ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男のレビュー・感想・評価
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ゲイリー・オールドマンの演技が圧巻!
『ダークナイト』シリーズでは優しいゴードン警部補のイメージが強いゲイリー・オールドマンだが、今回は短気で口が悪くイライラした演技と特殊メイクでチャーチル本人のよう。戦争映画を第一線の戦場ではなく遠く離れた政治の場での駆け引きの面から見せることで、かえって現実味を感じた。『ダンケルク』の裏での国内外の交渉の様子が興味深かった。英国映画らしいテンポの良さと時折皮肉を交えた展開は、最後まで飽きることがなかった。エンディング後の最後の最後に「あの音」を流したのもなんとも粋な終わり方だった。
植民地帝国を誇るようなラストの演説シーンの意味は…
「プライドと偏見」「つぐない」と
同じ監督による作品とは知らないまま、
「スリー・ビルボード」
「ペンタゴン・ペーバーズ」
「シェイプ・オブ・ウォーター」の話題作が
キネマ旬報1~3位を占めた年に
第69位という低評価だったこの作品を、
でも、私は大変面白く鑑賞した。
一つは、日本人による特殊メイクの
チャーチルは見事の一言で、
そんな中でも、チャーチルが、時折
ゲーリー・オールドマンに見えるという、
ただ似せただけではないメイクアップ技術に
感服させられた。
また、話の展開では、当時の英国が、
チャーチルのかなり強引な反ナチス誘導や、
彼の首相任命で、
潰えていたかに思っていたチェンバレン政策
から引き摺る対ナチス宥和政策を背景に、
他の政党からの引きずり落とされかねない
政治状況があったこと、
また、当初は米国からの軍事支援も
得られていなかった事、
更には、チャーチルには
国王との確執もかなりあった可能性も
初めて知ることが出来た。
また、当時の戦況として、
ダンケルクの大軍撤退のために、
カレーの部隊を犠牲にしていた事も。
そんな中、チャーチルが
ロンドン地下鉄で市民の声を訊いて、
ナチスとの対決を決意するシーン、
多分にディフォルメされているのだろうが、
ロンドン市民の心意気を示す演出には
思わず涙を誘われた。
また、国王がチャーチルの自宅を訪れて
彼のナチスに対する厳然とした姿勢に
賛同すると伝えるシーンは
フィクションなのかも知れないが、
これも、作品としての盛り上げ要素として、
受け入れることが出来た。
ただ、最後の演説のシーンでは、
例え事実だとしても、ここまで人間の尊厳の
観点から盛り上げてきた作品として、
なにも植民地政策を誇るような
大英帝国的意識の演説は、
この作品としての一貫性を
マイナス化させてしまった印象があって、
省くべき要素の台詞ではなかったろうかと
残念に感じたが、
戦費調達のための借財や植民地の独立で、
大戦後の英国は世界中の権益を失い、
世界帝国の地位を失った、
そんな歴史認識をあえて自虐的に踏まえた
描写だったのだろうか。
究極な苦渋の選択
独裁者の武力に屈して降伏(和平交渉)するか、犠牲を払っても最後まで闘い続けるのか、様々な考えや視点があり決断はとても難しいものだったと思います。
ただこの映画を観て、今のウクライナの選択に理解が深まりました。
地下鉄のシーンは、とても素敵なシーンでした。あと演説のシーンが素晴らしかったです。言葉は人を動かしますね。
すっかりチャーチルになりきったゲイリー・オールドマン、チャーチルを励ます秘書役のリリー・ジェームズなど、キャスティングもとても良かったです。
緊迫感がリアルに表現された名作
ナチスの恐怖がイギリスに及ばんとする時、ゲイリーオールドマン扮するウインストンチャーチルが首相に指名され、ただちに組閣した。
国難の折に登場させられるは貧乏くじともなるが、恐れずに指名を受ける覚悟が素晴らしい。過酷な試練が見えてても挑もうとするチャーチルは大したものだ。辛い決定も逃げられず、批判があろうが実行していく勇気。本土決戦を目の前に講和を拒否する緊迫感がリアルに表現された名作だ。
言葉が人を動かす
本映画に関しての史実のほどはよく知らないのだが、第二次世界大戦における日本軍にも最後まで降参しないという点で少しは褒められるとこもあったのだなと思った。この映画の最後のように日本国民が劣勢であり勝算は非常に低いがそれでも屈しない方を選ぶかと問いかけられていたら何か違ったのかな。言葉は人を動かすし欺きもする。
真上からの視点が強力な印象の映画。
内容は、1940.5.9〜5.28までのWW2開戦したばかりのイギリス🇬🇧のチャーチル首相を主人公とした葛藤と後悔と慟哭に満ちた1人の人間の話。好きな言葉は『自分でも分からない。勇敢に戦って敗れた国は再起出来るが、怯え逃げた国には未来が無い。自分の気持ちは本当に、心底恐ろしいですよ』イギリス国王との忌憚の無い言葉のやり取りで、国王も腹を割って決断し良好な関係に一気に舵を取ることとなる起死回生の場面。落ち込んでからの盛り上がりが上手い。好きな場面は、映画『ダンケルク』を見て現地兵隊からの🪖視線でも見えた(本当に絶望的状況下)ので政治的判断と海の向こうではこうなってたのかぁと全然違う視点で見えたのが面白かったです。作戦名ダイナモ!もう一度ダンケルク見直してみようと思いました。撮影方法も独特なスタイルで真上からのアングルが多用されて俯瞰に寄り添いその場に入り込むという臨場感ではなく客観的に冷静に観る事ができ映画内の意図も感じ取れました。独善的で冷酷非道なチャーチルも葛藤に悩み苦しみ泣き虫な一人の孤独な人間であると描かれ。国民の総意を叶える事が我々の使命だと台詞にあるように、議会制民主主義を全面に押し出した様な作品でした。歴史にたらればはないですが、夜明け前の一番深い暗闇の一部分を覗き見て、それでいて最後はカッコよく終わる観ていて勇気の湧いてくる映画の仕上がりでした。チェンバレンのハンカチも伏線として待ち遠しいかったので出てきた時は嬉しかったのです。最後の鐘🔔(Big Ben)とチャイム♪も馴染みがあり締めに良かったです。
和平交渉か、ダンケルクを救済し徹底抗戦か。 味方が少ない中で、多く...
和平交渉か、ダンケルクを救済し徹底抗戦か。
味方が少ない中で、多くの犠牲を生むかもしれない国の大きな決断に葛藤、苦悩、恐怖するゲイリー・オールドマンの演技が素晴らしかった。そして、ゲイリー・オールドマンとはわからないほどのメイク。やはりアカデミー賞ものの作品でした。
一緒には働きたくないなぁ
これを見て第二次世界大戦のヨーロッパ西部戦線が解ったような気になっちゃいましたが、まだまだ序盤の4週間、濃厚な政治の季節でした。
NHKの歴史秘話ヒストリアとかで取り上げられても見入ってしまいそうな内容を、チャーチルそっくりな特殊メイクをしたゲイリーオールドマンが熱演してくれるわけですから、思わず引き込まれました。
しかし、面倒臭さそうなジジイですね、チャーチルは。間違いなく第二次世界大戦の英雄なんですが、絶対に上司にはなって欲しくないタイプです。そんな我の強い男があそこまで追い込まれる。心理状態とリンクしたようなライティングも良かったです。
この後イギリスが勢いづいたんだろうなぁと思わせるようなラストでしたが、実際にはノルマンディーまで何度も敗戦してるんですね。最終的に勝てたから英雄だけど、負けてたら泥沼に引きずり込んだ大悪党でしたね。
原題は「Darkest Hour」邦題はセンスなし。
勝てば官軍
観たの忘れてて2度目の鑑賞、、、。
まぁ、そういう作品なのです。でもいい作品なのになぁ。ストーリーが弱いし、パンチがない。実話ベースなのにキングの変化が分かりにくいし、感動するのはフィクションの部分という感じで監督の手腕で楽しめる仕上がりなのです。それでも2回目も安心して観れたりはします。
ゲリーは無茶苦茶上手いと思うし、ダンケルクのことがあるから部分的には泣けます。それでもあの時のヨーロッパの人々の気持ちをしっかり汲み取らないと感情が乗り切らない作品かと。
そして、今の日本が戦火に置かれた時最後の1人まで戦うはきっと選択できないだろう。だから余計に気持ちが乗らないのかもしれない。世界はやはり勝てば官軍負ければ賊軍なのだ。
救ってくれたのはアメリカでしょ
この映画を観て当時のイギリスと1945年の日本が結構似ている事に気づいた。徹底抗戦派と和平推進派の延々と続く論争。不屈というと聞こえは良いが、抗戦派には説得力のある材料がほとんどない。ダンケルク撤退も人道的理由というより本土を守る手駒が無くなってしまうからというほど陸軍力も低下してたことに驚く。後半、年端のいかぬ少女までがNever!Never surrender!と合唱するシーンに思わず喝采しそうになるが、これを国防婦人会の奥さんが「銃後も皆最後の1人までお国のために戦います!」と宣言するシーンに置き換えたらどうか。「国家の扇動って怖いなあ」となるのではないか。バトルオブブリテンで敵の作戦ミスにも助けられて何とかギリギリでうっちゃり、ヒトラーの関心がソ連に行ってしまい、真珠湾攻撃でアメリカも参戦し、とラッキーの連続でたまたま結果オーライとなっただけの気もして、なんだか映画の意図とは裏腹にチャーチルの偶像感が薄れちゃったかな。もしそこまで見越した密約がルーズベルトとの間にあったのなら世界を巻き込んだ恐ろしい策士ということになるが、さすがに不確実要素ありすぎだろ。ただこのような英雄であっても状況が変われば選挙で無慈悲に用なしにされてしまうのが、英国、というか民主主義の崇高なところではあるな。
大木のよう
木には根があり、太い根から細い根まで寄り集まって地上の幹を支えている。大風を耐えるには幹そのものの重量と、それ以上に根の存在が重要。人間関係の構図、揺れ動く様がとても分かりやすく、立体感のある作品だった。映像表現や役者の演技も安定感があり、いい手触り。
ウィンストン・チャーチル
ダンケルクの背景を知る。
チャーチルは孤独だったけど、それを妻とかが支えた。
「最悪なのは断片だけ知ること。」
こういう映画で歴史をより深く学べる。
学校では断片でしか教わらない。その裏側とかを教えられるように。
「欠点があるから強くなれる。迷いがあるから賢くなれる。」
奥さんは最後まで彼の理解者であり、彼を勇気づけた。
大切なのは面と向かって話すこと。話してみないと真実は分からない。
言葉は歴史をも変えられるくらい強い力を持つ。
この映画に人生において大切なことがいくつかあったように思う。
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