劇場公開日 2017年1月21日

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ザ・コンサルタント : 映画評論・批評

2017年1月17日更新

2017年1月21日より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほかにてロードショー

ベンアフの新たな当たり役!“2つの顔を持つ男・最新アップデート版”登場

表向きは田舎町のしがない会計士。しかしてその実体は、世界中に蔓延る極悪人たちの裏帳簿を仕切る裏金管理人にして、標的は必ず仕留める周到な殺し屋。どの国でも、どんな時代でも愛されて来た“2つの顔を持つ男・最新アップデート版”が、ここに公開された。

2011年にハリウッドのブラックリスト(日の目を見るべき優良脚本)に載って以来、長らく映画化が模索されてきた本作の肝は、まず、主人公、クリスチャン・ウルフが持つ天才的スキルの中身だ。自閉症の人間にありがちな特殊技能に秀でた反動的な習性に起因するのか(「レインマン」然り)、怪しい企業の15年間に及ぶ膨大な帳簿から1夜にして不正を読み取る数学脳、裏金がバレることを恐れた相手が放った刺客を超長距離からでもライフルで射止められるマサイ族的狙撃力、刺客の行動を先読みして策を講じる予知能力、死んだはずの標的に必ずトドメを刺さずにはいられない完璧主義。以上、次々と繰り出される怒濤の技能集は、テンポの良さと相まって観る側の快感を呼び覚まさずにはおかない。

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やがて、後半に差し掛かると、「なぜ、そうなったか?」という疑問に対する答えが一気に提示されていく。まず、闇金蓄財に走った企業オーナーの不正を立証したい捜査側とウルフの意外な関係性、そもそも、ウルフの生き方を決定付けた亡き父親の教えと、親子が背負った残酷な宿命、さらに、終始ウルフに指示を出し続けるパソコン音声の主が巻き戻す幼少期の原体験etc。すべての伏線が1つに束ねられるラストでは、劇中のウルフの如く、複雑な数式から正解を弾き出した時の達成感が観客にももたらされることだろう。

このウルフ役を「チェイシング・エイミー」「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」「アルゴ」「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」と並ぶ生涯のベストキャラと断言するベン・アフレックが、どれだけ役にのめり込み、楽しんで演じたかがよく分かる。特に、企業の一室に立て籠もり、壁一面に書いた数字を踊りながら読み解く場面でのパフォーマンスは、当たり役にめぐり逢えた俳優の歓喜のダンスに見えなくもない。当然、ファンは俳優として一歩先んじる盟友、マット・デイモンの「ジェイソン・ボーン」シリーズに対抗して、ここでベンアフにももう一勝負して欲しいところ。「ジャスティス・リーグ」の合間にでも、クリスチャン・ウルフの再登板は無茶だろうか?

清藤秀人

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