作品に関わった全ての人の勇気に
久しぶりの映画鑑賞でしたが、本当に観てよかった。
ここまで引き込まれて、呼吸が浅くなりながら熱く見つめる作品は久しぶりかも。
覚悟を決めた人は美しい。
ただ、それで世の中までもが変わるとは限らない。
でも、大きくは変わることは難しくても、あるとないとでは大きく違う。
この作品に関わった全ての人の覚悟と勇気を尊敬します。
時々違和感のあるツイートを実際に見かけるのは、そういうことだったのかも、と衝撃を受けました。
情報社会になった分、巧みに操作しようとしても、そう上手くはいかないかもしれませんね。
この作品を観ていても、少し時代が変わるかもしれないと感じました。ただもちろん、そう簡単なことではないというのも強く感じましたが。
また、権力に屈してしまった人を当然良くは言わないけれど悪くも言わないところがいいなと思いました。
少しでも多くの人にこの作品が届くことを願っています。
記者の妄想日記から堕胎した捏造物語
『酷い』の一言で片を付けていいだろう。
これを見てなにも疑いを持たない無垢な人間は反政権的な思想に染まるだろう。
これは日記をもとに作られた割には、事実にすら基づいていない。ここまでテキトーに話を盛って捏造するくらいなら、いっそ悪事がバレかかった政権が発狂して最寄りの原子炉を意図的にメルトダウンさせて広範囲に証拠隠滅をはかろうとする!くらいやってもよかったんだよ?(笑)
リベラル派にしてみれば原子炉は核兵器保有のための前段階だ!みたいな意見もあったくらいだしさ(笑)
それにしても、役者たちはアレでやりきったつもりなのかな?楽な商売もあったものだと思う。鬼気迫る演技というよりはエキストラ何名かにガタガタ揺らしながらズームして追いかけ回してただけに思える。プロ意識をあまり感じられない演技だった。
最後に、見る者に不快な印象しか与えないから、謎の手ぶれを視覚効果だと勘違いしてないで、カメラマンはレールを敷いて撮影してほしいもんだ(笑)
主演女優を海外くんだりから呼んでくるのにお金使いすぎて、レール敷くお金も残ってなかったのかな?
息詰まるサスペンス
全571件中、221~240件目を表示