引っ越し大名!のレビュー・感想・評価
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興味深い江戸時代の国替え
国替え=数千人規模の引っ越し。途中で命を落とすこともあるかな、と「超高速!参勤交代」の様に移動中の事件を描くのかと思いきや、なかなか出発しないんです。
やるのは決定していて、期限は二か月。
引っ越しまでの様々な業務を丁寧に、時にコミカルに描きますが、重圧に主人公がうじうじしている部分はちと長い。それでも何とか決断し、実行していきます。
映画の印象としては、引っ越し奉行に任命された男の成長物語です。
興味深いし、面白かったですが、個人的には、ちらっと映った荷造り場面や、本番のスケジュール、隊列をどう組むかなどももっと見せて欲しかったです。
一つ疑問。
皆の荷物を強制的に減らした代償として、春之介は書庫の本のほとんどを焼却しますが、それらは藩の財産で、春之介の私物じゃない。売って金に換えないの?それに燃やすなんて勿体ない。そのまま書庫に置いておいたらダメなの?
原作はどうなっているんでしょう。
と、突っ込み所もありますが、終盤の再会からラストまでは色々感慨深いものがあります。
映画館には小学生のグループや、高学年じゃないよねという子供もちらほらいて、自分を顧みると、恐れ入ります。そういえば、「超高速!~」でも小さい子の笑い声が結構聞こえました。
が、本作はあちらほどは痛快な感じではなく、一度聞いただけでは解かりづらい用語もあるので、高学年以上にお勧めします。
勤め人さんに是非オススメしたい映画
サラリーマンが急な転勤を強いられた時の、実際に相当な大変さとリンクして感情移入できました。
まして、国替えとなるともっと複雑で多角的、遠方でもあり規模も比ではなく、引っ越さなければならない武士の心情、今でいうリストラされて帰農させられ置いていかれる武士の無念さ。
また、物のリストラ、断捨離。
時代劇ではあっても現代劇を観ているように違和感なく、心で共鳴できた。
主人公が国替えの大役を押し付けられて真っ青な弱々しい状態から、周囲に助けられながら持ち前の長所を活かして、徐々に落ち着き顔つき振る舞いが大名らしくなっていくのも見もの。
帰農を言い渡す際の主人公の辛さと置いていかれる武士の辛さのやりとりにはグッときた。
高橋一生の武芸は立つがハチャメチャ武士ぶりも面白い。
全体的に筋立てがしっかりしていて分かりやすく、笑いどころがチョコチョコはいって笑わせてくれる。
ラストについては、あのようになって感傷的にはなったが安心もした。
ごちゃ混ぜ時代劇
高橋一生ファンにお勧めなのでは
土橋さん脚本うまいわ。そんな尖った笑いはないけど、じわりと面白いのを入れてくるのね。
主人公カタツムリはしっかり描いて、カタツムリと於蘭の絡みも描いてる。プロポーズシーンはすごく工夫があるしね。
実話がベースなのかな。歴史的事実の説明が面白いの。そればっかりだと詰まらなくなっちゃうなってことで、隠密絡みの立ち回り入れてみたりね。
物語のつくりはうまいなと思うの。
ただ、国替えで石高が減るからリストラすんだよね。「苦渋の選択やむなし」って描き方になってて、ただリストラするだけじゃなくて、その人たちのその後のことも考えてる。でもね、やっぱり切る方と切られる方なら、切る方が楽だと思うね。自分が切られる方に回らない解決策は、どうしても感情移入できないの。
ラストは切られた人たちを褒め称えて終わりにするけどさ、そこは無理だなあと思ったよ。
それで隠密絡みの立ち回りで高橋一生が大活躍すんの。高橋一生ってちょっと陰気なキャラをやってるけど、この映画では腕が立つけど知恵はそこまでじゃない陽気な侍をやってんのね。こういう無邪気な高橋一生観たことなかったから、ファンにはお勧めだなあと思ったよ。
ピエール瀧
楽しい映画
楽しい映画である。役と役者の相性がいいから物語の設定が無理なく頭に入って来る。プロットが解りやすくて冒頭を少し観れば凡その結末まで見通せるので、あとはひとつひとつのシーンを愉しめばいい。水戸黄門みたいなものだ。
J-POPを聞くことがないから星野源はテレビドラマ「逃げ恥」で初めて知った。気が弱くて優柔不断だが、仕事では非常に優秀なSEの役で、役にピッタリ合った演技ができていた。本作品で演じた主人公も、「逃げ恥」と同じような感じの性格の役である。だからまたしてもピッタリとはまっていた。今後は流石に二枚目の役は難しいだろうが、普通に見えてどこかエキセントリックな人物なら、善玉でも悪玉でも上手に出来そうである。
高橋一生がこういう豪傑と言うか、いたずら好きのガキ大将がそのまま大人になったような役を演じたのははじめて観た。ボソボソと台詞を喋るイメージだったのに、本作品の鷹村の役ではこれまでの演技とは打って変わって野太い声が出ているし、動作も大きい。泣くのも笑うのも酔っ払うのも豪快だ。もはや線の細さなどどこにもない。こちらも名演技である。
高畑充希が演じた於蘭の役は意外に難しい役である。この立場の女性が主役たちに絡むには、脚本が強引すぎる。それを百も承知で力技で役にしてしまった。高畑充希には場の雰囲気を全部持っていくようなところがある。他の女優さんでこの役ができそうな人をあれこれ考えたが、思い浮かばなかった。それほどはまり役だったということなのだろう。
将軍は綱吉と言っていたから、関ヶ原の戦いから少なくとも80年以上が経過している。現代史で考えるなら1945年9月2日の降伏記念日から74年経過した現在と同じくらい、戦の記憶が遠くなっていたと思う。現代とは時間の流れが違うから一概にいえないかもしれないが、たとえば山口百恵などが花の中三トリオでデビューしていた頃はまだ敗戦から30年である。たった30年経っただけで、もはや日常には戦争の影はなかった。情報の伝達速度が遅い時代だったとはいえ、綱吉の頃にはもう天下泰平が世上に広まっていたのではなかろうか。この映画の製作者の見方も多分同じだと思う。作品の雰囲気が全体におっとりしている。
当時はお家というパラダイムが絶対で、藩=国が武士の奉る対象だ。日本という国家についてはそれほどのこだわりはない。権力闘争は常にあるが、大義名分に逆らえば切腹である。そのあたりは世界中で変わらないようで、旧ソ連やロシアでは粛清という名で処分されていたし、日本の過激派だったら自己批判というリンチがあった。テロ組織内部も似たようなことが起きていると想像できる。民主主義は人類にとってまだまだ遠い道のりである。
しかし今のところ日本では「新聞記者」「主戦場」「日本鬼子」「東京裁判」「カメジロー」「誰がために憲法はある」などの比較的反体制の映画も普通の映画館で上映されている。言論の自由はまだそれほど損なわれていない。しかしそういう映画は精神的にかなり応えるので、こういうほのぼのしたコメディもたまにはいいと思う。とても面白かった。
おもしろいはおもしろい
越前大野から
なんかグッとくる
良作コメディ時代劇
アイデア勝利
参勤交代なんかよりももっともっと大変な「大名の引っ越し」。藩がまるごと引っ越しするというのは、都庁移転とかフジテレビ移転のように大がかりだと思う。いや、県外へ家族丸ごと歩いて移動なので、とんでもない労力なのだ。言うまでもなく、トラックなどない時代で、しかも道も舗装されてない時代。よくて馬、ほぼ人力で藩主と藩主の一族と藩士家族まるごと引っ越ししなきゃならないというのは、とてつもなく大変だということはわかる。
この作品では、費用の大幅な切り詰めということと、藩士のリストラについても同時に描いていて、なるほどと感じました。リストラ藩士にピエール瀧さんも出ていて、ひとつの話題作りとしてはよいかと。映画なのでかなりはしょっていたり、やりすぎなエピソードもあるものの、楽しめました。キャスト、ストーリーとも全般的に意欲作だということが伝わりました。
面白い映画だった
若干中だるみ感。でも最終的に面白い。
笑いどころは沢山あるが、若干狙いが透けて見えて冷めてしまう部分があった。でも中盤の高橋一生演じる鷹岡の豪快な殺陣シーンから時代劇感が一気に高まりそれ以降は素直に楽しめた。結果、痛快時代劇に拍手!主演の星野源もカタツムリにぴったり。
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