光(河瀬直美監督)

劇場公開日:

光(河瀬直美監督)

解説

「萌の朱雀」の河瀬直美監督が「あん」に続いて永瀬正敏とタッグを組み、「ユダ」の水崎綾女をヒロインに迎えて描いたラブストーリー。人生に迷いながら生きてきた女性が、視力を失いゆく天才カメラマンとの出会いを通して変化していく様子を描く。視覚障がい者のための「映画の音声ガイド」の制作に従事している美佐子は、弱視のカメラマン・雅哉と出会う。雅哉の無愛想な態度に反感を覚える美佐子だったが、彼が撮影した夕日の写真に感動し、いつかその場所に連れて行って欲しいと思うようになる。そして、視力を失っていく雅哉の葛藤を間近で見つめるうちに、美佐子の中の何かが変わりはじめる。共演に「日本のいちばん長い日」の神野三鈴、「るろうに剣心」シリーズの小市慢太郎、「龍三と七人の子分たち」の藤竜也。

2017年製作/102分/G/日本・フランス・ドイツ合作
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2017年5月27日

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第70回 カンヌ国際映画祭(2017年)

出品

コンペティション部門
出品作品 河瀬直美
詳細情報を表示

“観る楽しさ”倍増する特集をチェック!

インタビュー

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3
  • 画像4
  • 画像5
  • 画像6
  • 画像7
  • 画像8
  • 画像9
  • 画像10

(C)2017 “RADIANCE”FILM PARTNERS/KINOSHITA、COMME DES CINEMAS、Kumie

映画レビュー

4.0音声ガイドを通じて、誰しもに降り注ぐ光を描き出した秀作

2017年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

以前、音声ガイド上映会に参加し、その鑑賞の形に固定観念を覆されたことがある。まさに「映像世界の内部へ足を踏み入れる」感覚。河瀬監督も自作の音声ガイド制作に際し同様の驚きを抱き、そこから知られざる舞台裏に光をあてたストーリーが構想されていったのだとか。

音声ガイドの脚本を手がける主人公は、皆の意見を参考にしながら、少しずつ的確な表現力と言葉を獲得していく。それは同時に、彼女の中で「観る」の定義がグッと広がり、作品が描いているものをより精神的なレベルで理解できるようになったことの証左とも言える。

誰もが大切な人のために何かをしたいと願い、あるいは懸命に何かをしているつもりになっている。ヒロインがぶち当たるのもその壁だ。誰もが同じ目線で光を見つけ、その輝きを共有できているだろうか。その次元へ到達するにはどうすればいいのだろう。 河瀬監督の視座は音声ガイド、障害、老いという枠組みを超え、世界全体を貫く普遍的なテーマさえ描いているように感じた。

コメントする (0件)
共感した! 3件)
牛津厚信

4.0音声ガイドという仕事の描写が、世界を認識する行為の本質に迫る

2017年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

テレビには視覚障害者向けの副音声があるが、映画にもそれに近い「音声ガイド」があるのを、この映画で初めて知った。音声ガイドのテキストを作る人は、登場人物の表情や動作、背景となる屋外や室内の様子など、通常の音声だけでは分からない視覚的要素を、自らの言葉で伝えようと試みる。

音声ガイド制作者と、モニターとして協力する視覚障害者たちのやり取りから、視覚を使わずに認識する世界はどのようなものだろうかという想像を促される(先天性の場合と、後天的に視力を失った人とでは当然異なるだろう)。そこからまた、私たちが映画を見て解釈する行為、さらには、人が知覚を使って世界を認識する行為についてさえ、改めて考え直す機会をもたらしてくれる映画だと感じた。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
高森 郁哉

2.5恋愛ドラマだったの

2025年1月2日
PCから投稿

主人公尾崎の母親が認知症で父親も蒸発し
これから先が見通せずにいる。
自身が担当している映画の内容も
認知症を扱ったもので自身と重なる。
その狭間で揺れ動く葛藤をこの映画で描いているのはわかる。

実直に音声ガイドの仕事に向き合っているのに
モニターさんからボロクソに言われる尾崎。
説明がくどい、主観の意見はいらない、
あなたの感想ですよね等
感性なんて人それぞれなのに
目の見えない人側に立って考えろなんて
はじめから丁寧に説明してくれたらいいのに。

尾崎と中森がお互いに惹かれあうように
いたった経緯がいまいちわからなかった。
もう少し経験値を積んでからまた見直したいです。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
to

4.0記念すべき1,000本目の投稿作品!!

2024年4月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

知的

難しい

気が付いたらこの作品が映画評投稿1000本目であった。この記念すべき一本がこの作品であってというのは極めて象徴的である。この作品は目の不自由な方たちが映画を観る事のサポートを受ける「音声ガイド」と言う職業?の方たちにスポットを与えた作品。と、書いてしまうと凡庸なテーマなようだが、実はここにスポットを与えた事で河瀬監督は映像を見る行為を超えて感じる、浴びる、味わう事の出来る可能性について言及した極めて重要な視点を持った作品であるという事は忘れてはいけない。映像を作るもの、映像を見る事の出来ないものに伝えようとする者、そもそも映像を見る事に出来ない障害を持った方々、この三者のどの視点に立つかでこの作品の持つ意味は変わってくるのだが、そもそもどの視点に立っても変わらぬ視点、それこそが河瀬監督の意図した超越した「光」がテーマになっている事に我々が気付かされるように誘導されている。この仕掛けこそがテーマなのだ、と実感する。映画の評を書くに当たって映画を観るのではなく、ましてや読み込むのでもなく、まさに浴びる、感じる、触れる、その光の持つ意図を我々に強く認識させる作品であった。まさに映画にとってエポックな作品と言えよう。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
mark108hello