彼女がその名を知らない鳥たちのレビュー・感想・評価
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蒼井優と阿部サダヲが魅せる究極愛
本作は、蒼井優、阿部サダヲの渾身の演技で魅せる心揺さぶられる濃厚な愛憎劇である。見応え十分の邦画らしい邦画である。
主人公・北原十和子(蒼井優)は、共同生活している下品で不潔で粗野な佐野陣治(阿部サダヲ)を蔑みながら、彼の収入を当てにして自暴自棄な毎日を過ごしていた。妻子ある水島(松阪桃李)との不倫に溺れていた。一方で、陣治は十和子に罵られながらも、十和子に執拗に拘りストーカー紛いのことをしていた。ある日、十和子は今も想いを寄せる元恋人の黒崎(竹野内豊)の失踪を知り、その真相に迫っていくが・・・。
主要な登場人物全員は身勝手で思いやりがない、一筋縄ではいかない好感など到底持てない面々ばかり。彼らを演じる4人の役者(蒼井優、阿部サダヲ、竹野内豊、松阪桃李)が役に徹しきった存在感のある演技をしているので、それぞれの人物像が際立っている。作品全体が引き締まっていて緊迫感がある。
十和子は、陣治への優しさが全く感じられない。陣治を忌み嫌い、毎日、陣治を容赦なく罵倒する。陣治は、そんな十和子に全く反論せず、十和子のご機嫌取りに終始する。十和子の帰りが遅いと大騒ぎをする。お互いに居ないと困るというだけの典型的な相互依存関係にある。相思相愛感は全くない。さらに、十和子が時折見せる憂いの表情に彼女の孤独感、成就しない恋愛への渇望感が滲み出ている。一方の陣治も、台詞、行動の中に愛する者を守ろうとする尋常でない狂気が垣間見える。黒崎の失踪判明以降、様々な伏線が張られ、ミステリー色が強くなるので、物語は只の相互依存した不仲の二人の愛憎劇では終わらないだろうなという予感がした。
竹野内豊、松阪桃李は、従来の役柄とは異なり、典型的な女性を騙す悪党振りが様になっている。甘いマスク、甘い台詞、巧みな話術に悪党としての説得力がある。今後の役柄に影響が出るのではと心配になるくらいのハマリ役である。彼らに騙される十和子役の蒼井優は凄い役者である。陣次を観る時との目の表情の差が際立っている。眼の表情だけで相手を愛し信じ切っている雰囲気を作っている。
本作では、十和子の過去の愛の遍歴は描かれるので、十和子の生き方に好感は持てないが理解はできる。しかし、陣治の過去は全く描かれない。特に二人の馴れ初めには一切触れないので、何故これほどまでに十和子に拘るのかが全く分からない。物語がミステリー色を強めるにつれて、優しそうだが謎めいた不気味な人物という印象が強くなる。
終盤、様々な伏線は一気に回収され、やり切れない救いのない物語の色調が変わっていく。その予想外の変化に心が揺り動かされる。本作が平凡な男女の愛憎劇になっていないのは、何と言っても、蒼井優と阿部サダヲの演技力の賜物であろう。鬱屈した癖のある役柄を渾身の演技で体現しているので、現実的で説得力のある物語になっている。愚直なまでに純粋で不器用な男女の愛の形を見事に表現している。
ラストシーン。題名にもなっている、幸福=愛を暗示する鳥の群れも印象的だが、それ以上だったのは十和子の台詞である。真っ暗なスクリーンに十和子の、“私の・・・・”という短い台詞が劇場内に響き渡る。この台詞は本作のメッセージである。そういうラストであって欲しい。そういうラストにして欲しいと思いながら観続けていたので、この台詞は、心に響き渡った。止め処もなく涙が溢れてきた。これからも様々な作品を観るだろうが、この作品のこの台詞は、生涯決して忘れることは無いだろう。
本作は、起伏に富んだストーリーでもない、映像美が素晴らしいわけでもない。ただ只管に、ある一組の男女の個性的な愛の形を描くことに徹している。純粋な愛、究極の愛とは何かを我々に鋭く問い掛けている。
痛い
愛らしきものの裏と表
愛のカタチ
もう蒼井優の演技が素晴らしい。どこかアイドル女優のような、業界にチヤホヤされているような印象を受けてしまう事が多かったのだが、本作の蒼井優はまごう事なき女優だった。
それは決して濡れ場が云々とかいう小さなくだらない問題じゃない。愛に置き去りにされた女の、戸惑いと焦りがにじみ出る演技にただただ拍手。あ、俺超偉そう。
そして次に白石和彌である。凶悪、日悪と震えさせて来た男の最新作は、愛を背景に人間の嫌な部分を突き付けてきた。キレイゴト無しに、人間の心情を赤裸々に描くのは白石監督の真骨頂。すでに次作が楽しみだ。
映画を恋愛だサスペンスだとカテゴライズしてしまうのは、観客の悪いクセだ。人生とは恋愛映画でもあり、サスペンスでもあるだろう。本作はカテゴリを超越した名作だと胸を張って言いたい
陣治の愛がつまりすぎてる
一方通行の恋しか出来ない十和子に無償の愛を捧げる陣治の話。
というか陣治の愛の話。
というか陣治の愛が重くて深くて沈みそう。
下品な男とクズ女の話とかって結構酷いこと書いてあったし、主人公が好きになれないと観るのがキツい私が最後まで観れるか気を揉んだけど全然大丈夫だった。
多分演者が蒼井優と阿部サダヲじゃなかったら鼻についたかもだけど。2人の演技が凄かった。
十和子と陣治を嫌悪する感情が湧いてこないのは絶対演者の実力だと思う。
最後らへん、陣治が十和子に生きる気力を持ってもらうため、子供を作れというシーン、かなり胸が温かくなった。
重い話は苦手だけどこれは好き。
ただタイトルが疑問で、観賞後も疑問。
馬鹿にでも理解できるシンプルなタイトルにして欲しかったよ、陣治の愛(ダサい)とか。
気持ち悪い
クズとメンヘラしか出てこない。
誰にも感情移入できない作品だった。
阿部サダヲの役は、下品で不潔で頭も悪く、、
発達障害者のレベルに見えてしまった。
メンヘラ女性と発達障害の中年男性、あとは、クズ男3人。
気持ち悪い、としか言いようがなかった。何を描きたかったのか、全く分からず、他の方の感想を観て、「じんじの純愛」に感動している方が多くて驚いた。
発達障害者がメンヘラ女にのめり込んだら、こうなるよね、という話にしか見えず、まともな普通の人間が出てこない、気持ち悪い映画。
阿部サダヲ、蒼井優が、発達障害者、メンヘラを上手く演じたのだけは、分かった。
映画って、印象に残るセリフや、ためになりそうなことを学べたり、感動のしたりするのだが、この映画からは、何も学ぶことが無く、得るものも無かった。
不快さと気持ち悪さしか残らなかった。
上品で知的な人が一人も出てこない。
こんな映画があるんですね。
健気な男
愛の形
蒼井優演じる十和子は自分を大事にしてくれない男に存在意義を求めてしまう女性
阿部サダヲ演じる陣冶は十和子が自分の事を愛してくれていない事に心のどこかでは気付いてはいるが一途過ぎる愛を貫く男性
十和子と陣冶の出会いの回想シーンをあそこで持ってくるのは、泣かずにはいられないです。子供になって戻ってきたいとゆう陣冶の言葉は自分と一緒に居るせいで子供がいる家庭を築いてあげられない負い目と来世も十和子と一緒に居たい、自分が罪を被って十和子には幸せになって欲しいという気持ちと全て十和子に対する愛で溢れていて、とにかく切なくて辛くて可哀想な気持ちになりました。愛情をお互い与えられる関係性がいかに幸せかと考えさせてくれました。白石監督、演じている人達、脚本、素晴らしいです。
愛するとは。
基本、クズの、、
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