シェイプ・オブ・ウォーターのレビュー・感想・評価
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変幻自在な愛の形
極めて個性的で、現実的な私の価値観を根底から揺さぶる衝撃作だった。本作は、人間の女性と異種生物とのラブファンタジーではあるが、全編、他の作品では味わうことのできない、独特の雰囲気、世界観が漂っていて、不思議な世界に迷い込んでしまった感覚に襲われる。更に、1962年アメリカという時代背景をしっかり踏まえたストーリ展開になっていて、サスペンス、ミュージカルの要素も巧みに織り込んだ深みのある作品に仕上がっている。
本作の舞台は東西冷戦真只中の1962年アメリカ。主人公イライザは、聴力はあるものの、喋ることが出来ず、ある研究所で清掃員として働いていた。ある日、不思議な生物が研究所に持ち込まれ、イライザはその生物に興味を抱き、手話を使って交流を試みる。そして、徐々に意思疎通が図れるようになり、いつしか、彼女はその生物に惹かれていくが・・・。
本作がキワモノ作品になっていないのは、この物語に注がれるギレルモ・デル・トロ監督の暖かな眼差しと、主役のイライザを演じるサリー・ホーキンスを始めとする出演者たちの演技力の賜物である。サリー・ホーキンスは喋れない主人公の心情変化を仕草、顔、目の表情で見事に表現している。特に、人間ではない生物に惹かれていくときの艶やかさ、妖艶さに魅せられる。人間同士の恋愛をしている時の“恋する女”そのものである。恋愛対象が人間ではないという違和感、異質感は、彼女の演技で完全に払拭される。
職場の黒人の同僚であり、イライザの良き助言者であるゼルダ役のオクタヴィア・スペンサーは、際どい、キツイ台詞が多いが、サバサバしたカラッとした自然体の演技が奏功して、毒々しさ、説経臭さが無い。画家である隣人のジャイルズ役のリチャード・ジェンキンスは、穏やかな佇まい、優しい眼差しで、イライザの想い、行動を受け入れていく。研究所のホフステトラー博士役のマイケル・スタールバーグは、東西冷戦という時代を背負った役どころであるが、真理を極めたいという科学者としての葛藤を静かで落ち着いた演技で表現している。軍人ストリックランド役のマイケル・シャノンは典型的なヒール役であるが、人物像がしっかり描かれているので、人間臭さが出ていて、現実感のある悪党振りが際立っている。やはり、ヒール役がしっかりしていると、作品全体が引き締まって緊迫感がある。
大袈裟でない、力みのないラストが良い。監督の想いが集約されているので、心地良い余韻に浸ることができる。題名“水の形”が作品メッセージになっている。水の形は器によって変化する。愛の形も同様であるが、外見、学歴、身分、家柄、国籍、肌の色など、という先入観、固定観念によって器の形を固定してしまえば、愛の形は自由を失ってしまう。先入観、固定観念を持たず、心を通じ合えれば、愛の形は変幻自在であり、種をも超えることができる。本作は、そういうことを我々に問い掛けている、とても純粋な作品である。
雨降る街が、ブレードランナーのように僕は感じた。
アメリカが朝鮮戦争の後に、ベトナム戦争を始めた頃の話。もっとも、ファンタジーなので、時代設定だけで、出来事はスチームパンクになっていると思う。雨降る街が、ブレードランナーのように僕は感じた。
ネタバレになるので、詳細は言えないが、この映画の時代設定の12年後にベトナムとの戦争は負けて集結する。つまり、アメリカにとっての暗い時代は実はこれからであり、この映画が封切られた時は、メキシコに壁を!なんて暴言を吐く大統領で、アメリカの暗黒時代は未だに続いている。と思う。
この映画の監督がメキシコ人なので、どこかに、隠されたメッセージがあるのだと思う。もう一度見ることはないと思うが、そう考えると、魅惑的な映画だと思う。
苦手なファンタジー
ほぼ予習無しで観たけど、思いっきりファンタジー映画だった。
あんな簡単に連れ出せてしまうとは。そして最後はどういうことになったんだろう。ファンタジー映画のこういったいい加減な感じは嫌いです。
あと、この映画の入浴シーンの裸は必要なんだろうか。よくわからなかった。
各キャラがいい味だしてる
サリーホーキンスがとても可愛らしい。
清掃員の中年女性と半魚人の恋愛脱出劇。
もっとサスペンス的要素が強いかと思いきや、
笑えるシーンやほっこり温まるシーンもあり
想像以上に面白かったです♪
ゼルダ役のオクタヴィア・スペンサーや
ジャイルズ役のリチャード・ジェンキンスが最高!笑
ただグロさ残虐さもそれなりにあったので、
いろんな意味で刺激強めな作品。
拷問シーンは心が痛む...
緑が印象的に描かれていて、美しかった。
これは何か意図があるのかな??
所々「絶対見つかるでしょ!!!」とハラハラしながら観ました。
話せない2人が心惹かれていく姿はとってもピュアで、
思わず手助けするゼルダとジャイルズの気持ちがわかります。
作中の音楽もノスタルジックで素敵でした。
怪獣映画ではありますが
まずは主演が上手い。それだけでも価値アリです。
話も良く出来てるし、映像の雰囲気や場面構成も大変映画的でよろしい。個人的には国際問題の花形である米ソ冷戦対立が背景にあるところが非常に気に入ってます。
ただ、所詮良くできた怪獣映画であってオスカー級とは言い難いです。それと時折挟まれる悪趣味なシーンには閉口。最近流行ってますけど。
ETとか象男とか感動以前にそもそもグロな外見が無理、って人結構多いので、私も最近やっと免疫付きましたけど、そういう人は受けつけないでしょう。
センスの良い映画
最近、映画館に遠ざかっているので予備知識無しにCSで見た。
冒頭から目を離せない演出と上手いカメラワーク。セットもすごい。
この引き込まれ方は19の時に見てはまったロバートアルトマン監督の『バード★シット』(何故か評価が低く、ビデオにもならなかったが、最近DVDが出たようだ。)以来の作品と思った。
映像も、色も、音楽も高いセンスを感じた。
今度は映画館で観たい映画です。
私は苦手派でした、、、
癒やしのファンタジーだと思って何の心の準備も無く見ていたら、、、指がちぎれたり、猫を食べたりで、私には少し衝撃的でした。
水中の’彼’に恋してしまう主人公の女性にも感情移入できませんでした。囚われた彼に同情するのならわかるのですが、愛情を抱くのはちょっと。言葉を発する事が出来ず、他者との意思疎通が困難であった彼女が、言葉が無くても通じ合える彼との出会いに嬉しがる気持ちは伝わってきます。でもだからといって彼と愛し合う関係になるのは理解出来ませんでした。
指をちぎられた男の異様な執着心も何だか気持ちが悪かったです。作品全体の雰囲気も独特で私には入り込みづらかったです。
否定的な事ばかり書いてしまいましたが、彼女の清掃員仲間の友人は優しくて良かったと思います。
大人向けのディズニー映画のよう。
きれいな映像と澄んだ音楽に包まれて、ピュアな主役が仲間と一緒に悪を相手に奮闘する。
予想通りの展開にもかかわらず、ハラハラドキドキ。
これだけでも良い映画を観た、と満足してしまう。
イライザの手話には心打たれる何かがある。
思っていたより、、
この映画はベネチア国際映画祭、アカデミー賞受賞作品であり見てみたが、思ったよりもストーリーは淡々としていたような気がした。最多賞作品の割には思っていたほど面白い作品ではないような気がした。映画好きの方たちにしか分からない面白さがあるのかもしれないが、自分的にはラブファンタジー映画ということで暗めの雰囲気でのラブストーリーを見ているような感じだった。
しかし、音楽、メロディを多く使い、ミュージカルのようなくらい映像の中に明るい音楽が挿入されることでラブファンタジーを表現しているのだろうと感じた。
出来不出来の差が激しい監督。
またもアカ賞に凡打。
「パンズラビリンス」で絢爛たる悲劇を最善の物語量で撮った監督とは思えぬ。
ベタでなく、浅さが駄目なのだ。
出来不出来の差が激しい監督と覚えよう。
「スプラッシュ」が在れば本作は要らぬ。
幻想的な世界観と現実の狭間
「パンズ・ラビリンス」を鑑賞してギレルモデルトロ監督の世界観に惹かれこちらも鑑賞。
結果、個人的には「パンズ・ラビリンス」を超える良作であった。
明確な意味を以って表現できる言葉が無いことでこれ程までに想像を掻き立てられるのだと気付かされ、より一層世界に入り込んでいってしまった。
主人公が怪物に惹かれ始める理由が弱かったのが惜しい点ではあるが、その後の展開は素晴らしいものであった。
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