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映画「MIFUNE: THE LAST SAMURAI」 MIFUNE: THE LAST SAMURAI 劇場公開日:2018年5月12日
解説 世界の映画人に愛された名優・三船敏郎のドキュメンタリー。息子の三船史郎や、黒澤組のスクリプターとして撮影現場をともにした野上照代ら家族や親交の深かったスタッフ、役所広司、司葉子、八千草薫ら三船敏郎をよく知る俳優たち、そして三船に魅了されたスティーブン・スピルバーグ、マーティン・スコセッシといった海外の名匠たちなど、国内外の映画関係者への膨大なインタビューと貴重な映像により、サムライ映画を世界に知らしめた三船の波乱万丈の人生や、その精神に迫っていく。監督は、HBO製作のドキュメンタリー「ヒロシマナガサキ」などで知られる、日系3世のスティーブン・オカザキ。ナレーションは海外版をキアヌ・リーブス、日本版をEXILE AKIRAが担当。
2016年製作/80分/G/日本 配給:HIGH BROW CINEMA
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2022年8月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
2016年(日本)監督・脚本:スティーブン・オカザキ 日系三世のオカザキ監督はチャンバラ映画の歴史から紐解き、 チャンバラを芸術作品にまで価値を高めた黒澤明と三船敏朗の共同作業とも言える映画が、 世界に与えたインパクトと影響力を詳しく伝えている。 三船敏朗の黒澤明作品以後の外国作品出演や、 晩年にも触れられています。 オカザキ監督は映画は世界に共通する芸術で 国境を取り払うことが出来る。 そう言う。 黒澤明監督の『七人の侍』は、あっという間に世界に拡散して、 ジョージ・ルーカス監督作品『スターウォーズ』が生まれるきっかけになった。 ルーカスはダースベーダーにミフネをオファーしようとして、 スタッフに止められたそうです。 マーティン・スコセッシとスティーブン・スピルバーグも大きな影響を受けた監督である。 『赤ひげ』を最後に黒澤明との共同作業とも言える黒澤・三船の監督・主演作は終わる。 その後の三船敏朗は海外作品に多く出演することになったのだった。 今、Wikipediaをみると1961年(ミフネ=41歳)の『価値ある男』から 1995年(ミフネ=75歳)の『ピクチャー・プライド』まで実に、 16本の海外作品に出演しているのだ。 残念ながら私は『グラン・プリ』さえ観ていないのです。 私が観ているのは黒澤明監督作品に出演している三船敏朗の全作品。 たったそれだけ。 最初に観た映画。 『野良犬』 その美貌に驚いた。 本当に美しい青年だった。 市川雷蔵・佐田啓二・・・が綺麗だったと聞くが、まったく写真しか知らない。 アラン・ドロン、ジェームズ・ディーン、モンゴメリー・クリフトも美しかった。 だが三船敏朗は彼らすら上回る世界標準の大人の男性の美しさ。 私が彼を最初に認知したのは、 『男は黙ってサッポロビール』のCMだった。 1970年。三船敏朗50歳の時である。 渋かったですね。 大型船のデッキで瓶ビールの蓋をはね飛ばして、ググッと飲む。 白い泡が唇に付いている。 泡を口で吹き飛ばす。 今見ると、三船敏朗は無邪気に笑っている。 画面いっぱいに黒い字体の 『男は黙ってサッポロビール』と、 台詞は一言もない。 強いけれど愛嬌のある三船敏朗。 コマーシャルさえ芸術だ。 海外出演作品は、 敢えて観ない・・・ 私はそう決めている。
”現代映画のヒーロー像を作り上げた男達” ・今作は、チャンバラ映画から始まり、その衰退と共に台頭した戦争を美化するプロパガンダ映画を経て、俳優になるつもりではなかった三船敏郎の人生を、黒澤明監督とタッグを組み、世界に名を馳せた「羅生門」「七人の侍」の制作風景を絡めて描く。 ・三船に100回切られた殺陣師の証言や、黒澤監督が三船敏郎にだけは、演技指導をしなかった(全面的に任せていた)ことなどが、当時のニューフェイスであった香川京子さんや、司葉子さんの言葉も絡めて語られる。 <三船敏郎さんの、余り知りたくはなかった晩年の姿や黒澤監督作品に出演しなくなった理由なども、成程と思いながら鑑賞した。 『ミフネは、今我々が失った”稀有な何か”を持っている―それは威厳である』というスティーブン・スピルバーグの言葉やマーティン・スコセッシ監督の言葉も貴重である。 それにしても、三船敏郎さんのギラギラした目力は半端ないなあ、と今更ながらに思ったドキュメンタリー作品である。> ■年代的に、三船敏郎さんの映画は、多分半分も観ていない。少しづつ、この日本が産んだ”世界の三船”の映画を観て行こうと思ったドキュメンタリー作品である。
2022年1月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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日本人であれば誰もが知っている伝説的俳優「三船敏郎」。彼の生涯を追ったドキュメンタリー映画ですね。 私は物心ついたころには既に彼は亡くなっていたので、彼の出演作はリアルタイムに観たものは一つもないですし、昔の邦画をあまり観ないので黒澤明監督作品『羅生門』が唯一観た映画だと思います。ただ、『羅生門』での三船敏郎は山賊の役だったため、あんまり「SAMURAI」っていう印象はありませんでした。 本作を鑑賞した結論ですが、「三船敏郎」という役者の生涯、そして「チャンバラ映画」の栄枯盛衰を知るにはちょうどいい資料のような映画に感じました。資料としては面白い(興味深い)んですが、正直映画的な面白さは全く無いですね…。三船敏郎の生涯と日本映画の歴史を、インタビューを交えてかなり淡々と説明するタイプの映画だったので、「映画観ている」というより「映画の勉強している」ような感じ。しっかり深堀りした内容になっているため、三船敏郎や黒澤明が心底好きな人が見ればめちゃくちゃ楽しめる気がします。しかし、間違いなく私のような「『羅生門』だけ観ましたぁ~」という浅学非才なニワカ映画ファンは、この映画のターゲット層ではないです。 ・・・・・・・・・・ 日本を代表する伝説的俳優「三船敏郎」。世界的にも知名度の高い彼の生涯を、彼と親交の深かった人物や、彼のファンでもある映画監督らへのインタビューによって紐解いていく。 ・・・・・・・・・・ 多分、私のように最近映画を好きになった人は三船敏郎を理解している人はごく僅かだと思います。彼の作品はかなり多く、Wikipediaで調べてみると多すぎて「三船敏郎の出演作品一覧」という専用ページまで設けられているくらいです。1947年の銀幕デビューした彼は1995年に最後の出演作『深い河』までの約50年に渡って、非常に多くの映画やドラマに出演しています。そんな彼の出演作品を網羅するのは到底不可能であり、現代の私たちには当時の三船敏郎ブームがどれほどのものだったのか、想像することしかできません。 以前、マイケル・ジャクソンのドキュメンタリー作品である『THIS IS IT』を鑑賞した時にも「マイケル・ジャクソンという存在を伝聞でしか知らない人間には今一つピンと来ない」と感じたんですが、本作もまさにそんな感じでした。三船敏郎や黒澤明という伝説的映画人のことを肌で感じた人でなければ、本当の面白さは理解できないタイプの映画だと感じました。 私はイマイチ乗れませんでしたが、映画の歴史に興味のある方であれば、間違いなく観ておいて損はない作品です。「映画が好き」という方は、ぜひ一度ご覧になってはいかがでしょうか。
2021年12月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
にわかファンが、制作秘話とかのエピソードを期待して、鑑賞したら、違った…。 もっとお堅いものだった(笑)。 まじめに、真摯に研究している。 その中で、三船氏のイメージを壊さないものだけを編集したのかな? そのリスペクトぶりが、物足りないような、うれしいような。 三船氏のすべてを描き切ろうというより、 監督が知りたいと思った三船氏の魅力の謎解きをしている感じ。 三船氏ー黒澤監督以前のチャンバラと、お二人の殺陣の違いとかの解説から入る。 映画史が始まるのかと思った(笑)。 初めて、『用心棒』で刀の斬殺音を入れたとか、黒澤監督のアイディアは有名だが、それも三船氏の身体能力あってのもの。 元々、撮影の仕事を志望していたとか。 だから、撮られる時は、自分だったらどんな風に撮りたいかを考えながらポーズや表情を決めていたのかと言いたくなるほど、ポートレイトが、”銀幕の…”にふさわしいほど格好いい。 私生活での無茶苦茶なエピソードも出てくるが、 俳優としては”我慢の人”と称される。 『蜘蛛巣城』では本当に矢を射かけられるとか…。今ならそんな演出通らないし、昔でも拒否でしょう…。それでも、やってしまうのだな。そりゃ、荒れるよ。 とはいうものの、基本黒澤監督は、三船氏には、細かい演技指導はせず、自由にやらせていたらしい。 それに、独創的な発想で、期待に応えていった三船氏。 その発想の秘密を、生い立ち・経験や、人柄、様々な方からのインタビューから追っている。 インタビューを受ける人選は、どうして仲代氏が入っていない?とか、???が飛び交う。 来日時にスケジュールが合わなかったのかな?とかも考えられるが、 日系3世の監督から見たら、こういうフォーカスなのかと、新鮮にも感じる。 監督は三船氏の映画をすべて見ているのか?言語は日本語?英語吹き替え? ”日系3世”。どのくらい日本文化は監督の中に伝承されているのか?古き良き、祖先の祖国への憧憬?アメリカナイズされている? その中で、黒澤監督の息子さんのインタビューと、 三船氏の息子さんのインタビュー。 それをつなぐスクリプター・野上さんの話。 三船史郎氏の話し方。家族としてはいろいろあったんだろうけれど、息子として父を支え続けたんだろうなと胸が詰まる。 後年、プロダクションを立ち上げざるを得なかった理由。 第2次世界戦争にも徴用され、特攻隊を見送る立場に立たされたとか、 三船氏は、自分がやりたい仕事をやったというより、与えられた・引き受けざるを得なかった仕事を、その時その時、最大限の努力を払って成し遂げた人なんだなあ、と思った。 香川さんがおっしゃるように、 若いころは灰汁の強い三國氏が、後年、おじいちゃん役でほのぼのとしたとぼけた味わいを見せてくれたように、 三船氏の好々爺も観たかった。合掌。 まだ、三船氏の映画は見ていない方が多い。 三船氏の映画を観る度に、この映画を観返すと、新たな発見・感想が出てきそうだ。