マンチェスター・バイ・ザ・シーのレビュー・感想・評価
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賞レース席巻も納得の出来。
昼間に鑑賞。終始静かに進む物語と美しい景色の映像の中にケイシー・アフレックの演技が光る。考え得る中でも特に残酷で過失という罪を背負いながら生きる男。
とにかく幸せになってほしいと思いながら観ていました。しかし乗り越えられない事もある、周りがどんなに許しても、どんなに優しい言葉をかけても、頭ではわかっているが心が納得出来ない…。そんな男をケイシー・アフレックが見事に演じていました。元妻との会話のシーンはグッとくるものがありました。あんなに重く感じた映画は久しぶりでした。観た人と暫く感想で語り合える映画だと思いました。
ドラマという映画のジャンルが好きな人は好きになれる1本でした。
美しい風景と映像
街を写す映像が、美しい。その街に対する愛情に溢れている。元妻とのやりとりは。切なくて見ていて苦しくなる。それでも、同じ過ちを繰り返しそうになる、人間の弱さがよく描かれている。リーは一人で抱えて、一人で超えようと苦しんでるけど、それって違う気がするけど。生きていくって残酷。
消えて欲しい記憶の話
結末、彼の結論がねー、
そうなんですよ。
乗り越えられないことってあるんですよ。
元妻とか兄の元妻とか、
頭では分かっていても心が乗り越えられない。
ひどく共感できる。
故郷の田舎町ではみんな「あのリーか…」
ってなっちゃう。
最初は「あのやんちゃ者のリーか」ってことかと思ってたけど、
きっと「あの事件のリーか」ってこと。
それがまた彼を追い詰めてる。
故郷にいることでそれが和らぐことなく、
逆に強くなってしまう現実。
個人の性格的なものもあるけど、
そういうことってある。
辛いこと、嫌なことを忘れられる人って
凄く羨ましいと思う。
嫌だったこと、一生忘れないんだろうな
と思って生きるのは辛い。
私は忘れられないタイプ。
ふと、出てくるんだよね。
本当消えて無くなって欲しいと思う。
だからせめて普段意識しないように
故郷を出るしかないよね…。
それでも出てくるんだから困ったものだ。
ケイシーアフレック、良かったです。
思い出しただけでも泣けてくる。あの笑顔も泣ける。繊細で丁寧なむかし...
思い出しただけでも泣けてくる。あの笑顔も泣ける。繊細で丁寧なむかしの日本の映画のようだった。押し付けはしないけど感動させてくれる。
C・アフレックの覇気の無い演技に惹き込まれる
ケイシー・アフレックが演じるリーの死んだような目。便利屋の仕事は型通りにはきっちりこなすが、それ以上は自分の知らぬことと言わんばかりの仕事ぶりや受け答え。酒に酔うとケンカっぱやくなり、バーで人に殴りかかる。過去には普通に幸せそうに暮らす父親としてのリーの映像が入り交じる。一体、この男にどんな悲惨な経験が起きてこんな荒んだ人生を送るようになったのか、序盤はとても惹き込まれた。マット・デイモンではこの味は出なかったかも。強い男のイメージが強すぎて、どこかギラギラしてしまいそう^^;
そして、その事件が明らかになる。う~ん、割と誰にでも降りかかりそうな不幸な事故でちょっと拍子抜け。信頼してた人に裏切られるとか、濡れ衣を着せられてとんでもない罪を被せられるとか、人間不信になるような系統の不幸だと思ってた。それだけケイシー・アフレックの演技がいいという事か。
そして突然亡くなった兄から後見人を託された甥が適度にクズで感情移入出来ない。若い男に特有の自分の都合しか考えない部分とか、女を二股かけて普通に思っている所など。特にリーの街へ移住を求められた時におじさんの仕事は便利屋で、どこでも仕事出来るので自分の都合に合わせておじさんが自分の家に住むようにいうくだり。自分ならこんなこと言われたら顔を真っ赤にしてしまうかもしれない。
そして、リーの妻、ランディの無神経な言動。リーは全ての責任は自分にあるので黙って受け入れるしかない。 本当なら誰にでも起こり得る不注意の事故なので、夫婦でその不幸を乗り越えるべきなのに、彼女は彼を責められるだけ責めて彼の元を去った。 ランディから和解を申し入れる時の言動まで無神経でいろいろとアレだった。
他にも、日本より宗教が深く生活に浸透していて、お祈りとかきちんとするのに、日本より離婚が多かったり性が乱れていたりする矛盾も感じた。個人主義と宗教が変な形で同居してるんだろうな。
うーん、大好きだった。
前情報ゼロで観たけど、うーん、大好きだった。説明的映像は最小限に抑えた上でシーンの繋ぎの“アソビ”の多さ。ケイシー・アフレックはずっと素敵だったし、静かに人間を描く。「どんな映画が好き?」と聞かれたら、今度から今作のような映画と答えよう。
見終わったあと語り合いたくなる映画
兄の死と残された甥っ子を預かるという問題を軸に前半は静かに日常が流れていきます。そのあまりの平凡さに、いい映画風ではあるもののこのまま見ているのはつらいかもと感じ始めた中盤に大きな動きがあり、否が応でも物語に引込まれていきます。ここの描写は驚くほどの名演出。
そうなると前半のあらゆることが後半へ繋がってゆき、なるほどと納得もあるけど、うっかり見落とした感も半端ない。もう一回見直さなければ的な。
それはさておき、自身の過去からいつまでも立ち直れない主人公と、父を失いながらも日常に適応してゆきつつある甥っ子のコントラストが、これも静かな中にじっくりと描かれてゆきます。そこにはドラマチックな過度な演出は存在せず、自然体な描きが心地よい。
それぞれの心の痛みがじわじわと伝わってくる見ていてつらい面もある作品に、ほんの少しだけの癒やし、救い、赦しが胸にすっと落ちてくる秀逸な演出。
ケイシー・アフレックと甥っ子役、ふたりの心の演技にところどころ目頭が熱くなる素晴らしい作品でした。
心地よい余韻
レイトショーで鑑賞。
平凡だけど美しい港町マンチェスター・バイ・ザ・シーに根ざした人々で構成される人間ドラマ。
ケイシー・アフレックの抑制された淡々とした演技が素晴らしかった。
甥っ子のパトリックとの軽妙かつユーモアのあるやりとり。
まるでドキュメンタリーを見ているような淡々とした自然な演出も本当に良かった。
一人の人間の人生を追体験しているようですごく感情移入できました。
ケイシー演じるリーとミシェル・ウィリアムズ演じるランディのやりとりが演技がうますぎて、シリアスな場面なのに逆にユーモラスに感じてしまうほどだった。
そのへんのリアルさも表現しているのが凄いと感じました。
映画が終わった後、なんとなく心がデトックスされたような気分になり、しばらくスマホの電源を入れずにぼーっとしてました。
リーが作中で飲んでいた瓶ビールがどうしても飲みたくなり、コンビニに行ったらなかったので代わりにバドワイザーの缶を買い、リーやパトリックのことを思い出しつつ飲みながら、今夜は眠ることとします。
いい映画でした。 見て良かった。
美しい街で淡々と
初めから最後まで大きなドラマが展開することなく淡々と物語は進んで行く。
ケイシーアフレックが何故マンチェスターを去ったのか。淡々と描くからこそ兄弟を失った悲しみ父親を失った悲しみ家族を失った強い悲しみが伝わってくる。
音楽も特徴的だ。喋り方も。
どこかグッドウィルハンティングを思わせるような。訥々と語る中に真実があって。
不思議と彼は2000年から年をとっていないように甥と兄弟のように感じられる。
そして久しぶりに映画館で沢山泣いた。
いい映画だ。
映画館で見るのがオススメ。
絵終わったのって感じで終わったけど。
長い映画だったんだ。
2隻の舟は、近づきすぎるとうまく進めない。
それぞれに、心に傷を負った者同士(あぁ文字にしてしまうとなんて陳腐な表現)、長い人生の間のわずかの期間、すれ違うようにして並走し合う日々を描き、物語にも演出にも演技にも、過剰な説明や華美な装飾を加えずに、内なる情感だけを丁寧に丁寧に救い上げるようなそんな映画。主演のケイシー・アフレックもミシェル・ウィリアムズも若手ルーカス・ヘッジスも、派手な演技方法は一切用いておらず、寧ろ感情を押し殺すような演技を貫く。それでいて、情感を内に溜めて溜めてついに溜まり切らなくなって溢れ出たその一瞬のひとしずくを、3人とも見事に体現していて実にドラマティックだったし、本当に胸に響いた。坦々とした物語と静かな情感の積み重ねが、大きなうねりを生み出してドラマを揺るがしていく物語に、気づけば打ちのめされるほど感動していた。
まったく似ていないようで、とてもよく似たところのある、しかしやっぱりまったく似ていない叔父と甥が、お互いを慰めるでも癒すでもなく、けれどもお互いがしっかりとお互いを視界の端っこで見つめ合っているようなそんな関係。
べったりと寄り添うような真似はせず、飄々とした態度を取りながらも、既にしっかりと傷跡を残してしまったそれぞれの過去の痛みや悲しみを引きずって、まるで心が追い付かないまま日々を送っているかのような二人。表面的な「再生」が慰めになるほど、それぞれの傷は浅くないのが伝わる。
だからこそエンディングは、二人が距離を置いて離れることで幕を引く。別れが寂しいとも言わない二人は、やっぱり飄々と拾ったボールを投げ合って、お互いの存在を確認し合う。
「そばにいること」の大切さは頻繁に語られるが、しかしこの二人は「そばにいないこと」をあえて選択する。誰かがそばにいるから傷が癒えるだなんて幻想でしかない。2隻の舟はあまりに近くを走りすぎると波を喰らって転覆してしまうもの。そんなことを見透かすかのようにして二人は離れる決断をし、まるで「ちょっと家族ごっこをしてみただけさ」と吐き捨てるかのように少しも感傷に浸らない。もしかしたら、このまま二人は二度と顔を見ることもないかもしれない。離れていくことを、悲しいでも寂しいでもなく、これもまた二人の船出なのだと言い切るところに、この映画の誠実さを見た気がした。
優しく心に染みる物語
昨晩鑑賞。観終わった時の余韻が今も続いています。誰しもが心に傷を抱えて生きている。主人公と自分を重ね、涙が溢れて止まりませんでした。全般を通して優しいトーンに包まれていて、登場人物全ての人の幸せを願わずにはいられない、そんな素敵な映画でした。人は1人では生きていけない。改めてそう感じました。ケイシー・アフレックの演技、本当に見事でした。
喪失感も大きな罪も抱えて生きていくしかない。
背負ってしまった大きな大きな罪。
抱えきれないほどの喪失体験。
それでも、生きていくしかない。
生かされた。生きることを選んだ。
寿命を全うするんだ。
確かなぬくもりを感じて、思い返して、生きていくしかないんだ。
港町マンチェスター。
高倉健主演作を思わせる透明で、静かな風景。
最後に街を離れるラストも素晴らしい。
生きていればいい。
まずは生きることだ。
幼い、あとから来る者のために。
大切な人たちのために。
生きていればいい。
観終わって、不思議ですが心が軽くなりました。
素晴らしい大傑作なのだと思います。
「乗り越えられない」と言えること
兄の急死によって一人残された甥・パトリックの後見人となった主人公のリー。
他人と関わりを断ち、ただ生きてるだけの日々。
パトリックの面倒を見る事で否応なくまた他人と関わりを持たざるをえなくなる。
その中でリーの辛い過去の出来事が姿をあらわす。
それは閉じ込めて心の奥深くにしまい込まなければ耐えられない、直視なんてできない辛い過去だった。
初めはお互い自分の主張ばかり繰り返す二人。
そんな中でリーはパトリックの、パトリックはリーの癒せない傷を見つける。
リーはパトリックの面倒を見るうちに辛い過去の出来事に直視し、それを自分には「乗り越えられない」とパトリックに話す。
直視できず見ないようにしてしまい込んでいたものを、自分の傷として認める事がようやくできたのだ。
だからといって劇的に快復する事なんてない。
傷は傷のままで、乗り越えられない過去は乗り越えられないままで、生きていくしかない。
でもそれでも生きていこうとするリーの姿と淡々と見えるラストの場面が重なった。
取り残された人間の悲しみ
第89回アカデミー賞にて脚本賞、主演男優賞を受賞した作品。
個人的に脚本がそこまで素晴らしいとは感じませんでした
主人公を演じたケイシー・アフレックのキャラは最初観ていて好きではありませんでした。でも観ていくうちに主人公の過去が余々に明かされ、彼の取り返しのつかない問題を知る。
償うことも忘れることもできず、その事を一生抱えて生きていくしかない。
もう自分に幸せなどいらないというかのように生きる
マンチェスターの風景ひとつひとつが彼の心の痛みを表しているようにも思える。
ケイシー・アフレックの演技はとても良く今後またスクリーンで観れることを期待します。
愛の遺言
Manchester-by-the-Seaが地元で、不運の家系と言ってもいいくらいのChandler家。
長男Joeは心疾患でいつ突然死してもおかしくない状態。その妻Eliseはアル中のため離婚。Joeが亡くなった後、息子Patrickは一人残されます。
次男Leeは、自らの不始末で全てを失い、妻Randiとは離婚。
小さな港町で、同情もある一方、やや白い目で見られている雰囲気が漂っていました。
Leeの回顧シーンが、現在と交差するように、ぽつんぽつんと挟まれます。あの事故以来、Leeは陽気な性格から一転、やさぐれて心を閉ざしていますが、彼の人生はほとんど前に進んでいないことが分かります。
元妻達はというと、Eliseはアル中を克服し信心深い男と再婚。Randiも新しい夫と子育て中。女性は一見ちゃっかりしているのかとも見えます。
そして特に対照的なのはPatrickで、父親の死後も社交的なまま、以前と変わらないかのように生活しています。
Lee以外の人間はみな喪失感をたやすく乗り越えて、どんどん前へ進んでいるのかというと決してそうではなく、EliseはPatrickを食事に招いても動揺を隠せず、Randiは心が壊れたままだと告白し、Patrickも冷凍庫の前で突然号泣します(←女の子に熱中してばかりなのでちょっと安心しました(^^;))。誰しも過去の過ちや不幸を抱えたまま生きているのです。
死期が近いことを悟り丹念に準備していたJoeは、Leeに再出発の機会を贈ったのでしょう。ただLeeが背負う十字架の重さは格別。
"I can't beat it."
とても乗り越えられるものではないのだと。
Randiと話すことで、未だ粉々に壊れている自分の心を再認識したLee。あの大惨事を忘れることも、自分を許せる日も来ないのかも知れません。しかしJoe兄さんの愛情は遺産としてLeeとPatrickのこれからを静かに支えてくれると願いたいです。
淡々とした描写でやや尺が長い気もしました。退屈と感じる方もいるでしょう。でも立ち見もいる劇場は久しぶりでした。
重苦しい話を、美しい景色と音楽が、時に冷たく、時に優しく包み込んでいました。
登場人物ひとりひとりが丁寧に描かれ、心が共鳴しあう人間ドラマ
やはりマット・デイモンは、"ハリウッドの良心"である。これがアカデミー作品賞でも誰も文句は言わなかっただろう。しかし本作の原案者マット・デイモンは、プロデューサーに身を引き、信頼するハリウッドの才能たちに、このダイヤの原石を託した。おそらく「ジェイソン・ボーン」(2016)や「オデッセイ」(2016)などの超大作に忙しかったから。
作家性の高いアーティストは、一芸に長けた不器用な人が多い。しかし自分の作品を完成させるためには、経済性も必要だ。マットが完璧な"ジェイソン・ボーン"になるのも、ベン・アフレックが超マッチョな"バットマン"になるのも、一流の作家だからであり、真のマルチプレーヤーなのである。我々は、この2人の一流が提示するものに、敬意を払わなければならない。
さて、前置きが長すぎた。その脚本を仕上げたのは、マーティン・スコセッシの「ギャング・オブ・ニューヨーク」(2002)の脚本にも参加しているケネス・ロナーガン。ロナーガンはそのまま監督も務めた。
…独り身のリー・チャンドラーのもとに電話で、兄のジョーが心臓発作で亡くなったと知らせが入った。急いで生まれ故郷に戻り、葬儀の準備にかかったリーは、弁護士から自分が16歳になるジョーの息子の後見人に指名されていることを告げられる。リーは思春期の甥を養育できるかどうかという不安だけでなく、彼の深い心のキズに向き合うことにあった。
状況に関して説明的な表現はまったくなく、シーンの一端からじわじわと主人公のリー・チャンドラーが置かれている問題が炙り出されていく。リーはとてつもない人生の破綻に直面しているのだ(見てからのお楽しみ)。
この手の作品は、主人公の問題だけにフォーカスしがちだ。しかし本作は、登場人物ひとりひとりが抱える人生の問題も、丁寧に描かれている。セリフの一言一言が腑に落ちる。
各人の状況が、その行動(しぐさ)、言葉、表情、反応で浮き彫りにされていく。世代も性別も家族関係も異なるからこそ、皆にあって当たり前の問題が省略されず、並列に展開され見事に共鳴しあっている。
主演のリー役は、ベン・アフレックの弟、ケイシー・アフレックだ。ケイシーは本作でついにアカデミー主演男優賞を勝ち取った。兄弟で実力派であることを見事に示している。マッチョな兄よりイケメンだし。
また甥のパトリック役を演じたルーカス・ヘッジズの今どきのティーンエイジャー像も深い。父の死に向き合いながら、ある事情で所在の分からない離れた母親とメールを交わしているパトリック。学校では女の子にモテる彼は、そんな中にあってもガールフレンドの親の目を盗んで彼女とエッチすることに執心している。養育者となった叔父へ気遣いをしつつ、自分の心のバランスを取るパトリックも、この物語の重要なプレイヤーである。もちろん、このルーカス・ヘッジズも助演男優賞にノミネートされた。
心象を象徴する、隠喩シーンが各所に散りばめられている。"事故現場で、脚部折り畳み式の担架が、救急車のドア前でなかなか収容できない"シーン、"深夜、冷蔵庫のドアにパトリックが頭をぶつけるシーン"、ちょっとした演出なのだが、そういった細かいことがピリリと効いている。
じんわりと、そしてしっかりと心揺さぶられる。ぜひ見てほしい人間ドラマである。
(2014/5/17 /新宿武蔵野館/ビスタ/字幕:稲田嵯裕里)
かすかな、かすかな心の動き
オープニング。マンチェスター・バイ・ザ・シーの風景が映し出されるのを観て、私、この映画は間違いないな、と確信しましたね。海がね、もう本当美しいんですよ。こんな風に海が撮れるなんて、その実力をまざまざと証明しているように思えましたね。
それに、出演のケイシー・アフレックとミシェル・ウィリアムズ。この二人、私大好きなんですね。彼らの出演作で嫌いだった映画ってないですよ、実際。
しかし、静かな映画でしたね。静かで、かすかなこころの動きを、たしかな演出で描き出していたように思います。ケイシー・アフレックのつぶやくようなかすれ声が、この男の悲しさを表現します。ミシェル・ウィリアムズの乱れたウェービーな髪と、ストレートのボブの髪との対比が、彼女の中で何かが決定的に変わったことを印象付けます。
多くは語れません。しかし、たしかにこの映画には本当のこころの動きが映し出されていて、そのかすかさに触れることが、そのかすかさのリアルさを感じることが、この映画の体験だったように思います。
よかった
ひたすら地味な描写が続き、テーマも暗い内容なので退屈に思う人もいると思うが、所々笑えるやり取りがあり、どんなに絶望的な状況でも悲しみと笑いは表裏一体なのだと実感。
映画自体には大きなカタルシスはないが、俳優陣の演技が素晴らしくまた観たいと思わせる映画だ。
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