止められるか、俺たちをのレビュー・感想・評価
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白石監督作品初観賞
高評価作品を多数輩出されてる白石監督ですが今回監督作品初観賞しまして高評価の理由がわかる気がしました。演出テクニックの上手さも去ることながら人物描写の才能も非常に卓越した物をお持ちで、正直、井浦さん、山本さん、高岡さんしか知ってる役者さんがいない中で(門脇さんも初見でしたm(__)m)間違いなく全てのキャストの皆さんがその演じる役柄が印象に残る様な魅力的な演技をされていて、一つ一つのシーンが瞼の底に焼き付いて未だにドキドキで感動覚めやらずと言った感じです。白石監督の他作品も絶対観たいと思いましたし、若松監督の作品も又改めて魅力を再発見出来る観方が出来るんじゃないかなと楽しみが増えた感じです。
いやぁでも今頃、若松監督や恵さん、大島渚監督や赤塚不二夫先生たち、天国で私たちを見て「あいつらまだまだ[ぶち壊し]が足りないぞ。何やってんだ!」って言いながら煙草やお酒楽しんでらっしゃるんだろうな☆☆☆
映画に賭けた人々。
若松孝二監督の映画は、晩年の一般映画しか知らない。彼の映画は並んだタイトルだけ見ても先鋭的で、いまの時代、ちゃんと上映されるのかどうかわからないほどだ。
そのような映画の製作現場は、予想通りエネルギッシュで、なぜ吉積めぐみ(門脇麦)はそんなところへ迷い込んでしまったのか。
そう映画では、めぐみは迷い込んだように見える。
1960年代後半、男社会に身を投じた女性が、蔑まれることなく、他のスタッフと同じように扱われていることに驚く。女だから、というスタンスが誰にもなかった。
それでいてあのような映画を作っていたのだからますます驚く。
精力的に作品を発表し続けている白石和彌監督。自分のルーツを探るがごとくの演出は好感がもてた。
映画作りには憧れもあるが、やっぱり苦労は絶えない。
止まらないぜ!の方が良かったのでは?
若松孝二監督の名前は勿論知っていますが、若松監督の名前を意識して作品を観た事が無いのですが、昭和の有り余るエネルギーを勢いにして、突っ走った映画人のお話かなと観る前から勝手に解釈して観賞しました。
で、感想はと言うと、前半と後半で評価が違いますが、全体的にまあまあ。
作品としては何かを訴えかけてきます。
理屈ではなく、思いのままに理想に突っ走しれたあの時代を羨ましく思えます。
窓から外に向かって立ち小便なんて、今なら見つかれば警察沙汰どころか訴訟問題です。
それでも、まだ何者でもない者達が何処に向かっているかは分からないけど、とりあえず思いのままに走ってた時代。
劇中であった、ピンク映画の撮影で裸の女性が海岸で走っている後ろをカメラを持ったスタッフも全力で追いかけている。それもスタッフ全員。
この映画を表す代表的なシーンではないかと。
ホント、このシーンは印象的で観ている途中で良い映画だなぁと思いました。
ですが、後半から失速感があって、逆にタイトルが意義あり的に仇になってます。
タイトルの「止められるか、俺たちを」。前半は確かにこのタイトル通りです。
主人公でヒロインのめぐみがふとしたことから若松プロに入り、助監督として、若松プロで男顔負けに活躍していく。
周りのスタッフも負けず劣らずの一癖も二癖もあるのばかり。勿論親分の若松孝二監督は言わずもがな。
それでも様々に情熱をぶつけ、自分の信念のままに突き進んでいく。
まさしく、止められるか、俺たちを。です。
ですが、中盤辺りからめぐみの女性としての面がクローズアップされていき、葛藤のまま、自分の人生に幕を引く。
昭和45年頃の時代を駆け抜けた、一つの青春映画として観るととても面白いと思います。
女を捨てて、男顔負けに活躍するめぐみが可愛い格好いい。門脇麦さん。ハマリ役です。
ですが、めぐみの若松プロで駆け抜けた青春と言うのなら解るけど、若松プロの火の玉の様なエネルギーで駆け抜けた時代の物語と言うのではないので、タイトルと合ってないかなと。
あと若松孝二監督の存在が作中ではなんか中途半端に薄いです。
若松孝二の強烈無比のキャラクターに周りは翻弄されつつも、皆が癖のある人物で、変換期を迎える映画業界に置いて、異端ながらにも異彩を放つ“若松プロ、ここにあり”を期待してたんですが、そうでは無かったなぁ。
まぁ勝手な解釈で観る前からイメージを作りあげてしまったので、違和感はしょうがなしなんですが、もっとクレイジーで良かったのではないかなぁと。あとタイトルは「止められるか、俺たちを」よりも「止まらないぜ、俺たちは」の方がめぐみの遺志を次ぐ意味でも良かったのではないかなと思います。
多分、自分よりももう少し年上で学生運動に記憶があって、あらゆる体制に不満があって、映画に熱中した時代を過ごした方なら評価は変わるかもですが、自分的にはこんな感じです。
それでも観た方が良かったか?と言うと観て良かったとは思っています。
次は若松監督の作品を改めて観てから、観てみたいと思います。
時代の先駆者の苦悩に共感
一歩時代の先を行く社会派作品で名を馳せた若松孝二監督率いる独立系の若松プロダクションの黎明期を、助監督として入所した女性・吉積めぐみの目線で描く。正直なところ、若松監督の作品は鑑賞したことが無く、特段ノスタルジーは湧かないのだが、高度経済成長を謳歌する一方、よど号ハイジャック事件や石油危機勃発などとても騒々しかったあの頃を思い出した。最初は社会派を謳いながら、その一方で糊口を凌ぐためピンク映画も撮ると言う、ある意味とても現実的な路線を進んでいた彼らであったが、徐々に過激な政治集団と交わって変質して行く様は、生活が日に日に豊かになる一方で、その波に上手く乗り切れなかった人々の鬱屈した心理を映すようで興味深い。そしてまだ今のように女性の社会進出が進んでいなかったあの時代、男社会の映画プロダクションに飛び込んで、下積みに耐えながら短い青春を駆け抜けた吉積のぞみも、やはり時代の先駆者であったように思う。そんな彼女を生き生きと演じ切った門脇麦がとても光っていたように思いました。
映画制作への情熱が伝わった!
知識0で観ましたが面白かった。
若松プロのファンとして観たらもっと面白かったのかな?
井浦新さん演じる監督ご本人に寄せてるであろう演技が、すごく面白くて、監督ご本人を知らなくても上手だと感じました。俳優さん皆さん上手いです!
門脇麦さん演じる恵の感情がなんだか見えづらくて、複雑で、切なくやりきれない気持ちは鑑賞後どうしても残る。けど、そこがこの作品の良さなんだと思った。
恵を始め、若松プロの皆さんに会いたくなる。
会社が今も残り、語り継がれるのは、作品を作りたいと思う恵さん、信頼ある監督始め、スタッフの熱き情熱と行動力。観てる側も熱くさせられる。
昭和な映画
星🌟🌟🌟🌟テンポよく最後まで楽しめました 狐狼の血の監督なんですね あの作品も面白かったです❗実話に基づいてるとの事ですが衝撃的なラストも事実なのでしょうか?本当ならちょっと悲し過ぎます😢作品的にはすごく面白かったです
止められない
誰にも止められない
これはクロニクルではない。
いつも何か敵を空想し、見えない敵と空回りするように戦っていた自分を思い出す。
自由は逆に、自分を不自由にする。
言葉は最大の武器だ。
だが、自分の言葉も自分自身を縛り付ける鎖のようだ。
雁字搦めで、いつ果てるともない戦いを続けるだけだ。
ただ、悲壮ではない。
その先に何かが待っていると信じているからだ。
こんな戦い、誰も止められないのだ。
止められるのは自分だけだ。
これはクロニクルではない。
今も昔も変わらない。
そして、明日もきっと同じなのだ。
めぐみの死は悲しくとも、何かに立ち向かう若者たちは爽やかだ。
笑える場面もあって楽しかった。
足跡
昭和の監督なんて、役者以上にアクがないと務まらないのではないかと思ってた。
若松孝二監督も間違いなくその1人だし、本作品を観て、その中でも、他の誰とも異なる独自性があったのだと再確認。
「我流」という言葉が1番しっくりくるのではなかろうか。
おそらく若松組でしか通用しない常識が多々あったのだと思う。それは「流儀」と呼べるものかもしれない。
スタッフがエキストラを兼ねるなんて事はよくある話しだけど、台詞を喋ってアップカットまで押さえちゃう大胆さとか類を見ない。
どう考えてもメインキャストだろと思われる作品さえあった。
だが、そんな作品たちは、ちゃんと作品として評価され、後の作品へと続いていく。
どんな魔法を使っていたのだろうと思うのだが、本作品ではその魔法の片鱗が語られる。
勿論、若松監督の人となりにもスポットは当てられており、井浦氏は好演だった。
監督の仕草や口調…あんなに体型や顔つきも違うのに若松監督に見えてきてた。
てっきり「連赤」手前くらいまでは語られるのかと思ってたら、その随分前に幕は下りた。
映画を鑑賞している間、妙な空気感を感じてた。若松孝二を白石監督は描いてる。
その描き方が、撮影の裏側にまで及んでたのではなかろうかと。
ご自身の撮影の仕方よりは、若松監督ならばこうやってたんではないのか、という観念。
それは例えば、20時以降にならないと弁当を出さないとか、時代考証を重要視しないとかを、わざとやっていたのではないかと。
白石組は、ずっと若松監督と共にあり、その流儀までをも刻みこもうとしてたかのようであった。
ラストカット。
次の作品の話しを切り出す監督。
カメラは微妙なウネリを感じさせながらトラックバックしていく。
次第に遠のいていく監督の声。
ブラックアウトした時に、もう動かない時間を感じたりもした。
ずっと「人」だけを見てらしたんだと思う。
誰に対しても先入観で相対しはしなかったのではないだろうかと。
今でも監督の言葉は胸に残ってる。
監督の言葉は心の深いとこに留まってる。
故に、その作品が刺さるのは当然の結果ではなかろうかとも思う。
今でも、やっぱり残念だけど、故人のご冥福ををお祈りいたします。
日曜美術館
若松プロダクションのこともなにもわからず、門脇麦のファンとして映画館に入った。日曜美術館で井上新を知った自分としてはインテリ以外の役を演ずる彼が新鮮だった。
あらゆるものの毒が抜かれた今の世相からすると、まるで荒野のようなあの時代がうらやましい。知らない間にこんなにもひ弱な世界になっていることに愕然とする昨今、幼い頃経験したあの罵声飛び交うたくましさをどこで見失ってしまったのか。
門脇麦の遺影が自分に問いかけているようだった。
白石和彌監督が誰よりもこの時代と物語に憧れている
スクリーンから熱が迸る傑作青春映画。若松プロのことは何も知らない自分でも最高に楽しんだ。門脇麦を主演に据え、繰り返される「お前は何が撮りたいんだ?」という問い。女性神話のゴールとして、彼女が「自分=真に撮りたいもの」を見つけるのだと思っていたら…驚いた
若松プロにおける両親的な立場の井浦新と山本浩司が不在の時に、若手だけで語り合い、夜中のプールに潜る(『卒業』オマージュ?)一連のシークエンスが、門脇麦にとって子供でいることを無条件で許される最後の時間だった。結果的に大人になることを拒否する彼女が繊細に描かれる様に心を打たれた
井浦新が完コピで演じているという若松孝二の魅力もよく表現されていて、彼を中心に彼等の時代と物語が動いていたんだろうということが感じられる。それはきっと白石和彌監督自身が誰よりもこの作品で描かれるものへの憧れを抱いているからではないか?と思う。そりゃ面白くなるよな
エネルギーと凄い刺激をもらいました
若松監督の事も若松プロの事もよく知らなかったけれど、存分に楽しめ、刺激を受け、エネルギーをもらい、すぐにもう一度観たくなった。自分が知らなかった時代と世界。でもすんなりと入り込めた。井浦新さん目的で観たが、回りのあまり有名ではないキャストの方々も皆さん本当に素晴らしかった。若松監督、若松プロへの愛が溢れている白石和彌監督の傑作だと思う。
若松監督作品を知らない自分でも楽しめた
白石監督作品はサニーを鑑賞したのですが、エグい場面でさえもワクワク感が勝ってとても楽しめました。そんな白石監督が新しい作品を公開すると聞き見に行きました。私の行った劇場では超満員で立ち見で見る人もいました。
年代が60年代から70年代を描いているのでその時の情景などはテレビや本でしか得た知識しかないので、そこはイメージで見ました。助監督という役職は監督のサポートというイメージしかなかったのですが、意外とやることが多いなと今作を見て思いました。若松監督が制作したピンク映画を導入するのは時代感の区別があっていいなと思ったのですが、まさか白石監督が撮影したもの(正しくは若松監督)もあったのであんなに乳首ドーンと出していいのかなと思いました。(斬新で面白かったのですが、Rとかが付いてなかったので)
映画の劇中で若松監督や足立さん達が言っていた今の映画は甘ったれているというセリフなんですが、若松監督が今の映画界を見たらどう思うのかなとふと考えさせられました。最近の映画はどうしてもアニメや漫画の実写が多く、しかも再現しきれてない作品が多いなと思います。早速若松監督作品を借りて見たのですが、こんなに面白いのか!と驚かされました。昔の映画も面白いなぁ(●︎´-` ●︎)
すごく省略するのですが、門脇麦さんが演じるめぐみさんが自殺するシーンは明確に映されていない分、叙情的な感じが伝わってきて辛かったです。妊娠もしていたのでどうするのかなと思った矢先の自殺は衝撃でした。
映画というものの在り方を教えられました。今後ともこの時代を元にした映画はあまり作られないんじゃないかなと思いました。そんな中この素晴らしい作品が観れて本当に良かったです。ありがとうございました。
ピンクのクロサワ 若松作品を見直そう!!
戦後、映画界を疾風の如く駆け抜けて行った奴らがいた。ピンク映画界の黒澤明とその仲間たち若松プロ集団。
世の中何もかも、あけすけな時代に片手にたばこ、片手に酒で映画を肴に生きている奴らが羨ましくみえた。
作品中の門脇の踊りっぷり脱ぎっぷりには、感動した。
若松孝二、の、門下生の青春
というか、めぐみという助監督の青春の話なのがタイトルからまったく伝わらないのは惜しい。更に、この女の子が飛び込んできた初期衝動が描かれてないのが惜しい。白石監督は連続して映画自体が懐メロ回顧趣味みたいなのにのまれてる。
どんなに若松孝二が凄いのか、映画そのものをそのまま見せると訳にはいかないので観た側の興奮を伝える、その役はめぐみだったはず。受け手から送り手へ、そこから去ってく人々の話なのに、と。
めぐみが素晴らしかった
昔の雰囲気を醸し出しつつ、在りし日の情熱を現代に蘇らせようという映像的な目論見を感じた。無理に完全な昭和の日本を作り出そうとせずに、今ある中で過去を再現しているような印象─ひょっとしたら半端とか時代考証での違和感などを覚えかねないけれど、個人的には当時の熱気をダイレクトに感じるような気がして、凄くハマった。
あの時代を描いた映画というのは、とかく暗くて陰湿なものを感じるけれど(─偏見かもしれないけれど…)、この作品に関しては非常に清々しいものを感じたし、不思議と心から楽しめたような気がする。
ピンク映画の制作現場を扱い、裸も絡みもたくさん出てくるけれど、映画製作の情熱しか感じなかった。
その最たる要因は、井浦新と門脇麦の演技と演出だと思った。彼女たちの演技一つ一つに喜怒哀楽をくすぐられた。
めぐみで始まりめぐみで終わるこの作品は、まさに門脇麦の代表作になるのだろう。素晴らしいの一言。
描かれていることがどこまで本当のことか分からない。でも全てに真実味があり、いいことも悪いことも網羅されている全ての事柄に、作り手の熱い愛情を見て取れた。
凄く面白くていい映画だなーと心底思った。
映画の力を教えてくれたレジェンド
事実が基になっているため、一つの物語として起承転結に乏しいのは仕方がない。だが、決してインテリでない若松監督がオリジナリティに怒りと憎しみと自身の思いを込めて、映画をこの世に残した姿は、一生自分の胸に残り続けるだろう。
時には売れるためだけの映画を作る。時には世間に対する怒りを込めた映画を作る。若松プロは映画に助けられ、映画に殺され、映画に生きる。単純明解でない人生が描かれている。パンフレットで井浦さんが語っているが、『こんな人たちでも作れるなら俺にも出来る』と(失礼かもしれないが)不思議な勇気をもらえたのも事実だ。
門脇麦山本浩二・毎熊克哉・藤原季節・満島真之介といった絶妙な布陣が、若松プロは の無二の空気を醸し出していたように思えた。
めぐみが『何千何万という言葉じゃ伝わらない思いが映画のワンカットに写ってしまう。映画ってすごい。』と言っていたように、かつての誰にも止めようのない若松プロが永遠に刻まれた映画だった。
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