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スタートからどんどん枝分かれしていくけどゴールは全て空欄のあみだくじのような映画だった。
ミステリー的なストーリーに色々絡めすぎた結果全てが中途半端に滑って見えてしまうのが残念。
事件の裏をあばく楽しみも無く先が気になって仕方ない気持ちにもならなかった。
所々でグッとくる部分はあるのに、まどろっこしすぎる展開と演出なのか分からないけどやたら棒読みでテンションの低い登場人物に萎えてしまうこと数回。
患者と看護婦がなんかおかしいのは当たり前として、今村刑事も精神病院の先生も被害者達も出てくる人は大体みんな変で気持ちが悪い。
高圧的で攻撃的な今村刑事、捜査対象の病院に忍びこんでないで、まず謹慎受けた段階ですぐ病院行って薬処方してもらうべきでしょう。
一匹狼気取ってるのか知らないが普通に社会人として終了案件である。
謎めいた美少女の夕子は使い古された多重人格オチ。
バス事故の際目の前で死んでいった被害者の人格が乗り移ったという設定は面白い。
ボロボロになった乗客が目の前でジワジワ死んでいく様子はそりゃ大きなトラウマになるだろうし。
記録ビデオでいきなり中国語を話し始めたときはゾクッと来た。
殺人事件の真相としては色情っぽい七海の人格の時に事件被害者の下山と鶴野が彼女を犯していて、それを目撃した金井婆さんが殺したってことかな。
いや分かるけど…だから何だ感が半端ないのは何故だろう。
今村の後輩刑事はまた別の人格になった夕子に殺されたように見えたけど、彼が殺される必要性あった?役回りが損すぎる。
ワーファリンが殺鼠剤に使われてるなんて調べれば一発で出てくるのに。
会話中の豆知識としてポロッと出てくるのも不自然だしあれだけの人員割いておいて他の警察の方々は何をしているのか。
金井を殴る先輩刑事のシーンはすごく面白かった。つい吹き出してしまった。
最後のシーンはかなり含みがあって謎めいている。
因縁のバスに乗り目的地に着き一人で歩き出す夕子の姿は囚われていたトラウマからの解放を示唆しているのかな。
振り返ったら誰もいなかったのは何だろう。
今村がいなくてももう一人で生きていけるよ、という意思表示なのか。
というかあの時今村は金井婆さんに殺されていたのか先輩に発見されて助かったのか、それだけでも見せて欲しかった。
今村も先生も殺人事件も全て夕子が作ってたモノでしたってことも考えたけど…
細々と落とした伏線をあまり回収することなく終わってしまうのでモヤモヤが止まらない。
多すぎる余白を埋めようと考えに考えてもそれがそんなに楽しめないのがしんどい。
孤高のおじさんと孤独な美少女の画にあざとさも感じるし、夕子が美しくなかったら成立しないだろうな。
「カンガエテハイケナイ」とは観客に向けた言葉なのかもしれない。