いぬむこいり
劇場公開日:2017年5月13日
解説
「アジアの純真」「TAP 完全なる飼育」の片嶋一貴監督が、民間伝承の「犬婿入り」をモチーフに手がけたオリジナルストーリー。何もかもがうまくいかない小学校教師の主人公・梓が、神のお告げによって訪れた島で様々な煩悶と挫折を繰り返しながらも前に進んでいく姿を、シニカルな風刺やエロスを交えながら、全4章構成、4時間を超える上映時間で描く。東京で小学校教師をしている梓の家には、お姫様と家来の犬が結婚するという、不思議な「犬婿入り」の物語が語り継がれていた。仕事でもプライベートでも問題を抱え、落ち込んでいた梓は、ある時、突然聞こえてきた「イモレ島へ行けば望むものが得られる」という天からのお告げの声に従い、全てを捨ててイモレ島へ旅立つ。島では多くの苦難が待ち受けていたが、それが次第に家に伝わる伝説と関係していることが明らかになり……。
2016年製作/245分/R15+/日本
配給:太秦
スタッフ・キャスト
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2019年8月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
映画に対して憤慨という感情が自分にあったんだと気付かされた一本。
もともと原作があって、どうやら原作者に蹴られて「じゃあ同じタイトル使ってお前の作品めちゃくちゃにしてやる!」みたいなノリで作ったらしい。
つまり個人的な恨みを映画で晴らしてしまった。
じゃあイングロリアスバスターズみたいに反ナチに対するパワーがある映画という訳でもない。本人はそのつもりだろうが。根暗がねちねち悪口言ってる感じ
じゃあエド・ウッドみたいな逆にクソ作品として注目するべきかというとそうでもない。
稚拙な濡れ場、意味も面白さもない下品なシーン。作り手はタランティーノとかエド・ウッドとかになりきったつもりなんだろう。「雑な感じがいいだろ」「これが味なんだ」っていうニヤケ顔がひしひしと伝わる。雑と味は違うよ。
エド・ウッドみたいに笑い話にも語り草にもならない。
クソ映画作るなら笑えるクソにしよう。これを作った行動力に敬意を評して星0.5
2017年5月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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確かに監督の言うとおり(上映後のトークショー)、かなりお腹いっぱいの作品ではあり、『披露されて疲労』だ。原作があるとのことだが、原作者と解釈の折り合いが付かず、やむなく自主制作という形で題名もひらがなにしたとのこと。そして、5千万円の借金(公称)そんな昭和臭漂う無骨な監督の作品だから納得する四部から成る4時間もの大長編作である。観る前に昔のように途中休憩あるのだろうかと心配したが、そこは昭和の香り、ありました、良かった^^
沖縄民話に読谷村で伝わる『犬の婿入り』という神話があるようで、その話をベースに、女教師が奇天烈な運命に翻弄されていくというプロットである。その運命は4回に渡り、厭が応無くその女を弄ぶのだが、それぞれの始めのシーンは食べるところからスタートしていく。まずは食欲を満たさないと、ということなんだろう。
ただ、今作の内容、政治的な思想感は、塗してあるのにそういう臭いが全くなくあくまでも物語の一つの構成要素にしか過ぎない。地方にある、そこの首長が牛耳っている独裁的な町の事や、はたまた未だに戦争を70年も繰広げている島の事、そしてその島に伝わる先程の神話。その全てがそんなにこの作品の大事なこととは思えなくなる。その証拠に前半には悪人を嗅ぎ分ける嗅覚を持つという能力を発揮していた女が、後半はさっぱりその能力を行使していなかったことからも明白である。
ラストの、首を噛みきられた犬男の子を産み、同時に絶命する女。その顔が犬である稚児を抱え、島から脱出する自称夫。
多分、キモは3部の島での犬男と女との途切れない交尾シーンなのだろう。『新しい人間』を作り続ける人類という生き物に幸あれというメッセージ性の強い作風である。勿論、それは昨今の少子化問題へのアンチテーゼ、昭和のマッチョな男達の万感かもしれない。