劇場公開日 2017年6月30日

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兄に愛されすぎて困ってます : インタビュー

2017年6月29日更新
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土屋太鳳のハートに刻まれた年上イケメンたちとの「兄こま」Days

人生最大のモテ期到来――女優・土屋太鳳が「兄に愛されすぎて困ってます」で演じたのは、告白12連敗中ながらも、年上イケメンたちから猛烈に愛されてしまう女子高生。オファー当初は「私にこんなかわいい役は無理だと思いました」と不安を感じていたようだが、真摯なアプローチで構築したキャラクターを見れば、彼女の新たな魅力に気づくはず。3人の“兄”たちとの愛あふれる日々を、丁寧に言葉を紡いで振り返る土屋の姿から、映画業界にも愛されてやまない理由が浮き彫りになった。(取材・文/編集部、写真/根田拓也)

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累計発行部数180万部を突破した夜神里奈氏の人気漫画を、「俺物語!!」「チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話」の河合勇人監督が実写化したラブストーリー。恋愛体質の女子高生・橘せとか(土屋)に突然モテ期が訪れ、見た目はヤンキーだが妹思いな兄・はるか(片寄涼太)、超毒舌なセレブ研修医・芹川高嶺(千葉雄大)、王子様系男子・美丘千秋(草川拓弥)といった年上のイケメンから言い寄られる姿を描く。

「せとかちゃんは自分とは真逆の女の子」と感じた土屋だったが、原作漫画のコメディパートに登場するデフォルメされたせとかに親しみを覚えたようだ。「(原作では)二、三頭身くらいのせとかちゃんが出てきて、この雰囲気であれば近づけるかもと思ったんです。そこからせとかちゃんの心に近づいていき、彼女を抱きしめていきました。外見も中身も違う自分がやるとしたら、何をちゃんと伝えなきゃいけないかということを意識してやらないと、せとかちゃんにも作品にも失礼だと思ったんです」

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本作は、同時並行で製作された連続テレビドラマ版(全5話)からつながる物語を描くもの。2011年放送のドラマ版の好評を経て、13年に映画版がつくられた「鈴木先生」とは異なり、長期間、集中的に役を“生きる”ことは、土屋にとって初めての経験だった。河合監督やスタッフ、キャストたちとじっくりと話し合いながら完成させたせとか像のキーとなるのは“ふわふわ感”。真実の愛を求めて、恋に恋する乙女の心情を、土屋はこう分析した。

「せとかちゃんの“ふわふわ感”が表現しているのは、彼女が本能的に感じている不安なのかなと思いました。『幸せなんだけど、本当の自分とは少し違うな』という心境で、それを解消する術“告白すること”によって本当の愛情を探している気がしました。楽しいけど何かが違う、そういう不安を感じている方は大勢いると思うんです。私自身にも重なる部分がありましたし、とても共感できると思います」

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1歩1歩着実にせとかの心に寄り添っていった土屋の傍には、いつも頼れる“兄”たちがいた。「GENERATIONS from EXILE TRIBE」のメンバーとして活躍する片寄にクールなイメージを抱いていたようだが「実際にお会いしてみたら柔らかい空気を持っていらっしゃったんです。私にとっては優しくて温かくて熱い”兄”でした」とニッコリ。そして「共演シーンにはせつない展開が多い」と前置きし「辛いシーンを演じた時の感情が、歌手活動で感じた思いに共通していたことをお話ししていただいたことも。ずっと支えていただきました」と片寄の気配りに謝意を示した。

テレビドラマ「桜蘭高校ホスト部」「黒の女教師」に続き3度目の共演となった千葉については「プロフェッショナル。器の大きい方です」。プレイボーイながら、本当の愛情を与えてくれる女性を探す高嶺の“悲しい目”の表現に心打たれたようで「千葉さんの目が辛すぎて、現場に行きたくないと思ったくらい。それほど役をきちんと生きていらっしゃいました」と告白。そしてラストシーンの撮影では、千葉はあるアドリブで土屋の心をさらに揺さぶった。「高嶺がせとかの頬をつねる演出なんですが、これは私が16歳の頃、初めて共演させていただいた時に、自分が千葉さんにした行動なんです。それを何も言わずに現場で試してくれました。本当に愛情の深い方です」

「最高におもしろい、変な“兄”」だという草川とは「現場では変なダンスを一緒に踊ったりしました。たまに眠そうにしている時にいじったりも」と共演を心から楽しんだ様子。また「恋愛はゲーム」という考えを持つ千秋が、ドラマ版第3話で見せた表情が忘れられないようだ。「せとかが“ちんちくりんな女”と言われてしまう場面で、ふっと笑うんです。その笑顔に千秋先輩本来の優しさがにじみ出ている気がして、とても好きな表情なんです」

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近年では「orange オレンジ」「青空エール」「PとJK」、2018年には菅田将暉と共演する「となりの怪物くん」と原作漫画の実写化作品に出演する機会が増えた土屋。原作漫画を参考書のように読み込み“何処が変更されたのか”を知ったうえで「変更されたものを補うためにこのセリフを頭の中で流しておこう」と物語の行間を埋めることも欠かさない。そして、原作を再現することに依存し過ぎないように注意を払いつつ「生身の人間としてできる目の動きであったり、立っている時の空気感を入れていきたい」と実写映画ならではの表現方法を模索し続けているようだ。

17年は洋画アフレコに初挑戦した「フェリシーと夢のトウシューズ」(8月12日公開)に加え、「トリガール!」(9月1日公開)、「8年越しの花嫁 奇跡の実話」(12月16日公開)と飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍しているが、女優としての心構えは「どうか私を映画の世界に入れてください」と願って芸能界入りした頃から変わらない。演じる役を包み込むように愛し、そして心情を深く理解できるまで悩みぬく。「ひとつの仕事が別の仕事につながっていく」という言葉に裏打ちされた勤勉な姿勢こそ、映画業界の“愛”を一身に受け続ける理由に違いない。

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