「「人をわかる」ということ」羊の木 rodori86さんの映画レビュー(感想・評価)
「人をわかる」ということ
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原作は未読。
何回も見た予告編に惹かれて鑑賞した。
小さな港町で元受刑者の6人が住み始めるというストーリー。
間違ってるかもしれないが、考察するとテーマの一つは「人をわかる」ということ。
福元に「元受刑者のことはよくわかる」という床屋の主人。顔の傷だけで周りから遠巻きにされる大野に「あなたは悪い人ではない」というクリーニング屋の女店主。彼らが元殺人者であることは事実だが、良い人か悪い人かは自分が判断する。
6人全員が実は良い人でした、というだけなら普通の人情話だが、それで終わらないのがこの映画のすごいところ。
6人の中で主人公月末と最も親しかった宮腰が再び殺人を犯してしまう。
当たり前だが、人間は誰でも場所、対する人によって自分を使い分けている。職場での自分や、家での自分、恋人との自分、友人との自分。宮腰は殺人者であるのは事実だが、月末の友人であるのも事実である。市役所の職員の月末にとって宮腰は殺人者だが、友人としての月末にとっては宮腰もまた友人である。だから「友人」として文に宮腰の過去を話してしまった月末を宮腰は許したし、殺しもしなかった。
人には様々な顔があるわけで、わかるのは難しい。
万人受けはしないだろうけど、良い映画だと思います。
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