シェイプ・オブ・ウォーターのレビュー・感想・評価
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わかるでしょ 言葉で伝えなくても
映画「シェイプ・オブ・ウォーター」
(ギレルモ・デル・トロ監督)から。
とても切ない「ファンタジー・ラブストーリー」だった。
幼少期のトラウマで声が出せない主人公の彼女「イライザ」と、
摩訶不思議な生き物(人魚の男性版?)の「彼」が、
言葉という手段を使わずに、愛を育んでいく過程に、
もどかしさを感じながらも、これが本当の愛なんだな、と
ちょっぴり涙腺を緩めながら観終わった。
何度となく登場し、作品の「キーワード」とも思える
「あなたには決して分からない」という歌が印象的だった。
作品冒頭、TVから流れてくる曲は、
「あなたには決して分からない、私がどんなに寂しいか・・
あなたには決して分からない、どれほど深く私が想っているか」
そして、なぜか2人のダンスシーン。(この場面だけ???)
「あなたには決して分からない、私がどんなにあなたを愛してるか
あなたには決して分からない、どれほど深く私が想っているか、
隠そうとしてもあふれてしまう、あなたへの熱い想い」
さらに「わかるでしょ、言葉で伝えなくても。
あなたの行く所に私の心もついていく。
あなたのことはいつも祈ってる、他に方法があればいいのに、
愛を証明したいのに、どうしていいか、私には分からない、
永遠にこのままよ、今あなたが気付いてないなら」と続く。
しかし、ラストシーン、このフレーズに変わる。
「あなたの姿がなくても、気配を感じる。
あなたの愛が見える。愛に包まれて私の心は優しく漂う」
うまく言えないけれど「愛」って、こういうことかな。
ちょっとビクビクした。
最初はワクワクして観ていたのだけれども後から怖くなってきた!
音楽が良かった。ワクワクした。
エリサが可愛かった!
何故だろう不思議な気分。
猫食われているところかわいそうだった!
アメリーを観ている感じだった。
撮影はどこでしたのだろうか?調べたくなった!
何故今この映画を作ろうと思ったので??
テイストはけっして嫌いじゃないのに、何一つ共感できない自分が可笑しくて笑ってしまいました。
見る前はもっとダークで深淵なヤツなのかなって思ってたんですけどね。
女優さんがあと10才若かったら、もう少しよかったかもな…
アカデミー賞取る前の日に観た イオンシネマのグランシアターっていう...
アカデミー賞取る前の日に観た イオンシネマのグランシアターっていうの??
そこで観た VIPですよ
広々最高!!(笑)………
ファンタジー基本好きじゃないのね自分
でも描き方は 全然嫌いじゃない アカデミー賞取るのも
なんとなく解る気がする………
だけど WOWOWで良いかも
グランシアターで観るのはもったいない(笑)
愛の心情を映像で表している
愛とは何か?を考えさせられた。
半魚人とイライザは、異種同士であるにもかかわらず、お互いを怖がらず尊重しあい、共有しあい行動した事により、お互いに惹かれて行く。
だが、その生活は長くは続かない。
ヤマアラシのジレンマの様に、生活が長くなるにつれ、イライザの心は、互いが別のモノだからこの世界では通じ合えない。と落胆して行き、半魚人は彼にとって過酷な環境のため、衰弱して行く。
だが、互いに心で通じ合い愛し合っている。この言葉では言い表せない衝動や心情を水の流れの如く映像として表現している。この渦めく感情・心情・衝動を水で表している事をわかる人とわからない人で、この映画の評価が大きく変わると思う。
また、ストリックランドは悪役であるが、彼も彼なりの考えや衝動・心情があり、プライドがある。彼もまた他者に尊厳を踏みにじられている被害者として描かれているところにこの作品の深さを感じた。
また、ストリックランドも博士と同じような結末を迎える事から、彼らは彼らなりの考えがあり、それに従った行動の結果だという暗示でもある。
この物語は、登場人物の心情をよく描けており、それを水(ウォーター)として表し、また、形(シェイプ)とは行動ではないかと推測する。
心と行動、抽象的なものと具体的なもの。
シェイプオブウォーター。行動の中にある心。心を表す行動。がこの映画のメッセージではないかと思う。
まだまだ細かな描写での隠れたメッセージはあるが、一度観ただけでは全て回収しきれないのであと何度か観ようと思う。
美しい
見ていてとても美しいなと思った。なんだか不思議な気持ちになった。声が出ない女性と異生物の恋、、
途中何度か過激なシーンがあり驚いたが色んな人の世界に入り込めるような作品だった。イライザとの恋がどうか上手くいっていますようにと思わず願ってしまう。
不美人中年必見のラブファンタジー
美女と野獣は大好きですが、結局美男美女やんか、とは思ってました。ちょっとね。
ダサい女たちや、冴えない女が見初められる的な恋愛ものにしたって、アンハサウェイ(プリティプリンセス、プラダを着た悪魔)やらサンドラブロック(デンジャラスビューティ)がダサくてガサツなモテない女として頑張っても、やっぱ結局中の人、美人やん?
ちょろっと眉毛抜いてお化粧したら絶世の美女ってさ。
美人すぎない役者が美に頼らず、愛し愛される物語を欲していました。ひそかに。
そんな私にうってつけっぽいシェイプオブウォーターです。楽しみにしていました。うん、ほんと良かったです。
わたしの仲間(不美人中年ひとりもの)はみんな見たほうがいいと思いました。
サリーホーキンスは最近とてもよいなぁと思っていて、ブルージャスミンのジンジャーが良かったし、パディントンでもとっても良かったし、僕と世界の方程式も大好きで、シェイプオブウォーターでもよかったです。モードルイスの幸せの絵の具もみようと思っています。
監督が美人を主役にせえという映画会社の圧力を受けないために、結構自腹で映画作った話、かっこええなと思いました。
ギレルモデルトロさんの映画は初です。パシフィックリムとかは絶対見ない類のジャンルなので私に関係ないと思っていましたが、ジャンルで切り捨てちゃダメですね…今回見られてよかったです。グロいらしいけどパンズラビリンスみよっか、な?
結構ユーモラスで、そしてグロテスクで、幻想的でうっとりしました。
イライザの自慰シーンが何度もでると聞いていて、非婚中年女性の性を普通のものとして描いてくれてるなら嬉しいけどどんな風に?と思って注目してしていましたが、卵タイマーの後ろでピンぼけ、という描写で、うーん…と思いました。
がっつり正面から映してくれってことではないですが、ただあれじゃ察しの悪い人には何だかわからない。
でもあれが限界なのかもとも。
1962年がどんな時代かはあまりわかってません。
冷戦真っ只中なのはわかる。
キューバ危機前?後?くらいな感じですが大丈夫です。
精神的に抑圧が強い時代だという認識で良いかと思います。
ロシアのスパイの研究員の人が、多分君の名前で僕を呼んでのエリオのパパ役の人じゃないかな?最近よく見ます。
彼もなんだか切なかったです。
イライザは声が出ないけど、辛いこともいっぱいあるだろうけど、毎日に楽しみを見出して生きています。窓を走る雫をうっとり眺めたり、ミュージカルの主人公になった想像で楽しんだり。ああいう空想が支えになるんだよね。わかる。
そしてイライザは強い。マイケルシャノンにどやされても負けないし、手話でFワードでやり返すし、大好きな彼を助けようと大冒険するし、めちゃかっこいい。
女で、孤児で(イライザは孤児の苗字をもっているそうです)、障がいがあって、黒人で、老人で、ゲイで、少数派、という人たちが、
男で、強くて、白人で、体制側の人たちに、立ち向かって、「人間」である彼を助ける訳です。
やー、興奮しないでいられようか。わたしもイライザだし、ゼルダだからさ、みんなの戦いを応援しましたよ。
そして人間の定義について、今も考えています。
イライザにとって、あのふしぎな生物は人間のなのです。
彼を助けないなら私たちは人間と言えるのかという旨の発言をします。人間としての境界に否が応でも立たされてきたイライザのこの言葉は、ずんと心に突き刺さりました。
彼は、最初はヌメヌメ感にギョッとしましたが、外見は見慣れるます。最後には可愛く見えました。つか美しい目にわたしもメロメロに。
イライザと彼とのラブシーンは、とてもロマンチックに思いました。うっとりです。
はみだしっ子たちが傷を癒し合う様に寄り添い、やがて愛し合うというプロットは、たぶんわたしが自分に訪れることをずっと待っている筋書きなんだと思います。
なので、そういう流れにはもう、だいぶやばいです。
ラストシーン、首の怪我がエラに変わったイライザは、あのまま彼の住む世界で幸せに過ごしたと思っていていいのでしょうか?
そこが確信が持てなかったのだけど、そう信じていようと思います。たぶん隣人のかつらの画家さんもそう思っているはず。
イライザの性的日常をもっと踏み込んで!ってところと、猫の首バッサーが辛かったので4.5です。
懐かしの半魚人映画
子供の頃、確かゴシック・ホラーの名門ハマー・フィルムで制作された「大アマゾンの半魚人」・・・と思ってたら心細くなりネットで調べたらこれユニバーサルの映画だと!
で、「大アマゾンの半魚人」、「ウルトラQ」のラーゴンを経て、すっかり半魚人の事を忘れていた時に出会ったこの「シェイプ・オブ・ウォーター」。
所謂おとぎ話みたいな映画だけど、いつの時代にも存在するフォーマットだと思う。
例えばよく比較される「スプラッシュ」や「花嫁はエイリアン」もっと言えば「マネキン」とか、どちらかと言うとラブコメ調の作品が多い。あと「キングコング」ね。
80年代に偏ってしまったが、もっと昔の名作「シベールの日曜日」や「招かれざる客」、もちょっと乱暴だけどニュアンスとして今作に近い存在のような気がする。
で、今作の主人公たちは声帯を破損した女性と南米から発見さえた未知の存在。共にマイノリティなカップルが必死に明日を探しクライマックスへ繋がるんだけど、監督のやりすぎ感も気になるが嫌味のない演出とセリフや画像による観客への感情コントロールが上手く気がつくと終了。
半魚人さんは割とハンサムで肌の柄も綺麗な昔のそれとは違うなぁ。
引き込まれる
まず、この映画の映像美に惹かれました。
画面全体が海の中のような薄暗い青いカラーで、水がいつでも連想されます。
音楽もとても素晴らしい。
水の柔らかさ強さを表現するかのような音楽で聴いていてとても心地がいいです。
ギレルモ・デル・トロ作品の中ではなかなか単純なストーリーなのだなと思いました。
またここまでラブストーリーを全面に出した映画も珍しいですね。
でも、美男美女やありきたりな恋愛を描くのではなく、決して若くはない女性と半魚人の恋愛とはさすがのギレルモ・デル・トロだと思いました(笑)
彼女が口が聞くことのできないのを知らないから、ありのままの自分を彼は見てくれるというのには、彼らが惹かれ合う運命なのだと感動しました。
あの、サリーホーキンスの手話での熱演とても素晴らしかった。
ファンタジーな要素が詰め込まれていながら、東西冷戦下のアメリカという割と現実的な舞台。
パンズ・ラビリンスから感じていましたが、彼は現実とファンタジーを両方をひとつの映画で描くことにとても長けています。今回もそんな厳しい現実的な世界と、クリーチャーとの純愛の対比が素晴らしかったと思います。
そして最後の2人が水の中で抱き合うシーン
なんか、気持ち悪いなんて一切思わず、むしろうっとりして泣いてしまいました。
これは彼の作品でも最高傑作ですね
保護と虐待のステレオタイプ
一味変わった社会派ドラマとしてUMA(アマゾンの半魚人?)との恋ありきで感情移入できそうなシチュエーションを考え抜いたのでしょう。
奇妙な物語にすることで観客に自問自答させることが狙いなのでしょうか。いっそ18禁のETでもありかと思いますね。
グロにならない範囲で、よく考えたなとは思いますが私にはノーマルなラブストーリーで十分かな。
エラ
絵本のようなと思いきや、白黒テレビのロマン映画。
古き良きロマンチックな雰囲気。
恋をして色めき鮮やかになっていくイライザに眼を奪われる。
でもなんでラストで魚人まで撃つし。
ストーリーが進むにしたがって、指の壊死がよく描写されるのは何故?
まだよく落とし込めてない。
何はともあれ結ばれてよかった。
傷がエラになってちょっと感動。
うっとり眠れた。
案外シンプル
デルトロ作なので、かなり個性の強いファンタジーだろうなと予想していたけど案外シンプルだなと思った。
シンプル故にどこが高評価なのかは正直わからなかった。
主人公の理解者としてゲイのおじさんがいる事で、単にLGBTの人たちではなくもっと広い意味での自由恋愛のメッセージを感じました。
自分的にどこが良いとされてるのかを考えながら見てたけど、
まずは映像、ダークファンタジーの怪しさを醸し出しつつ印象的な緑と赤の配色、
そして飽きさせないと言うか映画に入り込ませる仕掛け、最初の工場の火事だとか、突然の自慰シーン、モンスター造形などなど、
そして当時の空気感のある音楽。
この設定はここで生きてくるのかと勉強にもなったし、
素敵なデルトロらしさはたくさん感じられたけど、
ストーリーの単純さが物足りなさを感じてしまった。
美しい映画
言いたいことは色々ある映画だが、監督のブレないコンセプトが素晴らしい。
ラブストーリーは何故美男美女でないといけないのか?美女と野獣系のストーリーは何故人間の王子にならなくてはならないのか?
ありのままを描くことが「愛」を描くことだとすればその映画は「愛」を真正面から描いている。
セックスシーンもよかった。「愛」のもつ生々しさ、タブー性を監督の美意識で美しくしかしリアルに魅せるバランス感覚。
登場人物が皆どこか不器用で憎めない。特にゲイのおっちゃんにはマジで幸せになってもらいたい。
美しさと奇妙さの奇跡的調和
宇宙センターにて清掃員として働くイライザは幼少期のトラウマで声が出せずに手話を用いて、隣人でゲイのジャイルズ、同僚のエルザに支えられながらも恋人のいない暮らしに寂しさを感じていた。
そんなある日運び込まれて来た謎の生き物とその生き物を研究と称して虐待する軍人ストリックランド。
言葉を介さないイライザと謎の生物の交流と種族の垣根を超えた愛を描いた奇妙で美しいラブストーリー。
第90回アカデミー賞にて作品賞含む4部門を受賞、第75回ゴールデングローブ賞にて作品賞監督賞の2部門を受賞し、各映画賞レースにて主要部門をかっさらった作品として大きく注目された今作。
1962年を舞台に盲ろう者、ゲイ、黒人が政府と対立するといった構図の作品で、ある種マイノリティの反撃といった現代に通じるメッセージ性の強い側面がある一方、主人公のイライザが40代前半にして朝から一発おっ始めたり、イライザと謎の生物との直接的ではないもののwow…となるようなラブシーンがあったりと普通の綺麗なラブストーリーと思って観始めるとちょっと面食らうかもしれない笑。
しかしそれが不快であることなんて全くなくて、むしろそういった表現が作品にマッチしていて美しさすら感じさせる絶妙な作品になっている。
ギレルモデルトロ監督の強い想いで美男美女のラブストーリーにしたくないというテーマがあったようで、ヒロインとして起用されたサリーホーキンスことイライザは実年齢と設定年齢ともに40代前半でとてつもなく美人というわけでもない地味な印象の女性を演じている。
しかしその彼女が謎の生物との交流の中で徐々に生き生きとしていく様子がどこか幼い少女のようで可愛らしくも見え、例の謎の生物とのバスルームでのシーンにて水中内での行為後の謎の生物越しのニンマリとした笑顔もどこか妖艶に見えて、つまりはとてもエロい、、!!笑
美男美女のラブストーリーではないからと言って退屈だったり、見応えがなかったりとかそういうことが一切なくてこの表現は見事だなと感じた。
その謎の生物を追うストリックランド演じるマイケルシャノンの迫真の演技も素晴らしかった。
冷戦時代の軍人らしく、弱さ罪と言わんばかりに、自信を持って行動しなければならないといった信念を持っているかのように感じた。
そんな彼が家に帰るとごく一般的な父の顔と妻を愛する夫の顔を覗かせるが、後半はそれすらも弱さとみなすようなまさに鬼のような顔つきで謎の生物を追い詰めていく。
とにかく顔が怖い笑。ウィレムデフォーと並んで顔が怖い笑。顔だけで助演男優賞いったかと思ってたけどそもそもでノミネートされていなくて残念。。
あとは唯一のボカシのシーンがそこかよと思ってちょっと笑った。
第90回のアカデミー賞にて今作が監督賞と作品賞の主要2部門を受賞した際にWOWOWで放送されていた中継で映画評論家の町山智浩氏がこういった特撮的な作品がアカデミー賞で評価される時代がやってきたことを涙ながらに喜び、ゾンビでもマーベルでもバットマンでもアカデミー賞の戦いに参加できるんですよと熱を持って語る様子を見て今作のすごさを改めて感じたし、やはり喋れるオタクって憧れるなぁって改めて思った笑。
ギレルモ・デル・トロよりモンスター/怪獣に愛を込めて
祝!本年度アカデミー賞作品賞受賞!
『パンズ・ラビリンス』という傑作はあったものの、どうしても『ミミック』『ブレイド2』『ヘルボーイ』『パシフィック・リム』など我が道を行くかのようにモンスター/クリーチャーが登場する作品を手掛けてきたギレルモ・デル・トロが、ブレる事無く同ジャンルでオスカーを受賞するとは…!
やったね! おめでとう、ギレルモ・デル・トロ!
本作がオスカーを受賞した時、“総合芸術”という言葉が度々用いられたが、なるほど、納得。
種族を超えた愛の形、社会的マイノリティーへの差別・偏見、社会的に地位ある者たちの横暴・傲慢。
モンスター・ムービー/ダーク・ファンタジー/異色のラブ・ロマンスである事は大前提として、米ソ冷戦下、“彼”を巡る諜報戦、逃がそうと奔走するサスペンス、ミュージカル要素やユーモアも。
クラシック・ムービーへのオマージュがたっぷり込められつつ、それらを纏め上げたギレルモ・デル・トロのメッセージ性と独創的でイマジネーション豊かな演出。
口の利けないヒロインを全身全霊体現したサリー・ホーキンスの熱演。オクタヴィア・スペンサー、リチャード・ジェンキンスの的確な好助演。さすがと言うべきマイケル・シャノンの憎々しさ。
美しい映像、音楽。独特の美術。
雨、水槽、バスタブなど、印象的な“水”のシークエンス…。
大混戦と言われた今年のオスカー、まだ作品賞ノミネート全て見た訳ではないが、映画=総合芸術という意味では(ちゃんと高いクオリティーも含め)、受賞は妥当だったのではないだろうか。
やはり主役は、“彼”。
見た目はこれぞ!と言うくらいの半魚人。
さすがに初見は、グロテスクでキモくも見える。
鋭い爪は人の指や身体を簡単に切り裂き、凶暴性もある。
しかし…
捕らえられたアマゾンの奥地では神のように崇められていた“彼”。“彼”は人を映す鏡ではないだろうか。
つまり、冷酷な者には凶暴性だけが見え、ピュアな者にはそうは映らない。
音楽や卵が好き。手話でコミュニケーション出来るほど知性も高く、リアクションや仕草の一つ一つが次第に愛らしく見えてくる。
それどころか、カッコ良く、イケメンにも見えてくる。
神々しく、美しく、寂しげで…。
CGではなく、俳優が演じた生身のスーツのこだわり、造形。
ギレルモ・デル・トロの愛情がたっぷり注がれた、魅力的な“彼”なのである。
(でも、猫ちゃん食べちゃうのはアカンぜよ…)
作品自体は、賛否両論。
まあ、それも分かる気がする。
好き嫌い分かれるジャンルだし、人間の女性と半魚人のラブ・ロマンスだなんて最初は誰だってドン引く。
おまけに、冒頭からサリー・ホーキンスのフルヌードとアレ、彼女と“彼”の…。
とてもとても『美女と野獣』のようなロマンチックでファンタスティックには程遠い。
でも…
『美女と野獣』はアリで、本作はダメなのか?
否!
それなら劇中のマイケル・シャノン演じる冷酷軍人と同じ。
醜いものは醜い。差別・偏見でしか見れない見方。
誰がケチを付けられようか。
言葉も、種族も、見た目も超え、少しずつ心と心が触れ合っていき、激しく強く惹かれ合う。
“彼”も最後は王子様になったりはせず、そのままの姿、ありのまま。
メルヘンへのアンチテーゼであると共に、真の愛の形。
二人があの後どうなったか、思いを馳せ、余韻にも浸れる。
個人的にはこの作品、好きだ。
上記で語った理由もあるし、そもそもギレルモ・デル・トロの作品がご贔屓でもある。
それらに加え、どうしてもモンスターやクリーチャー、そして怪獣たちに愛着やシンパシーを感じてしまう。
ギレルモ・デル・トロは、『大アマゾンの半魚人』で最後殺されてしまう半魚人に共感し、それが本作を作るきっかけだと言う。
また、ピーター・ジャクソンも『キング・コング』を作る際、よりコングとヒロインの愛を掘り下げた物語に謳い上げた。
恐ろしい存在に描かれる事の多いモンスターたち。
しかしその実は、人間より繊細で、魅力的な存在。ベタな言い方だが、醜く、恐ろしいのは、いつだって人間の方なのだ。
そんなモンスター映画がアカデミー賞を受賞した。
モンスター映画=B級という固定概念を覆した。
これはもう快挙と言っていい。
日本でも同現象が起きた事は記憶に新しい。
言うまでもなく、『シン・ゴジラ』の映画賞席巻。
子供もしくはファン向け、ちんけなB級特撮と言われていたあのゴジラが…!
自分にはちょっとした苦い思い出がある。
その昔、ゴジラが好きというだけで小馬鹿にされた。
それが嫌だったから好きじゃないなんて言ったりしたけど…、
悔しかったなぁ…。
ゴジラが好きで何が悪い!
今はもう、胸を張って堂々と、誇ってさえ言える。
ゴジラは映画賞を獲ったくらいの傑作だよ、と。
(いや、元々映画史に残る名作だけど、所詮怪獣映画と嘲笑する輩が多く…)
ゴジラが絡んで話が脱線してしまったが、つまり何が言いたいかと言うと、
もうモンスター/怪獣映画はB級でも嘲笑の対象でもない。
メッセージ性のある高いドラマを訴える事が出来る。美しい愛を語る事が出来る。総合芸術の一つである。
ギレルモ・デル・トロはそれを証明してくれた!
ありがとう、ギレルモ・デル・トロ!
あなたは、レイ・ハリーハウゼン、本多猪四郎、円谷英二らと共に、偉大なモンスター・マスターの一人です!
うっとり
想像していた以上にロマンティックなラブストーリーで、うっとりするほど美しい世界観だった。
マイノリティたちに完全にスポットライトを当てつつ、こんなにも美しく描かれた作品は多くはないんじゃないかな。
貧しくても、仲間は少なくても、彼らの生活はささやかな芸術と想像力と愛に溢れていて。とても魅力的に映る。
対照的に描かれる上流階級の生活はキラキラしててカッコいいのだけどなんだか退屈そう。
ストーリーは割とシンプルに進むんだけども、いろんな仕掛けやエッセンスが加えられていて、ドラマとして見応えがある。
デルトロ監督のセンスが良すぎて、水に棲む彼も、極秘施設も、イライザの棲家も、ディテールが本当に魅力的なんだよな。
敵役にも憎めない魅力と滑稽さがあって。また何度でも観返したくなる作品でした。
設定が面白い
現代のおとぎ話と言っても過言ではありません、一目みたらいい人にしか見えない主人公に、見慣れると可愛く見える奇妙な生物、絶対悪い奴にしか見えない悪役や主人公を助ける人達それぞれが旨くキャラクターを演じているところも良かったです
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