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「ファインディング・ドリー」ではなく、こちらを選ぶ、というのが、やはりオレというか、さすがツレ、というか。
サメ映画とブレイク・ライブリー主演、となれば、「スター俳優」に配慮しながらも、どれだけスケべえな絵、演出ができるか、という監督の腕見せどころ、という映画だろうなと思ったら、まあ、ある程度そういう映画だった。
原題は「The Shallows」。意味は「浅瀬」。形容詞では「浅はかな」。なるほど、どちらでも取れる内容ではある。とっても許容してみると、邦題もまんざら外れでもない。
「ロスト・バケーション」
ライブリー演じるナンシーは、友達を置いていき、一人誰も知らない秘密のビーチに現地人の案内でたどり着く。この過程はまあ、どうでもよいのだが、延々とナンシーは携帯をいじり、にわかにこの現地人のいうことを相手にしていない、というか、バカにしている感もある。
となれば、この案内人がわざわざ秘密のビーチに案内するにも関わらず、ビーチの名前を言わないので、普通のホラーなら、ブロンド美女を「サメ」に食わせる案内人、であるはずだが、そうでもないところが甘い、というか新味というか。
そのあとは、現地のサーファーの意見を聞かなかったり、一人、謎のビーチにきたこと、父親とのしょうもない喧嘩など、「浅はかな」行為が今回の危機に出くわす羽目になるという、ホラー映画でありがちな展開。
だが、本作、そもそもライブリーのいろんな顔、表情を余すことなく、映像に焼き付けることだけが目的の映画。そんな背景はライブリー出演を「説得」「納得」させるだけの設定でしかない。
サーフシーンや、凝りに凝った海上、海中シーンなどもライブリーのためだけである。特に終盤の発光するクラゲ群を背にしたシーンや、「横乳」とそっくりな島を序盤に見せといて、ラストにしっかり寝姿からの「横乳」映像には爆笑ものである。
おまけに自撮りでライブリーにアップで「愛している」と言わせる始末。カメラがほぼほぼ後半意味をなしていないのもそのための小道具。
ビキニなブレイク。日差しを受けるブレイク。寒がるブレイク。痛がるブレイク。
まさしくブレイク祭り。その点には全く不満はない(ないのか?)。
ライブリーを担ぎ出すのに必要だった「ドラマ性」が実のところ、スカスカなのは、はじめから期待していないので、まあいい。
だが、それでも後半のサメ退治には、「強い女」の描写っていつまでこんななん、という非現実的なもの。
「浅はか」な自分を奮い立たせ、覚悟を決め、「浅瀬」というあと一歩のところで立ちふさがる脅威に立ち向かう、というテーマがあるのであれば、「サメ」なんて実はどうでもいい存在なのだから、ああいう、「ラッキー」な退治方法じゃだめなんじゃないの?
ラストだけはとても古臭い。90年代の海難パニックものかと。
追記1
良かった点も。
映像が海上、海中ともに幻想的なものもあったが、一方、音響効果も相まって、観客もそこにいるような感覚になるほど臨場感があった。特に最初の、海中に何か潜んでいるかも、というドッキリシーンは非常に素晴らしかった。