シェイプ・オブ・ウォーターのレビュー・感想・評価
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美しさと奇妙さの奇跡的調和
宇宙センターにて清掃員として働くイライザは幼少期のトラウマで声が出せずに手話を用いて、隣人でゲイのジャイルズ、同僚のエルザに支えられながらも恋人のいない暮らしに寂しさを感じていた。
そんなある日運び込まれて来た謎の生き物とその生き物を研究と称して虐待する軍人ストリックランド。
言葉を介さないイライザと謎の生物の交流と種族の垣根を超えた愛を描いた奇妙で美しいラブストーリー。
第90回アカデミー賞にて作品賞含む4部門を受賞、第75回ゴールデングローブ賞にて作品賞監督賞の2部門を受賞し、各映画賞レースにて主要部門をかっさらった作品として大きく注目された今作。
1962年を舞台に盲ろう者、ゲイ、黒人が政府と対立するといった構図の作品で、ある種マイノリティの反撃といった現代に通じるメッセージ性の強い側面がある一方、主人公のイライザが40代前半にして朝から一発おっ始めたり、イライザと謎の生物との直接的ではないもののwow…となるようなラブシーンがあったりと普通の綺麗なラブストーリーと思って観始めるとちょっと面食らうかもしれない笑。
しかしそれが不快であることなんて全くなくて、むしろそういった表現が作品にマッチしていて美しさすら感じさせる絶妙な作品になっている。
ギレルモデルトロ監督の強い想いで美男美女のラブストーリーにしたくないというテーマがあったようで、ヒロインとして起用されたサリーホーキンスことイライザは実年齢と設定年齢ともに40代前半でとてつもなく美人というわけでもない地味な印象の女性を演じている。
しかしその彼女が謎の生物との交流の中で徐々に生き生きとしていく様子がどこか幼い少女のようで可愛らしくも見え、例の謎の生物とのバスルームでのシーンにて水中内での行為後の謎の生物越しのニンマリとした笑顔もどこか妖艶に見えて、つまりはとてもエロい、、!!笑
美男美女のラブストーリーではないからと言って退屈だったり、見応えがなかったりとかそういうことが一切なくてこの表現は見事だなと感じた。
その謎の生物を追うストリックランド演じるマイケルシャノンの迫真の演技も素晴らしかった。
冷戦時代の軍人らしく、弱さ罪と言わんばかりに、自信を持って行動しなければならないといった信念を持っているかのように感じた。
そんな彼が家に帰るとごく一般的な父の顔と妻を愛する夫の顔を覗かせるが、後半はそれすらも弱さとみなすようなまさに鬼のような顔つきで謎の生物を追い詰めていく。
とにかく顔が怖い笑。ウィレムデフォーと並んで顔が怖い笑。顔だけで助演男優賞いったかと思ってたけどそもそもでノミネートされていなくて残念。。
あとは唯一のボカシのシーンがそこかよと思ってちょっと笑った。
第90回のアカデミー賞にて今作が監督賞と作品賞の主要2部門を受賞した際にWOWOWで放送されていた中継で映画評論家の町山智浩氏がこういった特撮的な作品がアカデミー賞で評価される時代がやってきたことを涙ながらに喜び、ゾンビでもマーベルでもバットマンでもアカデミー賞の戦いに参加できるんですよと熱を持って語る様子を見て今作のすごさを改めて感じたし、やはり喋れるオタクって憧れるなぁって改めて思った笑。
ギレルモ・デル・トロよりモンスター/怪獣に愛を込めて
祝!本年度アカデミー賞作品賞受賞!
『パンズ・ラビリンス』という傑作はあったものの、どうしても『ミミック』『ブレイド2』『ヘルボーイ』『パシフィック・リム』など我が道を行くかのようにモンスター/クリーチャーが登場する作品を手掛けてきたギレルモ・デル・トロが、ブレる事無く同ジャンルでオスカーを受賞するとは…!
やったね! おめでとう、ギレルモ・デル・トロ!
本作がオスカーを受賞した時、“総合芸術”という言葉が度々用いられたが、なるほど、納得。
種族を超えた愛の形、社会的マイノリティーへの差別・偏見、社会的に地位ある者たちの横暴・傲慢。
モンスター・ムービー/ダーク・ファンタジー/異色のラブ・ロマンスである事は大前提として、米ソ冷戦下、“彼”を巡る諜報戦、逃がそうと奔走するサスペンス、ミュージカル要素やユーモアも。
クラシック・ムービーへのオマージュがたっぷり込められつつ、それらを纏め上げたギレルモ・デル・トロのメッセージ性と独創的でイマジネーション豊かな演出。
口の利けないヒロインを全身全霊体現したサリー・ホーキンスの熱演。オクタヴィア・スペンサー、リチャード・ジェンキンスの的確な好助演。さすがと言うべきマイケル・シャノンの憎々しさ。
美しい映像、音楽。独特の美術。
雨、水槽、バスタブなど、印象的な“水”のシークエンス…。
大混戦と言われた今年のオスカー、まだ作品賞ノミネート全て見た訳ではないが、映画=総合芸術という意味では(ちゃんと高いクオリティーも含め)、受賞は妥当だったのではないだろうか。
やはり主役は、“彼”。
見た目はこれぞ!と言うくらいの半魚人。
さすがに初見は、グロテスクでキモくも見える。
鋭い爪は人の指や身体を簡単に切り裂き、凶暴性もある。
しかし…
捕らえられたアマゾンの奥地では神のように崇められていた“彼”。“彼”は人を映す鏡ではないだろうか。
つまり、冷酷な者には凶暴性だけが見え、ピュアな者にはそうは映らない。
音楽や卵が好き。手話でコミュニケーション出来るほど知性も高く、リアクションや仕草の一つ一つが次第に愛らしく見えてくる。
それどころか、カッコ良く、イケメンにも見えてくる。
神々しく、美しく、寂しげで…。
CGではなく、俳優が演じた生身のスーツのこだわり、造形。
ギレルモ・デル・トロの愛情がたっぷり注がれた、魅力的な“彼”なのである。
(でも、猫ちゃん食べちゃうのはアカンぜよ…)
作品自体は、賛否両論。
まあ、それも分かる気がする。
好き嫌い分かれるジャンルだし、人間の女性と半魚人のラブ・ロマンスだなんて最初は誰だってドン引く。
おまけに、冒頭からサリー・ホーキンスのフルヌードとアレ、彼女と“彼”の…。
とてもとても『美女と野獣』のようなロマンチックでファンタスティックには程遠い。
でも…
『美女と野獣』はアリで、本作はダメなのか?
否!
それなら劇中のマイケル・シャノン演じる冷酷軍人と同じ。
醜いものは醜い。差別・偏見でしか見れない見方。
誰がケチを付けられようか。
言葉も、種族も、見た目も超え、少しずつ心と心が触れ合っていき、激しく強く惹かれ合う。
“彼”も最後は王子様になったりはせず、そのままの姿、ありのまま。
メルヘンへのアンチテーゼであると共に、真の愛の形。
二人があの後どうなったか、思いを馳せ、余韻にも浸れる。
個人的にはこの作品、好きだ。
上記で語った理由もあるし、そもそもギレルモ・デル・トロの作品がご贔屓でもある。
それらに加え、どうしてもモンスターやクリーチャー、そして怪獣たちに愛着やシンパシーを感じてしまう。
ギレルモ・デル・トロは、『大アマゾンの半魚人』で最後殺されてしまう半魚人に共感し、それが本作を作るきっかけだと言う。
また、ピーター・ジャクソンも『キング・コング』を作る際、よりコングとヒロインの愛を掘り下げた物語に謳い上げた。
恐ろしい存在に描かれる事の多いモンスターたち。
しかしその実は、人間より繊細で、魅力的な存在。ベタな言い方だが、醜く、恐ろしいのは、いつだって人間の方なのだ。
そんなモンスター映画がアカデミー賞を受賞した。
モンスター映画=B級という固定概念を覆した。
これはもう快挙と言っていい。
日本でも同現象が起きた事は記憶に新しい。
言うまでもなく、『シン・ゴジラ』の映画賞席巻。
子供もしくはファン向け、ちんけなB級特撮と言われていたあのゴジラが…!
自分にはちょっとした苦い思い出がある。
その昔、ゴジラが好きというだけで小馬鹿にされた。
それが嫌だったから好きじゃないなんて言ったりしたけど…、
悔しかったなぁ…。
ゴジラが好きで何が悪い!
今はもう、胸を張って堂々と、誇ってさえ言える。
ゴジラは映画賞を獲ったくらいの傑作だよ、と。
(いや、元々映画史に残る名作だけど、所詮怪獣映画と嘲笑する輩が多く…)
ゴジラが絡んで話が脱線してしまったが、つまり何が言いたいかと言うと、
もうモンスター/怪獣映画はB級でも嘲笑の対象でもない。
メッセージ性のある高いドラマを訴える事が出来る。美しい愛を語る事が出来る。総合芸術の一つである。
ギレルモ・デル・トロはそれを証明してくれた!
ありがとう、ギレルモ・デル・トロ!
あなたは、レイ・ハリーハウゼン、本多猪四郎、円谷英二らと共に、偉大なモンスター・マスターの一人です!
うっとり
想像していた以上にロマンティックなラブストーリーで、うっとりするほど美しい世界観だった。
マイノリティたちに完全にスポットライトを当てつつ、こんなにも美しく描かれた作品は多くはないんじゃないかな。
貧しくても、仲間は少なくても、彼らの生活はささやかな芸術と想像力と愛に溢れていて。とても魅力的に映る。
対照的に描かれる上流階級の生活はキラキラしててカッコいいのだけどなんだか退屈そう。
ストーリーは割とシンプルに進むんだけども、いろんな仕掛けやエッセンスが加えられていて、ドラマとして見応えがある。
デルトロ監督のセンスが良すぎて、水に棲む彼も、極秘施設も、イライザの棲家も、ディテールが本当に魅力的なんだよな。
敵役にも憎めない魅力と滑稽さがあって。また何度でも観返したくなる作品でした。
設定が面白い
現代のおとぎ話と言っても過言ではありません、一目みたらいい人にしか見えない主人公に、見慣れると可愛く見える奇妙な生物、絶対悪い奴にしか見えない悪役や主人公を助ける人達それぞれが旨くキャラクターを演じているところも良かったです
好きです。こういうの
私は大好きでしたが、見方によってはエログロ映画にも捉えられます。R15も納得…。
主人公、自分と年が近くて共感できました。
ファンタジーで40代おばさんを主人公にしたものなんて今までないのでは?!
でも主人公よりインパクトあったのはあの悪役でしょ ww怖すぎあのおっさん!
時代も懐かしさが感じられる雰囲気、映像の見せ方も素敵で、時間忘れて見入ってしまいました。
まあ、ツッコミどころはいくつかありますが若い方よりは年配受けしそうな映画。
最後がちょっと気に入らない展開だったのでー0.5。
潮の香りのお伽噺
幻想的な冒頭からお話に引き込まれていきました。
生臭さも含んだ潮の香りのする、見応えのあるお伽噺でした。
金色に縁取られた目が印象的な生き物を中心に、色の統一された映像に見惚れます。
イライザには迷いがなくて。私が好きなものは彼も絶対好きって。ほほえましいです。
声のない彼女が毒づくのがなんとも痛快、あのワルい顔!
彼女を取り巻く人達もしっかりと描かれて心に残りました。
このとんでもない恋人達に振り回される同僚のゼルダさんに、一番寄り添って観ていた気がします。
姉御肌の彼女はこれまでイライザを、守ってやるべき人として接してきたのではないかしら。イライザの強さに触れて変わっていく関係がいい。
ジャイルズさんが家族のようにいてくれるから、なんだか安心でした。
一方で彼らに対峙するストリックランドもニガく痛々しく、ただ憎いだけの敵と思えず心揺さぶられました。
何度も見たくなる映画
主人公見て、アレ!もしかして、ブルー・ジャスミンの妹役の人?とビックリした。まるでまるで異なる役柄で、雰囲気も顔も表情も体の動きも違う。そこにまず惹かれてしまいました。きちんと起床、日めくりカレンダーめくって、卵を茹でて、靴を磨いて。通勤して仕事して。映画見て。
かつての映画が下敷きにあるようですが、その知識が無くても、この映画それだけで、夢の世界に行けたような気がします。隣の画家のおじさんが二人を描いた絵はとても美しい。2回見た記憶があるのは、飛行機往復でそれぞれ見たからだろう。映画館で今度、見たいです。
好きな人はとことん好きだろうな
音楽も映像も良くて最後まで飽きずに見られたけれど、どうにもハマりきれませんでした。たぶん登場人物の誰にも感情移入できなかったんだと思います。強いて言うなら主人公の親友(男性の方)が好きかな。
そこに愛があるの?
美女と野獣のような切ない愛を期待していたら、なんていうか怪物が思ってた以上に動物的で…。
彼女の愛と怪物の愛がイコールになるのかな?と疑問でした。2人が体の関係をもつのですが、彼女からみたら愛してるからこそですけど、怪物からみるとただの生殖活動のようにみえて、ちょっと頭に???が。
最後まで一方的に彼女の片思いでずっと終わたように私は感じてしまって、キュンとなることもなくとっても残念。
映像も設定も好みだったので、本当に残念。
美しい
幻想的で、蠱惑的なCGや舞台…ぼーっと見てるだけでも美しくて楽しいだろうとおもいます
登場人物たちはいわゆる社会のはぐれもの…ゲイの老人、黒人の労働者の女性、身寄りのない唖者の女性。彼らが観客に及ぼす、言い様のない居心地の悪さが、この新・おとぎ話にとって最高のエッセンスでした。
キャラの造形が悪役まで総じて分厚いです。ノリとしては、入り込みすぎず俯瞰的に見た方が楽しめるかもしれないです。悪役まで含めて人間的なので。
「さすがギレルモ・デル・トロだ。アカデミーなんざなんともないぜ。」
まさかアカデミーを獲るとは思ってなかったわけですが、いざ観てみると、確かにこれは「好きそうな」仕上がりになってて納得。
主人公のあれやこれやがカチカチと音を立てて終盤に向かって「成っていく」さまは見ごたえ充分。敵役の設定やキャラの立て方もうまい。
いろんなものを上手に「見立て」る手法もなんというか、うまい。
こういう細かい積み重ねが終盤のクライマックスに向かって後戻りが出来ないところへ我々観客を追い立てていく感じ、うまい。
抑制を効かせながらも見せるべきところにはきっちり派手な色を入れてくるあたり、試合巧者の面目躍如っす。うまい。
うまいわー。
コレでアカデミー獲るんかー。うん、文句はござらん。
まぁ、獲っても獲って無くても、評価は変わらんでござるよ。
やっぱり好きっす。ギレルモ・デル・トロ。
ポップコーン度はまぁ、低め。スクリーンから匂い立つような画づくりのせいかも。
敬愛するデルトロ監督の最高峰パンズラビリンスを超えられるかと期待し...
敬愛するデルトロ監督の最高峰パンズラビリンスを超えられるかと期待してみたわけだが、とても良かったんだけどやはり、毎分泣かされたラビリンスには届かなかった。
本当の愛とは
パンフレットを購入しギレルモ・デル・トロのインタビューを読んだ
「僕は美女と野獣が嫌いだ」と。
人間は美男美女の愛を観ているのが楽しいのでは?
この作品を観て本当の愛とは何かを考えた
ごく普通にいる清掃員の中年女性が魚人に恋をする
ありえない事だ、でも、観ていると引き込まれていきなんとも切ない気持ちになる。
愛ってなんだろう、人じゃない何かでもいい
愛するってこんなにも切なく虚しく壊れやすいものなのかと。
映像に関しては水中のシーンが美しすぎます、見とれてしまいました
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