マンチェスター・バイ・ザ・シーのレビュー・感想・評価
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まぁ、、、
なんていうんでしょう。
こういう映画を絶賛できるセンスが欲しい。
冒頭からグイグイと物語に没頭させる演出。
リーの過去に背負ってしまった十字架が明らかになっていく過程の小出し感のセンス。
みんな色んな事を、それぞれ抱えて、
消化不良ながらも生きていく人間模様。
そして、リーの最後の決断は、
個人的には、新鮮でした。
ああする事で、陳腐な物語にならないのかな?とか思いました。
良い映画だと思いますが、
何度か数秒目を閉じましたし、欠伸もしました。
シンプルに長いと思います。
あと30分削って、よりスマートにサラリと魅せてくれたら、もっと面白いと個人的には、思える。
とにかく、観る人のセンスによって、
面白さが変わるんじゃない?
人によっては、寝るよコレ。
絶妙!
素晴らしい映画
賞レース席巻も納得の出来。
昼間に鑑賞。終始静かに進む物語と美しい景色の映像の中にケイシー・アフレックの演技が光る。考え得る中でも特に残酷で過失という罪を背負いながら生きる男。
とにかく幸せになってほしいと思いながら観ていました。しかし乗り越えられない事もある、周りがどんなに許しても、どんなに優しい言葉をかけても、頭ではわかっているが心が納得出来ない…。そんな男をケイシー・アフレックが見事に演じていました。元妻との会話のシーンはグッとくるものがありました。あんなに重く感じた映画は久しぶりでした。観た人と暫く感想で語り合える映画だと思いました。
ドラマという映画のジャンルが好きな人は好きになれる1本でした。
美しい風景と映像
消えて欲しい記憶の話
結末、彼の結論がねー、
そうなんですよ。
乗り越えられないことってあるんですよ。
元妻とか兄の元妻とか、
頭では分かっていても心が乗り越えられない。
ひどく共感できる。
故郷の田舎町ではみんな「あのリーか…」
ってなっちゃう。
最初は「あのやんちゃ者のリーか」ってことかと思ってたけど、
きっと「あの事件のリーか」ってこと。
それがまた彼を追い詰めてる。
故郷にいることでそれが和らぐことなく、
逆に強くなってしまう現実。
個人の性格的なものもあるけど、
そういうことってある。
辛いこと、嫌なことを忘れられる人って
凄く羨ましいと思う。
嫌だったこと、一生忘れないんだろうな
と思って生きるのは辛い。
私は忘れられないタイプ。
ふと、出てくるんだよね。
本当消えて無くなって欲しいと思う。
だからせめて普段意識しないように
故郷を出るしかないよね…。
それでも出てくるんだから困ったものだ。
ケイシーアフレック、良かったです。
C・アフレックの覇気の無い演技に惹き込まれる
ケイシー・アフレックが演じるリーの死んだような目。便利屋の仕事は型通りにはきっちりこなすが、それ以上は自分の知らぬことと言わんばかりの仕事ぶりや受け答え。酒に酔うとケンカっぱやくなり、バーで人に殴りかかる。過去には普通に幸せそうに暮らす父親としてのリーの映像が入り交じる。一体、この男にどんな悲惨な経験が起きてこんな荒んだ人生を送るようになったのか、序盤はとても惹き込まれた。マット・デイモンではこの味は出なかったかも。強い男のイメージが強すぎて、どこかギラギラしてしまいそう^^;
そして、その事件が明らかになる。う~ん、割と誰にでも降りかかりそうな不幸な事故でちょっと拍子抜け。信頼してた人に裏切られるとか、濡れ衣を着せられてとんでもない罪を被せられるとか、人間不信になるような系統の不幸だと思ってた。それだけケイシー・アフレックの演技がいいという事か。
そして突然亡くなった兄から後見人を託された甥が適度にクズで感情移入出来ない。若い男に特有の自分の都合しか考えない部分とか、女を二股かけて普通に思っている所など。特にリーの街へ移住を求められた時におじさんの仕事は便利屋で、どこでも仕事出来るので自分の都合に合わせておじさんが自分の家に住むようにいうくだり。自分ならこんなこと言われたら顔を真っ赤にしてしまうかもしれない。
そして、リーの妻、ランディの無神経な言動。リーは全ての責任は自分にあるので黙って受け入れるしかない。 本当なら誰にでも起こり得る不注意の事故なので、夫婦でその不幸を乗り越えるべきなのに、彼女は彼を責められるだけ責めて彼の元を去った。 ランディから和解を申し入れる時の言動まで無神経でいろいろとアレだった。
他にも、日本より宗教が深く生活に浸透していて、お祈りとかきちんとするのに、日本より離婚が多かったり性が乱れていたりする矛盾も感じた。個人主義と宗教が変な形で同居してるんだろうな。
うーん、大好きだった。
見終わったあと語り合いたくなる映画
兄の死と残された甥っ子を預かるという問題を軸に前半は静かに日常が流れていきます。そのあまりの平凡さに、いい映画風ではあるもののこのまま見ているのはつらいかもと感じ始めた中盤に大きな動きがあり、否が応でも物語に引込まれていきます。ここの描写は驚くほどの名演出。
そうなると前半のあらゆることが後半へ繋がってゆき、なるほどと納得もあるけど、うっかり見落とした感も半端ない。もう一回見直さなければ的な。
それはさておき、自身の過去からいつまでも立ち直れない主人公と、父を失いながらも日常に適応してゆきつつある甥っ子のコントラストが、これも静かな中にじっくりと描かれてゆきます。そこにはドラマチックな過度な演出は存在せず、自然体な描きが心地よい。
それぞれの心の痛みがじわじわと伝わってくる見ていてつらい面もある作品に、ほんの少しだけの癒やし、救い、赦しが胸にすっと落ちてくる秀逸な演出。
ケイシー・アフレックと甥っ子役、ふたりの心の演技にところどころ目頭が熱くなる素晴らしい作品でした。
心地よい余韻
レイトショーで鑑賞。
平凡だけど美しい港町マンチェスター・バイ・ザ・シーに根ざした人々で構成される人間ドラマ。
ケイシー・アフレックの抑制された淡々とした演技が素晴らしかった。
甥っ子のパトリックとの軽妙かつユーモアのあるやりとり。
まるでドキュメンタリーを見ているような淡々とした自然な演出も本当に良かった。
一人の人間の人生を追体験しているようですごく感情移入できました。
ケイシー演じるリーとミシェル・ウィリアムズ演じるランディのやりとりが演技がうますぎて、シリアスな場面なのに逆にユーモラスに感じてしまうほどだった。
そのへんのリアルさも表現しているのが凄いと感じました。
映画が終わった後、なんとなく心がデトックスされたような気分になり、しばらくスマホの電源を入れずにぼーっとしてました。
リーが作中で飲んでいた瓶ビールがどうしても飲みたくなり、コンビニに行ったらなかったので代わりにバドワイザーの缶を買い、リーやパトリックのことを思い出しつつ飲みながら、今夜は眠ることとします。
いい映画でした。 見て良かった。
美しい街で淡々と
2隻の舟は、近づきすぎるとうまく進めない。
それぞれに、心に傷を負った者同士(あぁ文字にしてしまうとなんて陳腐な表現)、長い人生の間のわずかの期間、すれ違うようにして並走し合う日々を描き、物語にも演出にも演技にも、過剰な説明や華美な装飾を加えずに、内なる情感だけを丁寧に丁寧に救い上げるようなそんな映画。主演のケイシー・アフレックもミシェル・ウィリアムズも若手ルーカス・ヘッジスも、派手な演技方法は一切用いておらず、寧ろ感情を押し殺すような演技を貫く。それでいて、情感を内に溜めて溜めてついに溜まり切らなくなって溢れ出たその一瞬のひとしずくを、3人とも見事に体現していて実にドラマティックだったし、本当に胸に響いた。坦々とした物語と静かな情感の積み重ねが、大きなうねりを生み出してドラマを揺るがしていく物語に、気づけば打ちのめされるほど感動していた。
まったく似ていないようで、とてもよく似たところのある、しかしやっぱりまったく似ていない叔父と甥が、お互いを慰めるでも癒すでもなく、けれどもお互いがしっかりとお互いを視界の端っこで見つめ合っているようなそんな関係。
べったりと寄り添うような真似はせず、飄々とした態度を取りながらも、既にしっかりと傷跡を残してしまったそれぞれの過去の痛みや悲しみを引きずって、まるで心が追い付かないまま日々を送っているかのような二人。表面的な「再生」が慰めになるほど、それぞれの傷は浅くないのが伝わる。
だからこそエンディングは、二人が距離を置いて離れることで幕を引く。別れが寂しいとも言わない二人は、やっぱり飄々と拾ったボールを投げ合って、お互いの存在を確認し合う。
「そばにいること」の大切さは頻繁に語られるが、しかしこの二人は「そばにいないこと」をあえて選択する。誰かがそばにいるから傷が癒えるだなんて幻想でしかない。2隻の舟はあまりに近くを走りすぎると波を喰らって転覆してしまうもの。そんなことを見透かすかのようにして二人は離れる決断をし、まるで「ちょっと家族ごっこをしてみただけさ」と吐き捨てるかのように少しも感傷に浸らない。もしかしたら、このまま二人は二度と顔を見ることもないかもしれない。離れていくことを、悲しいでも寂しいでもなく、これもまた二人の船出なのだと言い切るところに、この映画の誠実さを見た気がした。
優しく心に染みる物語
喪失感も大きな罪も抱えて生きていくしかない。
「乗り越えられない」と言えること
兄の急死によって一人残された甥・パトリックの後見人となった主人公のリー。
他人と関わりを断ち、ただ生きてるだけの日々。
パトリックの面倒を見る事で否応なくまた他人と関わりを持たざるをえなくなる。
その中でリーの辛い過去の出来事が姿をあらわす。
それは閉じ込めて心の奥深くにしまい込まなければ耐えられない、直視なんてできない辛い過去だった。
初めはお互い自分の主張ばかり繰り返す二人。
そんな中でリーはパトリックの、パトリックはリーの癒せない傷を見つける。
リーはパトリックの面倒を見るうちに辛い過去の出来事に直視し、それを自分には「乗り越えられない」とパトリックに話す。
直視できず見ないようにしてしまい込んでいたものを、自分の傷として認める事がようやくできたのだ。
だからといって劇的に快復する事なんてない。
傷は傷のままで、乗り越えられない過去は乗り越えられないままで、生きていくしかない。
でもそれでも生きていこうとするリーの姿と淡々と見えるラストの場面が重なった。
取り残された人間の悲しみ
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