日日是好日のレビュー・感想・評価
全312件中、41~60件目を表示
日本の原点が心に沁み込んでくる
日本人であることを強く意識できる極めて日本的な作品だった。全編を通して、物語のワンシーン、ワンシーンが自然に心に沁み込んでくる。観終わって心地良い余韻が残る。本作は、茶道を学ぶ女性の半生を通して、生きるための心構えを我々に教えてくれる秀作である。
本作の主人公は、大学生の典子(黒木華)。彼女は、大学生になっても自分の本当にやりたいことを見出せず満ち足りない日々を過ごしていた。そんな彼女を見かねた母は、彼女に茶道を勧める。彼女は戸惑いながらも、従妹の美智子(多部未華子)とともに、茶道教室に通い始める。そして、次第に茶道の魅力に惹かれていく・・・。
派手な作品ではない。しかし、典子たちが茶道を学ぶことは日本の原点を学ぶことに通じていて、我々観客も日本の心に触れることが出来る。茶道教室の先生役の武田のおばさん役の樹木希林の佇まいが素晴らしい。茶道の達人でありながらも、驕るところは少しもなく、典子たちを優しく、時にコミカルな雰囲気で茶道の世界に導いていく。樹木希林の佇まいは凄いというよりは、無駄がなく自然であり水の流れのように周りに溶け込んでいく。人生経験に裏打ちされた、泰然自若とした落ち着きがある。典子たちに語る台詞の一つ一つが、味わい深く人生訓のようだ。特に印象深いのは、形から入って、心は後から入れるものという言葉である。最初は真摯に学べ、考えるのはその後だ、と理解できる。我々が人生において様々なものを学ぶ時に忘れてはならない名言である。
典子は大学卒業後も定職に就かず、バイトをしながら茶道教室に通い続ける。その間、典子の身には様々な事が起きる。そのたびに、武田のおばさんは、優しく典子に寄り添う。そして、典子は、茶道教室に掲げられていた“日日是好日”という言葉の本当の意味を理解し人生を歩んでいく。
本作は、静かな作品だが、茶道を通して日本を強く感じることのできる秀作である。
茶道を通して、淡々と場面は展開していく。 時には楽しく、焦り、傷つ...
現代人へのプレゼント
現代に疲れた人々へのプレゼントのような映画だ。
今の社会は全てがはやい。効率を求めて無駄をはぶく。快適さを求めて自然にあらがう。
劇中では、就職活動というテーマを通してそれが語られる。主人公の様に迷いが多かったり、思いを直接言葉にできない人間に対して、企業は魅力を感じない。新人を育てる余裕もない。現代社会は、論理的で処理能力が高く即戦力になる人物を求める。
濁流の様な流れに乗れない人間に対して現代社会はあまりに冷たい。
この映画はかつての日本人が大切にしていた時間の感覚や人の育て方を思い出させてくれる。何かを覚えようと焦ったり、意味ばかり求めなくてもいい。自然に合わせて人間の暮らし方を考え、それを楽しめばいい。
大丈夫、ゆっくりでいい。周りに合わせなくていい。
美しい映像と役者達の所作が、そう語りかけてくれる。
眠くなったら途中で寝ても、いい映画だったと思えるような、癒しを与えてくれる映画だった。
雰囲気を楽しむ。
もう少し踏み込んでも。
さらっとした語り口で、あまり気負わないでみられる映画。
ただ、茶の湯にもう少し踏み込んだ描写があっても良かったかな、と思います。。
たとえば、蹲にいつもより多めに水を入れておいた、就職試験に合わせて達磨の掛け軸をかけた、はわかるのですが、先生がまさにその室礼を整えている裏方の場面があったらもっと茶人としての側面が際立ったかも。
同じく茶器を選んだり、お菓子をお店に手配したり、とかの様子とか。
常に観客は、客人のような目線で茶室を見て欲しかった、ということでしょうか。お茶の醍醐味ってその準備にかける時間だと思うんですよね〜。そこが映画内でもう少し見たかった。
同じように、女の子にとって、お茶を始めて、着物を着るという行為は、けっこう一大事だと思うのですが、いきなり主人公たちが、普通〜に着物姿で出てくるので、着物にはしゃいだりする場面とか、そんなお仕度中の細かいところがあればなぁ、など思ったりしました。
普段から着物を着慣れている二人だったのでしょうか。着付けがもうちょっと崩れててもリアルで良かったのに、脇役の皆さんも髪型までキマりまくっていたので、ま、そこは映画だよね、と思いました。
大茶会の、お正客に誰もなりたがらない描写、とはいえ、どこかの先生が謙遜しつつ、しっかり前に出る描写は、リアルだなぁ〜と思いながら笑ってしまいました。
でも、後ろにひっくり返ったり、メガネがずれたり、は、ちょっとコミカルすぎるかな。
あと、フラグ立ち過ぎ〜!
と、いうことでわたし的には、さらっとし過ぎて少しだけ物足りなかったです。
だけど、樹木希林の存在感を再確認した映画でもありました。
空気感を味わう
もっとしっかりと
主人公は、自分が何をしたいのか?まだはっきりとしないままに大人になる事に葛藤がある女性。
そんなある日、親戚のおばさんがお茶の先生をしているという事でそこでお茶の作法を勉強してみる事になる。
まず、知らなかったのがお茶というのもこれだけの作法がある事でした。ただ目の前に茶菓子と共に出されるだけくらいの感覚でしかなかった。
戦国時代でも秀吉がお茶というもに一目を置いていた事もあり茶人なる職業が生まれたのかな。
お茶は、何も考えずただ味わう。
日本人の文化の素晴らしさを知る映画でした。
もっとしっかりと観ておけば、もっと味わう事が出来たかなって反省してます。笑
樹木希林さんの演技も自然でとても魅力的な作品でした
たおやかに生きていきたいものです
研究によると、仕事の生産性はマルチタスクよりもシングルタスクの方が高いらしい。スマホ全盛の今日にあっては、スマホでメールを読みながらPCでオンライン会議を行い、タブレットで調べものをするなんていう日常も珍しくないだろう。しかし、この映画を観る時はスマホを閉じてシングルタスクのつもりで映画に集中して観て欲しい。茶道を通じて成長していく主人公の姿を描いたこの作品は、ややもすると一人の女性の心の成長を描いたよくある話で終わってしまう。だが、主人公が最後に気付くように、「世の中にはすぐ分からないものがあり、長い時間をかけて少しずつわかっていくもの」があり、この映画は後者の話である。時間をかけてわかるためにも、心の機微をとらえた瞬間を心に留めておいて欲しいのです。
世の中は、あまりにも目に見える変化を求めすぎている。 でも、目には...
茶道
出会ったものを大切にする心
お茶を通して感じる人生
一つ一つの所作の意味は何だろう?
ありそうでなかなかなかった現代劇の茶道映画
映画館では2018年10月15日イオンシネマ石巻で鑑賞
原作未読
「にちにちこれこうじつ」と読むらしい
日日是抗日ではない
都会的で文化的で知的な映画
美しい日本を味あう作品
樹木希林がお茶の先生役
黒木華と多部未華子は従兄弟同士でお茶の生徒役
美人とは云い難い3人がメイン
黒木華の自然な笑顔が可愛くて大好きだ
本当の邦画ファンなら茶道に興味がなくても樹木希林黒木華多部未華子3人のポスターを映画館のロビーで見かけたら観たくなるのが当然でそうじゃないならもぐりだ
色とりどりで艶やかな着物姿の数々に自分の目がハッキリと喜んだ
派手な多部未華子より純和風な黒木華の方が着物がよく似合う
茶道の知識が得られるが自分にとっては実用的じゃない無駄知識だ
自分が通っていた高校にも茶道部があったが当時はお茶とお菓子を食べるだけのお気楽な部活だと羨ましかったが入部する気にはなれなかった
いま思えば少なくとも帰宅部よりはちょいブスたちとワイワイやってた方が楽しかっただろうなと少し後悔している
やりたい仕事がないなら結婚という選択肢がある人は良いよなあ
懐かしい所作
私も道が大好きです
私のような多部未華子ファンにとっては、彼女の出番が少なく不満である。それに、彼女がいてもいなくても、あまりこの映画では重要でない。ということは、多部未華子は客寄せのため出演させられたのかな?それでも、多部未華子の茶道に対する真剣な眼差し、凛々しい着物姿を堪能できただけでも満足ではあったが。まだまだ女子大生役も違和感ないですね。というか、「お茶って変」とか、セリフを含めこの映画の役としては多部未華子そのままと言う感じで、ファンとしては貴重な映画の1つになった。
話は中盤まで、茶道のノウハウを教える映画か?と思えるほど茶道のことがばかりで、物語はないのかと心配してしまった。中盤からようやく物語らしきものが展開してくるが、それでも特に山場というものがなく、相変わらず淡々と茶道を中心に進行して、結局そのまま終わってしまう。ただ、茶道の奥深さ、和菓子の美しさ、茶室の素晴らしさは伝わってくる。また、虫の音、雨音、水(お湯)の音等、自然の音にすごく拘っていて、耳を研ぎ澄まして聞いているのも心地よかった。
強いて山場というものがあるとすれば、父親の死であろう。せっかくフェリーニの「道」について言及していたので、父親の死に際して、自分も非情なザンパノ(「道」の主人公)だったんだと重ねても良かったと思う。例えば、父に冷たくした後に死んでしまったとか。この映画では、父親が彼女のマンションに立ち寄ろうとしたのを用事があるため断っただけなので、ちょっとそれだけではザンパノと同類にするにはゆる過ぎる。いずれにしても、冒頭の10歳の時に両親に連れられて「道」を見に行ったという話は、何らかの伏線になっていたのではないかとある種の期待をしていたのが、単に大人になって見たらその良さがわかったという単純な話だった。それにしては、「道」は両親が10歳の子に見せるような映画ではないと思うのだが。時代設定から、ロードショーではなく、リバイバル公開で見たということになるが、この映画を見ている人で、「道」を見た人が果たして何人いるのだろうか。「道」という映画を引き合いに出すのはちょっと不自然な気がしてしまう。
全312件中、41~60件目を表示











