ヘレディタリー 継承のレビュー・感想・評価
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堂々とした風格のモダンホラー
"あったらいいな"をカタチにするのが小林製薬。"あったら嫌だな"をカタチにして叩きつけてくるのが『ヘレディタリー/継承』。モダン・ホラーを「継承」するかのような格調高さと、表現の質の高さに驚いた。即物的〜超自然的なものまで、恐怖演出の技術と配置も巧妙。この恐怖の感染力は風疹より高い…
題名の通りで。
禍々しすぎる
コッッ
祖母の死をきっかけに家族が崩れ堕ちていく物語。
前半はグラハム家の内情が丁寧に描写されるも、メインに据えられた母アニーの言動にグラつきがありいまいち掴めないこともしばしば。
「何かが変」であることはビンビン伝わってくるもののそれが何なのかよく分からないまま話が進み、ただ正体不明の嫌な予感がずっと側にある感覚で観ていた。
コッコッと舌を鳴らすのが癖でお菓子をムシャムシャとよく食べる少し気味の悪い娘のチャーリー。
彼女に関する衝撃的な出来事から大きく展開してきて一気に目が離せなくなる。
鈍い音と蟻の群がるどアップのカットが最高。
恐ろしさと、不謹慎だけど非常に美しく感じて鳥肌が立った。
家族それぞれの持つ暗い問題がどんどん浮き彫りになり、精神にのしかかる圧と霊障の打撃が強くなってくる。
派手な恐怖は感じられないものの、日常に侵食される気持ち悪さがたまらない。
家族を亡くした者の集いで出会ったおばちゃんジョーンの過剰な良い人感も逆にいやらしく感じた。案の定。
終盤のたたみかけがとても楽しかった。
母と息子の追いかけっこがめちゃくちゃ好き。もっと長く走ってくれたら良かったのに。
ギコギコブシャブシャッ!のインパクトも好き。
ここに来て溢れるパワー系の演出が現れたよ!とかなり興奮した。
まさかの方向に進んだラストには妙に満足感を覚えてしまった。何なんだこのハピネス感は。
結局またそこに行き着いてしまうのかと少しガッカリしつつ、突き抜けた画力と表情に何か一つ扉を開けたような気分になる。
絶望と諦めと受け入れの入り混じった表情が好き。
オカルトなのかサイコスリラーなのか、誰を信じたら良いのか、色々と惑わせられる映画だった。
家の中や出来事を模したリアルなミニチュアのように何層にも重なる話は、少しわかりにくい気もするけど面白かった。
アニーと祖母エレンの過去を掘り下げたエピソードとかも知りたい。
チラ見せさせられるエピソードと本音の一つ一つがだいぶショッキングなので半永久的に観ていられそう。
ただ、全体的に遅い進み方に若干ノリ切れなかったのも正直なところ。
内容も演出もとても好きなんだけれども。
楽しみすぎて予告はなるべく避けていたけれど、その過剰な煽り文句からくる期待のしすぎなのかも。
ずっと観ていたいくらい好きなんだけれども…。
一つ一つのカットとカメラワークに執念のようなこだわりを感じる。
すぐ横や遠くなど色々な方向から聞こえてくる音の鳴り方も秀逸。劇場で観るべき作品。
とにかく一番怖かったのが、狂ったように捲したてるアニーの顔面。
トニ・コレットのビジュアルはとことんホラーに向いていると思う。
鑑賞後、コッと舌を鳴らしてみて自分でビビってしまった。
2018.12.12 「来る」の鑑賞後に勢いで二度目。 追記
まったりした進みはそのままとはいえ、色々解釈しながら観られてとても楽しかった。ホラーは自由。
一度目に観たときからずっと気になっているのが、あのザ・白人な両親から少し中東系の血を感じるピーターが生まれるだろうかということ。
もしかしたら子供が欲しいエレンたちの差し金で…と考えている。
だからあの最悪な告白内容に至ったのでは。
フヨフヨ空中浮遊あたりでめちゃくちゃ恐ろしいのにどうしても笑いが堪えられず、終盤はほとんど笑いっぱなしの域。本当に好き。
ド深夜に観たため帰り道が非常に怖い。部屋の天井の隅が怖くて見られなかった。
なんだかんだこの映画がかなり好きなんだなと実感した。
序盤の雰囲気は最高だけど
恐怖はとても身近なところにある
これは、私が思ってたホラー映画と全然違ってた
思ってたより奥が深くて、メンタル的にえぐられる怖さを感じた映画だった
ひっそりとした田舎の森の中で暮らす家族
その家のおばあちゃんが亡くなってから、その家では奇妙なことが続き…
生まれたころから、特に問題もなく、平和な家庭で育ったという人もいるでしょう
しかし、そうでない人もたくさんいる
親や兄弟と仲が悪かったり、家族の誰かが問題を抱えていたり
そういう、家庭の悩みを告白するというのは、自分の恥部をさらけ出すようなところがあって、周りの人に相談できず、闇に葬られてしまうことも多い
この映画には、そんな家族に起きている問題をスコップでグイグイと掘り出して、それを大衆にさらすような恐ろしさがあった
問題を抱えた祖母、そんな母のようにはなりたくないと思っていた娘
そして、そんな祖母に可愛がられた孫
そんな彼女たちの関係に無関心な夫と息子
彼らがみな、家庭で起きていることに無関心だった結果、そこで恐ろしいことが起き始める
まぁ、だからといって、それを誰かが止められたかといえば、そうではないかもしれない
でも、あそこで、もう少し考えて一言かけてあげたら、その先の出来事は起きなかったかもしれない…
という負の連鎖が、どんどん続いていく…
この映画の前半で起きることは、どんな家庭でも起きそうなことだし、だからこそ、恐ろしくて心をえぐられる
そこから先は、誰も止められない独創的な世界観が広がっていた
もう、最後の方は唖然としてしまった
血が吹き出したりというようなスプラッター的な怖さや、描写のエグさとか、痛さとかは、あまりないので、
そういうのが苦手な人でも大丈夫な作品かも
(100%保証はしません w)
2018最恐最凶映画
怖いのは音響とトニ・コレットの表情。
日本人好みの作品かもしれない。突発的ではなく心理的にくる。
キャリー(1976年作)の手、
シックスセンスの指輪、
リングのテレビ、
牡丹灯篭(1968年作)の「新三郎さん.. あけて...」
番町皿屋敷(1957年作)の「いちまい.. たりない...」には及ばない。
ここ数年で1番の恐怖
とにかく顔がこわい
母エレンを亡くしたミニチュアアーティストのアニーは葬儀の後から自宅で母の幻影を見るようになる。そんなアニーを心配する夫スティーブに墓地の管理事務所から電話がありエレンの墓が荒らされたと知らされるがスティーブはアニーに告げなかった。アニーとスティーブの子供、ピーターはある日アニーに妹チャーリーの世話を押しつけられるがナッツ入りチョコをチャーリーが口にしてしまったために発作を起こしてしまい慌てて病院に連れて行こうとするが・・・からとんでもない展開を見せるホラー。
グロテスクな描写を叩きつけるのではなく、ジワジワと弱火で2時間かけて釜茹でにされるような怖さ。ミニチュアと実写の境目が曖昧になるようなカメラワークと不快極まりない音響で現実と幻想が混じり合い、あちこちに散乱したイメージの断片が一つまた一つとこびりついた脳裏に浮かび上がる不吉極まりないクライマックス、不吉過ぎて逆に場内大爆笑。どんどん正気を失っていくアニーを演じるトニ・コレットの表情がとにかく強烈な印象で、顔だけでここまで狂気を表現出来るのかと戦慄しました。ネタとしてはクラシックなものですが表現方法は図抜けて斬新、またひとつ低予算ホラーに傑作が生まれたと感動ひとしおです。
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