37セカンズのレビュー・感想・評価
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あえて厳しく
脳性麻痺でゴーストライターの障害者が独立志向を機に様々な体験をしていく話。
話の展開としては面白いのだが、演出的盛り方がいまいち好きになれない。障害者として踏み切れない大人の世界をイチから描こうとして、制作にあたり疑問に思う点はいくつかあった。
エロ出版会社の電話保留音、出会い系サイトでいかにもオタク男子登場、エロ雑誌だけならともかく生々しいアダルトグッズ表現(今ならネットで裏画像いくらでも観れるのに)。リハビリ施設内で電動車椅子ぶっ飛ばし逃走。
なんでこういう作品で派手に盛るかねぇ⁉️
現実味が無くなるのよ。
障害者モノを変に面白おかしく語る映画が最近多い。
障害者の盛らない日常が観たいのよ。(ラブホテル、新宿2丁目の様なスナックは分かる。)
後半は感動的だが、「前半の母親投げ出してまでも彼女の独立志向物語はどこ行った?」感があり、実在の姉妹が演じようが何だろうが私には重くのしかからなかった。
障害者成長物語なら後半話飛びすぎだし、後半こんな形で感動させたいなら前半の盛り日常演出が活きていないし、う〜ん。「映画の着地点を気にしすぎたのでは?」と思えてしまう映画でした。
作品を絶賛している方々すまぬ。
これなら映画ならではの風情がある「ジョゼと虎と魚たち」の方が私は好きだ。
ただただ純粋に「いい映画」
めちゃくちゃ良かった。
これは「面白い」の良かったといよりかは、「感動」の良かったですね。
題材からも分かるとうり決して面白くはない。
しかし障害を持ってしまった方のリアルに見事に真っ正面から挑み、見事に描き切っている。
実話でもなんら驚きはしない。(ラストの展開も佳山さんに関する実話らしいです)
漫画と映画のハイブリッド映像はとても新鮮で心が踊った。また曲のセンスも良くて知らぬ間に足でリズムをとってしまった。
ストーリーも「自分らしく前向きに生きろ!」という普遍的なメッセージ性があり障害を持ってしまった方達に対して、そして自分の将来の生き方を考え直す必要があるな、と思わされた。
7割くらいの映画、邦画だと9割ぐらいの映画が映画のタイトルを冒頭の方に画面いっぱいにだす。
しかしこの作品は本編の最後にでてきて、そのタイトルの周りに鳥が翔んでいるというデザインだ。
これを観て「あぁ。この作品は今終わったのではなく今始まったばかりなのだなぁ」と思った。
HIKARI監督は大化けしますよ!
そしてこれからは、障害者という言葉は使わない!
彼等だって同じ人間だから。
親知らず
出生時に37秒間呼吸が出来なかったことによって脳性麻痺となった22歳の女性の自我と自立の話。
着る服も髪型も押しつけてきて、ハンバーグのカットにさえ手を出してしまう程の超過保護な母親と2人で暮らし、仕事は友人でもあるキラキラな漫画家のゴーストライターをしている主人公が、自分自身を出そうとする中で世間と自身を見つめていくストーリー。
大人しく声も小さく主張しない主人公が、さあ今日は、と決めた日に一人になった時の笑顔が可愛らしくてちょっとワクワク。
人としても介護士としても色々な意味でスーパーな2人に、あるべき姿の一つの形をみせられる。
公衆電話からの流れはかなりぶっ飛んでいるけれど、そんなのお構いなしに泣かされまくりw
一人だけちょっと搾取する人物がいたけれど、その人物も後ろめたさはある様子。それ以外の登場人物達は全て優しい人ばかり。
母親にしたって、ちょっと病的にも感じるところもあるけれど、リアルなところを考えたら、気持ちはわかるし頭ごなしに否定は出来ない。
みている側に自戒や自問を投げかけている様でもあるし、成長物語としても面白かったし、主人公の身体のことがなくてもドラマとして見応えがあった。
ステキな映画
デビュー作で!
「自分って何だろう」と思ったら、観て!!
10代の頃なら社会へ出て行く開放感と成長に感動し、
大人になった今は、母親の子への想いに涙しました。
初めは障害から生じる社会問題を描いているだけかと
思って、フラットな気持ちで足を運んだのですが、
主人公の愛しさがとにかく魅力的で、1人の成人した女性の物語として只々胸が熱くなりました。
周りの人の優しさも、障害者に対するものから彼女だからこそ優しく触れたくなる変化の描き方がとても自然で、いやらしくなくて良かったです。
あとは光の描き方がとっても綺麗だったり、
音楽もここで主題歌(?)来たー!ナイス!となったり、
後半でまさかの展開を迎えたりしますが、
とても心地良くラストに向かって前向きになりました。
生きることに不安になった時は、きっとこの映画を思い出すんだろうなぁ。
障害者と性のタブーに踏み込む
特別な話じゃないが体当たり
障がい者テーマはどーしても観てしまう。
身近に居たし関わっていたし友達にも居る。
車椅子の友人と映画を観に行った時、最前列のゾーンしか行けずガッカリしてたら、そこは最前列がオートリクライニングシートになっていて超感動!
そしたら車椅子の友人がそのシートに座りたいということになり、2人でオートリクライニングで観ていたが、友人は嚥下(飲み込む力)が悪く、上映中しょっちゅう唾を喉に詰まらせて、自分は彼の背中を何度も摩る羽目になるという、まあそれも思い出ですが(^^;
冒頭、ドキュメンタリーでも観てる様な錯覚に陥る。
原作者が実演してるのかと思ったら、まさかの素人さん。それが入浴、ベッドシーンと惜しげなく脱いでいく、何なんだこの人!体当たりにも程があるぞ!
前半観てると、「障がい者の性」かメインかな?、ところが後半は寧ろ親子の普遍的な(不変的な)話でもあり、障がい者の親には特に悩ましい話になっている。
しかし最後はすごく前向きなラスト。清々しい。
板谷由夏が良い感じ。板谷由夏は何だか戸田恵子に似てきたね。
全体的にお涙頂戴でないのが良い。
ちなみに車椅子の友人は一人暮らしをしています。
いつもお出かけしたいみたいですが、劇中の大東俊介くらい付き合いの良いヘルパーはなかなか居ない様です。
別件ですが、劇中のホテルで会った車椅子の熊篠さんをモデルにした映画、「パーフェクトレボリューション」を観たい。
温かく、透き通った青空のような映画でした。
ただいま。おかえり。
すごく良かったです!
過剰なまでに脳性麻痺の娘、ユマのことを守ろうとする母親の姿に胸が熱くなりました。
必死過ぎて周りが見えなくなって結局ユマのことも側にいるのに見失ってしまっています。
そんな母親の束縛からユマは遂に決意の家出を果たします。
ユマが出会う舞がめちゃめちゃパワフルです。演じた渡辺真起子さんぴったりでした!
そして俊哉。
俊哉はどうしてあれほどユマに尽くしたのでしょう?
恋だったらいいなとか単純に思ってしまうんですけど…。でももし同情だったとしてもユマはきっと救われたんだと思います。
でもやっぱり恋だったらいいな(笑)
開始5分からただならぬ雰囲気を秘めたこの映画。
最後は封印した過去と向き合った母親と自分のルーツを辿って母の苦しみと愛を知ったユマの新しい関係の始まりを「ただいま」「おかえり」でうまく表現しています。
清々しい柔らかな光に包まれる母娘。
そしていつかユマの漫画が雑誌に掲載されますように。
佳山さんあっての作品となった
主人公を演じた佳山さんのプロフィールをみて「えっ、自分の後輩」 彼女のインタビュー記事などを追っていくと、関西から愛知県の大学に進学して、社会福祉士の国家試験を通って関西に戻ってきて地域福祉の相談援助を担っている法人で働いていて、この映画のオーディションに参加している 後輩といってもかなり年齢差はありますが、遠い土地に進学して、傾斜のきつい広いキャンパスで4年間学んで、国家試験に合格している 彼女自身
は柔らかな声や表情であるが、彼女が歩んできた人生そのものがこの映画の原点、とも思えるような作品でした
障碍者は常に守られる者という教育を受けてきて、特に先天的な障碍者はそういった社会の庇護を一方的に受ける存在と思われてきた その親特に母親は本人と社会に対する責任を感じ、本人の介護や療育などをかかえこんでしまうことも多いと言われている 神野さん演ずる母親の冒頭の入浴や更衣のシーンなどは、日々毎日行っていることではあるけれど、高齢者の介護と異なるのは「母親だから」「私が産んだから」という気持ちが強いからヘルパーではなく自分がしなくてはならないという思いが強いのでしょう
一方的に庇護されることが本人の願いではなく、盛んに言われる「共生」「自立」の意味合いを一層考えるものでした 性描写や風俗店など私たちの生活にはあたりまえのことが描かれているのに、今までこういった映画には似合わないものとして自分の中では思ってきたことに反省 そういった場面で親に反発する主人公に寄り添う渡辺真起子さんの言葉、表情、とても暖かいものでした 渡辺さんこういう役本当にぴったりです
佳山さんの「37秒」、また双子のご家族のことなど、佳山さんご本人の今日までのあゆみが作品の内容に反映されていることも、記事で拝見しました
脳性麻痺という障碍のこと、そしてその母親のこと、佳山さんは女優として「演じた」のだけれど、佳山さんのあゆみが反映されていたような思いをもちました
(2月11日 MOVIX堺 にて鑑賞)
真の強さ
変わっていく「37秒」
とても良かった。
俳優も、ストーリーも見事。
泣ける、ではなく心が揺れて涙がにじむ。
人に勧めたい傑作だった。
タイトルの37秒(セカンズ)の意味は、予告編や作品紹介文でしっかり書かれているので、そういう頭で見てしまう。
タイトルに置いたまま、なかなか本編に出てこない37秒のこと。でも見ている私たちは、その意味と、何でユマが脳性麻痺で車椅子なのかを一応知っている、この何とも言えないズレのようなものが、終盤で見事に効いてくる。
中盤のドラアグクイーンの「あなた次第よー」が、この映画の本質を捕らえている。
ユマは、37秒の呼吸停止のせいで脳性麻痺になったが、その37秒のおかげで今の自分がある。
最後の最後で、なるほど見事なタイトルだ、と痛感した。
SAYAKAとの対比、姉との対比、そういう描写も見事だし、わざとらしいくらいの母親の演技が目を見張る。
何より序盤の全裸シーン。「目を背けずに見なさい」という、監督の、ユマを演じる俳優さんの強いメッセージに感じる。
ちょっとハッピーエンドすぎる気もするが、映画館に足を運ぶ価値の十分ある、素晴らしい作品だと思う。
佳山明さんのか細い声に吸い込まれそうになる
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