MIFUNE: THE LAST SAMURAI

劇場公開日:

解説

世界の映画人に愛された名優・三船敏郎のドキュメンタリー。息子の三船史郎や、黒澤組のスクリプターとして撮影現場をともにした野上照代ら家族や親交の深かったスタッフ、役所広司、司葉子、八千草薫ら三船敏郎をよく知る俳優たち、そして三船に魅了されたスティーブン・スピルバーグ、マーティン・スコセッシといった海外の名匠たちなど、国内外の映画関係者への膨大なインタビューと貴重な映像により、サムライ映画を世界に知らしめた三船の波乱万丈の人生や、その精神に迫っていく。監督は、HBO製作のドキュメンタリー「ヒロシマナガサキ」などで知られる、日系3世のスティーブン・オカザキ。ナレーションは海外版をキアヌ・リーブス、日本版をEXILE AKIRAが担当。

2016年製作/80分/G/日本
配給:HIGH BROW CINEMA

スタッフ・キャスト

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(C)“MIFUNE:THE LAST SAMURAI”Film Partners 写真(C)TOHO CO.,LTD.

映画レビュー

3.5三船敏朗を新しい視点から描く

2022年8月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

2016年(日本)監督・脚本:スティーブン・オカザキ
日系三世のオカザキ監督はチャンバラ映画の歴史から紐解き、
チャンバラを芸術作品にまで価値を高めた黒澤明と三船敏朗の共同作業とも言える映画が、
世界に与えたインパクトと影響力を詳しく伝えている。
三船敏朗の黒澤明作品以後の外国作品出演や、
晩年にも触れられています。

オカザキ監督は映画は世界に共通する芸術で
国境を取り払うことが出来る。
そう言う。
黒澤明監督の『七人の侍』は、あっという間に世界に拡散して、
ジョージ・ルーカス監督作品『スターウォーズ』が生まれるきっかけになった。
ルーカスはダースベーダーにミフネをオファーしようとして、
スタッフに止められたそうです。
マーティン・スコセッシとスティーブン・スピルバーグも大きな影響を受けた監督である。
『赤ひげ』を最後に黒澤明との共同作業とも言える黒澤・三船の監督・主演作は終わる。
その後の三船敏朗は海外作品に多く出演することになったのだった。
今、Wikipediaをみると1961年(ミフネ=41歳)の『価値ある男』から
1995年(ミフネ=75歳)の『ピクチャー・プライド』まで実に、
16本の海外作品に出演しているのだ。
残念ながら私は『グラン・プリ』さえ観ていないのです。
私が観ているのは黒澤明監督作品に出演している三船敏朗の全作品。
たったそれだけ。
最初に観た映画。
『野良犬』
その美貌に驚いた。
本当に美しい青年だった。
市川雷蔵・佐田啓二・・・が綺麗だったと聞くが、まったく写真しか知らない。
アラン・ドロン、ジェームズ・ディーン、モンゴメリー・クリフトも美しかった。
だが三船敏朗は彼らすら上回る世界標準の大人の男性の美しさ。

私が彼を最初に認知したのは、
『男は黙ってサッポロビール』のCMだった。
1970年。三船敏朗50歳の時である。
渋かったですね。
大型船のデッキで瓶ビールの蓋をはね飛ばして、ググッと飲む。
白い泡が唇に付いている。
泡を口で吹き飛ばす。
今見ると、三船敏朗は無邪気に笑っている。
画面いっぱいに黒い字体の
『男は黙ってサッポロビール』と、
台詞は一言もない。
強いけれど愛嬌のある三船敏朗。
コマーシャルさえ芸術だ。

海外出演作品は、
敢えて観ない・・・
私はそう決めている。

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琥珀糖

3.5【日本映画を世界に誇れるレベルに高めた、三船敏郎と黒沢清監督の姿を、日本映画の歩みと共に描いたドキュメンタリー作品。】

2022年6月8日
PCから投稿

興奮

知的

幸せ

”現代映画のヒーロー像を作り上げた男達”

・今作は、チャンバラ映画から始まり、その衰退と共に台頭した戦争を美化するプロパガンダ映画を経て、俳優になるつもりではなかった三船敏郎の人生を、黒澤明監督とタッグを組み、世界に名を馳せた「羅生門」「七人の侍」の制作風景を絡めて描く。

・三船に100回切られた殺陣師の証言や、黒澤監督が三船敏郎にだけは、演技指導をしなかった(全面的に任せていた)ことなどが、当時のニューフェイスであった香川京子さんや、司葉子さんの言葉も絡めて語られる。

<三船敏郎さんの、余り知りたくはなかった晩年の姿や黒澤監督作品に出演しなくなった理由なども、成程と思いながら鑑賞した。
 『ミフネは、今我々が失った”稀有な何か”を持っている―それは威厳である』というスティーブン・スピルバーグの言葉やマーティン・スコセッシ監督の言葉も貴重である。
 それにしても、三船敏郎さんのギラギラした目力は半端ないなあ、と今更ながらに思ったドキュメンタリー作品である。>

■年代的に、三船敏郎さんの映画は、多分半分も観ていない。少しづつ、この日本が産んだ”世界の三船”の映画を観て行こうと思ったドキュメンタリー作品である。

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NOBU

3.0三船敏郎というレジェンドのルーツを辿る

2022年1月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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といぼ:レビューが長い人

3.0三船氏という俳優の魅力を監督なりに探ったドキュメンタリー。

2021年12月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

知的

にわかファンが、制作秘話とかのエピソードを期待して、鑑賞したら、違った…。
もっとお堅いものだった(笑)。
まじめに、真摯に研究している。
その中で、三船氏のイメージを壊さないものだけを編集したのかな?
そのリスペクトぶりが、物足りないような、うれしいような。

三船氏のすべてを描き切ろうというより、
監督が知りたいと思った三船氏の魅力の謎解きをしている感じ。

三船氏ー黒澤監督以前のチャンバラと、お二人の殺陣の違いとかの解説から入る。
映画史が始まるのかと思った(笑)。
初めて、『用心棒』で刀の斬殺音を入れたとか、黒澤監督のアイディアは有名だが、それも三船氏の身体能力あってのもの。

元々、撮影の仕事を志望していたとか。
 だから、撮られる時は、自分だったらどんな風に撮りたいかを考えながらポーズや表情を決めていたのかと言いたくなるほど、ポートレイトが、”銀幕の…”にふさわしいほど格好いい。

私生活での無茶苦茶なエピソードも出てくるが、
俳優としては”我慢の人”と称される。
 『蜘蛛巣城』では本当に矢を射かけられるとか…。今ならそんな演出通らないし、昔でも拒否でしょう…。それでも、やってしまうのだな。そりゃ、荒れるよ。

とはいうものの、基本黒澤監督は、三船氏には、細かい演技指導はせず、自由にやらせていたらしい。
 それに、独創的な発想で、期待に応えていった三船氏。
 その発想の秘密を、生い立ち・経験や、人柄、様々な方からのインタビューから追っている。

インタビューを受ける人選は、どうして仲代氏が入っていない?とか、???が飛び交う。
 来日時にスケジュールが合わなかったのかな?とかも考えられるが、
 日系3世の監督から見たら、こういうフォーカスなのかと、新鮮にも感じる。
 監督は三船氏の映画をすべて見ているのか?言語は日本語?英語吹き替え?
 ”日系3世”。どのくらい日本文化は監督の中に伝承されているのか?古き良き、祖先の祖国への憧憬?アメリカナイズされている?

その中で、黒澤監督の息子さんのインタビューと、
三船氏の息子さんのインタビュー。
それをつなぐスクリプター・野上さんの話。

三船史郎氏の話し方。家族としてはいろいろあったんだろうけれど、息子として父を支え続けたんだろうなと胸が詰まる。

後年、プロダクションを立ち上げざるを得なかった理由。
第2次世界戦争にも徴用され、特攻隊を見送る立場に立たされたとか、
三船氏は、自分がやりたい仕事をやったというより、与えられた・引き受けざるを得なかった仕事を、その時その時、最大限の努力を払って成し遂げた人なんだなあ、と思った。

香川さんがおっしゃるように、
若いころは灰汁の強い三國氏が、後年、おじいちゃん役でほのぼのとしたとぼけた味わいを見せてくれたように、
三船氏の好々爺も観たかった。合掌。

まだ、三船氏の映画は見ていない方が多い。
三船氏の映画を観る度に、この映画を観返すと、新たな発見・感想が出てきそうだ。

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とみいじょん
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