セザンヌと過ごした時間
劇場公開日:2017年9月2日
解説
近代絵画の父と称されるフランスの画家ポール・セザンヌと文豪エミール・ゾラの40年にわたる友情を描いたドラマ。少年時代に出会い、境遇こそ異なるがともに芸術を志す2人は、夢を語り合って成長する。やがて先にパリに進出したゾラは小説家として成功を収めるが、同じくパリに出て絵を描き始めたセザンヌはなかなか評価されず、落ちぶれていく。そんな時、ゾラがある画家をモデルにした小説を発表したことで、2人の友情に亀裂が入ってしまう。監督は「モンテーニュ通りのカフェ」のダニエル・トンプソン。セザンヌ役は「不機嫌なママにメルシィ!」のギョーム・ガリエンヌ、ゾラ役は「世界でいちばん不運で幸せな私」のギョーム・カネ。
2016年製作/114分/フランス
原題:Cezanne et moi
配給:セテラ・インターナショナル
スタッフ・キャスト
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2023年1月22日
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セザンヌの人となりを、ゾラとの関係を軸に描き出した作品。二人が幼馴染だったと知らなかったので、それなりに面白く観た。
ゾラが画家を主人公にした不幸な小説を書いてセザンヌが激昂し喧嘩になったが、その後も二人は距離を置きながらもやり取りをしていたとのストーリー。
登場人物がおじさん主体でひげもじゃの方が多いため、印象派の面々だなとは分かるのだが誰が誰だか判別が難しく、少々混乱した。笑
エクスの風景が美しく、セザンヌの家や山など、彼の絵画になっている場が再現されているのが良かった。
2022年7月17日
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ダニエル・トンプソン監督による2016年製作のフランス映画
原題:Cezanne et moi 「セザンヌと私」、配給:セテラ・インターナショナル。
最初のタイトルバックの映像がとても美しく芸術的で、大いなる期待を抱かせたのだが、
・・・。
天才は理解されにくいというが、実際に幼馴染ゾラの友情を踏みにじるばかりの嫌な奴。ゾラはセザンヌのことを天才と評価するが、何をもってそう断言しているのか分からず、共感を覚えなかった。
落選ばかりと映画の中でも語られていたが、セザンヌの初期の作品を調べてみると、暗い画調で独自性も無く魅力を感じなかった。それが、映画でも目標とするところと語られていたが、最後に紹介される作品群で示されていた様に、空気の動きを感じさせる画期的な画調に進化していく。
何がこの進化を生み出したのか?それを映画で明らかとされることが私の期待するところであるが、妻を邪険に扱う等、狂気的なところだけが見せられてかなり不満を覚えた。
まあ、この映画は天才を理解できず、自分の才能の平凡さに絶望し、自覚的には売文行為に邁進するゾラ自身を主題とする映画かもしれない。フレイア・メーバー演ずる美しい家政婦ジャンヌ(実際綺麗だった)に、年甲斐もなく恋心を抱き悶え苦しむゾラ。最後、天才なのにセザンヌの才能は開花しなかったと結論付けるが、画商の活躍で遅咲きながら評価され始めているセザンヌ。結局、芸術家としては敵わなかったゾラの姿が印象つけられる。
最後、サント・ヴィクトワール山の実映像に、セザンヌのこの山を描いた数々の傑作を重ねる映像は、天才性を示していて素晴らしかった。
製作アルベール・コスキ、脚本ダニエル・トンプソン、撮影ジャン=マリー・ドルージュ、
美術ミシェル・アベ=バニエ、衣装カトリーヌ・ルテリエ、編集シルビ・ランドラ、音楽
エリック・ヌブー。
ギョーム・ガリエンヌ(ポール・セザンヌ)、ギョーム・カネ(エミール・ゾラ)、アリス・ポル(アレクサンドリーヌ・ゾラ)、アリス・ポルデボラ・フランソワ(オルタンス・セザンヌ)、フレイア・メーバー(ジャンヌ)、サビーヌ・アゼマ(アンヌ=エリザベート・セザンヌ)、イザベル・カンディエ(エミリー・ゾラ)。
2021年8月20日
iPhoneアプリから投稿
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売れない画家の、早く世に出た幼なじみに対するやっかみが凄まじい。しかし物書きなら自分のことを書かねばならない現実において、画家の私生活は絶好のネタだ。
それを晒さすしかないジレンマの繰り返し。
セザンヌはよくケンカしたという逸話は読み知っていたが、これほど激しやすい人とは思わなかった。嫉妬が憎悪になり物を投げるは壊すは。
ゾラとセザンヌが互いを傷つけ合いながら認めてくれないアカデミーやサロンに悪態をつき創作に苦悩する姿が凄まじくも愛おしい。
「絵はやめない、描きながら死ぬ」
見かねたモデルを務める妻から「絵を辞めて!」と言われてセザンヌの人生はどうなったのか、物語としても出色だ。
2021年8月2日
iPhoneアプリから投稿
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映画に出てくる画家はだいたい言動についていけないが、このセザンヌもそう。
男同士の友情ってこんな感じなのだろうか。心が通じ合っていると思っていたら、そうではないような、微妙なバランスで成り立っているのかも。
セザンヌは喧嘩したつもりはなくても、ゾラには許せないところに触れてしまったのだろうか。
最後のゾラに合わず帰ってゆくシーンは印象的だった。ゾラは自分のことを評価してくれている、そして会いに来てくれると心の底では思っていたのかもしれない。
色彩がきれい。フランスっぽくもあり、また特に子供の頃のシーンなどイタリアっぽい。独特の美しい色彩。