ザ・モンスター
劇場公開日:2017年2月11日
解説
「ルビー・スパークス」のゾーイ・カザンが謎のクリーチャーと戦う母親役を演じたサバイバルスリラー。10才の娘リジーと2人で暮らす若いシングルマザーのキャシーは、リジーの父親に会いに行くため深夜の田舎道を車で移動していた。雨が降る中、キャシーとリジーを乗せた車が事故を起こして立ち往生してしまう。助けを求めてさまよいはじめた2人は、周囲に異様な雰囲気が漂っていることに気づく。やがて、森の中から現われた正体不明の生物が2人に襲いかかる。リジーの父親役に「アンダーワールド」シリーズのスコット・スピードマン。「ストレンジャーズ 戦慄の訪問者」のブライアン・ベルチノが監督・脚本を手掛けた。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2017」上映作品。
2016年製作/91分/アメリカ
原題:The Monster
配給:ブロードメディア・スタジオ
スタッフ・キャスト
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2022年12月17日
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ド直球のタイトルが清々しい本作は、人里離れた道で立ち往生し、正体不明のモンスターに襲撃されるという典型的なアメリカホラーである。深夜に車を打つ土砂降りの雨、周囲を深い木々に囲まれた逃げ場のない環境下におけるモンスターの襲来とは・・・気の毒極まりない。だが、本作は単純明快なホラーではなく、もう1つ別の視点を持っている作品である。
それが、母と娘という"家族"を描いたドラマという一面だ。本作のテーマにあるメインディッシュはそれである。身動きの取れない車内での緊迫感、命の危機が薄い窓ガラスの向こうで蠢く恐怖感、これらに苛まれたシーンにおいて、娘の目線で過去のシーンがフラッシュバックのように描写される。母親は若干育児放棄気味の私生活にだらしない最低な母親だ。その下に育った娘は、酔って寝ている母にナイフを向けるほど憎んでいる。だがこの危機的境遇で母が最後にした事とは・・・。
結局、母親は娘を庇って絶命する。その前に自分がダメな母親だったと自覚した上で娘に語りかける一言一言が染みる。このシーンは中々感情に訴えかけるものがあった。嫌いでも家族。失ってから分かる物も多いはずだ。それでもこれからは1人の足で生きて行かなくてはならない娘の決心と共に開けてくる木々。新たな一歩を踏み出した所でエンドロール。この流れは非常に良く、うるっと来る物さえ感じた。対モンスターの血みどろアクションを期待すると地獄を見るだろうが、B級モンスター・パニックで情に訴えかける武器が揃っている作品は多くないだろう。 モンスターの造形はムキムキのトカゲの様なイメージだが、予算的に厳しいのか、全体像が掴めないのが残念だった。あんな食物連鎖の頂点に立ちそうな生物が何故今まで発見されなかったのかは不明だが、あまりこのモンスターに魅力を感じなかったのがマイナスポイントだ。それが違う形だったら☆4だったかも知れない。
2020年2月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
深夜に田舎道で正体不明の獣に襲われた母娘のサバイバル劇。
シチュエーションスリラーです。
暗闇で襲われ恐怖に慄く姿は緊迫感を煽ります。上手に母娘のすれ違う過去のシーンを入れ、母娘の愛情の再生を描くことに成功したように感じました。
最後、拍子抜けの印象を持ったのが残念ですが、あまり期待していなかった作品だったこともあり、個人的な評価は悪くない作品でした。
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自宅にて鑑賞。全体にテンポが悪く退屈だった。肝心のクリーチャーは骨ばった真っ黒けでよく判らなかったが、前足(手)が長く、四角い頭部だけ見ると『新エイリアン 最終繁殖('15)』に登場したのを彷彿させるデザイン(畏れ多くも『GODZILLA ゴジラ('14)』にもやや似ている)。ただこのクリーチャーが発する喉を鳴らす音が、何かのアイドリング音かヘリコプターの羽音の様でそこは佳かった。定石通りの意外性に欠ける流れに母娘愛と云う物語的な落とし所も取って附けた様で有り勝ち。凡作以下で魅せ場も少ない。40/100点。
・散々繰り返される過去のフラッシュバックシーンが矢鱈に多く、諄さが際立った。間延びした展開は緊張感が途切れるだけでなく、リズムが摑み辛く、最後迄乗り切れずに終わってしまった。
・序盤の車が森の中をドライブするシーケンスをよく見ると、左側の道路脇に小さな標識が建つゴミが固められた同じ場所を二度通過している。
・当初、Z.カザンが演じた“キャシー”は、E.モスが予定されていた。ネタバレすると、このキャラクター、その存在を“リジー”のE.バレンタインに再認識させる以外、酒に溺れただらしないアル中で、指を鳴らす同じ癖があるとは云え、結局無駄死にしか出来無かったと思ってしまったのは、意地が悪過ぎるだろうか。
・鑑賞日:2019年1月27日(日)
時折挿入される日常生活シーン。
酷い親だな…と感じさせる内容で、その分モンスターの出現によって母と娘の絆が深まる(というか、はっきりと現れてくる?)様子が私は好きでした。
ただ終盤に向けてだんだん面白く無くなった印象…