悲しみに、こんにちは

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劇場公開日:

悲しみに、こんにちは

解説

本作が長編デビュー作となるスペインの新人女性監督カルラ・シモンが、自身の幼少期の体験をもとに、思春期前の少女の繊細な心の機微を、カタルーニャの風景を舞台に描いていく。2018年アカデミー外国語映画賞スペイン代表作品。両親をある病気で亡くしたフリダは、若い叔父夫婦のもとで暮らすこととなった。叔父と叔母、そしていとこのアナは、バルセロナからカタルーニャの田舎へと引っ越してきたフリダを家族の一員として温かく迎え入れてくれるが、フリダたちが新しい家族として生活するためには、お互い時間が必要だった。初めて生と死に触れた少女の特別なひと夏をみずみずしく描き、ベルリン国際映画祭やゴヤ賞で新人監督賞を受賞。第71回カンヌ国際映画祭では、映画界で活躍する女性をたたえる「ウーマン・イン・モーション・アワード」などを受賞。

2017年製作/100分/スペイン
原題または英題:Estiu 1993
配給:太秦、gnome
劇場公開日:2018年7月21日

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(C)2015, SUMMER 1993

映画レビュー

4.0子どもの瑞々しい感性を見事に映像化

2018年8月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

監督自身の子ども時代の思い出を映画化した作品。瑞々しいという言葉がピッタリと当てはまる作品だ。

90年台前半のスペインが舞台となっている。エイズで母親を失った少女が、叔母の家に引き取られ、新しい家族に馴染んでいくまでを子どもの視点に徹底して寄り添っている。カメラの高さもほとんどが子どもの目の高さに置かれ、終始観察的な(監督の言葉で言うとホームビデオ的な)目線で、ひと夏の思い出を映像に焼き付けている。
母親はエイズで亡くなっているのだが、作品中にその言葉が出てこない。主人公の少女の目線で語られるので、まだ理解の及ばない言葉であるからだ。しかし、母親が何か周囲から「敬遠される」ような理由で亡くなったことだけは、主人公にも空気感のようなものでわかる。
とにかく空気感のようなものに、とても敏感な映画で、やさしい雰囲気もトゲのある空気も高い精度で伝わってくる。
これが長編デビュー作だそうだが、素晴らしい才能だ。

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杉本穂高

4.0顔デカ仮面の祭り

2022年10月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 亡くなった母ネウスの弟エステバと妻のマルガ。そして年下の幼い従姉妹であるアナとの新しい生活。亡き母を恋しがる様子を見せつつも、家族の中に溶け込もうとしていたフリダだったが、アナへの無意識の嫉妬心から無理難題(ハエはちょっと・・・)をやらせようとしたり、怪我までさせてしまった。

 そんなフリダの特異な性格もあったが、叔父叔母の優しさったら普通以上に温かく感じられる。両親の死が治療法の確立していない未知の感染症が原因だったという噂が広まっていたため、フリダまで周囲の人に怖がられていた不憫さもあっただろう。何しろ、「痒い」を連発するフリダ。医者は抗ヒスタミン薬しか投与しない。

 甘やかされて育ったフリダに対して、アナと同じだけ娘として扱うところに感銘を受けた。日本だと親戚の家に引き取られたら「食い扶持が減る」とか言って蔑ろにされそうな・・・おっとこれは『火垂るの墓』などの邦画の見過ぎか・・・

 フリダもアナもなぜここまで自然な演技が出来るのか、天才子役に違いない!エンディングにはちょっと不満も残るが至極のハートフルストーリーだった。

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kossy

5.0登場する『アナ』の名前から、『ミツバチのささやき』を      良い映画見た

2022年9月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

4.0【初めての出来事、経験に対峙する少女の心の機微を繊細に描く作品。】

2020年3月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 フリダはどうも、どこかに引っ越すようだ。
 渡される”ネウス・ビホ・シモン”と書かれた女性の絵。

 何となく、引っ越しの理由の想像がつく。
 だが、映画では明確な台詞なしに、叔父夫婦の家で住むことになったフリダは、叔父夫婦の幼い娘、アナと一緒に遊ぶ日々だが、慣れない生活が続き、我儘になったり、精神は安定していない。

 そして、時折呟かれる神への贖罪の言葉。
 映し出される、小さなマリア像。

 後半、フリダの口から叔母に問いかけられる言葉で”ああ、矢張り・・”と思うとともに、健気なフリダのそれまでの姿が思い出される。

 そして、無邪気に遊ぶ中での突然のフリダの涙・・。こちらも涙してしまった。

<悲しみの意味がはっきりと分からず、自己表現出来なかった少女の健気な姿が印象的であった作品。>

<2018年9月1日  シネマテーク高崎にて鑑賞>

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NOBU

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