羊の木のレビュー・感想・評価
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アンニュイな木村文乃だけは良い
個人評価:3.4
殺人者たちの群像劇だが、「桐島、部活やめるってよ」の監督らしかぬ人物描写。
殺人者たちの人物の掘り下げ方も曖昧で、登場人物全てがリアリティに欠け、物語が入ってこない。
いい点は無かったが、木村文乃ののっぺりとしたアンニュイな演技だけは魅力的。
オチ
終始まとわりつく不穏な空気感は好みだが、内容がやや薄いように思う。元囚人を6人登場されたけど、それぞれのストーリーが弱いので、減らしてフォーカスした方が厚みが出たのではないか。
オチは好みかと思うけど、個人的にはいただけなかった。
色々気になったけど大八先生かあ
まず感じたのはカメラの解像度と町の雰囲気が異常にマッチしていたこと。これはなかなかありそうでないなあと思った。キャスティングは超うまいと思いつつ、桐島の時のような未来につなぐ抜擢はなく、画が確実に見えるうまい人達が採用されていた。これだけの人達が揃えば間違いなくいい作品ができるな、、。しかし結局飽きずに最後まで見てしまった笑
期待したような事は何も起きず!!
何かが起きそうな雰囲気を醸し出して進行しますが、結局期待したような事は何も起きず、裏切られました。序盤で「人が良く魚も美味い」を連呼するので、インスマス的な怪異を期待しましたが、伏線でも何でもありませんでした。受刑者も様々な方がいて良いと思いますが、みんな暗いノリで描写も薄く均一で、誰かが作ったRPGツクールのようで深みがありませんでした。
生け贄の子羊を欲しがるから、殺人事件が起きたのです。
タイトルが羊の木ですから、キリスト教の思想が反映されている映画だと思います。生け贄を欲しがったのは、誰か?恐らく地方住民でしょう。罪人が住民に受け入れられる為には、生け贄の子羊が必要だとメッセージが込められているようです。しかし、生け贄を欲しがるから、殺人事件が起きたのだと思います。事件予知が学問として早く確立され合法化されるべきだと思います。地方住民の不平不満に気付いていれば、早くに事件予知が可能だった。現場100回!罪を憎んで人を憎まず!再犯を繰り返す背景に有る問題とは何か?大切なのは人を公正させる高度なテクニックとインテリジェンスなのです。
むっず
これほどレビューに困る作品に出会ったのは久々。
面白くないとは思わないし、逆に落ち着きのあるドキュメンタリーのような作風は好みと言えば好みなんだけど、人に勧めるかと聞かれれば勧めません。
でも、何が良くないのかがあまり明確に浮かばないので「つまらない」と言い切ることもできないし。
まとまらない頭のまま書いてしまいますが、これはもう殆ど、月末と宮腰の話、と言ってしまっても良いわけですよね。
自分の町に移住してきた6人のうち、一番ヤバい奴と最も親しくなってしまったということ。
だいぶ序盤から、松田龍平こと宮腰のヤバさは際立ってましたね。
某サカキバラって、ざっくりこういうイメージあるよね感。
元殺人犯で元受刑者、という先入観がどうとか、月末の言うところの「同じ人間だし」(元殺人犯の俺が怖くないの? と宮腰に問われての台詞)という、まぁそりゃそうなんだけど……、いや、でもね。
人を先入観で見てはいけないなんて道徳の授業とかで教わったような気がしないでもない。
確かにそうかもしれない。
けど、殺人まで話がいってしまうと、そこで「人を先入観で見るとは! あなたの心は汚れてる!」なんてことを声高に主張できる人ってのは、基本的には偽善者だと私は思ってしまいます。
何故なら、通常の価値観を持っている人はまず人を殺さないから。
人間を殺すって、刑務所行って出てくれば「うんうん。罪償ったんですよね」ってもんでもないと個人的には思います。
例え相手に泣き叫びながら請われても、私は絶対殺さない。愛があろうがなかろうが、個人の人生には、基本的には誰も介入するべきじゃないと思うし、どうしても死にたいなら、申し訳ないけれど己でケリをつけてくれと言うしかない。
こっちが殺人の罪に問われるだろ、みたいな理由でもなく。生まれてきた以上、誰かに殺されることも、誰かを殺すこともあってはならない。
こんなこと長々と書かなくたって当たり前なんだけども。
脳死状態が続いている方の安楽死問題等については、その限りではないと思いますが……
つまりこのお話は、
一度殺人を犯したが、更生の道を歩む者
脳のタガが外れていて、一生救えないモンスター
同じ殺人者でも、こういう圧倒的な差があって、宮腰は後者だった、ということなのだと思います。
終盤、ギターの練習などで距離を縮めた月末にだけ一瞬「まともな人間」としての気持ちを覗かせたものの、そういう大事な存在である月末を道連れに海に身投げして、民間伝承が作り上げた怪しげな神に審判を委ねるというミラクル展開は賛否あるかと思いますが、これこそ宮腰という人物を語る上では外せない、究極自己中人間だけの発想ですもん。
何であんな無茶苦茶なことするんだよ!
俺がそうするって決めたからだよ!
という感じの、宮腰の行動理念そのもの。
作中、たとえば優香(役名失念)は「セックスのプレイの一貫として首を絞めてたら夫が死んだ(気持ちいいから首を締めてくれと日常的に頼まれていた)。殺すつもりは本当になかった」と話し、且つそのいきさつを裁判では信用してもらえなかったため刑務所行きになったと独白しているので、事実上の事故のようなもので、うっかり相手を死なせてしまった的な描き方なわけですが、相手を死なせるまで我を忘れて快楽に溺れていた事実がある以上、彼女もどこかで、未必の故意のようなものが頭によぎったことがあって、でも当たり前になっている夫婦間の異常な営みに甘んじいていたわけだから、女子刑務所で夜な夜なすすり泣く声が聞こえてきてどうのこうのと言われたところで、そういう場所に行く価値観を育ててきたのは旦那さんと自分自身であって、亡くなった旦那さんのせいだけではないですから。
二度と愛する人と離れたくないから絶対同じ罪は犯さない、というような台詞もありましたが、
それを信じるか疑うかというのはこちら側の問題ではなく、信じて欲しいという気持ちがあるならば、生涯をかけて信じてもらえる行動をし続けられるかどうか。
それはあちらの問題です。
そこまで究極の一線を越えるかどうかという判断を自分の中で下して、結果的に「殺す」或いは「それも仕方なし」という選択肢を取った経験のある人たちの存在。
それは先入観云々なんて言葉で処理できるものではなく、その時に、殺人という判断にGOを出した思考回路の持ち主なんだから、そこは信じるだの信じないだの、そういう単純なものではないと思います。
元殺人犯と共存していくために必要なことは、これは本当に超主観なのですが
「最悪、この人を信用したことで殺されたとしても本望」
と思えるかどうか、だと思います。
書いていて思いましたが、
優香と月末父の恋愛過程、
宮腰のバックボーン、
月末の戸惑い、葛藤、素顔。
このあたりをもう少し丁寧に描いてくれたら数倍良かったのではないかという気がしました。
特に優香と親父さんのあの感じ、
女子刑務所から出てきて、久々に老人相手に性欲が大爆発したようにしか見えなくて、優香の体当たり演技にはとても驚きましたし素晴らしかっただけに残念です。
ヒューマンドラマと銘打つのであれば、もっともっと人間の機微を描いて欲しかった。
長くなりすぎましたが、
以下、素敵だった点!
・北村一輝さんにハズレなし
・松田龍平は本当に上手い
・クリーニング屋のおばさんの「だったら私が肌で感じたことは何? 私、あなたに嫌な感じしたことないんだけど!」というような台詞、群を抜いて良かった
・のろろ様という存在の設定やお祭りの雰囲気、好みです。不気味で怖いけど神聖なお祭り。参加したい。
・理髪店の店主、中村有志さんが年々好きになる。いいお芝居だった……
・「もう胸もなくなっちゃったしグラビアなんかできないですよー!」と言っていた優香さん。Tシャツのシーンで「あー! 全然でかいじゃん!!」と、久々に見た優香の巨乳が何となく懐かしかったので声出してしまった(自宅鑑賞です)
・北村さんを豪快に轢き殺すシーン、静かさが逆に怖さを引き立てていた。
不気味な雰囲気
気にはなっていたけどわざわざ映画館に行く気も、レンタルする気にもならずあまり期待はせずに観ました。
一人一人の不気味さを感じ、裏では何かあると考えさせられる雰囲気だけど結果特に無く、ある意味予想を裏切られた感じに思えました。
クリーニング屋の店主とヤクザのおっさんだけにこやかにホッコリ迎えたけれど、飲んであれだけ暴れる理容師は特に感情移入せず、、優香に至っては末期の寂しがり屋のエロ未亡人で手っ取り早く手玉に取れる老人に色気で落としただけだけど「本気で好き」とか絶対裏で何かあるかと思ってしまった。
唯一「羊の木」というタイトルの鍵を握る市川実和子のキャラもイマイチ掴めず..
このタイトルは人生をやり直す人々が新しい土地で芽を咲かすという意味合いなのかな..
ノロロ様の頭が落っこちた時は「そんな馬鹿な」って5回ぐらい呟いてしまった。
海シーンのCGはもう少し頑張って欲しかったな..
総合してあまりいい感想はないけれど、初見はただただ楽しめれたし、錦戸亮&松田龍平の演技や独特な雰囲気が良かったので個人的評価3.5。。
エロ全開の優香が最高!!
映画の評価なんてどうでも良くなるぐらい、優香さんの演技が素晴らしかった。
いや、演技が素晴らしいというよりは、エロさに持っていかれた。
なんだろう?
フェロモンが出ている優香って、ここまで破壊力があるとは思ってもみなかった。
最高です!!
内容もなかなか良かった。
他者を受け入れる事の困難さ、それが今回は殺人犯だから余計にハードルが高い。
6人が6様のキャラなので、《元殺人犯》っていうのは、どれが本当のキャラなのかわからない。
実際には、人それぞれなんだろうけど、その一様に決めつけれないことが、また見終わったときに恐怖をあたえる。
ラストのキャラの急変は、吉田大八監督オハコの展開で素晴らしかった。
良い緊張感がずっと続く
錦戸くんの「普通の人」感、松田龍平の「こんな犯罪者いそう」感(後半で暴走するシーンは、そんな感じではなく物凄かったけど)、あと優香の熱演。
色々とても良かった。
ストーリーも、常に緊張感があり、次に何が起こるんだろう、この人に背中向けてて大丈夫かなとスリルがある良い作品でした。
シーンとしては想定内だった終盤のシーンの展開にはビックリした…!それで4.5にしようかとも思ったけど、やっぱり満足度は高いので5。
自分の街が実はこうだったらとか、「犯罪者はまた必ず犯罪を犯す」という表現に受け取られそうで地上波での放送は難しいのかなとか、色々考えてしまう作品だった。
(個人的に、新聞に掲載されてしまった犯罪者、からの田中泯さん…の流れで、『八日目の蝉』を思い出した…)
タイトルの意味
が、イマイチよくわからない。6人は多すぎるなーと思った。一人一人を描き切れていない。中盤までは展開が良くて見入ったが、最後はなぜかオカルトチックで冷めた。全体を通して何が言いたいのかよく分からない。最後のラーメンの意味も。
サスペンスというわけでもなく暗い過去を持った人々の生きざまを描いた...
サスペンスというわけでもなく暗い過去を持った人々の生きざまを描いた感動ものかと思うとそうでもなく中途半端。一体何を言いたい映画なの?
最後に崖から転げ落ちた像の頭部分がなぜか港で引き上げられるのもよ0くわからん。
最後は「未来惑星ザルドス」かと(笑)
原作ほどの濃さはないが
作品としてはキャストの割に小品感が漂う。
しかし懲役を終えたとは言え、町に重犯罪を犯した人間がやってくるのは、心中穏やかではない。
町の祭りも気持ち悪い。
のろろさまとかなんだあれは。
ラストで町の過去が見えてくるが懐深いとは言え、それを知った住人はどう思うのだろう。複雑である。
木村文乃のギター♪
予備知識を持たずに鑑賞したため、原作が山上たつひこ、いがらしみきお(作画)であることに驚いてしまいました。山上たつひこと言えば、こまわり君の「死刑!」で有名なギャグ漫画『がきデカ』で大ブレイクして、次々とマニアックな変態ぶりを描く作風で知られる御仁だ。いがらしみきおもギャグ4コマ漫画の大御所であり、予想のつかない展開に大いに笑わせてもらった経験があります。何と言っても彼らの若い頃のコミックは何冊も所有しており、懐かしい気もします。
また、山上たつひこは出身は違うが金沢に住んでいるらしく、改築される前の寂れた金沢駅を哀愁のある田舎都市として描いて、そうした都会嫌いの性格が作風にも現れているような感じを受ける。今作では魚津市がメインのロケであり、寂れた田舎町の風景をことなく愛している山上氏の情熱さえ感じられるのです。映画では雪の風景がまったくありませんが、とても雪深い都市であり、10数年前の大雪の際には5時間ほど足止めを食らったという苦い経験も懐かしいものです。
この魚深市に元殺人犯の仮釈放中の男女6人を住民として受け入れる政府の極秘プロジェクトが市役所職員の月末(錦戸亮)に知らされる。元受刑者の更生の場として10年間住むことを義務付け、同時に過疎対策として発案されたものだった。住居も職も与えられた彼らは、市民に溶け込み始めたのだが、いつか何かを起こすのではないかと月末は不安でしょうがない。その中でも宮腰(松田龍平)が月末を“ともだち”としてしきりに接近してきて、月末のやっているバンドにも参加しようとギターを始めたのだ。やがて、実家に戻ってきてバンドメンバーに加わった石田文(木村文乃)にも接近して、彼らは付き合うようになる。月末にとっても彼女は気になる存在だったためショックを隠せない・・・
6人の元殺人犯、杉山(北村一輝)、太田(優香)、栗本(市川実日子)、福元(水澤紳吾)、大野(田中泯)はそれぞれ個性的で、杉山以外はもう完全に犯罪とは関わりたくない様子が窺える。そんなある日、宮腰を探している男性が町に現れ、状況が変化する。元犯罪者たちは更生という目標を持つ者、再犯に手を染める者とがあるものだが、宮腰だけが悪い方向へと運命が動き出すのだ。
優香がかなりエロかったという印象もありますが、なぜだかサイケデリックでアバンギャルドな3人編成のバンドが印象的。ギターを弾く木村文乃がカッコよく見えるのです。また、町の秘祭として“のろろ祭り”という強烈なインパクトのある御神体も記憶に残りそうだが、この魚を形どった造形は山上たつひこっぽさが出ていました。誰が再犯を犯すのかという謎めいたプロット以外は、元囚人の負い目と世間体を気にする姿が見事に描かれていたと思います。栗本が拾った皿にも描かれていた羊の木。元囚人というのが羊であり、ずっとその過去に縛られ続けているように思え、息苦しい生活を続けなければならないと、閉塞感だらけの映像に苦しくなりそうですが、新たな殺人を描くことで閉塞感は解消された気がします。
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