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クァク・ジョエン監督作品はなぜかすぐに二度見したくなる。大きな流れの中に小さな謎が残るせいかもしれないが、二度見すれば納得してしまう不思議な作品が多い(と個人的には思う)。もしかしたら、ずっとコンパスの針が振れているからなのかも。
夢の中で人生を共有する1983年の音楽教師ペク・ジファンと2015年の新米刑事キム・ゴヌの物語であり、同じ時刻で互いの夢を見るというよりは輪廻転生を扱った時空SFといった感じでしょうか。未来、運命はどう変化するのか、事件はどこまで阻止できるのかといったところが見どころの一つ。最も変化したのは2015年当時には捜査課班長だったカン・スンボム(チョン・ジニョン)。そしてキム・ゴヌ本人だ。
合計9人の連続女性殺人事件とか49人が死亡した講堂火災事件。ガスマスクを着けていたという犯人像など、残酷な場面が多いのになぜかノスタルジックで切ない思いにさせるのは監督独特の作風なのだろう。そして、ジファンの恋人ソ・ユンジョンの死は阻止することができなかったが、その後3人目の殺人事件や火災は予知夢によって阻止。刑事になるのが夢だったという教師ジファンの思いがそのまま現実になった雰囲気だ。
3人目の犠牲となる予定だったヒョンジュがそのままスンボムの妻へ。ただし、これは彼女が高校時代に殺されているので矛盾は生じている。そしてパク先生と生物の先生がちょっと似ているので混乱してしまうのも原因か、パク先生が変化した未来でなぜIT企業社長となっているのが初見ではわからなかった・・・汗。思わず2回見たのはこのせい。
高校屋上のシーンで雷が落ちたり、写真の中の人物が消えていくのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』へのオマージュなのでしょう。実際にはタイムトラベルをしていないのにパラレルワールドのように未来が分岐していく『オーロラの彼方へ』の方が近いのかな。火災もあることだし。
どんなに頑張ってもジファンとユンジョンの死は変えられない虚しさと、生まれ変わった二人が再び出会うファンタジー部分がとてもいい。関係者はみんな離脱(renegade)して職業まで変化してるけど、連続殺人や火災の犠牲者が生きてることを考えると幸せなんでしょうね。メイン二人が死に際に来世を見たかどうか・・・ちょっとわからなかったけど。