映画レビュー
前田、富永、福原、大塚、高橋、杉山、飯島・・・
広末涼子主演のTV『愛なんていらねえよ、夏』の韓国リメイク作品。巨額の借金を背負った元ナンバーワンホストと豪邸暮らしの盲目の少女の物語。盲目の少女ミンは両親が亡くなり、相続のため失踪していた兄にもお呼びがかけられたのだが、その兄は交通事故で死んでいて、その兄貴分であるジュリアンが兄になりすまして豪邸に乗り込むというもの。(注:濁音は語頭にこないので、正確にはチュリアン)
境遇は全く違っているものの、金が全てという周囲の人間に嫌気がさし、「愛なんていらない」とうそぶく2人。とにかく借金返済のために、ミンとの兄妹愛を確実なものにして遺産の取り分を頂いちゃうという当初の目的だったジュリアン。兄であると証明されれば、亡き父の遺言通り分配されるのだから、ミンが死んでしまってもいいのだと、一瞬、邪な考えがよぎる場面が凄いのです。心理劇として優れていたのは、この線路上を歩くシーンだけだったかも・・・
失明したと知ったことと、手紙が点字だったという矛盾。他にも誰も成りすましを見破れないとか、かなりツッコミどころもあったり、テンポが速すぎることも感情移入する気持ちを阻んでしまう。それでもミン役のムン・グニョンちゃんが一人で買い物に出かけ、兄のために指輪を買うシーンは感動的。泣けるところはここだけだったかもしれません。
後半にはミンが脳腫瘍を患ってることも判明。失明の原因を考えれば納得なのですが、不幸の上塗りによってどんどん観客を泣かせようとする手法。そんなときでも、もし手術が失敗してミンが死んでしまったら遺産はどうなるのか?と考えてしまう。逆に、手術に成功して視力が回復してしまったらジュリアンはどうなるのか?余計なことを考えすぎです・・・
ラストはあやふやな描写。死んだのか、死んでないのか・・・その答えはBOAちゃんの歌にあるような気がしました。尚、「愛なんていらない」という台詞は本心なのか、ただの強がりだったのか。そして、終盤にはその真意がどう変化したのか・・・などといった議論は、それだけで酒のつまみになりそうな美味しいところでもありました(と言っても、最近酒は飲んでません)。