喜望峰の風に乗せて
劇場公開日 2019年1月11日
解説
「博士と彼女のセオリー」のジェームズ・マーシュ監督が「英国王のスピーチ」のコリン・ファースを主演に迎え、実話をもとに描いた海洋冒険ドラマ。1968年、イギリス。ヨットによる単独無寄港世界一周を競うゴールデン・グローブ・レースが開催されることに。華々しい経歴を持つセーラーたちが参加する中、航海計器の会社を経営するビジネスマン、ドナルド・クロウハーストが名乗りをあげる。アマチュアの果敢な挑戦にスポンサーも現われ、家族や周囲の期待に押されながら出航するドナルド。そんな彼を待ち受けていたのは、過酷な自然と耐え難い孤独、そして自分自身の思いがけない行動だった。共演に「ナイロビの蜂」のレイチェル・ワイズ、「ワンダーウーマン」のデビッド・シューリス。
2017年製作/101分/G/イギリス
原題:The Mercy
配給:キノフィルムズ
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2019年1月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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この人物、クローハーストのことは以前から何かで読んで知っていたのだが、もしも本作が自分にとって初めて彼の人生に触れる機会であったなら、鑑賞後、精神的にかなり引きずってしまったことと思う。
ある意味、すべての要素が彼を追い詰めたとも言える。もしくは、誰も悪くないのにこんなことが起こりうるのが人生の哀しさ、とも言い得る。面白いことに本国ではこれまでにもクローハーストにまつわる多くのドラマや映画、ドキュメンタリーが製作されてきた。誰もがこの逸話に、人間という生き物が抱える「謎」を感じているような気がする。
これは良き夫であり、良き家庭人であり、良き成功者でありたいと心から願ったごく平凡の男の物語である。手元にささやかな幸せがあっても、人は自ずと「もっと、もっと」と手を伸ばしてしまうのか。それとも引き返そうと気付いた時にはもう手遅れなのか。まるで現代版の「イカロス」のように思えてならなかった。
航海計器の開発と販売で生計を立てている男が、経済の困窮とメディアの煽りによって、無謀にもヨットによる単独無寄港世界一周クルーズに挑戦する。彼は冒険家でも、さらにヨットマンですらないのだ。この信じがたい実話の映画化が、コリン・ファース主演で実現ことには意味がある。まるで講義にでも出かけるかのようなブラックスーツの上に黄色いヨットウェアを着て、家族や友人が見守る中、もろに不安げな表情で港を出港していく主人公の姿は、ファースがかつて演じた否応なく難題に挑戦せざるを得ない男の横顔と重なるからだ。だから、この映画に冒険ドラマのスリルを期待しないで欲しい。案の定、出航後間もなく自然の驚異にさらされて目標と居場所をなくす主人公の葛藤のドラマというのが、正しい見方だと思う。同時に、これは従来のジャンル映画のルーティンを覆すチャレンジングな1作なのだ。
2021年8月12日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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無謀と言われても仕方ない、悲しい実話。航海経験がないのにいきなり世界一周の無寄港レースに出るのは命知らずにも程があると感じた。自分の発明した計器に自信があったのだろうが、自然を相手にうまく行かず。スポンサーや家族のためについた嘘のせいで後戻りできなくなり、自ら命を絶ってしまった。結果的に家族を捨てることになってしまい、孤独な航海において相談もできなかったのだろう。違った展開を想像していただけに、悲しい。
2021年7月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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タイトルから想像するような、爽やかな前向きな映画ではなかった。
原題のThe Mercyはクローハーストの航海日誌の言葉から。劇中の台詞にもあるが、mercyって何だ?
今では考えられないが、最後にゴールすれば細かい記録など調べられず、有名になれると思ったのだろうか。
準備不足で出発という時点でゴールは諦めていたのだろうか。
少なくとも観ていてゴールしようという意思が感じられない。
嘘をついてしまったという心の中の葛藤か、過去の思い出に浸っているという感じなので見ていてしんどさもあった。
海の色は場所によって違うように見え、綺麗だった。
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