言うまでもなく「Proud Mary」とはCCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)が残した名曲であり、1969年全米チャート2位を記録して以降、様々な大物アーティストによってカバーされている。日本だって尾崎紀世彦やキャンディーズなどもカバーしているほど有名な曲。どちらかといえばロックよりフォークソングといったイメージだったのだが、終盤にはノリのいいロック調のカバー曲が聴けるので、派手なアクションとともに心拍数が急上昇してしまうのだ!
主人公メアリーはベニー一家の構成員で黒人女性のヒットマン。1年前、ある組織の元締めを暗殺したのだが、子供を殺す主義ではないので彼の息子ダニーは殺さなかった。ある時、麻薬取引のパシリをやらされていたダニーを見つけ、元締めのアンクルという白人に虐待されていることを知り、ついアンクルの一味を皆殺しにしてしまった。しかし、そのアンクルはベニー一家と敵対するロシアンマフィアコゾロフ組の関係者だったので思わぬ事態に陥ってしまう。メアリーは自分が殺したことを隠し続けていたが、変態男ウォルターを差し出して和解に持ち込もうと提案する。が、その間にベニー一家の構成員5人が何者かに襲撃されてしまう。こうなったら、皆殺しだ!と、メアリーと元恋人であるベニーの息子トムがコゾロフ組を襲撃する・・・といったおおまかな展開。
ダニー・ボーイを拾って匿っていた動機は、最初は罪悪感から。やがて自分の息子であるように母性愛が育まれていくメアリー。組を抜けたがっていたこともあり、ダニーと一緒に抜けようと懇願もするが受け入れられない。少年ダニーは単独でベニーを殺そうとするも、「彼の父親を殺したのはメアリーなんだぞ」と秘密を明かされ当惑する。しかし、あっさりメアリーが忍び寄って育ての親でもあるベニーを殺してしまうのだった。
よくあるマフィアもののシチュエーションではあるが、黒人女性のヒットマンという珍しさや、舞台がボストン。舞台がマサチューセッツやシカゴであったりと、どことなくブルース・ブラザースも感じさせる黒人文化と音楽を堪能できる。序盤では「悲しき願い」のジャズバージョンも聴けるのですが、ベニー役のダニー・グローバーも“don't let me be misunderstood”と言ってたような気がする。この曲もアニマルズのオリジナルやサンタ・エスメラルダのカバー、珍しいところで尾藤イサオのカバーもあり、馴染みが深い。
主人公メアリー役のタラジ・P・ヘンソンは『ベンジャミン・バトン』(2009)や『ドリーム』(2016)で有名になったが、垢抜けなくて庶民的なおばちゃんといったイメージを残していることが愛着湧くのです。どことなく雰囲気が『ジャッキー・ブラウン』(1998)のパム・グリアも彷彿させたりするけど、終盤のアクションシーンはかなり驚かされる。ネタ的には使い古されているし、ストーリーもそれほどじゃないけど、彼女と音楽に酔いしれろ!てな感じでした。