シェイプ・オブ・ウォーターのレビュー・感想・評価
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もし現代劇だったら、凡作になっていたであろう
悲しくて、美しくて、そして意外に楽しいお話。
半魚人と、口のきけない女性のラブストーリーという、かなりの変化球ですが、内容はおとぎ話にあったような悲喜劇。ふたりの恋が成就するのを見守っていたくなる不思議な空気に包まれています。
その秘密は、この映画の舞台をあえて冷戦下のアメリカにしたことだと思います。もし、現代のお話にすれば、よくあるモンスター映画で、「キングコング」とか、「ET」などの名作を超えることは難しいでしょう。でも、昔話にしたことで純粋に男と女の愛の形にフォーカスできたのだと思います。
同じ監督の「ヘル・ボーイ」に似たようなキャラクターがいたので、そのころからこんな作品の構想があったかもしれませんね。「半魚人と若い女性が愛し合うことは可能だろうか?物理的に、生物学的に」みたいな発想が始まりなんじゃないかと思うのですが。
オスカーノミネーションの派手な話題が先行して、ずいぶんとハードルが上がっていますが、見終わって正直それほど感動もなく、がっかりもなかったので、意外なほどフラットな心境です。サリー・ホーキンスは上手だなと思いました。並みの女優さんだと、あそこまでファンタジックにアプローチできないと思います。
2018.3.1
無条件の愛
言葉を発することのできない女性イライザと特殊な力を有した半魚人の愛を描いた本作。
ギレルモデルトロのクリーチャーへの愛が全面に出ていて観ているだけで癖になるような色使い、質感が表現されていた。
タイトルにもある通り、水の表現にこだわり抜いていて水で表すことのできる感情や表情の可能性を大きく広げた作品だと思う。
全体的にエメラルドグリーンが基調となっていて水の中から本作を見上げているような感覚だった。
登場するキャラクターも個性的で主人公のイライザは一言も話さないのに何を伝えているのかどんな感情なのかがはっきりわかり、引き込まれた。一緒に住む絵描きの老人の不器用な恋模様も描いており、普段映画で描かれないようなマイノリティへの監督の思いが溢れていると感じた。なんと言ってもマイケルシャノンが全編を通して主人公達への脅威となっていて何をするか分からない緊張感があった。また、ストーリーの経過とともに強まる彼の指の痛みが画面を通して伝わってきた。
ギレルモデルトロ唯一無二の世界観で愛を描き切った本作に釘付けで心を掴まれた。
恋愛映画ではなく、そのアンチテーゼである。
何のために自慰シーンがあるのか?・・卵は何を暗示しているのか・・?
人間といえども野生動物なのであって子孫を残すための本能が組み込まれている。それが性欲と恋愛である。 本人も気が付かないうちに性欲と恋愛が入れ替わっていたり混じっていたり取り違えたりする。 そういうことを既存の映画の枠そのままに描いたのがこの映画の偉いところだ。つもりボーっと見ていると「美女と野獣」のような普通の恋愛映画にしか見えないように作られている。R指定になって興行成績が伸び悩むのを覚悟でそういうテーマにチャレンジしたのがアカデミー賞で評価されたのだろう。
しかし残念ながら映画としては面白くなかった。 何しろその枠を今までにテレビアニメとかで100回以上見てるから。パターンのまま見させられるのが苦痛だった。 もうちょっとを随所に新しい工夫を入れて退屈させないで欲しかった。
変幻自在な愛の形
極めて個性的で、現実的な私の価値観を根底から揺さぶる衝撃作だった。本作は、人間の女性と異種生物とのラブファンタジーではあるが、全編、他の作品では味わうことのできない、独特の雰囲気、世界観が漂っていて、不思議な世界に迷い込んでしまった感覚に襲われる。更に、1962年アメリカという時代背景をしっかり踏まえたストーリ展開になっていて、サスペンス、ミュージカルの要素も巧みに織り込んだ深みのある作品に仕上がっている。
本作の舞台は東西冷戦真只中の1962年アメリカ。主人公イライザは、聴力はあるものの、喋ることが出来ず、ある研究所で清掃員として働いていた。ある日、不思議な生物が研究所に持ち込まれ、イライザはその生物に興味を抱き、手話を使って交流を試みる。そして、徐々に意思疎通が図れるようになり、いつしか、彼女はその生物に惹かれていくが・・・。
本作がキワモノ作品になっていないのは、この物語に注がれるギレルモ・デル・トロ監督の暖かな眼差しと、主役のイライザを演じるサリー・ホーキンスを始めとする出演者たちの演技力の賜物である。サリー・ホーキンスは喋れない主人公の心情変化を仕草、顔、目の表情で見事に表現している。特に、人間ではない生物に惹かれていくときの艶やかさ、妖艶さに魅せられる。人間同士の恋愛をしている時の“恋する女”そのものである。恋愛対象が人間ではないという違和感、異質感は、彼女の演技で完全に払拭される。
職場の黒人の同僚であり、イライザの良き助言者であるゼルダ役のオクタヴィア・スペンサーは、際どい、キツイ台詞が多いが、サバサバしたカラッとした自然体の演技が奏功して、毒々しさ、説経臭さが無い。画家である隣人のジャイルズ役のリチャード・ジェンキンスは、穏やかな佇まい、優しい眼差しで、イライザの想い、行動を受け入れていく。研究所のホフステトラー博士役のマイケル・スタールバーグは、東西冷戦という時代を背負った役どころであるが、真理を極めたいという科学者としての葛藤を静かで落ち着いた演技で表現している。軍人ストリックランド役のマイケル・シャノンは典型的なヒール役であるが、人物像がしっかり描かれているので、人間臭さが出ていて、現実感のある悪党振りが際立っている。やはり、ヒール役がしっかりしていると、作品全体が引き締まって緊迫感がある。
大袈裟でない、力みのないラストが良い。監督の想いが集約されているので、心地良い余韻に浸ることができる。題名“水の形”が作品メッセージになっている。水の形は器によって変化する。愛の形も同様であるが、外見、学歴、身分、家柄、国籍、肌の色など、という先入観、固定観念によって器の形を固定してしまえば、愛の形は自由を失ってしまう。先入観、固定観念を持たず、心を通じ合えれば、愛の形は変幻自在であり、種をも超えることができる。本作は、そういうことを我々に問い掛けている、とても純粋な作品である。
雨降る街が、ブレードランナーのように僕は感じた。
アメリカが朝鮮戦争の後に、ベトナム戦争を始めた頃の話。もっとも、ファンタジーなので、時代設定だけで、出来事はスチームパンクになっていると思う。雨降る街が、ブレードランナーのように僕は感じた。
ネタバレになるので、詳細は言えないが、この映画の時代設定の12年後にベトナムとの戦争は負けて集結する。つまり、アメリカにとっての暗い時代は実はこれからであり、この映画が封切られた時は、メキシコに壁を!なんて暴言を吐く大統領で、アメリカの暗黒時代は未だに続いている。と思う。
この映画の監督がメキシコ人なので、どこかに、隠されたメッセージがあるのだと思う。もう一度見ることはないと思うが、そう考えると、魅惑的な映画だと思う。
苦手なファンタジー
各キャラがいい味だしてる
サリーホーキンスがとても可愛らしい。
清掃員の中年女性と半魚人の恋愛脱出劇。
もっとサスペンス的要素が強いかと思いきや、
笑えるシーンやほっこり温まるシーンもあり
想像以上に面白かったです♪
ゼルダ役のオクタヴィア・スペンサーや
ジャイルズ役のリチャード・ジェンキンスが最高!笑
ただグロさ残虐さもそれなりにあったので、
いろんな意味で刺激強めな作品。
拷問シーンは心が痛む...
緑が印象的に描かれていて、美しかった。
これは何か意図があるのかな??
所々「絶対見つかるでしょ!!!」とハラハラしながら観ました。
話せない2人が心惹かれていく姿はとってもピュアで、
思わず手助けするゼルダとジャイルズの気持ちがわかります。
作中の音楽もノスタルジックで素敵でした。
怪獣映画ではありますが
センスの良い映画
私は苦手派でした、、、
癒やしのファンタジーだと思って何の心の準備も無く見ていたら、、、指がちぎれたり、猫を食べたりで、私には少し衝撃的でした。
水中の’彼’に恋してしまう主人公の女性にも感情移入できませんでした。囚われた彼に同情するのならわかるのですが、愛情を抱くのはちょっと。言葉を発する事が出来ず、他者との意思疎通が困難であった彼女が、言葉が無くても通じ合える彼との出会いに嬉しがる気持ちは伝わってきます。でもだからといって彼と愛し合う関係になるのは理解出来ませんでした。
指をちぎられた男の異様な執着心も何だか気持ちが悪かったです。作品全体の雰囲気も独特で私には入り込みづらかったです。
否定的な事ばかり書いてしまいましたが、彼女の清掃員仲間の友人は優しくて良かったと思います。
大人向けのディズニー映画のよう。
思っていたより、、
幻想的な世界観と現実の狭間
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