スイス・アーミー・マン

劇場公開日:

スイス・アーミー・マン

解説

「ハリー・ポッター」シリーズのダニエル・ラドクリフが死体役を演じ、「リトル・ミス・サンシャイン」「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」などで知られるポール・ダノ扮する青年が、死体を使って無人島からの脱出を試みる様を描いた異色のサバイバル劇。遭難して無人島に漂着した青年ハンクは、絶望して命を断とうとしたとき、波打ち際に男の死体が打ち上げられているのを発見する。死体からはガスが出ており、浮力があることに気付いたハンクは意を決し、死体にまたがり無人島脱出を試みるが……。CMディレクター出身の監督コンビ、ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート(通称:ダニエルズ)の初長編作で、サンダンス映画祭やシッチェス・カタロニア国際映画祭で受賞を重ねて話題を集めた。共演に「10 クローバーフィールド・レーン」のメアリー・エリザベス・ウィンステッド。

2016年製作/97分/G/アメリカ
原題:Swiss Army Man
配給:ポニーキャニオン
劇場公開日:2017年9月22日

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(C)2016 Ironworks Productions, LLC.

映画レビュー

4.5くだらないのに大まじめ。狂っているのに普遍的

2017年9月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

笑える

楽しい

突出した独創性。異能の超大型新人監督の出現に遭遇した気分だ。

浜に打ち上げられた溺死体から出る屁(より正確には腐敗ガスだろう)が推進力になって水上バイクみたいになる。何ともくだらないオープニングだが、死体をダニエル・ラドクリフが、遭難した青年をポール・ダノが大まじめに演じていて、妙に感動してしまう。

死体が十徳ナイフのように便利な機能を次々に発現させてサバイバルを助けたり、話し始めて写真の女性に恋心を抱いたりと、いい感じに狂っているストーリーが展開するのに、しっかりと心の琴線に触れてくる。大人のファンタジーでもあり、現実を突きつける厳しさもあり。

ダニエル・クワンとダニエル・シャイナートの監督コンビ「ダニエルズ」、どうかその突拍子もない発想でこれからも珍作を作り続けてほしい。

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高森 郁哉

3.5心にいつも、一体の万能死体を

2017年9月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

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牛津厚信

4.0メニーが勃った

2023年9月20日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

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共感した! 6件)
uz

4.0十徳男の奇跡。

2023年6月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

知的

無人島に漂着したハンクが絶望のあまり自殺をしようとしたその時同じく一体の死体が漂着する。
この「しゃべる死体」メニーは不思議なことに様々なサバイバルツールを持っていた、まるで十徳ナイフのように。ハンクはこのメニーの力を借りて故郷を目指すことになる。

ハンクは死の間際でも楽しい人生の思い出が走馬灯のように駆け巡ることはなかった。思いを寄せる女性サラに話しかける勇気もない彼はいままで人並みに人生を謳歌することもできなかった。
そのサラに同じように恋に落ちたメニー。彼はまるでハンクの思いを代弁するかのようにサラへの思い、そしてそれを打ち明けられない自分のふがいなさを口にする。それを励ますかのようにハンクはメニーのためにサラになりきり、森の中で二人はひと時の青春を謳歌する。それはハンクが走馬灯で見ることの出来なかったものだった。

父親に口癖のように能無しとののしられ続けた青年ハンクは自己肯定感が低く、実社会では自分の気持ちを素直に表現することができない。自分の生きたいように人生を生きられないそんな自分に嫌気がさして逃げるように旅に出たのだった。
そんな人間がまたもとの世界に帰ったところでどうなる、また同じようなくすぶった人生を送るだけだ。
故郷が近づくにつれ実社会に戻ることに逡巡するそんなハンクをメニーは強引にサラのもとへ連れていく。

思い続けたサラに初めて対面したことでハンクは夢から覚めたように現実を受け入れたのかもしれない。家庭があるサラは自分が一方的に恋焦がれる対象ではないことをわかっていたにもかかわらずその現実を受け入れようとはしなかった。サラに恋焦がれるメニーと同じく。
ただサラへの思いを抱き続けることで自分の殻に閉じこもり現実から逃げていただけではないのかと。

所かまわず放屁をするメニーの姿はある意味ハンクの願望だったのかもしれない。包み隠さず人前で自分をさらけ出したいという。
自分の分身であるメニーの姿を通して自分を知ったハンクは成長する。現実から逃げず、自分の殻を破るのだと。

勇気をもってありのままの自分をさらけ出そう、まずは人前で放屁をすることから実践するハンク。その成長したハンクの姿をまるで祝福するかのようにメニーはおならジェットでその場を立ち去るのだった。

一見奇抜なファンタジー作品だが、ナイーブな青年の心の葛藤を擬人化された死体を使って見事に描いた青春奮闘記。

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