幸せなひとりぼっちのレビュー・感想・評価
全122件中、1~20件目を表示
偏屈爺さんと世界の片隅
主人公の爺さんはゴリゴリの保守だ。同じ地域、同じ職場で黙々と働き、大きな変化を好まず、愛する妻を亡くした今では世間と折り合いをつけることも面倒で、早くあの世に行きたいと願っている。
そんな偏屈爺が、隣人となった国際結婚の家族(妻がペルシャ系)と交流することで他者と繋がる喜びに目覚めていく。定番のパターンではあるが、爺さんが改心するわけでも人生観を覆されるでもなく、ひたすらに自分であり続けるのが面白い。
その過程で気づきを与えられるのは実は観客の方だ。爺さんは保守的であっても差別主義者ではない。アメリカのトランプ支持者は保守的な庶民層だと言われているが、保守的な庶民だからといって世界に対して自分を閉ざしているわけではないのである。
逆に言うと、これほどの偏屈爺さんでさえ価値観や文化の異なる他者にオープンでいられるのだ。これは世界の希望であり、日本の現状を思うと羨ましくもある。
ささやかだけれど、ぐっと胸に染み入ってくる
頑固な老人が、ささいなことをきっかけに周囲と心を通わせ————このプロットだけ見ると、過去の映画で何度も再利用されてきた内容のように思える。だが、この北欧からの贈り物には、単なる表層的では終わらない深みがあった。自ら「あの世」に旅立とうとするたび、走馬灯のように記憶をよぎる過去のエピソード。無骨な父親が一瞬だけ見せた優しさ、運命の女性と出会った瞬間の、世界の見え方がガラリと変わるほどの喜び、その一方で変わりゆく友情、大きなものを失った悲しみ。どれもが胸を締め付ける。そして喜びと悲しみの分だけ、観客はこの頑固じいさんのことを知り、彼への愛おしさを泉のように沸き起こさせていく。かくも共感を誘う物語の歩調と絶妙なユーモアが心地よく、押し付けがましさが全くない。また主人公が、けっして親切のためでなく、溜息まじりで目の前の事象を修理するたびに、人と人、心と心が繋がっていく過程も面白い。ささやかだけれど、とても心に染み入る名作だ。
気持ちのいい涙を流させてくれる人生賛歌fromスウェーデン。
原作もそれを基にした映画も世界中で愛される理由は、一重に、亡くなった最愛の妻の元に早く旅立ちたいのにその都度邪魔が入って旅立てない老人の、憎めないキャラクターに起因する。隣人の非常識な行いをいちいちチェックしては文句をつける傍らで、向かいに住むイラン人妻やゲイをカムアウトしたばかりに家を追い出された少年と交流してしまう寛容さが、主人公の独居老人、オーヴェにはあるからだ。辛い過去の思い出に引き摺られて度々自暴自棄になるオーヴェだが、寸前で思い止まらせるのは亡き妻が彼に残した、「今を楽しんで生きて!」という言葉が記憶の奥底に刷り込まれているせい。福祉大国、スウェーデンならではの実は国民に優しくない現実も覗かせつつ進む物語は、人生にはたくさんの悲しみをカバーして余りある出会いと感動があることを教えてくれる。悲観は時に滑稽なもの。そんな達観と随所に織り込まれたユーモアが、気持ちのいい涙を流させてくれる人生賛歌fromスウェーデンである。
良かった。
アマゾンプライムで見つけてなんとなく鑑賞。シンプルにこういう映画好きだ。
幸せなひとりぼっち
とても感動しました
途中からはどうせ死ねないんでしょ?
ほぼギャグになっていって笑えました
人を拒否して頑固に正義を貫く
それでは本当に死ぬしかありません
絶対に奥さんが見守って居ますね!
こんな人生の終わり方も素敵ですね。
人間は変わることができる
え、これコメディと最初に思った。花束をまけろや、犬や猫にまで暴言をはくし。。。憎まれっ子世に憚る。59歳ですでに前葉頭に問題があるのか?長年勤めていた会社を首になる。そして、首吊り自殺を試みるが、、、、窓から見える動きが気になる始末。こういうタイプの人は自殺なんてしないよ。だって、この世のことが気になりすぎるんだもの。。。なんて思いながらこの映画を観ていたが。
最愛の伴侶ソーニャを失ってしまったから、自分だけで生きていく気力をうしなってしまったんだなあと。でも、完璧主義かなんか知らないけど、持ち前の性格が曲がったことを許さないし、この地域の管理人(?)だったこともあるので、近所のことが一つ一つ気になったり、声をかけられたりして、最期のチャンスを失っている。彼は、必要とされている存在なんだよね。だから神に生かされているんだよね。
結婚する前からも、人とのコミュケーションが下手だったようにみえる。でも、一途で、人をどこかでいつも助けている。火事の時だって、線路に人が落ちた時だって、誰もが助けたくないときや、無視をしている時、スーパーマンのように彼が現れる。手先が器用でなので、口でああだこうだいうより、行動に移した方がはやいと思っているのか。
隣に引っ越して来たイランからの女性パルヴァネは、近所の人々とは違った目を持っていて、強引にオーヴェの心に入っていったり、頼んだりする。また、かれもパルヴァネに真実で強烈な言葉を浴びせかける。これによって、オーヴェの心は徐々に開いていった。
今まではオーヴェが独り言のように過去の話をしていたが、最後はパルヴァネに過去のことを話し出し、共有した。
オーヴェのソーニャ に対する愛について、たくさんの人がレビューを書いている。わたしも同意するので改めて書かない。
本当に嫌な奴なんていない
逐一いろんな人の行動に難癖をつける気難しい孤独な老人、オーヴェ。ルールを守らなければ怒鳴る、口も悪くていちいち人をイライラさせる。自暴自棄になり、何度も自殺に挑戦するが、毎回邪魔が入って失敗する。
でも、そんなオーヴェが半年前まで一緒にいた愛する妻、ソーニャとどんな人生を送ったのか。それを見ると彼がなぜこうなってしまったのかが見えて来る。
生真面目で頑固だったところは昔から変わらないが、愛する妻のために家や学校の家具類を作り直したり、一生懸命、素晴らしく生きていた過去があったのだ。
妻の死後は隣人に厳しかったオーヴェも、結局心を開いて、やっぱり良いおじいさんに戻っていく。なぜか子供達だけは、最初からオーヴェに懐いていたのを見ると、子供って純粋だから、悪い人じゃないことを直感的にわかっていたのかなー?
結局いろんな人のお世話をして、愛されて、最後はみんなに見送られて亡くなる、心温まるストーリー。
私たちは結局、お互いの一面しか知らない。でも、こうやって知っていくと、本当に嫌な人なんてなかなかいないだろうな、って思ってしまった。
アウディにがっかりする
北欧というひとくくりでは語れないスウェーデンという国の個性が感じられました。誇り高き工業国の中で内向的な人もわりと多い雰囲気とか。そんな中で明るく太陽のようなパートナーだった女性の存在が際立ちます。
はじめてのスウェーデン映画
頑固で寂しがり屋なオヤジの不器用な優しさがグッときた。
孤独な老人の再生物語
頑固なジイさん、オーベ。
妻に先立たれ、悲しみに暮れる。仕事もクビになり、住民はルールを守らないし、気に食わないことだらけで不機嫌になり、自殺を試みる。そんなある日、隣に越してきたイラン人のパルバネを含む一家との交流を通し、次第に心を開いていく。
なんとなく、観てて設定がグラントリノを思い浮かべた。
今作のジジイはイーストウッドと比べるとカッコよくないけど、不機嫌な時と笑顔とのギャップがすごく印象的に感じた。
厄介ごとに巻き込まれ嫌々ながらも手助けする、なんだかんだでいい爺さん。観ていると分かるが、亡くなった奥さんの、誰かの為に行動し、今を必死に生きる姿に影響されていたのかな。奥さんの後を追うつもりが、奥さんのために今を生きようと変われることができて良かったなと思った。
気難しい人も色々抱えている
「「わたしは、ダニエル・ブレイク」をちょっと思い出した。
近所付き合いの面倒臭さと温かさを見た。
【”真の善人とは” 頑固で偏屈だが、”筋をきっちり通す”男の人生を通じて描き出した作品。ヒューマン・コメディの優秀作でもある。】
ーこの作品が、クスリと笑うシーンを塗しながらも、観ている側の心に深く染み入るのは、
・”偏屈だが、筋をきっちり通す”男、オーヴェの人生が、若い頃からしっかりと描かれ、彼の現在の気質、行動の理由が見ている側にきちんと伝わるからだろう。
・オーヴェの根本にある、善性、正義感がどのように育まれたのか、何故彼は孤独で偏屈な男になったのかが、良く分かるのである。-
<以下は、ネタバレを含むので、鑑賞前の方はここで一時、止めて下さい。>
ーーーーーーーーーーーーーーーー
オーヴェは59歳。勤続43年の会社も馘になり、亡き妻ソーニャの遺影に語りかける日々。
だが、街の規律を守るための”見回り”は欠かさない。(で、変人、偏屈と言われてしまう)
一切、笑わないし、口癖は”バカめ!”である・・。
■切なくも、可笑しきシーン
・オーヴェは亡き妻の遺影に”寂しいよ・・・”と語り掛け、首を括ろうとすると、ペルシャ人の夫婦(パルヴァネ&パトリック:特にオーヴェが”率直に話すパルヴァネと交流を深めていくシーンの素敵な事。)が隣家に越して来て、車を上手く車庫に入れられず、”憮然”とした表情で車庫に入れてあげるシーン。
・で、漸く首を括ろうとすると”ピンポーン”と呼び鈴が鳴る・・。(可成り可笑しい・・)
その後も、ライフル自殺しようとすると、”ピンポーン”・・とても、可笑しい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
若きオーヴェとソーニャの列車内での出会いの素敵なシーンや、オーヴェが父譲りの正義感である事が描かれる。-上手いし、良い。-
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
且つて、共に町の規律を維持していたルネは重度の車椅子生活。妻、アニタはルネを施設に入れようとしない・・。
そして、アニタはオーヴェには色々と頼みごとをする。ブツブツ言いながらも手助けするオーヴェ。(同様のシーン、多数あり。町の人々がオーヴェを頼っている事が良く分かる。良いなあ。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
■”母国スウェーデン愛溢れる”シーン
ルネの愛車はボルボ、オーヴェの愛車はサーブ。モデルチェンジの度に買い替える二人だが、(楽しい競争)ある日、ルネはBMWを購入し、決定的に決裂するシーン。
-今作はスウェーデンで大ヒットした作品だが、設定が絶妙に上手い。ルネ、BMWはなあ・・。
■”白シャツ”との対峙シーン
小役人、”白シャツ”を敵視するオーヴェの姿。強引にルネを施設に入れる事に対して・・・、と思っていたら真実が後半描かれる。
ーーーーーーーーーーーーーー
そして、子供が出来たソーニャとのバス旅行で、大変な出来事が起きるが・・。
脚が不自由になっても、教師になる夢を諦めないソーニャのために奮闘するオーヴェの姿。
ーもう。ここら辺から目が潤んでくる・・。ー
ソーニャのニッコリ微笑んで口にする言葉が素晴らしい。
”今を必死に生きるのよ・・”
そして、ルネを施設に引き取りに来た”白シャツ”への強烈な一撃。
だが、オーヴェはその後、肥大した心臓のせいで、昏倒。
目を開けると、パルヴァネが優しく微笑みながら、
”本当に死ぬのが、下手くそね・・”
パルヴァネの3人目の子供も含めて、久しぶりの笑顔を浮かべて遊ぶオーヴェの幸せそうな姿・・。
<オーヴェが何度も自殺に失敗する理由が良く分かるし、(ソーニャの言葉・・)パルヴァネはどう考えても、ソーニャの分身でしょう・・。
”大きな存在は”、”真の善人”の事をいつも優しく見守っているのだ。
スウェーデンから届けられた、とても素敵な物語である。>
偏屈じいさんの過去
主人公は、妻に先立たれた偏屈じいさん。子供はいない。
最初のホームセンターの場面で、「日本にもこういう人、いるよね」と思って見ていましたが、物語が進むにつれ、少し見方が変わりました。
偏屈じいさんには違いないんだけど、それまでにいろいろあったんですよね。
隣の奥さんが良い人で良かった。
日本と違うなと思ったところ2点。
病気の友人を、家族は家で診たいと言っていて、行政は施設に入れろと言っているところ。
日本は施設に入れたいけど入れない人が多いんじゃないかな。
心臓が肥大する病気、おそらく拡張型心筋症を「命に別状はありません」と言って治療しないところ。
年齢を考えるとそれが正しいのかもしれません。
最後はある意味ハッピーエンドかな。
近所の奥さんが好き
主人公のお爺ちゃん出てきた時はほんと近所の頑固なクソじじいなんですけど、一見クソに見える行動や性格も送ってきた人生や長所を知ってしまうとこの人の魅力の延長線上に乗っている良いところの一部として受け取れる様になってしまう。クソクソ言ってすみませんw
でもお爺ちゃんとの接点を持てば持つほど彼の素敵なところを知れるし好きになる。
周りの登場人物も初見は悪目の印象が目立つけど一歩踏み込むと日々をそれぞれに生きる普通の人たちでそれが良い。
特に隣の奥さんとの交流とこれ絶対死なんだろーな自殺フラグが最高です。
その人と接点が無いからクソ野郎に見えるだけで、人を知るだけで悪くも良くも見える面が個性として輝いて見え優しい気持ちになります。
個人的にお爺ちゃんの性格が最後まで変わったりする事もなく、周囲と交流する事で行動が増え自然と誤解が解けて埋もれた魅力を掘り起こされていくところがとても好きです。あと物語全体を支える妻への愛情。
人を一面でしか見られなくなる時があるのでそんな時に見直したい映画。
感動〜!泣きじゃくりました!
気難しいオーヴェは、
奥さんの死をきっかけに、
さらに自分の殻に閉じこもる。
時に自殺をしようするが、
来客に阻まれたり…で、
なかなか死ねない。
これは、少しコメディタッチで笑えます。
でも実は、お人好しのオーヴェ。
困った人を見るとほっとけない。
ここがまた、小うるさい頑固オヤジでも
憎めないのよー。
やがて隣人に少しずつ心を開いていき、
最愛の妻との幸せな日々を語り出す。
ここから、涙が止まらない!
最高の映画に出会えました!
もっと泣かせられる展開では?いや…良い塩梅か^_^
スウェーデン映画なんですね。
ありがちな偏屈爺さんの話だけれど、エンディングにかけて、泣かせるんでしょ?と分かってくるのに泣いちゃうなぁ^_^;
主演のお二人も良くて良作だと思う。
老害だと思ってたおじいさんが自分のおじいちゃんだったら良かったなあと思うような話
最愛の妻に先立たれ、仕事も失い妻の元へ行く事ばかり考えているような、ちっとも幸せそうじゃないおじいさんの話。
隣に引っ越してきた家族との出会いをさかいに、おじいさんの過去が少しずつ明かされていき、その過去もとてもじゃないけど恵まれた過去ではなく、どんどんともっともっと幸せそうじゃなくなってくる。
だけども映画の最後になるとなんて幸せそうなおじいさんなんだろうと180度変わった感情で、エンドロールが流れる秀作。
開き直りが目障り
設定が「わたしは、ダニエル・ブレイク」と似ているので既視感がある、原題も「オーヴェと呼ばれる男」で似通っている、ダニエルの方はバリバリの社会派ドラマだったがこちらは暴走老人と好好爺の遷移プロセスを愉しむコメディ仕立ての感動作狙い。コメディと言っても役者の表情はぶきっらぼうだし言語の壁があるので受けにくい。同じスェーデン車でも丸っこいサーブと四角いボルボは対照的、愛車への拘りが強いのは万国共通かも。
なぜ年をとると偏屈になるのか、若い頃からの軌跡をたどっても人生は人それぞれ、悲運だったからと言って同情はするが誰もが偏屈になる訳ではない、表向きの顔と心の内は違って当然。
冒頭から規則を守れと怒鳴りまくるくせに首つり自殺すればどれだけ周囲に迷惑かけるかなんて考えもしない身勝手さに唖然、一旦感情移入に失敗すると後が辛い。とりなすように過去の悲劇で同情心を募ったり、ほんとは淋しがり屋で優しい心根の好好爺と懐柔してゆく様をいかにもドラマチックに見せてくれるが言葉の壁のせいか風情やニュアンスが伝わってこないし感動作を作りたいという作家の計算ばかりが垣間見えて素直に酔えなかった、かくいう私も偏屈老人の資質には恵まれているようだ・・。
あったかいような、切ないような。 幸せなこともあったけど悲しいこと...
あったかいような、切ないような。
幸せなこともあったけど悲しいこともたくさん経験して結果的に偏屈な年寄りになってしまったけれど、元々悪い人ではなくて根はとても真っ直ぐで優しい。
周りの人たちにもそれがちゃんと伝わってることがお葬式の場面で分かる。
奥さんに先立たれた男は哀れで弱い、遠くの身内より近くの他人。 感情...
奥さんに先立たれた男は哀れで弱い、遠くの身内より近くの他人。
感情の老化で爺さんは頑固で怒りっぽくなって行くものだが、社会との繋がりは大事。
そんな事を感じさせられる映画だった。
それと私は犬好きだが、ラグドールが大人しくて可愛く、猫も良いものだなあと思った。
全122件中、1~20件目を表示