マチネの終わりに
劇場公開日:2019年11月1日
解説
東京、パリ、ニューヨークを舞台に音楽家とジャーナリストの愛の物語を描いた芥川賞作家・平野啓一郎の同名ベストセラー小説を福山雅治、石田ゆり子主演で映画化。パリでの公演を終えた世界的なクラシックギタリストの蒔野聡史は、パリの通信社に勤務するジャーナリストの小峰洋子と出会う。2人は出会った瞬間から惹かれ合い、心を通わせていくが、洋子には婚約者である新藤の存在があった。そのことを知りながらも、自身の思いを抑えきれない蒔野は洋子へ愛を告げる。しかし、40代の2人をとりまくさまざまな現実を前に、蒔野と洋子の思いはすれ違っていく……。蒔野役を福山、洋子役を石田がそれぞれ演じ、伊勢谷友介、桜井ユキ、木南晴夏、風吹ジュン、板谷由夏、古谷一行らが脇を固める。監督は「容疑者Xの献身」「昼顔」の西谷弘。
2019年製作/124分/G/日本
配給:東宝
スタッフ・キャスト
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2020年9月16日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
正直なところ、原作小説は発売して間もないタイミングで購入したが、当時の自分にはフィットしなかった。読むと眠くなるので、寝付けない夜には抜群の効果を発揮した。それが不惑を迎えるか否かのタイミングで読み直したら、思わずスルスルと読了してしまった。
そんな頃に映画化が発表されたわけだが、世界的なクラシックギタリストとパリの通信社に勤務するジャーナリストが壮絶なすれ違いを繰り返し、運命に翻弄されていく。この設定に説得力を持たせるのが福山雅治と石田ゆり子である。6年間でたった3度しか会わなかった男女の心の移ろいを丁寧に演じている。東京、仏パリ、米ニューヨークの彩り豊かな街並みも、作品を1つ上のステージへと導く役割を果たしている。大人が見るべき、大人のためのしっとりとした意欲作といえる。
2023年2月6日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、VOD
観終えて、素敵な映画だったなぁ、と余韻に浸りました。
天才ギタリストと女性ジャーナリストとの、
パリ、ニューヨーク、マドリッド、東京。
世界を舞台した恋愛ストーリー。
熟年層に高い人気を誇る福山雅治と石田ゆり子が主演。
共に40代の設定です。
《過去は変えられる》
この言葉が何度も繰り替えされます。
原作者は芥川賞作家の平野啓一郎。
映画「ある男」でも原作者。
深みのある大人の男性を書かせたら当代随一の作家ですね。
蒔野の知的でキザな台詞がサマになるのも福山雅治だから。
蒔野聡史は天才と幼い日から期待されたギタリスト。
しかし40歳を迎えて今まで築いてきたキャリアにも自信を失い、
体力的にも人気にも翳りを感じています。
そんな時、エージェントの是永(板谷由夏)に紹介された
国際的ジャーナリスト小峰洋子(石田ゆり子)と運命の出会いを
果たします。
洋子の的を得た演奏の評価も的確で、気持ちが調和して離れがたい2人。
しかし洋子はパリへ帰国。
そしてすぐにパリで無差別テロ事件が起こり、
洋子は取材中に更なる心の傷を負います。
そんな時、蒔野がパリへ。
2人の気持ちは燃え上がり、蒔野はフィアンセから洋子を奪おうと
決意します。
洋子の答えは?
運命の恋は急展開。
突然、恩師・祖父江(古谷一行)が、待ち合わせの日に突然倒れたのです。
古典的恋愛映画の定番。
“すれ違い“
鍵を握るのはマネージャーの早苗でした。
早苗の策略は2人の運命をドラマティックに盛り上げます。
(かなり手強い恋敵)
パリのビストロ、アパルトマン、
ニューヨークのセントラルパーク、
コンテンポラリーダンス、
数々の美しいシーンと名場面。
全編通して流れるクリシックギター調べ。
福山雅治が奏でる「幸福の硬貨」も絶品!!
演奏活動のプレッシャーに押しつぶされる芸術家の悩み苦しみ。
そこから立ち上がり復活する姿も秀逸です。
日本映画では割と珍しい《知的で大人の恋》
最高の主役を迎えて、その酔い心地は極めて芳醇でした。
(早苗・・・と言う人間の生き様も
…………ある意味では共感を感じました。
蒔野を、生きる目的、支えるのが使命と信じる早苗、
……………しかしそこに男女間の愛が絡んでしまう・・・
……………自分の残酷な仕打ちに苦悩する蒔野を傍で見つめる、)
……………早苗も辛い苦しい日々を過ごしている、)
含みのあるラストも・・・良かったです。
本当に2人に
《過去は未来に変えられるのでしょうか?》
2023年1月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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久々に観る大人味のラブストーリーだった。終始、甘美なギターの音色をBGMにした、典型的なすれ違いラブストーリーだったが、すれ違い方が現代的でもあり、古典的で泥臭くもあり、本作のポイントになっていた。
天才クラシックギタリストの蒔野聡史(福山雅治)は、40歳代になって演奏者として行き詰っていた。彷徨っていた。聡史の女性マネージャーは、聡史に秘かな想いを寄せ、聡史を懸命に支えていた。そんな時、聡史は、偶然、フランス駐在のジャーナリスト・小峰洋子(石田ゆり子)と出会い、お互いに運命的なものを感じる。その後、フランスで再会した二人は、お互いの想いを確かめ合う。そして、洋子は、帰国して聡史に会おうとするが、突発的な出来事で二人の心は次第にすれ違っていく・・・。
聡史役の福山雅治は、『ガリレオ』の主人公を彷彿とさせる理屈っぽさで、音楽家らしいストイックさを表現している。音楽家として彷徨しながらも、洋子を想う一途さを好演している。流石にギター演奏シーンは見応えがある。
一方、洋子役の石田ゆり子は、今まで静かな役が多かったがジャーナリストとしての毅然とした姿もカッコ良い。年齢を感じさせない美しさで、聡史への秘めたる想いを好演している。懸命に自分を抑えようとする日本的な佇まいが切ない。石田ゆり子のイメージが活かされている。
本作のポイントは、二人のすれ違い方である。突発的な出来事だけが二人の心を混迷させたのではなく、人為的なものが強く介在している点が本作の特徴である。泥臭く日本的であるが、醜悪にならないのは、福山雅治と石田ゆり子の役者としてのクリーンなイメージが効いているからである。
ラストシーン。二人が駆け寄り始めるシーンで終わってしまう。肝心のその後は描かれない。観客の想像に任せてくれる大人の映画らしいエンディングだった。
本作は、運命に翻弄されながらも、愛を求め続けた、大人味のラブストーリーである。
原作が面白いと聞いて、読もう読もうと思い未読。
んで、映画化。大人のラブストーリーと聞いて、未視聴。
やっと重い腰を上げて見てみた。
好きなトーンではあるが、刺さりませんでした。
世界的に有名なクラシックギタリスト。
フランスで活躍するジャーナリスト。
ニューヨークで稼ぐビジネスマン。
そんな世界に憧れを感じなくなって何年経ったろう・・・。
フランスの街角のレストランで、詩人のように愛を語る。
傷ついた友人を音楽の音色で癒す。
きらびやかで豪華なパーティを主催する。
今の私の生活とは、残念ながらかけ離れすぎ。
住む世界が違うと人格すらも変わるのだろうか。
この物語にはどういう人が共感するのだろうか。
10代の若者が共感できないのは、まぁ分かる。
大人の恋愛とか言われると、共感できない自分は
すでにおじいちゃんにでもなったのかと思わせられる。
全体をつつむ暗めな色使い。
全編クラシックギターのBGM。
説明を省いて心理描写で描く。
好きなトーンの作り方だっただけに、よけい残念。
いや、「大人」ではない私が悪いのだ。
でも、これを面白いと思える「大人」にはなりたくない。