ガール・オン・ザ・トレイン
劇場公開日:2016年11月18日
解説
「プラダを着た悪魔」「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のエミリー・ブラント主演で、世界中でベストセラーとなった同名のミステリー小説を映画化。監督は、「ヘルプ 心がつなぐストーリー」のテイト・テイラー。夫と離婚したレイチェルは、毎朝通勤電車の窓から見える、見ず知らずの「理想の夫婦」の姿に、別れた夫との幸せだった日々を重ねていた。ある朝、通勤電車の窓からレイチェルの目に飛び込んできたのは、「理想の夫婦」の妻の不倫現場だった。そして、その女性は間もなく死体となって発見され、唯一の目撃者として、レイチェルに周囲から疑惑の目が向けられてしまう。主人公レイチェルをブラントが演じ、「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」のレベッカ・ファーガソン、「マグニフィセント・セブン」のヘイリー・ベネット、「ドラキュラZERO」のルーク・エバンスらが出演。
2016年製作/105分/PG12/アメリカ
原題:The Girl on the Train
配給:東宝東和
スタッフ・キャスト
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2016年11月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
謎解きミステリーだけどサイコホラーっぽい空気感。キモはエミリー・ブラント扮するヒロインのキャラ造形。アル中で記憶障害で、ストーカーよろしく他人のプライベートに首を突っ込む情緒不安定女。絶対にお近づきになりたくないし、謎解きをする主人公としてこんなに信用ならない例も珍しい。
とはいえ、メインとなる女性の残り2人もかなり面倒くさいことが明らかになっていく。実生活では距離を置きたく美女たちのいけないプライベートを覗き見する背徳的なゾクゾク感がこの映画のキモではないか。
結果的にミステリーとしてよりも下世話な好奇心を刺激する作品として機能している……って、要するに火サスってことか。
あと考えたらブラントもレベッカ・ファーガソンもトム・クルーズ映画でトムクルとタメを張る強さをアピールした女優なわけで、本気出したら強いんだけどなあと思いながらか弱い姿をメタに楽しむのもアリだと思いましたよ。
2016年11月8日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
電車の車窓に頭をもたげ、過ぎていく景色をまるで白日夢を見るように、ただぼんやりと眺めるエミリー・ブラントの下唇が、不摂生からか、少し荒れている理由が、やがて、この推理劇の鍵になって行く。車窓から目撃した若妻の不倫現場や、直後に発生する殺人事件、そして、それが原因で関わることになる別れた夫とその妻の一見幸せそうな夫婦生活も、すべて偶然ではなく、主人公の記憶の隙間、言い換えると、白日夢のあやふやさを利用した必然だったことが判明する。そんな推理劇の意外なオチより何より、最後に観客の目に焼きつくのは、虐げられた女性たちが"ある凶器"を使って反撃に転じる場面。その強烈さ故に、あえてこれを"フェミニズム・ミステリー"と名付けたい。
2022年4月20日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:TV地上波
べろべろに酔っ払った経験からしてこの女優のアル中の演技は素晴らしい。ミステリーとしてもなかなか意外な結末が用意されていておもしろかった。難点は脇役の女たちの行動がやや説得力にかけることと、刑事役の女優の出番が少なかったこと。刑事の手によって真相が解明される筋書きだったらさらにおもしろかったと思う。この女優も魅力的だったのでもったいないなぁと思いました。
2021年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
異常に評価が高すぎると思う。★4つ程度の人の感想を読むと、たいていは女性の意見のように見える。見えるだけで、実際にどうだか分からないが、女性には支持される映画のようだ。
この映画、事件は起きない。探偵が主人公ではないし、理由も分からず毎日列車に乗って外を眺めているアル中女が妄想に苦しむお話しだ。偶然自分と関係のある女性が失踪し、その死体が発見され、容疑者としてマークされ、酒で寸断された記憶をたどりながら真相にたどり着く。
口の周りにケチャップたっぷり着けて、「誰が私のオムレツを食べたの?!疑わしきは、自分?酒のせいで何も覚えていない」みたいなことを、視点を変え、時間軸を変え、妄想なのか、映画の編集が下手なだけなのか、奇跡的に文学的な独り語りと、ダニー・エルフマンの幻想的なスコアのおかげで、なんだかすごい映画を見ているような気にさせてくれる。
45分で終わる話を、わざわざややこしくして、暗く幻想的なトーンで殺人と不倫を語っていく。哀れな女性の転落するさまを、覗き見しているような気にさせてくれる。列車の窓から見える光景は、レイチェルの記憶の錯乱で、暗いトンネルにさえぎられたり、同じ景色を繰り返したりして、観客を惑わせる。
=====ここから先は、ネタバレと文句しかありません。========
どう考えてもつじつまが合わない。失踪した女性メガンがセラピストに打ち明けた秘密をレイチェルには知りようがない。彼女が若い時、風呂で眠ってしまい、極秘出産した赤ん坊を死なせてしまった秘密。この女、今はベビーシッターをしていて、赤ん坊の父親と不倫をしている。そんな女性に赤ん坊を預ける母親がいるだろか?
それがアナ。アナは浮気と知りつつ妻のいる男性トムと関係を続け、やがて妻レイチェルの飲酒が原因で相手が離婚し、晴れてトムと夫婦に。略奪婚だ。授かったトムとの赤ん坊に別れた妻レイチェルが危害を加えようとする。アナにとってはレイチェルはアル中のストーカーだ。
真相は、あまりにもくだらない。ただのDV野郎でサイテーの元亭主トムが、レイチェルを精神的に追い詰め、会社では女性関係のだらしなさで解雇に。ところが解雇の理由もレイチェルの酒のせいにしてしまう。レイチェルは夫の解雇に責任を感じている。子供が出来ないのも自分のせい。ますます酒に溺れ、記憶と正常な判断力は失われる。トムは浮気相手と再婚し、やがて子供が出来、絵にかいたようなしあわせな家庭を築いているようで、そのベビーシッターとも関係済みで、妊娠が発覚すると、はずみで殺してしまう。
レイチェルは、この夫と暮らしていた間、DVのショックが強すぎて正常な判断力を失っていたらしい。何ひとつ覚えていないのだ。映画で語られるのは、列車の中で断片的によみがえる記憶と、車窓から見えるしあわせそうな家庭。
アナは、このサイテー亭主に危害は加えられていなかったと言うのか?夫の正体に気が付かなかったとでも言うのか。オンナ癖で会社をクビになるような男に。はずみでベビーシッターを殺してしまうような暴力男に。アナは、ベビーシッターのメガンが近づいてきた動機が夫との浮気だったことに気が付かなかったとでも言うのか。そんな男と幸せな家庭が築けるとでも思ったのか。
ついでに言えば、結末も気に入らない。殺されかけたレイチェルがとっさに反撃した一撃でトムは瀕死の重傷を負い、アナがとどめを刺す。映画的にもスッキリしない。こういう男は惨めに社会的制裁を喰らうべきなのに、裁きを受けることもなく、罪を償うこともなく、あっけなく死ぬ。意味ありげなモノローグで物語が締めくくられる。「3人の絆は永遠に。私は過去を捨て、列車は先に進む」
ここで言う3人とは、レイチェル、アナ、死んだメガンのことか?絆って、同じ男にだまされたこと?
ひど過ぎない?
2018.10.16