ロシア産の幽霊ホラーが珍しく劇場公開。
ネットで海外予告を漁っている時に目に留まった作品だが、
ギリギリ射程範囲内の映画館で上映してたので鑑賞。
たぶんロシア製ホラーを観るのは自分は初めてかも。
いや、ロシア映画自体、最後に観たのはいつだったか……
……『ナイトウォッチ』以来? え、もう13年前なの?
嘘ッ! うわっ、怖ッ!!(そこで怖がるな)
そんなわけで自分はロシアンホラーの特徴なんて
語れないのだが、本作に限っての印象としては、
『インシディアス』以降の欧米の心霊ゴシックホラー
(『死霊館』『ウーマン・イン・ブラック』等)
にかなり雰囲気が近い印象。というより、
本作は多分それらを意識してるのだろうと感じる。
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写真が発明されて間も無い頃、ヨーロッパを中心に
『遺体記念写真』というものが流行したそうだが、
本作は『遺体を撮った銀板写真にはその人の魂が
保存される』という言い伝えを発端とした怪奇譚。
19世紀。若くして死んだ妻のことを
諦めきれず、とある禁忌を犯した男。
時は流れて現代。婚約者の家族に会うために、
人里離れた古い邸を訪れた女子大生ナスチャ。
言うまでもなく婚約者の家族には呪われた歴史があり、
ナスチャはその歴史にまつわる怪異に襲われる。
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本作には良い意味での“土臭さ”がある。
アラン・ポー作品や、スティーヴン・キングの
『ペット・セマタリー』を彷彿とさせるような、
暗く閉鎖的な、古く湿った土と死の臭い。
恐怖演出も悪くない。
心霊ホラーとしての恐怖度は中の中の上といった所。
初っ端、花嫁衣装の遺体を撮影するシーンが怖い。
瞼に描かれた瞳の異様さ……
何度固定してもガクリと下を俯く頭……
残念ながら恐怖のピークはそこだったりするのだが、
中盤から登場する土気色の不気味な“怪異”の
ビジュアルはなかなかだし、過去のフラッシュバック
で登場する恐怖シーンはJホラー的要素もあって良い
(Jホラーのハリウッドリメイク流行以降の
欧米ホラー的、と書いた方が正確かしら)。
婚約者の家族やその周囲の人々の閉鎖的な雰囲気、
それこそロシアらしさを感じる寒々とした空気も良い良い。
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ただ最初に書いた通り、
本作は全体的に欧米のゴシックホラーに似ている。
先述の遺体撮影のシーンやあの“怪異”の風貌も
恐ろしくはあるが、演出自体には過去の欧米
ホラー作で観たようなデジャヴを覚えてしまい、
オリジナリティを感じられなかったのが残念。
クライマックスの間延び感もよろしくなく、
アイツなんでチマチマした襲撃しかしないの?とか、
あんた最後壁壊しまくってただけだったな!とか、
ナスチャさん○○をさっさと壊しなさいよ!とか
(ラストで「言わんこっちゃない!」と思った)、
肝心の終盤で結構もたついてしまった感がある。
それにあの終盤の展開だと「それができるなら例の
儀式も必要無かったんじゃ……」と思っちゃったり。
そもそもあんな恐ろしい効果のある儀式が、
あんな簡単な方法で出来ちゃうもんなのかね……。
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という訳で、評価としてはまあまあの3.0判定。
空気感や閉鎖的な雰囲気は悪くないが、
もう少し独自性が欲しかったかな。
<2017.12.02鑑賞>
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余談:
「結婚は花嫁にとって葬儀と同じ」
という台詞が興味深い。映画で登場する
演出にもそのまま繋がってるし。
この辺りがロシア的価値観なのかしらねえ
(日本とかでも同じ考えの人はいるだろうけど)。
いやーそう考えると結婚て恐ろしいですね。
ロシアだけに、ロシアの結婚恐ろ(座布団没収)