猫が教えてくれたこと

劇場公開日:

猫が教えてくれたこと

解説

トルコの古都イスタンブールに受け継がれてきた、猫と人間たちの幸せな関係をとらえたドキュメンタリー。ヨーロッパとアジアの文化をつなぐ地として、数千年にわたって繁栄してきた大都市イスタンブール。この街で暮らす野良猫は住人たちから食料や寝床を与えられ、人々に生きる希望や癒やしを与えながら自由気ままに暮らしている。地上から10センチメートルしか離れていないカメラを使用して猫の目線でイスタンブールの街をとらえ、生まれも育ちも異なる7匹の猫たちと人間たちが織り成す優しい触れ合いを描き出す。アメリカでは1館の公開からスタートして130館まで拡大し、外国語ドキュメンタリーとしては異例のヒットを記録した。

2016年製作/79分/G/アメリカ
原題または英題:Kedi
配給:アンプラグド
劇場公開日:2017年11月18日

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映画レビュー

3.0猫と人の関係性に注目するドキュメンタリー

2017年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

萌える

トルコのイスタンブールはたくさんの野良猫がいることで有名だが、その猫と人、街の関係に焦点をあてた風変わりなドキュメンタリー。
街の歴史を丹念に紐解くとか、小難しいことはしていないが、この街になぜ猫が多いのかなどについての歴史的解釈に触れるシーンもある。7匹の猫とそれに関わる人々の交流を優しいタッチで見つめる作品だ。

「岩合光昭の世界ネコ歩き」は完全に猫だけを追いかけているが、こちらは猫と人のコミュニケーションを捉えている。人にとって猫がどんな存在か、ひいてはイスタンブールの独自性にどう猫が貢献しているかなどを見せてくれる。

野良猫たちが自然に街に溶け込んで、人と一緒に生活している様がよく伝わってくる。街の雰囲気や香りがよく伝わってくるので、イスタンブールを訪れた気分にもなれる。

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杉本穂高

3.5猫の姿を通じてその街の人々の息遣いが聞こえて来る

2017年11月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

以前、イスタンブールを旅した時、確かにこの街には野良猫(野良犬も)が多いなという印象を受けた。世界の名だたる大都市とは異なり、この街にはいまだ猫と人間とが共存しあう場所が多く残っている。海に面しているので海産物のおこぼれを得る機会も多いし、また人間の側からすれば地下の排水路を行き交う鼠を撃退してくれる面でもありがたい存在だ。だがそれ以上に、この街は古くから征服し、征服され、国の名前や宗教までもが移り変わる歴史を経てきたからこそ、人間の側にもあくまで“仮住まい”として猫たちと共存する気風が生まれているのかも。そんな風土と人間と猫が織り成す日常が心地よく伝わって来る観察ドキュメンタリー。何が起こるわけでも、感動的な展開が待っているわけでもないが、ただそこに映像が流れているだけで、この街をフラリと旅したような気分になれる。たったそれだけで満ち足りた気分になれる。そんなナチュラルな映画だった。

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牛津厚信

3.5イスタンブールの猫

2024年8月22日
PCから投稿

獣を擬人化させてしゃべるやつではなく、かわいいで釣るペット映画でもない。猫の視点にカメラを下げると、その肩越しに人間界の雑踏が見える。

オスマン朝が興隆したとき下水道が配備されたがそこへネズミが繁殖し地上へ出ては民家を荒らすようになり、対策のため人々は猫を飼うようになった。
その時からイスタンブールは人間と猫が共存する街になった。そうだ。

街の人々は透明グラスに入った赤茶色の飲み物=チャイをしきりに飲む。必ずソーサーに載り、必ずスプーンが付いている。座るとチャイが出てくる──くらいの頻度で飲む。チャイの頻度に負けず劣らず猫がいて、猫たちは街のそこかしこに警戒心なく寝そべっている。
地元民が給餌することもあるし観光客がなでていくこともある。
野良とペットの中間にあり、放任されてもいるが、世話を焼かれてもいる。市民の猫対応は懇篤で老成しており、商い物を狙われても決して怒らず邪険にもしない。結果猫はやんちゃ子のように街のいたるところを闊歩している。

その性格から特徴あるあだ名をつけられた猫がでてくる。ハスラー、愛人、サイコ、社交家、ハンター、紳士、遊び人。みんないい顔をしていて街に溶け込んでいる。

文明発祥の地、戦略の要所、シルクロードの終着地点、アジアとヨーロッパが混交するイスタンブールの古い街並み。そして猫。
「様様なものを介して神は存在をしめすと言われているが、きっとこの猫たちが神の使いなんだろう」と街の人は言う。

人々は猫を飼い慣らしはせず、猫はどこへでも自由にでかけ猫生を満喫しながら、人生に幾ばくかの彩りを与える。
猫の尊厳を守りつつ、つかず離れずの位置から、いつも気にかける──そんな人と猫の関係が描かれた、感傷や誇張のないさわやかなドキュメンタリーだった。

──

トルコというと親日だとか言う人がいる。日本人は何かにつけ親日かそうでないかを気にする。日本人にはコーカソイドに関わると気持ちよくなってしまうという島国根性回路が備わっているからだ。世界に親日の人はいるのかもしれないが親日国というものは存在しない。と個人的には思っている。

今日本でトルコから連想されるのはクルド人問題である。どんな映画も一種のプロパガンダであり、好ましさを感じてもいいが考えをインフルエンスされるのは情けない。と、好印象なこの映画を見ながら思ったが、猫映画から想像したよりもずっと大人っぽい佳品だった。

imdb7.6、RottenTomatoes98%と85%。

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津次郎

4.5ウシュカ・ダラ♥

2023年8月12日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ