幸せなひとりぼっちのレビュー・感想・評価
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偏屈爺さんと世界の片隅
主人公の爺さんはゴリゴリの保守だ。同じ地域、同じ職場で黙々と働き、大きな変化を好まず、愛する妻を亡くした今では世間と折り合いをつけることも面倒で、早くあの世に行きたいと願っている。
そんな偏屈爺が、隣人となった国際結婚の家族(妻がペルシャ系)と交流することで他者と繋がる喜びに目覚めていく。定番のパターンではあるが、爺さんが改心するわけでも人生観を覆されるでもなく、ひたすらに自分であり続けるのが面白い。
その過程で気づきを与えられるのは実は観客の方だ。爺さんは保守的であっても差別主義者ではない。アメリカのトランプ支持者は保守的な庶民層だと言われているが、保守的な庶民だからといって世界に対して自分を閉ざしているわけではないのである。
逆に言うと、これほどの偏屈爺さんでさえ価値観や文化の異なる他者にオープンでいられるのだ。これは世界の希望であり、日本の現状を思うと羨ましくもある。
ささやかだけれど、ぐっと胸に染み入ってくる
頑固な老人が、ささいなことをきっかけに周囲と心を通わせ————このプロットだけ見ると、過去の映画で何度も再利用されてきた内容のように思える。だが、この北欧からの贈り物には、単なる表層的では終わらない深みがあった。自ら「あの世」に旅立とうとするたび、走馬灯のように記憶をよぎる過去のエピソード。無骨な父親が一瞬だけ見せた優しさ、運命の女性と出会った瞬間の、世界の見え方がガラリと変わるほどの喜び、その一方で変わりゆく友情、大きなものを失った悲しみ。どれもが胸を締め付ける。そして喜びと悲しみの分だけ、観客はこの頑固じいさんのことを知り、彼への愛おしさを泉のように沸き起こさせていく。かくも共感を誘う物語の歩調と絶妙なユーモアが心地よく、押し付けがましさが全くない。また主人公が、けっして親切のためでなく、溜息まじりで目の前の事象を修理するたびに、人と人、心と心が繋がっていく過程も面白い。ささやかだけれど、とても心に染み入る名作だ。
気持ちのいい涙を流させてくれる人生賛歌fromスウェーデン。
原作もそれを基にした映画も世界中で愛される理由は、一重に、亡くなった最愛の妻の元に早く旅立ちたいのにその都度邪魔が入って旅立てない老人の、憎めないキャラクターに起因する。隣人の非常識な行いをいちいちチェックしては文句をつける傍らで、向かいに住むイラン人妻やゲイをカムアウトしたばかりに家を追い出された少年と交流してしまう寛容さが、主人公の独居老人、オーヴェにはあるからだ。辛い過去の思い出に引き摺られて度々自暴自棄になるオーヴェだが、寸前で思い止まらせるのは亡き妻が彼に残した、「今を楽しんで生きて!」という言葉が記憶の奥底に刷り込まれているせい。福祉大国、スウェーデンならではの実は国民に優しくない現実も覗かせつつ進む物語は、人生にはたくさんの悲しみをカバーして余りある出会いと感動があることを教えてくれる。悲観は時に滑稽なもの。そんな達観と随所に織り込まれたユーモアが、気持ちのいい涙を流させてくれる人生賛歌fromスウェーデンである。
知らない役者でも感動しますわ
トム・ハンクス版を見て今回の作品が原作と知り視聴。
エピソードが重ならない分も在り全く一緒では無い。
この作品ではお父さんとの関係や妻ソーニャ自身の人柄も盛られていて良かった。
アメリカ版の派手さはないが北欧の映画も素晴らしいなと感じさせてくれる。
福祉大国とは聞いているが困っている人を追い出すような事をして良いのですかね?
白シャツの馬鹿たれです。
ラストシーンで扉をバルバネーが閉めるのだがそれを子供が再確認するところに何かこの映画のすべてが収まっているような気がした。
トム・ハンクス版も泣いたが、個人的にはこちらの方が泣いたかも・・・
良い映画に巡り会えました
「おじいちゃん」に凝縮される大切なこと
突然だが、私は「おじいちゃん映画」が好きだ。おじいちゃんが主役の映画のことだ。
何故かはわからない。子どもの頃、いつもおじいちゃんの隣でご飯を食べていたからかもしれない。
「おじいちゃん」というのは、何をやるにしても独自のスタイルを持っている。そりゃそうだ、長らくそうやって生きてきたんだから。
その彼独自のスタイルがカッコ良かったり、可愛かったり、滑稽だったり、腹立たしかったりする。
おじいちゃんとは、とにかく魅力的な存在なのだ。
「幸せなひとりぼっち」のオーヴェも、もれなくそんな「俺スタイル」で生きているおじいちゃんである。
オーヴェの「俺スタイル」はとにかく厳格。○○禁止、の多いこと!敷地内車通り抜け禁止、犬の散歩禁止、門扉開放厳禁、ゴミ出しルールの徹底…。
ルールを守らぬ無法者の愚痴を亡き妻の墓前でぼやき、妻の元へ旅立とうとするオーヴェだが、隣家に越してきたパルヴァネたちの転居を手伝うことに。
それも車のトラブルがきっかけである。
放っときゃいいのに、わざわざ自殺を思いとどまって口出しするのである。
うーん、愛すべきおじいちゃんっぷり!
何度か試みる自殺だが、常に人生のヒヨッコどもの面倒をみるハメになって中止。
オーヴェが強く死を意識した時、亡き妻との思い出が走馬灯がわりに回想される演出も良い。
不器用ながらにコツコツ努力し、不幸に見舞われても理不尽な目にあっても、オーヴェは己の信念を曲げない。彼が父から学んだことは、自分が正しいと思った事に邁進することと、大切なものを守ることだからだ。
そんな不器用な自分を心から愛してくれた妻。彼女のように愛してくれる者などもういない。
親友もかつてのようではなくなり、積み上げてきた地域の暮らしも様変わりしてしまった。
頑なな所が災いして、他に親しい人もいない。
思うに、オーヴェは努力家であったがゆえに、何でも克服してきてしまい過ぎたのだ。上手くいかない状況や、お金の無さを工夫と技術でやって来た。
だから、自分の頑張りでは太刀打ち出来ない出来事を受け入れるのが難しかったのだと思う。
そこへ人生に迷うヒヨッコたちが助けを求めて来た。「こんな事も出来ないのか!」と呆れるオーヴェだが、オーヴェ自身は彼らに「人を頼る」事を教えてもらうのである。
自分が頑張り、自分が助け、ひとりぼっちで生きていると思っていたけれど、そこにはオーヴェに助けられ、オーヴェを頼り、オーヴェを気にかけている人たちがいたのだ。
オーヴェは自分が大きなハートを持っていて、みんなに頼られていることに、こんな人生の晩年まで気づいていなかったのである。
思えばオーヴェが地域の決まり事に対してうるさいのも、大切な妻や友人、知り合いを守る為だ。門扉が開いていれば不審者が入ってくるだろう。老人・子ども・障害者は車を避けられないかもしれないし、犬に噛まれたりするかもしれない。
ちょっとした綻びから家や家族を失ったオーヴェにとっては、自由であることより安全であることが大切な人を守るために優先されるべきことだっただけだ。
長らくそのスタイルで生きてきて、長らく他人に煙たがられ、ひとりぼっちだと思っていたオーヴェ。でもその「ひとりぼっち」は愛すべき「ひとりぼっち」であり、みんなにとってオーヴェは「ひとりぼっち」なんかではなかったのである。
だってオーヴェはいつだって、愛する人を思いやる優しい男だったのだから。
不器用でいじらしい、善き「おじいちゃん」映画である。
ひとりぼっちじゃない
見るからに気難しそうな親父。
ロープ買うも同じく。
お店にはお店の思惑があり、
客の思い通りにはいかないのだ。
若い店員が理解しているのに、オーヴェは⁉️
しかし、地域を守る為、
ゴミの選別、砂場の片付けして正しいことを言う。
会社、肩叩きし、餞別にシャベルって見下げている❓
自殺の準備、スーツ着て髭剃りして身支度、
〇〇を吊ろうとすると、窓の外に人が。
カーテン閉めれば良い、とかではなく、
それも性格上見過ごせない光景が、
怖いくらい運転下手なパトリック、
対するオーヴェ、運転上手く、何でも器用か。
朝から見回りして違反していると訂正。
オーヴェを悪く言うより、決まりを守るべきだな。
自転車を取りに来た、男の子、筋を通さないと。
不動産屋も失礼な態度。
またもや、○○しかけたら来客、
パルヴァネのペルシャ料理差し入れうまかった❗️
ハシゴを貸して、
地域の元旧友の妻がソーニャの話題を出すと、
怒り心頭に発してしまった‼️オーヴェ‼️
手のつけようがない。
ソーニャのこと言うと怒り出す‥‥その訳は❓
母を早くに亡くす。
父は車修理が好きで無口だが車のことを教えてくれた。父との思い出たくさん❣️
列車の機関士をしていた、が。
さりげなく道徳的なことも学ばせてくれた、財布の件。
またしても、だが、ロープが切れる←あり得ないからアメリカ🇺🇸は✖️か?
ルネがホースを引っ張るのは、❓❓❓
真の友情か。
愛車のサーブに乗ってCOガスで‥‥失敗。
父の葬儀後、父の職場に雇われる。
せっかく家の改修をしたのに、
火事の家から子供を救うが、自宅全焼。
住むところ無く列車で寝ていたら、
動き出し、ソーニャと出会う。
会いたくて毎朝6:30の電車に乗りやっと再会。
借りたお金を返そうとしたら、食事がいい、と。
スーツ着て花束💐持ってレストランに行くが、
お金無く自分は我慢。
恥ずかしく逃げようとしたら、ソーニャからキス❗️
付き合い教育資格取りプロポーズ💕
パルヴァネに頼まれ病院へ、
子供たちのお守り、なかなか上手いと思っていたが、
慰問のピエロに思い出のコインを取り違えられ
トラブルだったが、
子供もなつく優しいオーヴェ。
今度こそはと駅へ。
一足先に線路に落ちた人を躊躇なく助けて、
線路に立ちつくしていると周りの声。
またもやできず。
ケガしたネコを助けるパルヴァネだが、
オーヴェに押し付けた際に、
ソーニャの為車椅子でも家事ができるように改良した
キッチンを見てしまう。
イミーが来て場を和ませる。
パルヴァネに運転を教えようと名乗りをあげるオーヴェ
くじけそうなパルヴァネに、
イラン難民として困難を乗り越えて来たのだから
くじけるな‼️と、とうとうと諭すオーヴェ。
やはり素敵な人だ。
土曜日1:00、オーヴェ&ソーニャのカフェタイム、
パルヴァネと。
ルネとの回想、サーブ一筋のオーヴェと対照的に、
ボルボ→BMWに気移りしたルネに愛想を尽かし絶交。
おでかけ夫婦の為に子守り、キッチンの片付けもした。
ソーニャの教え子は普通の男子、
車の教習しつつ
修理した自転車を積んで行った店で
出会った教え子の友人がゲイ。
地元紙の記者がインタビューしに来た。
悪徳不動産会社、オーヴェのことを調べ上げていると言うが、何の権限で❓
オーヴェが泣くのは、
ソーニャとの回想。
笑顔でダンスしてパパになるわよ、と。
子供をなくし、さらにソーニャまで。
えっ、猟銃⁉️
下着で周りにビニール張り巡らせて、
さあ、と思ったら、
チャイム、絶妙なタイミング❗️
教え子の友人を泊めて欲しいと。
その子と朝食済ませて、見回り、イミーも来て一緒に。
ルネの情報入手、 怒り心頭に発するオーヴェ‼️
諭すパルヴァネ。こういうのがいい。
ソーニャとのバス旅行回想、
急勾配の坂を下り切れず大事故に、
病院に運ばれ命は助かったが、
ソーニャも目覚めたが、
動いていた赤ん坊は、‥‥⁉️
今を必死に生きるのよ、と、ソーニャの言葉。
活力出てスロープ作って採用される。
地元紙記者も加勢して、不動産屋撃退。
オーヴェ発作で倒れ、パルヴァネ産気づく。
オーヴェ&ソーニャの子供の為のゆりかごを
プレゼント❣️
上の子たちとも仲良し。
雪降る朝、雪かきしていないことに気づき、
オーヴェの姿を見つけるパルヴァネたち。
私のことを認めてくれた人だけの式、
という遺言だが、
入りきれないほどの参列者❗️
きちんときまりを守ろうとする住民。
ことあるごとにソーニャのお墓参りしていたオーヴェ。
いつもきれいな薔薇などの花束携えて。
今は出会って子供と三人仲良く過ごしていると願う。
コミカルで、感動的なドラマ
オットーという男というタイトルで、ハイウッドリメイクされた作品。リメイクを先に見ましたが、こちらのほうが、テンポが良く、内容も濃いですね。無駄な要素がかなり排除されつつ、主人公の半生が長めに描かれてました。
最期に死んでからアーニャに会えるシーンも本作ではしっかり描かれて良かったです。ハリウッド版見てる時も期待してたシーンだけどなかったので残念でしたので。
やる事なす事固くるしいけど、芯は厚い人情派
原作はフレドリック・バックマンの『A Man Called Ove(邦題・幸せなひとりぼっち)』
ハンネス・ホルム監督。
【ストーリー】
オーヴェは地元でも有名な頑固爺さん。
半年前に妻ソーニャをガンで亡くし、長年勤めた職場を解雇され、さっさとこの世からおさらばしようと決める。
だが向かいに若い夫婦のイラン人一家が引っ越してきて、無意識ながら彼の自殺をことごとく失敗させてくる。
自殺を決めているのにご近所の見回り作業をつづけ、ゴミを仕分けし、無許可侵入してくる車を追い出す。
そうこうするうちにイラン人一家の母親パルヴァネとの理解が深まり、妊婦である彼女の手伝いに事あるごと駆り出されてしまう。
鉄道作業員の父と共に暮らし、父の教えでスウェーデンの自動車会社サーブを信奉し、鉄道作業員として長年生きてきたオーヴェ(ロルフ・ラッスゴード)。
周りとの悶着があるたびに、そうなってしまった理由と彼の人生が描かれます。
ただ嫌味な老人に見えた彼が、実は義理堅く人情家であると分かってくると、だんだん彼のことが好きになってしまうふしぎ。
青いスーツが似合い、奥さんも綺麗で、なんともヨーロッパ人だなあ。
舞台は風光明媚で音楽もおしゃれ、エピソードの説明もコミカルな味付けながらしっかりしてくれて、その上きっちり90分で終わらせる見事な編集。
ハリウッド・リメイクの『オットーという男』の後に見ましたが、多くの人がこちらに軍配をあげるのも納得の出来です。
どっちも面白いけど、あっちのねこもこっちのねこも可愛いんだから、両方見て損はないかと。
毎回毎回自殺を阻止されてしまうのはちょっと笑っちゃうけれどオーヴェ...
毎回毎回自殺を阻止されてしまうのはちょっと笑っちゃうけれどオーヴェが過去を大切にしながらもささやかな他者との関わりを通じて前進していく姿はグッと胸にきた。
ドライブしながら「生きてるって感じだろ」私も言いたい。
オットーと比べ
妻ソーニャに先立たれ、口やかましい頑固老人となったオーヴェ。生きていくのが嫌になり自殺しようとするも、隣に引っ越してきたパルヴァネの一家に邪魔される。彼らと過ごすうち、生きていくのが。
トム・ハンクス主演でリメイクされた「オットーという男」は鑑賞済み。比べると、リメイク版の方が、洗練され観やすいです。リメイクでは良い人すぎる感があったマリソルに比べ、パルヴァネはより現実にいそうな感じ。トヨタだったところは、BMW。BMWってちょっと敵役が多いかも。
どちらも同じように笑えて、感動できました。
ひとりぼっちなんかじゃない!
時代遅れな正義感の押し付けで、共感者0……。
先立たれた妻のもとへと決心。
この環境下で生きてる事に意義を見出せず、生きる事を諦めたとしても、止めるのは果たして正しいのか迷った…。
でも、ちゃんと意義が有る事を示してもらえた。
頼られ、世話をして、助けてあげながら、逆にいつの間にか助けられてる、という生きる形が現れていた。
他人に迷惑をかけないで〜……的な文言を耳にするが、迷惑をかけあって生きる事になんの問題がある?と感じた。
奥さんに先立たれたけど、別な形でちゃんと見守ってくれてるのが描かれてて、温かい気持ちになれた。
そして、現実の残酷さもちゃんと表現してて、奥底に沁みてきた。観ないと損な作品。
妻に先立たれた、偏屈爺さんの物語
妻に先立たれ、ひとりぼっちになった偏屈爺さん
まわりの人間とは衝突してばかり
自殺しようとするがうまくいかない
隣に引っ越してきた家族とも喧嘩する始末
ただ、この家族と交流するうちに少しずつ変わっていくという物語
映画の爺さんは、だんだん周りの人たちとうまく付き合うようになり
最後、亡くなった時にはたくさんの人たちが葬儀に訪れる
自分ももう50代半ば
自分が先か家内が先か・・・
他人事とは思えない映画だった
BS松竹東急を録画して鑑賞
心に沁みるわ〜 こんな映画大好きです
なんて愛おしい映画なんだろう。。。
またお気に入りが増えました。
去年トム・ハンクス主演でハリウッドリメイク版が公開されて観ましたが、先日このスウェーデンのオリジナルをWOWOWで観て,断トツこっちの方が良かったです。
なぜなら,主人公の過去が丁寧に描かれていて,子供時代の父子関係もとても良かったから。どうしてハリウッド版はこれを省いたのだろう? 年老いて偏屈になってしまった主人公の良心の部分である,過去の愛の記憶を描くのはとても必要なパートだと思う。
それにしても奥さんが素敵すぎる。
眩しいくらい美しくて,優しくて,輝いている。
彼女の前向きな生き方も素晴らしい。
主人公オーべの一生は、きっと幸せなものでした。
それは、全て人との出逢いにのよるもの。
愛ある人たちのお陰です。涙。
こっちの方が好き
元々こちらが先に作成されたんだよね。ハリウッドはリメイクするけどヒットはしないよね。
正直言えばこの作品の方がおすすめ。ストーリーは大凡オットーと同じ。
父と子の若い頃のシーンとても重要、切ないシーンも続く。父とのハグが初めてでと言うシーンにホットする。
隣人との車のやり取りで喧嘩、正直サーブとボルボなら、絶対サーブと個人的に思う。
主人公の若い時は洗練されている。
正直に生きろが父の残した言葉、妻が亡くなってからは更に頑固に、人と付き合わず。そんな中隣人が越してきて。人との関わりで心開くも。
ご近所付き合いも悪くない
この偏屈な主人公がはじめ本当に嫌いだった。
人に対して平気で暴言を吐く、全て自分が正しいと思っているクレーマーだ。猫や犬を脅かすし、周りの人に対しても思いやりがなさすぎる。
そして主人公だけでなく、犬を飼っている女性が、猫に石を投げていた。酷すぎる。フィクションだとしたってこんなシーン見たくないし、許せない。本当に気分の悪い映画だ。
途中で観るのをやめようか迷ったけれど、休憩をはさみ、気持ちを落ち着けつつ最後まで観た。
最後まで観てみれば、彼がどんな人なのか理解することが出来たし、最愛の人を亡くしひとりぼっちになった辛さ、心がいっぱいいっぱいであらゆることに苛立って仕方ない気持ちがよくわかった。私が同じ立場だったらやはり、人に優しくする余裕はないと思う。
彼が少しずつ心を開いて、周りの人のために行動する姿はとても良かった。どん底の心を救い上げるのは、人との関わりなのかな。
猫ちゃんも家族になり、一緒のベッドで寝たり、見回りについてくる様子が可愛くて癒やされた。
奥様との回想シーンは、彼にとって彼女がどれだけ特別な存在だったかが伝わってきて、胸を打たれた。若い頃のオーヴェの、ソーニャへの気持ちが溢れた繊細な演技が印象に残った。
ルネとの車のエピソードも面白かった。
サーブvsボルボ。どちらもスウェーデンの車なんだね。
パルヴァネが駐車練習中にボルボにぶつけて「上出来だ」のところは思わず吹き出してしまった。
最後に、奥様と出逢った列車で、元気な姿の奥様に会うことが出来て良かった。
音楽も良かった。
この映画は猫を虐める描写が無ければもっと高評価だった。
あったかい涙
偏屈なじじいが近所の人達との触れ合いによって
心を開いていくストーリー。
不器用なんだけども亡くなった妻への愛はとても深い。
妻が本当に女神のようによくできた人で
こんな女性であればたしかにそこまで思い続けても
当然だろうと思う。
いい人になってくると立ってくるフラグで
最後には観てても泣いてしまうのだけれど
再会の場面が静かで優しい光と愛に包まれている。
幸せになってよかったねと。
一人暮らしになったとしても、それは孤独を意味するわけでは無いよ、と。眼を開ければ、貴方を気にかける人がいることにきっと気が付きますよ、とこの作品はそう語りかけてくるようです。
最近観た作品(「オットーという男」)が
実はリメイク作品だったと知りました。
スウェーデン映画は余り観た記憶が無いので
どういったものかと興味が涌いて鑑賞。
◇
最愛の奥さんを亡くしたオーベ。
この世に未練は無いと、ソーニャの元に行こうと
自殺を試みるのですが、上手く行きません。
首吊りに排気ガスに列車飛び込み、そして猟銃 …うーん
そんなオーベの家の隣に引っ越してきた家族。
夫婦と娘二人、4人家族のパルパネ一家。
旦那はどうにも頼りない。車の運転もヘタ。
奥さんは移民らしい。料理が上手。
小さい娘二人は可愛い盛り。
そしてソーニャのお腹には3人目がいます。
ひっそりと妻の後を追うつもりのオーベ。
そうと知ってか知らずか、
何かと隣の奥さんがオーベに声をかけてきます。
娘二人のお守りを頼まれたり
車の運転を教えてほしいと請われたり と
ゆっくりと自殺を図る暇の無いオーベ (・_・;
オーベの家の近くには、今は不仲となってしまったけれど
この団地に引っ越して来た頃からの友も住んでいる。
その家を手に入れようと、悪徳不動産の魔の手が伸びる。 …むむ。
パルパネ一家との交流を経て、不仲の原因は過去の自分にもあったと
そう気が付くオーベ。
#このままにしておけるものか と
旧友の立ち退きを阻止するべく、行動を開始するオーベ。
さあどうなる。 というお話。
実の父。奥さん。
今は居なくなってしまった大切な人たち。
彼らへの想いがどれだけ大事だったかを丁寧に描きながら
新しい隣人との
#新たに生まれる大切なもの
を描き出したとてもハートフルな作品でした。
「オットー」がきっかけでの鑑賞でしたが
こちらの作品も、とても良いですね。
観て良かった。うん。
◇
野暮とは思いつつ
「幸せな」と「オットー」の比較などを少々。
■「幸せな」では
オーベの少年期のエピソードが丁寧に描かれています。
特に「父」との関わり。
母を病気で亡くし、父との二人暮らしに。 そして、
事故により突然の一人暮らしへ。 激動の青年期。
そんな中での「ソーニャ」との出会い。それは
大事なものを失い続けたオーベに訪れた人生の分岐点。
大切なものが減り続けた中で、大事な人が増えたオーベの
喜びは、容易に想像ができます。
その最愛の妻を病気で失い、また訪れた喪失感と絶望。
「幸せな」のストーリーは、冒頭からオーベが妻を失った
事を明らかにしているのですが、過去のエピソードの丁寧な
振り返りによって、よりオーベに共感し易くなっています。
■「オットー」では
父との関わりは、余り詳しくは描かれず省略気味。 あらまぁ
一方、妻ソーニャとの過去のエピソードは「幸せな」とほぼ同じ
くらいの内容が描かれます。
ですが、この作品の始まりの時点では、
「ソーニャが故人であることが、はっきりとは描かれていない」 のです。
それが、小さいようで大きな違い の気がしました。
オットーの「過去から現在へ」 と至る内面の葛藤(成長?)の描写は
極力抑え気味にして、その分家を奪われそうな旧き友人を助けるという
エピソードに重点を置き、エンターテイメント的な演出で見せ場を作る
そんな演出をしているように感じられました。
■まとめ
ストーリーの骨子は変わらないのですが
制作した国の「お国柄」が出てるのかなぁ …と
そんな気もしました。
スウェーデン と アメリカ
サーブとボルボは シボレーとフォードに
トルコ移民は メキシコ移民に
※トルコ移民というと、パルパネさんは
クルド人の設定なのかなぁ…
(原作が気になってきました)
最後は観る側の好みの問題なのでしょうが
この作品で描かれる人物の心理描写の細やかさは
とても好きです。
◇最後に
お葬式。
"私の事を認めてくれた人だけを呼んで欲しい”
そう遺言に書き残していた主人公。
教会の礼拝堂。
入口付近まで弔問客で一杯になった様子が映る。
こんなにも沢山の人が惜しんでくれている。
”貴方の人生、捨てたものじゃないわ”
そんなソーニャの声が聞こえて来るような気がしました。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
正直で善人。だが頑固者
鑑賞後の気持ち
この世から目を背けてたお爺さんが半ば強制的に世界と関わらされた。死を望む人生から死を待つ人生に変わることができた。頑固者という人柄に目がいきがちだが、「根っからの善人で正直者」という彼の人柄に周りの人は手を差し伸べたということを勘違いしてはいけないと思う。
鑑賞後の心の変化
まっすぐ進むことでしか得られないものがある
鑑賞後の行動の変化
どんなに自分の状況が苦しくても他人を傷つけていいわけではない。だからずっと優しくありたいと思った。
好きなシーン
奥さん以外の人間はどうでもいいと言えるシーン
嫌いなシーン
白シャツ全員
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