焼肉ドラゴンのレビュー・感想・評価
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初めて、感心した。
私は、今まで30本くらいの韓国映画(「族譜」や「ホワイト・バッジ」など)や在日韓国朝鮮人を扱った日本映画を数本、観てきましたが、どの映画にも共感できませんでした。日本人と朝鮮人の精神性に余りに大きな懸隔があったからです。文献などにより韓国人を知れば知るほど、同じ東アジアに住んでいる民族とは思えないほど、異質の精神性を持ち合わせているのです。この映画でもひとつの家族が些細なことで喚きあい、怒鳴りあっている前半部分を観て、ああ、いつもの例の韓国人だな、と溜め息がもれました。特に激情型の母親の人物造形には嫌気がさしました。しかし、我慢して最後まで観てみると、この作品がひとつの日本映画として、光を放っていることがわかってきます。間違いなく、今年を代表する日本映画のひとつです。それは保証します。
いまだ、マスコミでは、韓国および、韓国文化に対して歯の浮くような見え透いたお世辞を並べ立てる輩が多いのですが、是非とも、是々非々の立場でものが言えるような関係になってもらいたいものです。この映画の鑑賞後、近い将来、「火病」や「鬱火病」といった単語が当たり前のように国語辞典の載るようになれば・・・、と思ってしまいました。
「明日はきっとえぇ日になる」という祈り
「たとえ昨日がどんなでも、明日はきっとえぇ日になる。」
冒頭にアボジがトキオに向かって言うこの言葉がラストで繰り返される時、トキオはもうこの世にいない。
2時間の間に観客はアボジが言う「昨日」がどれだけ過酷なものかを知らされる。
喧嘩しつつもいわゆる「絆」で結ばれていた家族はバラバラになり、彼らがこれから歩む道のりが決して平坦ではないことは、観客には容易に想像できる。
それでも、それでも、「明日はきっとえぇ日になる」。
それは願望というよりは、祈りのようなものだろう。
小さく古い家屋の中で大家族がひしめきあうさまは「万引き家族」と似ているが、日本人らしく淡々と生活しているあちらとは違い、こちらの一家は朝鮮民族らしく、事あるごとに喜怒哀楽を爆発させる。
毎日のように大騒ぎし、烈火のごとく怒り、殴り合い、大人の男でも声を出して泣く。
この騒々しさが苦手な人は、見ていてうんざりするかもしれない。
でも私は彼らのエネルギーにつられて、いっぱい笑って、肩を震わせて泣いた。
また「万引き家族」と同じく、彼らは歴史に翻弄された人々ではあるが、その半面ダメな人たちでもある。
アボジは家族のためにどんな時も頑張ってきたが、家の土地が国有地であることからは目をそらし続ける。
オモニは愛情深い人だけど、一度怒るとヒステリーで手がつけられない。
美人3姉妹も、それぞれにダメな所がある。
その中でも特に私が「嫌いだわ〜」と思ったのは、真木よう子演じる静花。
幼馴染の哲男が自分を好きなのを知っていて、自分も哲男が好きなのに、「妹のために」とか「私が我慢すればいいんだ」とか思って気づかないフリをしてやり過ごしている。
こういう、自分の欲望を表に出さず、ニコニコとやり過ごす女は、モテる。
次女の梨花は夫の哲男と静花に対してずっとイライラしてるけど、私は彼女の気持ちがよく分かる。
「あんたが「妹のために」って我慢すればするほどこっちはみじめになるし、迷惑なんだよ!」と言ってやりたい。
梨花にいい彼氏ができて本当によかった。
その梨花を演じた井上真央、本当に怒る演技が素晴らしかった。
どれだけ怒り狂っても、というか怒れば怒るほど可愛くなるという凄まじさ!
これからもブチ切れる演技をいっぱい見せてほしい。
それにしても、静花に恋をして一生懸命日本語を勉強して、いざ結婚!って段階になって目の前で他の男に取られちゃうイさん可愛そうだったなぁ…亀の子だわしとか言われるし…
泣いた
深刻なシーンの直後に大体間の抜けたコメディリリーフが入るので感情移入しにくい人は居るだろうなとは思った。多分元が演劇だからそうなるんだろうな、とは思う。
家族群像劇とでもいうのか、色々なことがどんどん起きるが、結局これは父と母の物語なのだと思う。彼らの表情と語りが全てであり、三姉妹や大泉洋が脇だな、と思った。彼らの愛憎劇もドロドロで見応えはあるのだが、全体からみるとそれはやはり挿話でしかない。
ラストはすごく大団円みたいに終わるが、これはおそらく悲劇なのだろうと思う。前向きで笑える悲劇。多分、もっと悲劇的に描くこともできた。そこを笑いと叫びにしているところがこの映画の凄さだと思った。
単純に、いい映画だと思う。キム・サンホで散々泣いた。
なぜ帰れない?歴史の事実を知ると。
映画的には、
在日朝鮮人の歴史にほんろうされながら、
差別にあいながらも、健気に生きてきた物語。
素晴らしい明日を夢見ながら、と言う感じか。
日本の家族と、韓国や朝鮮の家族の違いが、
興味深い。
普段はおとなしい父、オモニと呼ばれる母の気性はあらいが、愛情深いの家族。
ほとんど見分けのつかない、日本人と韓国人の、
生活習慣の違い、気持ち、考え方の違い。
彼らが、なぜ日本にいなければならないのか?
なぜ、帰れないのか?
植民地にされ、徴兵されて、連れてこられた?
それ本当?でも、なんで、戦後帰らない?
ちょっと済州島で事件があったって?逃げてきた?
それって、韓国人による韓国人の虐殺の四.三事件?
韓国内で、差別あったんだろう?
朝鮮戦争だって、北と南の同じ民族の争いじゃ?
映画では、断片的に出てきたけど、よく知らない歴史。
よく調べれば、わかるが、
映画だけみて、なんか、日本が悪かったんだなー
的な考え方になる人ほとんどじゃないかな?
土地だって買ったと言ってたけど、本当?
なぜ、日本でしか生きていけなくなったのかな?
ムスメたち、韓国行ったり、北行ったり、
一緒に帰る道はないの?
帰ると、より酷い差別あるから?
本当は、より貧しい生活が待ってるから?
現実の、現在の財閥支配の身分社会制度、
当時は、よりひどかったかも。
いろいろ考えて、素直に見られなかったよ。
日本と、韓国の本当の意味の和解、友好を望むけど、
そんな日来るのかな?
自分のあの頃を思い出しながら自然と涙が
舞台演劇感が強い
全く期待はしていませんでした。
こんなに泣かされたそして笑わしてくれた作品には、最近お目にかかりませんでした。
高度成長期における韓国人が、日本国内で差別と偏見の中で苦しみながら生き抜いた労苦の連続が作品から滲み出ていたと思う。お母ちゃんやお父ちゃんのキャラクターが抜群に愛らしい。
「ご返杯」の場面は何ともいえない。その後の長女の薬缶は、もう~最高。お父ちゃんの口から出てきたのは『四・三事件』のことか?
あそこまで息子を死へ追い詰めたお父ちゃんの真意は納得できない。
ラストの家の崩壊は、ある一家の崩落を意味しているようで、言い知れぬ寂しさを感じずにはいられない。強いて言えば、花火の音が、若干、不連続であったような気がする。「長女の足」のことは、最初から気にはなっていたが、もう少し早く事実を描く場面はなかったろうか。
舞台の映画化であるらしいが、お見事な作品であった。
役者陣がすごい
「吉本新喜劇?」というベタベタの笑いで引っ張っておいて、ポツリと登場人物がシリアスなこと言うとシリアス劇っていう、笑い、シリアス、笑い、シリアスっていう構成なのね。
シリアスパートで主張がストレートに出てきすぎるから「もうちょっとシナリオなんとかしようがあったのでは」と思いながら観ちゃうの。
でも、役者がうまいから。それで、なんとかしちゃう。誰にどんな演技ふっても大丈夫な役者陣だもんね。みんなうまかったけど、井上真央がすごいなと思った。
あと脚本のところで言うとさ、作中で死ぬ人物がプロローグとエピローグのモノローグやってんだよね。これは流石に無理があった。エピローグのモノローグって「いや、こいつはどこから事の顛末見てたんだよ?」って思ったし、「こんな脚本書いてるからみんな厳しい生活になっちゃったんじゃないの?」と関係ないことすら思ったよ。
働いた、働いた
お父さんが超良かった。苦労を重ねて、それでも文句を言わずに働き続けるお父さんが、三女の婿に娘をよろしくと言うシーンと、立ち退き要求の市役所職員に腕を返せ!息子を返せ!と叫ぶシーンの感情の爆発。すごかった。人生辛い事ばかりで、苦労しても報われる事は少なくて、手に入れた幸せを予想外に奪われたりもするけど、それでも身を寄せ合う家族が居れば、また立ち直るんだなと、まだまだ頑張れるんだなと思いました。長男が死んだ時はこの世の終わりくらい沈んだけど、最後は希望で終わりました。面白かったし、勇気をくれる、すごい映画だった。
どこを見るか?
いやー濃かったわ
人間関係が濃厚。昔の壁もないような家に大勢で住んでいるからから隠し事なんてできない。血が濃くてしょっちゅう殴り合い。でも観ているうちにその関係が愛おしくなってくる。最後の別れのシーンでは涙した。いろいろあったよね〜
史実とコメディを混ぜたエレジードラマ
焼肉っていう美味しそうなワードに惹かれてついつい観たら 予想を超えて強烈なエレジーだった
三姉妹と息子それぞれの人生模様に焦点当ててストーリーが進むけど、
最後に全部を持っていくのは 隻腕のお父さんの激しい独白! あれは凄みがあった
済州島の虐殺事件から逃れてきたのね、謂わば難民だなって捉えた 全部失ってお母さんと出会って寄り添って 子供達を食べさせてっていう業を背負ってる
内戦の虐殺で難民になったり経済的困窮から日本へ渡っていたけど そこで待ち受けているのは 差別と貧困という苦難 つらいな
アボジ オモニ よくぞ頑張ったよ
ラストの帰結 報われなさ が 苦いけど
リアカー牽引しながらのお父さんの咆哮! あれは 負けてたまるか!っていうお父さんの決意表明に感じた
苦難の極みっていう場面なのに
舞い散る桜だったり花火にふれるシーンを被せてきて、辛くとも美しいことに感じ入ることで心を癒して明日に向かうお父さんとお母さん、
逞しく感じた
一方で、ナレーションが時生だったのは効き過ぎ!
勇気と悲しみを 同時に噛み締める良質なエレジー作品だった
オモニとアボジの二人に全て持って行かれた映画、大泉や真木の演技なん...
思ってたよりも深い作品
韓国の役者さんもいいですね!
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