女と男の観覧車のレビュー・感想・評価
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映画と演劇の橋渡しをする怪作
映画と演劇は違う表現形態だが、演劇的だからといってダメな映画とは限らないし、演劇的であることで成立する映画もあり得る。そんなことを証明してくれているのが本作。
『ブルー・ジャスミン』同様、テネシー・ウィリアムズが描くようなアメリカ戯曲に目くばせしているのは明らかで、本作ではより直截に演劇的なアプローチを取り入れている。すなわち、ひとつのシーンがまるで演劇の「場」であるように、役者たちが長セリフの応酬をし、決して自然体とは言えない大仰さもある。
ではこれをそのまま舞台劇にしても成立するかはわからない。いや、ケイト・ウィンスレットが放つ腐りかけの色香のようなものは、映像で切り取っているからこそ匂い立つのだと思う。
群像劇の体裁を取ってはいるが、やはりこれはウィンスレット演じるギニーの物語であり、この名もない女性像の内面をかくも恐ろしい人間ドラマに見せるには、演劇的な装置が必須だったように思うのだ。
巨匠の心象を映すオレンジ色の夕日
コニーアイランドの観覧車は、回っている途中で突然、レールに乗って左右にスイングしたりして、お客に一瞬のスリルを味合わせてくれる。でも、そんな時間も所詮は回りきった後、何事もなく着地して一件落着。ケイト・ウィンスレットが演じるヒロインも、ままならない人生に苛つきながら、時には思い込みで不倫にのめり込もうが、結局は本来の主婦の姿に戻るしかない。生きていくということは、観覧車に乗ってダメな自分と向き合いながら、終わりに向けてゆっくり進むようなもの。ウディ・アレンの最新作は、いつもの軽妙さを封印し、人間の愚かさを真っ向から描いて深い味わいを残す。白眉は名手、ヴィトリオ・ストラーロのカメラが映すコニーアイランドのオレンシ色の夕日。その黄昏感は、作り手アレンの心象を代弁しているようだ。
観たかった度○鑑賞後の満足度◎ 今度はややビターなウディ・アレン。空中では素晴らしい景色が見えるが、最後はもといた場所に戻ってくる観覧車に例えて、何処にも行けない人生のやるせなさを切り取って見せる。
①ウディ・アレンの演出は『カフェ・ソサイアティ』に続き好調。
②ケイト・ウィンスレットは『タイタニック』の頃と比べると大分老けちゃたなぁ。
でも女優としての実力は格段に凄い。
クライマックスシーンまでは立派なコメディエンヌぶり。
しかし、クライマックスシーンの数分間では、相手としてミッキーが居るのだけれども、殆んどが一人芝居の態でジニーという女を活写してみせる。
最後まで粘り強く撮ったアレンの演出も流石だか、それに応えて一瞬もだれずに演じきったウィンスレットも見事なもの。
舞台での名女優の一人芝居の演技を観ているみたいだった。
ウッディ・アレンは年増女が本当に嫌いなのね〜(苦笑)
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画面の美しさと裏腹に
観てる間中、「ああ、痛い!痛い!」と声が出そうになった!
どんだけウッディ・アレン監督は年増女が嫌いなのか〜(笑)
前々作の「ブルージャスミン」はいかにも痛そうだったので
観る前から怖気付いてスルーしたのだけど
今回はうっかり観に行ってしまって、
相変わらず本当に「痛い」内容で〜〜
痛いだけで無く悲しい〜〜。
主人公のジニーは売れなかったとはいえ元女優で
そこそこプライドの高い女だったのに
バツイチ子持ちで生きてゆくには
若干酒癖は悪いが、気のいい親父のハンプティに
結構無理して合わせてるうちに、
「本当の自分はこんなんじゃない!」と
昔の自分と今の自分が乖離してゆくのが
さぞや苦しいだろうに〜
と、気の毒になる一方で、
昔の自分にしがみつく気持ちの醜さも
自分の胸に手を当てる感じで痛いわ〜〜。
そうやって、ジニー的には「合わせてやっている」旦那が
縁を切ったと言っていた実の娘が泣きついて来た途端、
娘の学費のために節約して
ジニーの連れ子のためのお金は出してくれなくなる。
そんなジニーをとんでもない落とし穴に
監督は容赦なく突き落とす。
ほんとに酷い男だわ!ウッディ・アレン!
で、月に8本程は映画館に通う中途半端な映画好き的には
男性主人公のときは「なんでこんな男と?」 と思うような
性格の悪い男に、可愛い若い女性が惚れてしまうような
ご都合主義の映画ばっかりなのに
女性主人公の場合は容赦なく突き落とす〜〜。
ウッディ・アレンは本当にプライドの高い年増女が嫌いなのね〜。
私もウッディ・アレンの若い女趣味が嫌いだけどさ〜(笑)
それでも音楽や美術が毎回流石にウッディ・アレン!
と唸らされるのでついつい観に行ってしまうけど
今回はそんなものでフォローしきれない程、
悲しくて痛い映画だったわ〜
@もう一度観るなら?
「勘弁してください〜〜(笑)」
人間は、結局どんなに頑張っても孤独なのだと思いました。
女二人、ジニーとキャロライナは、最後は手に手をとって連れ立って逃げるのかと思いきや・・違ったか。
タメイキ。
観覧車はぐらぐら揺れながら終わりなく回り、人間模様も、残酷に 果て知れず回る。
エンディングで、一段と強いオレンジの西日がジニーの顔を異様に赤く照らします。そして二言三言語った途端、突然にジニーの顔も部屋も暗転。
狂気のケイト・ウィンスレットはヒッチコック女優のように見えます。
あれは
観覧車のゴンドラが部屋の前に差し掛かったのですね。凄味のある演出でジニーの壊れた瞬間がわかる。
・・・・・・・・・・・・
水泳監視員のジャスティン・ティンバーレークが吟遊詩人となって物語をリード。
活弁の解説者になったり、芝居に加わったり。
舞台や演出もそういうわけでシェイクスピアのように古風なのですが
夫ハンプティと娘を加えての主要人物の三人は、これがお芝居とは思えないほどのなりきりの演技です。
たいていの役者は、長回しの長台詞だと、どこかにボロが出たり素に戻りそうになったり、練習が完了していないやっつけ仕事の“しっぽ”が顔や声に出てしまうものだけど、
この三人はなんか、その人たちの生活をまんま見ているようで、上手さに度肝を抜かれました。
ウッディ・アレンは、
自身が吟遊詩人。人の幸不幸に立ち入らず、覚めた目でストーリーを采配する。
人の幸せを願っていない監督かもしれないけれど、自分の作った映画の登場人物の生きざま、特にハンプティとジニー夫妻の人生の取っ組み合いに、逆に監督が批評されて、登場人物から反撃されているのではないだろうか。
それほど俳優たちの生の演技が立ち上がってきていて、凄かった。
こういう破壊的な女性って、いるよね
周囲のすべてを不幸にする女性が主人公のドラマです。
不幸をまき散らしている元凶は、ひとえに本人の性格のせい。
……なのだけど、本人にだけは自分自身がなにも見えていない、という映画です。
本人にだけは見えない自分自身。
だから本人もハッピーエンドになるはずもなく、それどころか、周囲のみんながみんな、例外なく不幸に落ち込んでしまう。
原因は、たった一人なのだけどね。
その原因の人は、自分自身が原因だとは露ほども思っていないわけで……。
こういう人って、いるよねーという映画なのだろうか、と思うのでした。
ケイト・ウィンスレットは、昔の美人の面影が残ってはいるけれど、白人の歳の取り方は異常に早いようで、40歳になる女性を演じている65歳の女優って感じで痛々しかったです。
作品的には、どこにも楽しめる要素が見当たらなかったので、巨匠監督に敬意を表して★二つを付けましたが、こういう「いさかい」ばかりで構成された作品は、見たくありませんでした。
女の嫉妬は恐ろしい
ドロドロの愛憎劇。不倫した男女にパートナーを裏切ったという罪はあるが、それでも恋は理屈じゃなく感情だよってことでよくある話だし、許容できる。けれども、ギャングに命を狙われてるのを知ってて、見殺しにした女の罪は思い。これには度を超えた仕打ちに思えた。自分を裏切った若い男への復讐と女への嫉妬が、電話を途中で切ってしまうことにつながった。女という生態の恐ろしい一面を描いた作品。
非日常への憧れ
毎日に疲れた主人公に夫の連れ子が、現れることにより混乱する物語。
正直退屈でした。
主人公も含め、共感できる役がないところが原因かと思います。
ヒステリーな主人公、放火に魅入られる息子、頼りない旦那、自分勝手な娘、主人公と浮気する男、何一つワクワクさせるものがなかったです。
唯一、共感できたのは現実逃避したいという願望かな。
釣り嫌いのオフィーリア
「この映画は(古のハリウッド映画への)オマージュではない」ハリウッド嫌いで有名なウディ・アレンがその楔から解かれ、amazonの出資(現在は最新作の全米公開をめぐって係争中とか)を得て初めて製作された作品であることに注意しなければならない。なにせ本作でウディがオマージュを捧げたのは、ハリウッド永遠のライバル=ブロードウェイの名戯曲作家たちだからである。
主人公のジニー(ケイト・ウィンスレッド)は演劇女優を志した過去があり、釣りと野球にしか興味のない粗野な亭主ハンプティ(ジム・ベルーシ)との味気ない生活にはうんざりしている。持病の偏頭痛はひどくなる一方、最近は薬も効かなくなっている。コニーアイランドの砂浜で知り合った演劇に造詣の深い監視員ミッキー(ジャスティン・ティンバーレイク)とそのまま不倫関係に。そこにハンプティの前妻の娘キャロライナが何やら訳ありで出戻ってきて…
その演技力には定評のあるケイトをあてがきしたというシナリオは、シェイクスピアからユージン・オニールまで、かのレジェンドたちがしたためた戯曲作品に登場する人物になりかわり、精神不安定なジニー母さんが“WONDER WHEEL”の原色ライトを浴びながら七変化する様を、ケイト・ウィンスレッドが見事に演じ分けるという非常に凝った内容になっている。
学校にもいかずコニーアイランドの映画館に入り浸り、疑惑の火消し?ならぬ火着けに明け暮れるジニーの連れ子リッチーは、おそらく幼小期のウディ・アレンそのままの姿だろう。そんなリッチーが学校で問題を起こすたびに夫ハンプティに八つ当たりするジニー。「これは本来の私の役じゃないの」つまりこのかりそめの夫婦生活もジニーにとっては演じている役の一つにすぎないのである。
過去に女優を志したジニーはアントン・チェーホフ作『かもめ』のニーナを、粗野な夫とそりがあわず別の男にはしる精神不安定な女はテネシー・ウィリアムス作『欲望という名の電車』のブランチを彷彿とさせる。ついには酒に溺れ現実逃避を試み茫然自失するジニーはユージン・オニール作『氷人来る』からの引用だろうか。恋人に別れを告げられる純白ドレスの耳元に花をさした狂女はいわずとしれた『ハムレット』の(釣り嫌い=水が怖い)オフィーリア…
永年ハリウッドに尽くしてきたにも関わらず、#Metoo運動の標的にされ、事実上映画界からも放逐されたウディ・アレンの恨み節が炸裂した1本なのである。
さすがウッディ・アレン
ウッディ アレンの独特の映像美に包まれた約100分でした。 ケイトウィンスレットは、「 タイタニック 」以外あまり知らなかったけど、こんな演技派女優だなんて知りませんでした。旦那約のジェームズベルーシの久々の役所もよかったです。
生きていて、過去の過ちから、自分の人生設計が思いもよらぬ方向に向き出して、最終的に、俺の人生は、こんははずじゃなかったのに って思っている人生の曲がり角に来ている中年人って、世の中にたくさんいると思う。そんな思いをもった女性を、見事にケイトウィンスレットは演じていると思う。映画の中での、1人の女性の心の中にある複雑は気持ちの葛藤に、ものすごく共感しました。
ただ 夫婦はお互いに、一つぐらいは、共通の趣味はあるほうが、いいと思いました。
タイトルなし
1950年代 コニー・アイランドが舞台
ウディ・アレン監督映画
.
結婚しても駄目男と不倫し破局
大切な人だったと気づいても後の祭り
息子の為と再婚した相手も…。
息子が火遊び(放火)に魅了されてるのに
ちゃんと向き合っていない
生活に疲れ果て逃げ出したいと思っている
そんなところに現れたのは若い青年
駄目男(ジャスティン・ティンバーレイク)
『今の私は本当の自分じゃない。ただ演じているだけ…』と
理想を夢見 若い青年に入れ込み
追い求め更に願望は膨らむ
(🤔息子が火遊びに夢中になるシーンは
母の火遊びを描写してるんだ…😧)
彼と義娘との関係に嫉妬し
堕ちていく様は見苦しいほど
そんなジニーを
ケイト・ウィンスレットが見事に演じた
.
嫌な話💦
だけど世の中にありそうな話💦
嫉妬に狂う女は怖い
怖かったぁ😖
そうならないために
この姿は
映画で観ておいたほうがよいのかも
.
コニーアイランドのルナパーク遊園地で
1920年から稼働している観覧車
「Wonder Wheel」が原題
風景や町並み 当時の衣装
映像がとても綺麗で見処たくさん
観覧車は乗っても
頂点まで上り詰めたらあとは下りて
結局は元の場所へ
彼女の人生も…🎡同じ
大人の女性の感情
タイタニックで一世風靡したキラキラしたヒロインも20年が経過し、退屈な旦那との日常から逃げるように若い男にときめき、不倫に溺れ、恋敵として現れた若い義娘に恋人を奪われ捨てられ嫉妬に狂うもの哀しい女性を演じる。大人の女性の感情を巨匠ウッディアレンが絶妙に風刺。『あるある』な物語に惹き込まれる2018年上映で見落とした意外なお勧め映画。
寂寥か懐古か。
50年代の寂寥感漂う遊園地の片隅で繰り広げられる荒んだ人生ドラマ。この映画を古き佳きアメリカを懐古して見る見方と、退廃的な人生を味わう見方で分かれるのではなかろうか。
ストーリー自体は冒頭に宣言される通りのメロドラマ。クサすぎるくらいにメロドラマ。不倫、恋人の娘への恋、ヤクザからの逃避行、非行少年、そしてやはりドラマの設定の主役は貧困。バッチリである。
問題だけ拡大し、何も解決せずに終末を迎えるのだけは懐古主義的じゃないですね。
キャラ設定の洞察が素晴らしい
この作品がアカデミー賞にかすりもしなかったのは、ウッディ・アレンの小児性愛疑惑のせいだったのか。ケイト・ウィンスレットは、老けてむくんで全く美しくない中年女性を、むごたらしいくらい容赦無く演じていて、主演女優賞行けたんじゃないかと思う。少なくとも美術賞は獲れたんじゃないか。『ブルー・ジャスミン』に続いて、現実逃避しないと生きられない女性を描いているが、ジニーが感じる焦燥やイライラは、取り立てて不幸な生活をしていなくても、女性なら感じるものだと思う。ジニーのキャラ設定の洞察が素晴らしく、個人的には、ウッディ・アレンの代表作の1つになるのではと思った。
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