マンチェスター・バイ・ザ・シーのレビュー・感想・評価
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早く埋葬して
たぶんいい映画なんだと思うけど、たいへん固く、固いから悪いわけではないのだけど、やはり、アメリカ映画の先輩たちの映画の大きさにまったく追いついていない、というくらい映画の面白みがない。更に70年代の山田太一倉本聰時代のテレビドラマにも負けていると思うけど、今、面白いドラマ映画がないので仕方ない。それと、どうあっても、この「傷が癒えない弟」は迷惑な人としか思えない。こんな甘ったれは同情できない。そして、早く兄を埋葬してやれよ、と言いたい。早く埋葬したら早く映画が終わってしまうからか、としか思えん。
さすがに乗り越えられない
パトリックが3人の写真をじっと見るのが印象に残った
冬にもう一回見直したいような見直したくないような。
リーに何が起こったのか分からないまま過去現在の映像が混在して進んでいく。妙なクラシック音楽といい気持ち悪いフラッシュバックのような演出はリーの心情を表しているのか。
ネタバレすると面白くない映画、でも面白いという感情は湧かない。悲しい、辛い。身内に不幸があったばかりの人はみない方がいい。若い人も見なくていいかもしれない。
死んだ魚の眼のような演技は一級品
過去のダメージにより再びファイティングポーズを取ることができない主人公リーの鬱屈した雰囲気を、ケイシー・アフレックが巧く演じている。
人生は映画のようにうまくすすまない。
人間は映画のように簡単には変われない。
港町の哀愁を感じる風景。
透き通った声の賛美歌。
鑑賞後にジワーッとくる作品。
少しずつ、ゆっくりと癒されていく魂
一生癒されない悲劇を経験してしまった人間が、その後の人生にどうやって立ち向かうことができるのだろう?そんな人間に魂の救済はあるのだろうか?そういうテーマに取り組んだ映画だと思いました。
その答は、あるいは時間の経過そのものにあるのかも知れないし、新しい生命の誕生や縁のある若者の成長に関わっていくことで、完全にではないにしても、非常にゆっくりと、癒されていって、人はもう一度、前向きに生きることができる、という事なのかも知れません。
田舎の港町の風景が、こうしたテーマにとてもマッチして美しく、孤独な魂が少しずつ癒されていくプロセスが丁寧に描かれていきます。若い甥っ子のなかなかのプレイボーイ振りが、暗くなりがちなテーマに微苦笑を与えてくれます。
秀作と思いました。
引き受けるということ
人生には悔やんでも悔やみきれないことがある。人は自分を責め、心を閉ざして未来に背を向ける。もはや人生に喜びはなく、希望の明日もない。自分自身を見捨ててしまったのだ。そしてもう死んでしまいたいと誰もが願う。本当に死んでしまう人もいれば、生きつづける人もいる。
かくも悲しい世の中を、人はどうして生きつづけていられるのか。仕事終わりに飲む一杯のビールのためか。ネットで買った靴が週末に届くのを受け取るためか。
町や部屋を出て行くというのは、映画でも小説でも歌謡曲でも数多く取り上げられているテーマだ。家族や友人、恋人との別れがあり、歳月が流れて故郷を振り返る。たとえそこに耐え難い想い出があったとしても、故郷には自分の消しがたいアイデンティティがある。流れ流れてこんな生活になっちまったという人も、いつかは故郷と向き合って、決着をつけなければならない。
たとえ故郷に親戚も友人もいなくなっていても、昔ながらの山があり川があり海がある。室生犀星の「小景異情」に歌われている故郷に対する感情は、世界共通の感情であるように思える。人はそれを懐かしさと表現するが、懐かしさは愉快な記憶だけではない。苦しい想い出やほろにがさもある。
人によっては忘れてしまいたい凄絶な記憶もあるだろう。出来れば逃げていたい記憶だが、故郷の記憶を捨て去ることはアイデンティティの喪失を意味する。根無し草になってしまうのだ。
この映画の主人公は兄の遺言から逃げようとせずに、自分本意で幼稚な甥の面倒を見ながら必死で過去の自分と今の故郷の両方と折り合いをつけようともがく。
主人公を受け入れたくない周囲に対し、それでもすべてを引き受けて生きて行こうとする主人公。しかし過去の記憶はどうしても自分自身を許そうとしない。その葛藤がこの映画の主眼であり、観客の誰もが主人公に自分を重ねる。いい作品である。
押しつけがましくない距離
最初から、主人公の瞳に惹き付けられました。
整った、綺麗な顔つきなのに、諦念の滲んだ力のない瞳。どことなく哀しそうで、目が離せない。
扉を蹴破るシーンや、甥っ子が写真を見つめるシーン(写真が映らないのがニクい)、最後にちょっと映った小さな笑顔等が印象的でした。
乗り越えられない、という答えもすんなり受け入れられました。
哀しみを、哀しみのまま持ち続けることが許される優しさを感じました。
自分ならと考えてみる……
兄の死をきっかけに自分の忘れられない過去と対峙しなくてはいけなくなった、とても悲しい話です。
兄が自分自身の寿命が短いと分かってるうえでの遺言。その中に、甥っ子の後見人となり、過去から逃れるために出ていった街、マンチェスターバイザシーに戻って、いっしょに暮らしていけるのか、できないと思うが、甥っ子は、街から今の生活から変えたくない、引っ越したくない。当然だと思うが、その中での二人のいろいろな葛藤と街の美しさ、過ぎ行く時のなかでの最終選択するのは?
あっという間の2時間です。いろんな方にみていただきたいですが、やはり男性の方に観ていただき、感想を聞いてみたくなる映画です。
男性的
破壊行動により自傷するリー。
父親の死を受け止められないパトリック。
彼らはたったひとりで抱えきれない辛さと向き合っていたけれど、彼らの事を考えてくれている人達の存在に気がつきます。そして、彼らもまた、自分以外の人達の事を考えられるまでになります。
作品は、そのたった一歩を踏み出すまでの苦しみが描かれていました。
非常に男性的な作品だと思います。これが、男性的な見守り方であり、愛情表現なのでしょう。女性である私は、勉強になりました。
おもーい話
涙腺緩むことは無かったが、終始暗い気持ち。
悲劇のオンパレード。
心に傷を負った青年(中年?)をケイシーアフレックが公演。
最後まで引き摺りはするけども、
最後の最後で出る笑顔にグッとくる物があった。
米国的父性
マット・デイモンプロデュースで、ベン・アフリック弟のケイシーが主演男優賞とった作品。
もとはデイモンが監督・主演のつもりだったらしいが、Martian と予定が重なってロナガンに丸投げ、主演はケイシーに、となったらしい。
この交代劇は間違いなく吉であっただろう。
もともと気性が荒く口下手、対人関係をうまくこなせない子供っぽい性格、さらに自分の過失で言葉にできないほどの悲劇を招いてしまったリーには、おおらかで温かく弟も家族も深く愛する兄がいる。
その兄が心臓の病でぽっくり死んじゃう。
んだが、自分の病を知っていた兄は、息子をリーに託すと綿密な遺言を残していた....
リーの兄の他にも、米国的な善良で我慢強い父性キャラが多く登場する。
兄が亡くなったときの担当医師、パトリックの部活顧問教師、兄の遺言を預かった弁護士、リーの悲劇のときに面談をした警察官。
兄弟の友人であるジョージなど、しまいにパトリックを養子にするんだから、もうなんと言ったらいいか......
リーは素晴らしいロールモデルに囲まれながらも、そうはなれない自分にコンプレックスを抱き、なんとか壁を越えようとはするんだよねぇ ...
でも、I can't beat it なのだ ToT
I can't beat it なのだけれども、パトリックのための場所は作る、それが小さな灯火となって心に残る、というお話。
さらにどっしり賛美歌的な歌やクラシックがBGMで、なんだか古い映画を見ているような気もしないでもなかった...
そうそう、父性の濃い男性陣に対して、女性はアウトなのが並ぶ。
パトリックに言い寄る同級生女子たちや、彼女のお母さん、は序の口かな。
リーの元妻、リーの兄の元妻=パトリックの母
どっちも子供。
自分のことしか考えられないタイプ。
日本の女とは、だいぶ違う。
あ、病院ワーカーさんたちはしっかりしてました。
どうしてくれんだこの気持ち…
どうしても乗り越えられないことを今どうやって乗り越えるかの不正解のような映画だった。
不正解というか無回答というか…
ミシェルウィリアムズの演技が…
堪らんかった…
心が壊れ続けてる
重い重すぎる一言だった
静かに胸を打つ
そこ(故郷)へ戻っても、あの頃に戻れるわけじゃない。
インセントに悪ふざけした時。ちょっとした不注意と取り返しのつかない失敗。失ってわかる本当に大切なもの。
誰もいない時間を生きるには、人生はあまりに長く過酷だ。
観なきゃいかん。
本作のCMを映画館で観た時に、直感で名作だと思った。ようやく観る事が出来たが、レイトショーで館内ガラガラ。人目を憚らず泣けたので良かった。他の席からも、鼻を啜る音が聞こえてきたので、皆泣いていたのだろう。
リーの心の傷みが、息苦しくなる程伝わってきた。突然やって来る悲しみは、人を脆くもし、強くもする。季節は平等に廻るけれど、其々に廻る時間は、平等ではない。
人生のある時点で、立ち止まってしまった、否、立ち止まりたくなってしまった、リーの背中を、故郷の思い出と、パトリックとの共有の悲しみが、そっと押していく。
二人が其々に失ったものを受け入れていく懸命な足掻きは、春の訪れと共に、蕾をつける。
再生の始まり
とてもリアルで誠実な物語だな、という印象です。
途中に明らかになったリーの重すぎる過失。自分のミスで2人の実子を殺したのだ。しかも若干ラリっていた状態で。
「そんな超ヘヴィな十字架を、しかも事故が起きた街で背負っていくのか!乗り越えられるの?無理では?」と思って観ていたら、リーの乗り越えは描かれず。むしろ安易な着地に持って行かないケネス・ロナーガン監督の誠実な姿勢に少しホッとしました。
とはいえ、リーの変化はバッチリ描かれていて、観応え充分。
特に印象に残るのは、本作のハイライトであろう「乗り越えられないんだ」という、リーの独白シーン。
それまでリーの時間は動かなかった。火事の後の警察署での自殺は未遂に終わったが、リーの心はあの時死んでいた。
しかし、リーはその言葉を語れたことで、乗り越えられないことを認めることができた。生ける屍だったリーが、少しだけ蘇った。今までは辛すぎる傷と向かい合えなかったが、この一言を語れたことで、ついに向かい合えて、一歩踏み出せた。
そして、それまで紡がれてきたリーや周囲の人たちの心理描写がとても丁寧だったからこそ、その一言が重くリアルに迫ってきて、心に沁み入る。
その後の船の上で見せる笑顔や、新しい住居にパトリックを呼べる部屋を設置したい、というラストのリーの発言は、前半とはまるで別人。こう考えると、この映画はリーの再生の始まりを描いた物語だった。
リーの心に光が射したこととマンチェスター・バイ・ザ・シーに春がやってきたタイミングを重ね合わせるラストはとても見事で、時がわずかに動き出したんだなぁとしみじみ思い、深く静かに感動しました。
ランディとリーとの邂逅も良かった。ランディも心に蓋してごまかして生きていた。なので、リーとの再会し、思わず気持ちをブチまけてしまったことは、彼女も自分と向かい合うきっかけになったようにも思えました。あの出会いがあってこそ、両者が乗り越えられていないことを意識化出来たのでは?それも含めてリーは街に戻ってきて本当に意味あったな、と感じました。
欠点としては、尺が長いこと。もう少し尺を短くまとめた方がよりグッと迫ってくるようにも思えます。深いけれどもシンプルな話なので、長くする必要はないような。散漫に思えて印象にも残りづらく、本当に惜しいなぁとしみじみ思います。
また、意外なほどにギャグのキレがあり、サンディ絡みの演出は悪意に満ちていて最高でしたね。バンドの痛さがハンパない。サンディ母のアホみたいな感じとかヒドすぎて爆笑。あの親子はきっとその場のノリで作られたキャラだろう。ストーリーとまったく関係ないし。監督は悪ふざけしているとしか思えず、ホント最高!
(尺を短くするならば、真っ先に切られるのはこの辺なんだけど)
ギャグとは言えないけど、パトリックの母親夫妻の気色悪さもいい感じで毒があってシリアスながらも少し笑ってしまった。
この映画はなんだかんだ優しいよ
物悲しく静な中、storyは進んで行く。
生きていく中、罪とかではなく…どうしようもない事が起こる。
自分を許せないって辛い。こんな事がおきたら、そうなるだろう。
ラスト近く、リーに言わせた一言がありきたりの映画じゃない。そこがいい。
そう、言わせた所が優しい。泣く。
だけど、ラストのシーン…二人の映像は絶望的でもない。あの台詞からのうっすらとした希望。本当に危うい希望だけど…。
好きだな、この映画。
傷ついた心に寄り添う…色んな形がある。
リーの目も良いけど、私は声。痺れました。
あくまでも主役はこの町
リーの頑固に凝り固まった心に
少しずつ差し込んでくる光。
あたかも冬の鈍色の海面に射す
リゾートの日差しのように。
過去に縛られ町を離れたいリーと
町に将来と希望を見据えるパトリック。
この町あってこそのこの映画。
ラストシーンの海に
そしてエンドロールの波音に
ざわついたふたりの胸の内が静まるのを
ひたすら願うおいらなのでした。
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