この道
劇場公開日:2019年1月11日
解説
「あめふり」「ペチカ」「この道」など数々の童謡を残した詩人・北原白秋の波乱に満ちた半生を、音楽家・山田耕筰との友情とともに描いていくヒューマンドラマ。北原白秋を大森南朋、山田耕筰をEXILE AKIRAが演じ、「陽はまた昇る」「半落ち」の佐々部清監督がメガホンをとった。天賦の才を持ちながら、酒におぼれ、隣家の人妻に手を出して姦通罪で入獄するなど、自由奔放な天才詩人・北原白秋。ドイツ留学を経て、日本初の交響楽団を結成した生まじめな性格の秀才音楽家・山田耕筰。児童文学誌「赤い鳥」を発刊した鈴木三重吉は「日本の子どもたちに、日本人による童謡を創ろう」と、性格も生き方も異なるこの2人に童謡創作の白羽の矢を立てる。2人は才能がぶつかりあいながらも、関東大震災の被害で意気消沈する子どもたちを元気づけるため、数々の童謡を世に送り出す。しかし、時勢は戦時下へと突入し、2人は子どもたちを戦場へ送り出すための軍歌を作ることを命ぜられてしまう。
2019年製作/105分/G/日本
配給:HIGH BROW CINEMA
スタッフ・キャスト
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2019年1月17日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
雨の音を「ぴっちぴっち ちゃっぷちゃっぷ」と表現する。その独創性。小学校で教わるか、親から聴かされるか、いずれにしろ様々な語彙に触れ吸収する幼少期に「あめふり」などの北原白秋作詞の童謡を歌うのだから、彼の言語センスに私たちが大いに影響されているのは間違いない。すでに確立した表現として当たり前のように慣れ親しんできたが、白秋が日本語詞の開拓者であることに改めて気づかされた。
山田耕筰と共作した「からたちの花」のエピソードも示唆に富む。ドイツ留学で学んだクラシックの楽典にのっとったメロディーを、白秋は「子供が歌うには難しい」と指摘する。そうした才人同士のぶつかり合いがあって、「この道」のような歌いやすく心に染みる童謡が生まれ、のちの大衆歌謡にも影響を及ぼしていったのだろう。
映画は白秋の人間的魅力と耕筰との交流を中心に描くが、白秋の功績を再認識させてくれる点も見逃せない。
2021年9月18日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
映画館では2019年1月28日ユナイテッドシネマ宮城大河原にて鑑賞
それ以来2度目の鑑賞
北原白秋は当時から高名な詩人歌人でありながら近所の人妻に手を出して姦通罪で逮捕されるようなダメな人
鈴木三重吉の仲介によって北原白秋と山田耕作の運命的な出会い
与謝野夫妻石川啄木高村光太郎萩原朔太郎室生犀星大手拓次菊池寛が登場
彼らの名前を見ると自分が国語を学んだ10代だった頃を思い出す
北原白秋三度目の妻菊子を演じた貫地谷しほりの芝居が良かった
北原と山田が初対面で喧嘩になったときに睨みつけた場面が良かった
仕事が無くなっていく白秋に対して母として息子娘のために抗議する場面も良かった
関東大震災があった
大東亜戦争があった
童謡を作っていた2人が時代に流され軍歌も作るようになった
北原白秋といえば『独逸青少年歓迎の歌』
山田耕作といえば『なんだ空襲』
家族を養うため仕方がなくかもしれないし本人ノリノリだったかもしれない
サヨクはとてもちっぽけなことでしつこく彼らを批判するだろうが今の感覚で裁くなんてあまりにもナンセンス
エンディングテーマはEXILE繋がりでATSUSHIが歌う『この道』
癒された
2020年12月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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童謡の父と言えば「兎と亀」・「花咲爺」・「金太郎」などで有名な唱歌を作った石原和三郎とされているが唱歌を万人の心の歌にまで昇華させたのは間違いなく北原白秋、山田耕筰のご両人。
映画では慎吾ちゃんですので軽く見えてしまいますがそもそも二人を結びつけたのは赤い鳥運動の鈴木三重吉、その優れたプロデュース力の賜物でもあるでしょう。
「からたちの花」がラジオ放送の開局の歌、そして白秋でなく耕筰の方の少年時代の思い出が基になっていたとは知りませんでした。
稀代の天才、二人が紡ぎ出した名曲、童謡が主題だから二人の生き様も抒情的、メルヘンチックに脚色されていますね、映画の白秋は耕筰の思い出話のように語られますから白秋の全てではないのでしょう。
男女の仲はおよそ他人には理解し難いものですが、俊子が白秋を捨てたように描かれているのはどうなのでしょう、柳川の実家が事業に失敗し白秋の元に身を寄せたが姑も俊子にも辛く当たったようだし俊子も結核を病んでいた。詩人では生活力も乏しく収入も不安定、一時、漁師にまで身を落とし、苦労の挙句の離婚とされている。二番目の妻の章子も白秋が弟の事業再建に肩入れしたこともあり着物まで質入れさせ、苦労の末、俊子同様胸を病み、挙句に不倫を疑われ離婚されている。そんな不実もあり菊子には尽くしたようだが白秋を支えてきた妻たちがあったればこその無垢な詩集なのでしょう・・。
山田耕筰とて女性関係はルーズ極まりなく宴席では猥談しかしなかったというから白秋のことをとやかく言えた義理でもないだろう、いや、だからこそ馬が合ったのかもしれませんね。
そんなことを言い出したら世界中の大音楽家や芸術家、演奏家まで似たり寄ったり、美しい詩やメロディを産み出すのに聖人君子である必要はないし、作品と生きざまは混同しないのが鉄則でしょう。生活の為には心ならずも時代に迎合せざるを得ず残した作品の多さからも葛藤、心労の程が伺えます。
時代を経た今でも歌い継がれ、白秋の詩心はサザンの桑田さんや米津玄師にも影響を与えていると聞くと感慨深いものがありますね。
2020年1月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
北原白秋(大森南朋)は与謝野夫妻からも評価される詩人だったが、女性関係がだらしなかった。
ドイツ帰りの作曲家、山田耕筰(AKIRA)とコンビを組み、童謡の名作を生み出していく。
しかし、軍国主義が世間を覆うようになり・・・。
歴史に残る名曲ぞろいだ。